「加糖飲料で2型糖尿病や高血圧、心臓病、脳卒中リスクが上昇」は、もはや世界的常識

 加糖飲料はやはり肥満の原因となるだけでなく、2型糖尿病や高血圧のリスクを高める可能性のあることが明らかにされました。研究を率いたステレンボッシュ大学(南アフリカ)のFaadiel Essop氏は「複数の研究で、加糖飲料を週に2杯飲むだけでもメタボリック症候群や糖尿病、心臓病、脳卒中のリスクを上昇させることが示されているほか、ある研究では加糖飲料を1日1杯飲むと高血圧リスクが高まることが示されていた」と述べています。同氏は、特に加糖飲料で10代の若者の血圧が上昇することに懸念を示しています。

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過去10年間に発表された36件の研究をレビュー

 この研究では、加糖飲料の摂取頻度がメタボリック症候群や糖尿病前症、2型糖尿病、高血圧の発症リスクに及ぼす影響を調べた、過去10年間に発表された36件の研究をレビューしました。その結果、解析対象とされた研究の結果にはばらつきがみられたものの、ほとんどの研究で加糖飲料の定期的な摂取とメタボリック症候群や2型糖尿病リスクとの関連が示されていました。また、加糖飲料の摂取頻度は高血圧リスクとも関連していました。なお、こうした研究の多くは、加糖飲料を週に5杯以上飲む人を対象としていました。

 Essop氏は、メタボリック症候群のリスクが上昇する原因が加糖飲料にあるのかどうかは明らかではないとしつつも、「加糖飲料の摂り過ぎはウエスト周囲長の増大や肥満のほか、インスリン抵抗性や慢性炎症、脂質異常症、高血圧とも関連していた」と述べています。

 また、同氏によると、摂取カロリーが同じでも加糖飲料では固形物を食べた時のような満腹感が得られにくいことも、食べ過ぎや飲み過ぎにつながる可能性があるといいます。

 米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏は、果物を例に挙げて、「リンゴには糖分も多く含まれるが、食物繊維が多いため満腹感が得られやすい。一方で、1杯のリンゴジュースにはリンゴ3~4個分の糖分が含まれており摂取すると血糖値が跳ね上がるが、食物繊維は含まれていないため満腹感は得られない」と説明しています。

 米国糖尿病学会(ADA)のWilliam Cefalu氏は専門家の立場から、「今回のレビューで対象とされた研究は観察研究であるため因果関係が証明されたわけではないが、糖尿病の有無にかかわらず、1日の終わりに飲む水分は糖分が含まれない水にするのが良いだろう」とアドバイスしています。


ダイエット飲料に切り替えても問題は解決しない

 英ケンブリッジ大学Nita Forouhi氏らによる研究結果で、「Diabetologia」オンライン版に2015年4月30日掲載された論文では、加糖炭酸飲料や加糖乳飲料の摂取量が全体として多いほど、糖尿病発症リスクが高まることが明らかになりました。1日1杯の摂取量増加は糖尿病リスクを22%押し上げていました。

また、『Stroke』2017年5月号に掲載された米ボストン大学医学部神経学部、Matthew Pase氏らの研究陣による知見です。

  これによると、ダイエット飲料を全く飲まない(か、週1回未満の)人と比べ、1日1杯以上口にする人では脳梗塞リスクが2.96倍、アルツハイマー病リスクが2.89倍にのぼる傾向が読み取れました。

 近年では生活習慣病対策の一環として、糖類を多く含んだ加糖飲料に課税する国も増えています。2010年に台湾が世界で初めての「ジャンクフード税」を導入。子どもたちの25〜30%が太りすぎという深刻な肥満問題への対策とし、加糖飲料やキャンディ、ケーキ、ファストフードやアルコールなどに特別税をかけました。

 同年、国民4人に1人が肥満のルーマニアもジャンクフード税の導入を発表。2015年4月には、世界第2位の肥満大国・アメリカでもジャンクフード税が始まりました。開始当初は西部の先住民居留地ナバホ自治区などで導入され、対象は炭酸飲料やスナック菓子、ファストフード、揚げ物などです。

 肥満率世界第1位のメキシコで2014年に導入したのは「ソーダ税」。糖分を多く含む飲料へ課税するというもので、フランスやアメリカの複数の州にも同様の税金があります。イギリスでも2018年3月から、砂糖や甘味料を多く含む飲料へ「砂糖税」が課せられることに決まりました。

 「現時点でいえるのは、加糖飲料が心臓にも脳にも不健康だというエビデンスは確立しているということである」とする米ボストン大学のPase氏の発言は、いまや世界的な常識になっています。

(Health Pressより)

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食事が「今日の気分」をつくる~「カラダが求める栄養素」でうつ予防

魚の消費量が多い国ほど「うつ病」が少ない

 1998年に、アメリカのヒベルンという医師が発表した研究によって、魚の消費量が多い国ほどうつ病の有病率が少ないことが示されました。それ以来、「オメガ3系脂肪酸」とうつ病の関係が注目されています。

 「オメガ3系脂肪酸」とは、魚に多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、さらにエゴマ油などに含まれる「αリノレン酸」などの総称。つまり脂質、アブラです。これらは、魚に多く含まれることから「魚油」とも呼ばれます。この「魚油」がうつ病の予防に役立つかもしれないことが、近年の研究で明らかになっているといいます。



 反対にうつ病の予防のためには控えたほうがいいのが「オメガ6系脂肪酸」。これは大豆油、コーン油、紅花油などに含まれ、揚げ物や加工食品などから過剰に摂取しがちです。過剰に摂取するとオメガ3系脂肪酸とのバランスが崩れてしまうといいます。

 「オメガ3系脂肪酸」は本来は人間の身体にとって必要な物質ですが、現代の食生活では、どうしても取り過ぎてしまいます。なるべく加工食品を控え、サバ、アジ、イワシなどの青魚や、ブリ、イカ、サケなどで魚油を摂取するといいといいます。


<セルフモニタリング>どんな食事が今の気分をつくったか?

 とはいっても、特に男性の一人暮らしでは、普段から栄養にまで気を配るのが難しい場合もあります。「魚を食べて揚げ物を控えるのはいいことですが、ときどき唐揚げを食べるくらい構いません。魚を食べることにこだわりすぎるのではなく、食事と気分の関係を<セルフモニタリング>することが大切です。

 食べたものの栄養素だけではなくて<食べた量><食べる速さ><お酒の飲み方>などを振り返ってみます。たとえば、お腹が減っていないのに、イライラや不安を紛らわせるためにたくさん食べて、食べることで満足感を得るというパターンを持っている人は比較的多い。

 食事がどのように気分に影響しているかに目を向けていくと、自分にとっての<いい食生活>が経験からわかるようになります。理想的なのは、<カラダがいま何を求めているか>を自然に感じとって食事できる生活です。本当にカラダが必要としている栄養素、食事に気づく感覚を取り戻していくことが、うつの予防にもつながっていきます。

(Health Pressより)

やせたい人は知っておきたい「血糖値」7つの真実

 血糖値を測定したことがありますか? 「ある」と答えたほとんどの人は、会社などで行う健康診断のはずです。通常の健康診断では、前の日の夕飯を食べたあと10時間ほど食事を摂らない状態で「空腹時血糖値」を測定します。そしてこの測定結果の血糖値が基準値よりも高いと、糖尿病予備軍(境界型)や糖尿病と診断されます。

 糖尿病患者は年々増加傾向にあり社会問題にもなっています。日本では2000万人以上、40歳以上に限定すると3人に1人は血糖異常=糖尿病予備軍というデータも存在します。この数字の増加を食い止めるための血糖値検査のはずなのですが、実は健康診断での測定では十分ではないといいます。



(1)健康診断の血糖値測定は不十分

 もちろん健康診断で血糖値を測ることは重要ですが、それだけでは十分でないのも事実です。というのも、健康診断で測定するのが「空腹時血糖値」だからです。

 空腹時血糖の正常値は110mg/dl未満。これが110~125mg/dlだと糖尿病予備軍、126mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。そして、この数値が異常値(=110mg/dl以上)になるのは、実は糖尿病発症の1~2年ぐらい前です。

 血糖値の測定はもう一種類あります。食事を摂ったあとに測る「食後血糖値」です。これの正常値は140mg/dl未満で、140~199mg/dlだと糖尿病予備軍、200mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。この数値が異常値(=140mg/dl以上)になるのは、糖尿病発症の6~10年前ぐらいとされています。

 つまり、空腹時血糖に異常が出現してから糖尿病の発症まではさほど時間がかからないのに対し、食後血糖値の異常から発症まではかなりの猶予があります。進行状況によっても異なりますが、この期間に生活習慣を改めるなどの対処をすれば、糖尿病の発症を食い止めることが十分に可能です。

 ならばなぜ健康診断で食後血糖値を測定しないのか。それは、健康診断では例えば胃の検査など、血糖値だけでなく様々な検査を総合的に行います。そのためには、空腹時(前日に最後に食事をしてから10時間あけた状態)で受診する必要があります。結果的に健康診断では空腹時血糖値を診るということにならざるを得ません。


(2)近い将来、血糖値は自宅で測定できる

 血糖値は薬局の店頭で測定することができます。実施している所の数が多いと言えませんが、インターネットで測定可能な所を調べることもできます。

 食後血糖値については数値の上がり方に多少の個人差はありますが、食事の1時間後を目安に測定します。測定可能な薬局が会社の近くにあれば便利です。例えばランチのあと薬局に寄って血糖値を測定して会社へ戻る、ということができればビジネスパーソンの健康管理として最適です。

 測定できる薬局が近くになければ、血糖値測定器を購入するという方法もあります。高度医療機器を取り扱う薬局でのみ販売されていて、これについてもあまり数が多いとは言えませんが、インターネットで販売店を調べることができます。



 また、指先から血液を穿刺せずに血糖値を測定できる「FreeStyleリブレ」が9月1日から保険適用となりました。保険適応はあくまでも限られた糖尿病患者向けのものですが、血糖値測定器が広く多くの人に普及していく大きなきっかけとなるでしょう。 血糖値測定器が一家に一台あって、体温や体重を計るように血糖値を測定する時代はすぐそこまできています。


(3)血糖値が安定すればやせられる

 血糖値は、数値が高いこと(=高血糖)自体がよくないことで、また、食後に血糖値がぐんと上昇して時間が経つとまた元の数値に戻るという、上下動も体に様々な悪影響を及ぼします。血糖値の上下動が大きくなることを最近では血糖値スパイクと呼びます。たとえ食前の血糖値が正常であっても、食後の血糖値がぐんと上がると、これを処理するためにインスリンというホルモンが沢山必要になります。

 インスリンは脂肪細胞のエネルギー取り込み口を思い切り開かせる作用を持っているので、インスリンが出る=太りやすくなる、ということになります。

 血糖値とは血液中の糖の値のことで、糖質を摂取することが血糖値上昇につながります。つまり、糖質を過剰に摂取しなければインスリンが必要以上に分泌されることもなく、中性脂肪が増えることもありません。

 糖質を控える食事法=糖質制限は現在のダイエットの潮流になっていますが、ひと口に糖質制限と言っても、現在では「夕食だけ糖質を抜く」とか「糖質をまったく摂らない」など様々な概念があります。

 おすすめは緩やかな糖質制限「ロカボ」です。ロカボでは糖質量を、朝食20~40g、昼食20~40g、夕食20~40g、間食10gまでとして、1日の合計糖質量を70~130gに設定しています。

 糖質は大まかにいうと、「甘いもの」と「でんぷん」に分けられます。甘いものは分かりやすいですが、でんぷんが多い主な食品は、穀類(米、小麦、とうもろこし、そばなど)、いも類(じゃがいも、さつまいもなど)、豆類(あずき、そらまめなど)です。

 ロカボを始めるにあたっては、まずは主食を半分~3分の1に減らします。白米ではお茶碗に3分の1~半膳(50~70g)、食パンでは8枚切~6枚切が1枚で糖質約20~25gです。

 主食の糖質を20gぐらいに抑え、残りの20gをおかずに充ててお腹いっぱいになるまで食べます。おかずに関しては、いも類と豆類に気を付ければ肉も魚も野菜も、ほとんどのものはたっぷり食べても糖質20gには届きません。

 お酒は食事の糖質量+お酒の糖質量の合計を40gまでに抑えれば、醸造酒(ビール、ワインなど)であろうと、蒸留酒(ウィスキー、焼酎など)であろうと飲んで構いません。むしろお酒には、食後血糖値の上昇を緩やかにする効果があることが近年の研究で分かっています。

 1日の合計糖質量を70~130gに設定した理由は、これを守っていればほとんどの人は食後血糖が正常値に保たれます。血糖値スパイクと呼ばれる激しい上下動も起こりません。太っている人は脂肪が減って体重が落ちていきます。


(4)油は肥満の原因ではなく、むしろ血糖値を下げる

 やせるために揚げ物など油を控えている、という人は現在でも多くいると思いますが、実は最新の研究により、それはまったく意味がないと証明されています。例えばアメリカでは「脂質を食べないようにしても肥満の予防にはならない」と政府機関が明確に表明しています。

 中性脂肪が増える原因は血糖値が異常に高くなること=糖質を過剰に摂取することにあります。から揚げを茹でたささみに替えても、脂身たっぷりのサーロインステーキを赤身肉に替えても本質的な意味でやせることはありません。

 体の中に「脂」を溜めている原因は、食事の中の「油」ではなく「糖質」にあります。むしろ脂質とたんぱく質は食べれば食べるほど血糖値が下がるという、最新の研究結果も報告されています。


(5)血糖値を上げてしまう“ヘルシー”の落とし穴

 朝食にフルーツたっぷりのスムージーを作って飲むという人も多いと思います。しかし、果物=ヘルシーと決めつけている人は要注意です。だいたいの果物は高糖度です。フルーツたっぷりのスムージーはコップ1杯で30~40gぐらいの糖質量です。

 果物はGI値が低いからダイエット中でも安心、というのも誤解です。果物の甘さの主体はブドウ糖ではなく果糖なのでGI値が低いわけですが、果糖は体内で中性脂肪に変化します。GI値が低い=血糖値が上がらないからといって摂り過ぎると肥満の原因になります。

(*GI値とはグリセミック・インデックスの略で食品ごとの血糖値の上昇度合いを数値化したもの)

 また、果糖は依存性が強いことでも知られています。子供ににフルーツジュースなら体にいい、と思ってたくさん与えていると、それが肥満の原因にもなりかねないので注意しましょう。


(6)血糖値が安定すれば多くの病気や老化の予防になる

 血糖値が安定すれば太ることもありませんし、多くの病気を防ぐこともできます。生活習慣病と呼ばれる糖尿病、高血圧、脂質異常、さらにガンや認知症などの予防・改善にも繋がります。

 さらに血糖値が高いほどAGEが産出され、シワやたるみなどの原因にもなります。特に女性にとっては美しい肌を保つためにも血糖値の安定が必要です。

(*AGEとは終末糖化産物のことで、これが蓄積すると糖尿病の合併症を引き起こす原因の一つとされる)


(7)運動をすれば血糖値が下がる

 近年の研究では、運動をすることで血糖値が下がることも分かっています。短期的にみると有酸素運動だけでも血糖値を下げる効果があり、長期的にみると有酸素運動と筋トレの両方を行ったほうがより高い効果を得ることができる、という研究結果があります。

 血糖値が上がるのは食後なので、そのタイミングに合わせて運動するのが最も効果的です。とはいえ、食後に有酸素運動を、というのも難しいので、例えばビジネスパーソンなら、会社から少し遠めの場所でランチを摂って、長めに歩いてオフィスへ戻る、というようなことから始めてみましょう。

(文春オンラインより)

朝食を食べないと動脈硬化のリスクが2倍に上昇!

 朝食を抜く習慣のある人は、朝食をしっかり食べる習慣のある人に比べ、動脈硬化を発症する可能性が2倍に高まるという研究が発表されました。「朝食をしっかり摂ることが、動脈硬化を予防するためにも大切です」と研究者は述べています。



朝食を食べる習慣にはメリットがある

 「朝食は1日で最初に摂る食事です。朝食でエネルギーをしっかり摂ることが、心臓血管を保護するのに役立つ可能性があります。朝食を抜く習慣は、喫煙、運動不足、高コレステロールなどと同じように、動脈硬化を促す危険因子のひとつといえます」と、マウントサイナイ医科大学のヴァレンティン フスター教授(心臓学)はいいます。

 朝食を食べる習慣は、1日のエネルギー摂取量、食事の代謝効率、満腹感の得やすさや食欲の調節などに関わります。それに加えて、朝食を食べることが、心臓血管の健康にも大きく影響しているといいます。これまでの研究で、朝食を抜くと、肥満、2型糖尿病、高コレステロール血症などの危険性が高まることが明らかになっています。これらは心臓病の危険因子となります。

 米国のマウントサイナイ病院などの研究チームは、朝食を抜くことが動脈硬化が進行しやすくなるのではないかと考え、調査を行いました。


4,000人以上の朝食を調査

 研究チームは、スペインのマドリードに在住している会社員を対象に横断研究を行い、心臓病の既往歴のない成人4,052人を対象に、食事に関するアンケートを実施しました。

 朝食が1日の総エネルギー摂取量に占める割合によって、朝食の摂取パターンを3つに分類しました。

(1)朝食で1日のエネルギーの5%未満を摂取する人。朝食をほとんどのコーヒーやジュースのみで済まし、朝食にかける時間はわずか5分。

(2)朝食で1日の20%以上のエネルギーを摂る人。コーヒーやオレンジジュース、トースト、トマト、ハム、フルーツ、シリアル、全粒粉のクッキーやペストリーなど、ボリュームのある朝食を食べていた。

(3)朝食で1日の5〜20%のエネルギーを摂る人。コーヒー、オレンジジュース、フルーツ、トースト、クッキー、ペストリーなど、軽めの朝食を食べていた。

 研究に参加した4,052人のうち、(1)の「朝食抜き派」は2.9%、(2)の「朝食重視派」は27.7%、(3)の「朝食軽め派」は69.4%でした。


朝食を食べない人で動脈硬化が進行

 動脈硬化には2つのタイプがあります。1つは「アテローム性動脈硬化症」。血管の内膜にコレステロールや脂肪が柔らかい沈着物(プラーク)となってたまっていき、血液の通り道が狭くなり血液をスムーズに通せなくなり血流が悪化します。

 もう1つは、血管の中膜の部分にカルシウムが沈着して血管が硬くなる石灰化と呼ばれるタイプ。血管の石灰化が進行すると、血管が伸び縮みしにくくなってしなやかさがなくなり、血流によるダメージを受けやすくなります。

 研究では、アテローム性動脈硬化症の測定については、超音波検査で頸動脈、腎臓の腹部大動脈、大腿動脈を調べ、プラークがどれだけたまっているか調べました。心臓に血液を供給している冠動脈でのカルシウムの沈着についても調べました。さらに全身の6ヵ所(左・右頸動脈、大動脈、左・右大腿動脈、冠動脈)を調べ、全身性動脈硬化症の判定も行いました。

 その結果、「朝食抜き派」は「朝食重視派」に比べ、頸動脈で21%、腹部大動脈で17%、それぞれ動脈硬化が進行していることが明らかになりました。

 「朝食抜き派」では、非冠動脈性動脈硬化症のリスクが1.55倍に、全身性動脈硬化症のリスクが2.57倍に、それぞれ上昇していました。

 腹囲周囲径、体格指数、血圧、コレステロール値など、アテローム性動脈硬化症の危険因子となる検査値も、「朝食抜き派」では高い傾向が示されました。


朝食をきちんと食べる人の生活は健康的

 朝食を抜く習慣は、症状や病気が現れる以前の段階の「無症候性動脈硬化症」に大きく関わることが明らかになりました。朝食を抜く習慣のある人は、過体重や肥満になりやすいだけでなく、食事の時間が不規則になりがちで、アルコールを多く摂取していたり、喫煙習慣があるなど、全体的に生活スタイルが不健康である傾向があることも分かりました。

 朝食を抜くことの多い人は、体重を減らすためにダイエットに取り組んでいる人が多いのですが、朝食を抜くことで、昼食以降でエネルギーを摂り過ぎてしまい、1日の摂取エネルギーは変わらないか、むしろ多くなり過ぎてしまうパターンが多かったそうです。

 「体重を減らしたり、メタボを解消したいと考え、朝食をスキップしたり、3食を2食以下に減らすことを考える人は少なくないのですが、そうした食事スタイルが逆に肥満やメタボ、2型糖尿病を誘引してしまうおそれがあるのです」と、スペイン心血管研究センター(CNIC)のヴァレンティン フスターター氏はいいます。

 一方で、逆に食事を規則正しく摂っている人は、1日の摂取エネルギーが安定し、運動量も多く、喫煙率が低く、より健康的な生活をしている傾向が示されました。


なぜ「朝食抜き」は健康に悪いのか

 朝食を抜くと、空腹感が強くなり、それを満たすために昼食や夕食で食べ過ぎてしまう傾向があり、また朝食を抜くことで、お菓子などの間食を摂り過ぎてしまうおそれもあります。1日の栄養素のバランスを考えて間食をとれれば理想的ですが、多くの場合で栄養バランスを乱す原因となります。

 夕食から朝食までの間は、もっとも長い空腹時間になります。昼食や夕食でより多くの食事を摂取すると、食後に血糖値が上昇しやすくなり、血糖を下げるインスリンも分泌され、肥満になりやすくなります。1日の摂取エネルギーが変わらない場合でも、朝食を摂ることで、昼食後の血糖値を低く抑えられる効果(セカンドミール効果)を得られやすくなり、また食欲を増進させるホルモンを低下させることも期待できます。

 体には1日のリズムを作る体内時計がそなわっており、朝起きて光を浴びて、目から入る光の刺激でリセットされます。体内時計のリズムを整えるためにも、朝食は大切です。食事をすることで、インスリンが分泌され、時計遺伝子が発現して時計がリセットされます。光を浴びるのと同様に、朝食を食べることで、眠りから活動に向かうリズムが整えられます。

 「朝食で勧められるのは、パンなどは食物繊維の多い全粒粉のものを選び、野菜やフルーツを摂り、脂肪の少ない肉類や、植物性のタンパク質を摂ることです」と、ディードワニア氏はアドバイスしています。

(保健指導リソースガイドより)

脳の健康を保つための「ライフ シンプル 7」

 健康的な生活スタイルは、脳の健康を維持するためにも必要です。米国心臓学会(AHA)は、認知症や認知機能の低下を防ぐために、7つの生活スタイルを提唱しています。



脳は血液の流れを必要としている

 脳は、心臓などの重要な臓器と同じように、常に十分な量の血液を必要としています。しかし、年齢を重ねると動脈硬化が進み、血管が徐々に狭くなり、血液の流れ(血流)が悪くなることが多い。なかでも、アテロームと呼ばれる脂肪性の沈着物が動脈の内側に蓄積する「アテローム性動脈硬化症」は、心筋梗塞や脳卒中などの原因として知られています。

 「アテローム性動脈硬化症の原因になる不健康な生活スタイルは、脳の血管にとっても悪いことが分かりました。動脈硬化が進みやすい生活をおくっていると、年齢を重ねてから、認知障害やアルツハイマー病などの危険性が上昇します」と、マーシー ヘルス ハウエンシュタイン神経科学研究所のフィリップ ゴレリック氏はいいます。

 米国心臓病学会(AHA)は、心臓病や脳卒中を予防するために、「7つの生活習慣」(ライフ シンプル 7)を推奨しています。これは、さまざまな疫学研究の結果をもとに作成されたもので「ライフ シンプル 7」は脳の健康を保ち、理想的な状態を維持するために役立つ可能性があります。


(1)血圧を管理する

 高血圧があると、細い血管の血液の流れが悪化しやすくなり、十分な酸素と栄養素を心臓と脳に供給するのが難しくなります。血流の不足は認知機能の低下を引き起こし、さらに活性酸素が細胞を障害する「酸化ストレス」が亢進しやすくなり、血管内皮の炎症が起こりやすくなります。さらに、高血圧を放置しておくと、脳内で認知症の原因となる物質が増えやすくなります。

 高血圧は自覚症状が乏しく自分では分からないので、定期的に検査をすることが重要です。健康な体重を維持すること、塩分の摂取量を減らすこと、医師に処方してもらった薬をきちんと飲むことが大切です。


(2)コレステロールを管理する

 コレステロールの異常は、脂質異常症の原因になり、死因の上位を占める狭心症や心筋梗塞などの心臓病や、脳出血や脳梗塞などが進行しやすくなります。脂質異常症によって動脈硬化が進行すると、脳内の血管も硬化が進んでしまい、通常よりも血液の流れが悪くなります。

 悪玉のLDLコレステロールを減らすために、動物性食品の摂り過ぎを抑えて、野菜、果物、海藻などをバランスよく食べることが必要です。


(3)血糖値を下げる

 糖尿病のある人ではそうでない人に比べ、アルツハイマー病や血管性認知症の発症リスクが2~4倍に上昇するという報告があります。糖尿病のある人が、血糖値が高い状態を放置していると、心臓病や脳卒中の危険性も高まります。血糖値をコントロールすれば、これらの合併症を防ぐことができます。

 脳の神経細胞のエネルギー源のほとんどは糖で、脂肪などは使われません。そのため、脳神経細胞は常に糖を取り込まなければなりませんが、そのときに必要な働きをするのがインスリンです。インスリンの不足や、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」は、認知症の進行に影響していると考えられています。

 糖尿病は脳の動脈硬化も促進します。動脈硬化が進めば脳梗塞の発症リスクが高くなり、血管性認知症にもなりやすくなります。糖尿病のある人は血糖コントロールをしっかり行うことが大切です。


(4)運動をする

 運動を習慣として続ければ、血糖値・血圧値が下がり、悪玉のLDLコレステロールが減り、善玉のHDLコレステロールが増え、骨が丈夫になり骨粗鬆症の予防になります。がんの発症リスクも下げられます。ストレス解消にもつながり、夜はよく眠れるようになります。

 運動を行うと、酸素を体内に取り入れられ、脳の血液量が増えます。酸素は血液によって運ばれ、脳の血管にも酸素を含んだ血液が送り込まれます。脳内の血液が増えることで、脳の神経細胞であるニューロンが作られます。神経細胞を結び付けるシナプスも活発に働くようになります。

 1日30分のウォーキングなどの運動を週に5日以上続けて、週に合計2.5時間行うのが目標。1回10分の運動を3回に分けて行っても効果があります。


(5)健康的な食事

 食事と認知症の予防の関連は大きいことが最近の研究で分かってきました。塩分やコレステロールの摂りすぎは動脈硬化を促し、血管を老化させます。不健康な食事により体内の活性酸素が増えると、細胞の新陳代謝が妨げられ、老化が促されます。

 健康的な食事を続ければ、体重や血圧値、血糖値、コレステロール値を改善できます。カロリーの摂り過ぎを防ぎながら、必要な栄養素をバランス良く摂ることが大切です。 そのために、1日3食をしっかりと食べ、野菜や果物、海藻、大豆食品、魚類などを十分に摂ることが勧められます。

 塩分の摂り過ぎも脳の血管の老化を促します。塩分は1日3gに抑えるのが理想的ですが、それが無理な場合は6g以下を目指します。清涼飲料や缶コーヒーを飲むときは、糖分の摂り過ぎにも注意します。コップ1杯のコーラのカロリーは90kcalくらいです。


(6)標準体重を維持する

 肥満は体にとって異常な状態で、特に内臓脂肪が一定以上に多くなると心臓の負担が増え、脳への血流も悪くなります。肥満に脂質異常や、高血圧、高血糖などが重なると、心臓の負担はさらに増えます。肥満の人は体重を減しただけでも、これらの検査値が改善します。

 肥満、糖尿病、脂質異常症を放置していると血流が悪くなり、血液が固まりやすい状態になります。そうなると心筋梗塞や脳梗塞だけでなく、認知症のリスクも高まります。脳の血流量を増やし、脳の機能を高めるために、肥満を抑制し、標準体重を維持することが大切です。

 1日の食事で必要なカロリーを確かめて、それを超えて食べ過ぎないようにし、ウォーキングなどの運動を続ければ、体重を減らすことができます。食べ過ぎを防ぐには、体重を朝晩測ることが効果的です。体重が大きく変化する場合は、食生活に何か問題点がないか、点検をして改善しましょう。


(7)たばこを吸わない

 たばこに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があります。たばこを吸う人は、禁煙すれば脳血流を増やせます。脳の働きを正常に保つためには、十分な脳血流量が保たれていることが必要で、禁煙がその役に立ちます。

 喫煙は心臓病や脳卒中だけでなく、がんや慢性肺疾患、呼吸器疾患などの発症率を高めます。たばこをやめるだけでこれらの病気のリスクを減らせます。たばこを吸う人はいますぐ禁煙しましょう。そうすれば、数年で心臓病や脳卒中の発症リスクを、非喫煙者と同程度に下げることができます。


脳の血流量を増やせば認知機能の低下を抑えられる

 脳を健康に保てれば、五感を通じて情報や刺激を受け取り、社会的な交流を通じて、認知力や注意力を高めることができます。脳の能力を高めることは、学習や記憶、コミュニケーション、問題解決や判断をするために不可欠です。

 米国心臓学会(AHA)は、脳を健康に保つために、できるだけ若いうちから健康な習慣を身に着けることを勧めています。心臓病や脳卒中の原因となる動脈硬化は、30歳を過ぎた時点ですでに始まっているといいます。

 認知症を発症してしまうと、治療や介護に高額な費用が必要となり、がんや他の血管性疾患よりも高額になります。世界では認知症の治療や介護のために、220兆円(2兆ドル)以上の予算が費やされています。

(保健指導リソースガイドより)