Microsoft Band 発表

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 これがMicrosoftのウェアラブル端末です。いろいろ噂が飛び交っていましたが、公式に発表されました。その名もMicrosoft Band。10ものセンサーで運動や健康をトラッキングするフィットネス端末です。大きな魅力は200ドルというその価格と、1度の充電で2日はバッテリーが保ちます。

 心拍数モニタリング機能の他にも、日焼け具合をトラッキングするUVセンサや、ストレスを計るガルバニック皮膚反応センサ、そしてGPSも内蔵されています。熱可塑性エラストマでできているという18.5ミリメートルのバンドは、つけ心地もストレッチがきいてソフトだといいます。1.4インチのスクリーンの画質は320x106、バッテリーは100mAhのリチウムイオン電池を2つ使います。

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 Bandは、世界の健康関連データ調査を行うことを目標とした、新たなプロジェクトMicrosoft Healthの一環で、データを集める手段でもあります。また、HealthアプリはBandだけでなく、例えばJawboneのような他端末でも使えるように提供予定です。Microsoftは今後の目標として、ユーザがデータを活用できるようにしていくことをあげています。例えば、朝ご飯を食べた日の方が速く走れるのかどうか、データを集め分析することで、ユーザーのこのような問いにも役立てることができたらいいというわけです。

 自社ウェアラブル端末を出したMicrosoftですが、自社連携ばかりにこだわっているわけではありません。その証拠に、Bandと共に使うスマートフォンはWindows Phone以外もOK。iOS、Android共に対応します。ただ、Windows Phoneオンリーの機能が1つあって、音声コマンドが他社スマートフォンでは使えません。

 ヘルス端末の色が前面にあるBandですが、スマートウォッチと同じく、メールやテキスト、カレンダーやリマインダ機能、Twitter/Facebook通知、天気に株価情報などなど、諸処の通知機能があります。アプリもいくつもあり、スクリーンに表示されているタイルをスクロールすることで操作できます。アプリの中には、例えばスターバックスアプリがあり、アプリからスキャン可能のバーコードを表示することで、現金フリーでコーヒーを購入することができます。また、ゴールドジム、MyFitnessPal、RunKeeper、MapMyFitness、そしてJawboneとも提携しています。



 今さらという感じはしなくもないですが、けっこう良さげです。スマートウォッチではなく、運動に特化したい、という人はきっと少なくないと思います。Microsoftのヘルスケア特化端末、今後の展開を期待します。

(Gizmodoより転載)
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われらが神は堅き砦(BWV80)

 今日は宗教改革記念日です。マルティン・ルターが宗教改革を始めたことを記念する日で、日本をはじめ多くの国のプロテスタント教会では、10月31日の直前の日曜日に宗教改革記念日礼拝が行なわれます。なお、ハロウィンとは同じ日ですが、両者の間に関連性はありません。

 この曲はBACHが1724年10月31日の宗教改革記念日のために作曲したと推察される教会カンタータで、全8曲からなり、マルティン・ルターのコラール、「神はわがやぐら」全4節がそのまま使われ、人気のある作品です。


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 1517年に宗教改革の狼煙を上げたルターは、当時のローマ教会の免罪符の発行などに対して、人間はただキリストのみを仲介としてのみ神に近づき、天国への扉が開かれると考え、信者各人が自ら神に祈り、神を賛美することを提唱しました。そのためこれまで教会で使われていたラテン語ではなく、信者たちの日常の言葉であるドイツ語で歌える賛美歌を作ることに力を入れました。日本語では「衆賛歌」とも訳されている「コラール」はこのようにして生まれました。


 ピーテル・ヤン・ベルダー指揮オランダの古楽アンサンブル「ムジカ・アンフィオン」のライブコンサートの録画でお聴きください。ソプラノは先日取り上げたドロテー・ミールズが歌っています。なお、この曲の演奏には、息子のフリーデマンが第1曲と第5曲にトランペット とティンパニを加えた、旧バッハ全集 フリーデマン版がよく演奏されていますが、これはバッハの 意図ではないということで、ベルダーは用いていません。



第1曲.合唱

 アルフレッド・デュルによって「バッハのコラール合唱曲中の頂点」と評された大作で、対位法の極致ともいうべき技巧が、力と輝きに満ちて展開されます。

第2曲.二重唱 (コラール付きアリア、ソプラノ&バス)

 ヴァイオリンとヴィオラによる16分音符のパッセージの上を、ソプラノがオーボエのオブリガードと一体となって、ルターのコラールの2節目を歌います。

第3曲.レチタティーヴォ (バス)

 イエスの名において魂をサタンとの戦いに鼓舞するという内容です。

第4曲.アリア (ソプラノ)

 通奏低音を伴ったソプラノのアリアで静謐で穏やかな曲想ですが、内面的にはイエスと魂の合一を希求するという、当時の神秘思想の傾向を色濃く反映しています。
第5曲.コラール

 ルターのコラール第3連を高らかに歌いあげます。それはあたかも、サタンとの激しい闘いの中にあって、敢然と敵を迎えうつキリスト者の団結を象徴しています。
第6曲.レチタティーヴォ (テノール)

 キリストに対する堅い信頼が語られ、末尾に至ってコロラトゥーラを伴ったアリオーゾへと移行し、次の二重唱へと導きます。
第7曲.二重唱 (アルト&テノール)

 オーボエ・ダ・カッチャとヴァイオリン、そしてアルトとテノールが重層的にカノンを展開しつつ、戦いが終わった平安を歌い上げます。
第8曲.コラール

 力強い4声体のコラール。天の御国を確信しつつ苦難に雄々しく立ち向かう決意を述べて、カンタータは閉じられます。


歌詞は《続きを読む》に記載してあります。

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がん細胞を狙い撃ちする化合物を発見 !

(共同通信、日経Web、YOMIURI ONLINE、マイナビニュースより)

 がん細胞を狙い撃ちする分子標的薬の新しい有力候補となる化合物が、特定のタンパク質の働きを邪魔して肺がん細胞を消滅させる効果があるのをマウス実験で確かめたと、米シカゴ大の中村祐輔教授らのチームが、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表しました。

 このタンパク質は乳がんなどさまざまながん細胞の増殖を促していることが知られています。中村教授は「マウス実験でもこれほど効果があるのは珍しい」としており、来年秋にも人に投与した際の安全性を確かめるための臨床試験をシカゴ大で開始する予定です。この治療薬は、川崎市のバイオベンチャー「オンコセラピー・サイエンス」が開発した「OTS964」で、同社は中村教授の研究を受けた分子標的治療薬を開発しています。

 研究チームは、がん細胞の増殖で重要な役割をする「TOPK」というたんぱく質に注目。30万種類の化合物の中から、TOPKの働きを妨げる化合物を探し出しました。

 この化合物を、肺がんのマウス6匹に週2回ずつ3週間、注射すると、5匹のがん細胞は、最初の注射から25~29日後に完全に死滅しました。TOPKの働きが妨げられ、がんの細胞分裂が止まったとみられます。化合物をそのまま投与すると白血球が減るなどの副作用があったが、化合物を脂質の膜で包む改良を加えると、副作用は小さくなったといいます。

 「OTS964」より以前に開発された「OTS514」という薬においても、がんに対する効果が報告されていたましたが、赤血球や白血球の生成に悪影響を与えるなど、副作用が課題となっていました。同研究グループは薬をリポソーム製剤とすることで副作用を小さくすることにも成功しました。
新規抗がん剤開発に関する論文公表のお知らせ (オンコセラピー・サイエンス)


(以下2013/2/26 中日新聞より抜粋)

 患者の免疫力を高め、がん細胞の増殖を抑える「ワクチン療法」が世界的に注目されています。このうちの1つ、ペプチドワクチン開発の中心人物で、元内閣官房医療イノベーション推進室長の中村祐輔シカゴ大医学部教授に、ワクチン療法や日本のがん医療について聞きました。

研究はどの程度進んでいるのか

 「2006年から国内約60カ所の病院に声を掛け、臨床研究を進めてきた。対象とした患者は約1,700人で、うち約1,000人が進行がん。中には5年以上も進行を抑えられている人がいるし、まれに肺がんや、膵臓(すいぞう)から肝臓に転移した腫瘍が消えた人もいる。治験の最終段階まで進んでいるものもあり、近く実用化されると信じている」

実用化に向けて問題は?

 「ワクチン療法の特徴は、腫瘍が小さくならなくても、がんの増殖が抑えられ、長生きできること。米国の食品医薬品局(FDA)はこの観点で治療効果を評価するルールを作ったが、日本にはない」

 (右)膵臓から肝臓に転移し、増殖した30代女性のがん。ワクチン治療前は病巣が3センチを

  超えている。(左)ワクチン投与を終えてから13カ月後、がんが消滅した


日本では、何で評価しているのか

 「例えば、抗がん剤は腫瘍が小さくなることで『効果がある』と評価される。だが、放射線でも抗がん剤でも、免疫力が加わって効果が出るというのは、世界的な常識になりつつある。日本では権威ある所が最初にワクチン療法を『だめ』と信じたら、何を言おうが耳を貸さず、目を向けない。大きな問題」

ペプチドワクチンの副作用は

 「約1,700例のうち、全身的副作用の可能性が否定できないものは2、3例。患者は週1回、皮下注射に通うだけなので、負担は小さい。抗がん剤で一時的に腫瘍は小さくなっても、副作用で患者が弱り、生存期間が延びていないケースはたくさんある。患者のために医療はどうあるべきかを、もっと考えなければいけない」

日本では、納得できる治療を求めてさまよう「がん難民」と呼ばれる患者がいる

 「国立がん研究センターを筆頭に旧帝大系の病院は、標準治療である外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤)に終始している。開発中のペプチドワクチンのような、患者の希望をつなぐ新しい治療法に、患者がアクセスできるようになっていない。がん難民の切実な思いが、医師に届いていない。その結果、ネット上には、科学的根拠がない、怪しげで高価な民間療法の情報がはびこり、患者や家族を誘い込んでいる」

米国ではどうか

 「国立がん研究所(NCI)のホームページに郵便番号を打ち込むと、近くの病院で行っている治験の全リストが出てくる。患者は『一定の根拠に基づいているが、まだ確立していない治療法』について、自分でリスクを判断して受け入れる。オバマ大統領は新しい治療法にアクセスできる人を現在の5%から10%に増やすと言っている。それが医薬品の進歩にもつながっている」

日本ではどうか

 「臨床研究や治験に関する情報が一元的に管理されておらず、患者に必要な情報が届かない。そういう意味では、明らかに医療の発展途上国だ」

2011年1月、内閣官房に設置された医療イノベーション推進室の室長に就任した 「医薬品の輸入が急増して、当時でも貿易赤字は1兆円を超え、去年は1兆6千億円以上になった。とんでもない額だ。薬品の開発現場で海外との差を実感していたので、国の仕組みを変えるつもりで引き受けた」

ところが、1年で辞任した

 「基礎研究から創薬までにかかわる文部科学省や厚生労働省、経済産業省などの役人は、自分の部署に予算を取ることしか考えていない。予防医療や高齢化に伴う医療費の増加などの課題にも、急いで対応しなければならないが、役所にも政治家にも危機意識がない。自分の仕事を見いだせなかった」

なぜ日本の医薬品開発が遅れたのか

 「2000年ごろから薬を作る手法が変わった。抗がん剤の分子標的薬のように、ゲノム(全遺伝情報)解析でがんやウイルスといった標的を見つけ、狙い撃ちする薬を作るようになった。ところが、日本ではゲノムが医療にとって大事だという認識が薄く、この発想の転換に乗り遅れた。その結果、分子標的薬市場は、欧米の製薬会社に席巻されている」

ゲノムは医療にどう生かされるのか

 「『肺がんだからこの薬』というマニュアル化された医療の時代は終わった。患者ごとにゲノムを解析して、遺伝子の特徴によって、より効果が高く、副作用が少ない薬を選べるようにする。1人のゲノムを調べるコストが今年中にも10万円を切る。これに向けて、米国の医療機関ではコンピューターのメモリーを増やす準備をしている」

日本でもゲノム医療が進むのか

 「日本ではいまだにゲノム医療が過小評価されて、研究支援体制が格段に貧弱だ。厚労省や医療イノベーション推進室でゲノムの話をしても、ABCを知らない人に英語を話しているみたいに通じない。悲惨な状況を通り越して、絶望的。患者たちが立ち上がらない限り、国に期待しても動きません」

演奏の比較『フルートとチェンバロのためのソナタ第1番ロ短調』BWV1030

 BACHのフルート(フラウト・トラヴェルソ)の作品には偽作と思われるものが数曲ありますが、真作としてよく演奏されるのが、この第1番ロ短調です。

 この曲は他のソナタと異なり、急ー暖ー急の3楽章にによる構成でコンチェルト様式のソナタです。1730年台中期ライプツィヒ時代に完成されました。



第1楽章 アンダンテ 4/4拍子

 BACHは現代のように「ゆっくり」という意味でアンダンテと指定したのではなく、あとから細かな音符が出てきて、演奏しにくくなるので、注意書きとしてアンダンテと指定したと思われます。控えめなテンポの急速楽章として演奏されます。

第2楽章 ラルゴ・エ・ドルチェ 6/8拍子

 シチリアーノのリズむを持つ緩徐楽章で、反復2部形式でできています。

第3楽章 プレスト 2/2拍子→12/16拍子

 2拍子の3声フーガと12拍子のジグ舞曲による反復2部形式です。

 最初に1960年生まれのアメリカのフルート奏者ジェド・ウエンツとドイツのチェンバロ奏者ミカエル・ボルグステーデによる演奏録画でお聴きください。テクニックは素晴らしいのですが、少し落ち着きのない演奏です。 



 続いて先月18日に亡くなったフランス・ブリュッヘンの演奏ですが、ブリュッヘンはインタビューでフラウト・トラヴェルソはあまり好きではないと言っていました。やはりリコーダー奏者なのでしょう。チェンバロはグスタフ・レオンハルトです。



 ケリー ・ラウダブッシュ(フルート)、ジェニファー·ストリーター(チェンバロ)は今年の9月に公開された演奏会の録画です。アメリカの古楽器の演奏家ということしか分かりません。少し遅めで平坦な演奏です。



 ヤナ・セメラドーバはスロバキアの女流フルート奏者です。チェンバロはフランスのベルトラン・キュイェールです。演奏家の詳しいことは分かりませんが、なかなかよい古楽演奏だと思います。



 有田正広は日本を代表するフラウト・トラヴェルソ奏者で、コレギウム・アウレウム合奏団のメンバーとして国際的にも活躍しています。この演奏では奥さんの有田千代子がチェンバロを弾いています。但し第1楽章だけしか聴けません。



 最後にヤン・デ・ウィンネ(フルート)とロレンツォ・ギエルミ(フォルテピアノ)の演奏です。ヤン・デ・ウィンネはバロック・オーボエのマルセル・ポンセールとアンサンブル・イル・ガルデリーノを創設した、現代のフラウト・トラヴェルソの第1人者です。

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 鍵盤楽器はチェンバロではなく、1749年ゴットフリート・ジルバーマン製作のフォルテピアノを、ミラノの名工アンドレア・レステッリが復元したものを使用しています。演奏も素晴らしく、BACH時代のフォルテピアノの音色も楽しめます。

パソコンで音楽を高音質で聴くUSB-DAC

 最近、パソコンで音楽を高音質に楽しむ方法として「PCオーディオ」が注目されています。これはパソコンにUSB-DACという機器を加えることで、ミニコンポはもちろん、場合によっては本格オーディオ機器をも超えるような優れた音質で音楽を再生できる製品です。

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オーディオテクニカAT-HA40USB USBヘッドホンアンプ(約1万円)


標準の音楽再生機能を置き換え、高音質化
 パソコンは本体に音声機能を備えており、内部のスピーカー又はアンプ内蔵スピーカーやイヤフォンを接続して音樂を聴くことができます。パソコンの再生機能は、WAVやMP3、AAC、FLACなどデジタルデータとして記録された音楽ファイルを、DAC(Digital to Analog Converter)という回路でアナログデータに変換します。デジタルデータをアナログ機器のスピーカーやヘッドホンを鳴らすには、この変換が必要です。
 USB-DACとは、このデジタル・アナログ変換をパソコンの外部で行うためにUSBで接続する周辺機器です。アナログ変換して出力した音声信号は、コンポやオーディオアンプなどのオーディオ機器とつないでスピーカーを鳴らします。

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 デジタル・アナログ変換自体はパソコンの標準機能として内蔵されていますが、アナログデータはノイズに影響されやすく、パソコンの内部はノイズの発生源が多くあります。USB-DACは変換を行うためのDACをパソコン外部で行うので、ノイズの影響を受けにくくなります。また、部品としてのDACそのものも高性能・高品位なものを使い、USB-DACを安定して動作させるため、電源回路やアナログ変換後の音声信号が出力される端子なども、本格オーディオ機器と同様のものが使われています。

新方式DSD対応製品も

 デジタルオーディオの世界では、音質を示す指標として量子化ビット数とサンプリング周波数がありますが、最高24bit/192kHzまで対応しているものもあります。CDでは16bit/44.1kHzと決まっているのでそれ以上に高音質であり、最近注目されているハイレゾ音源にも対応できます。内部のDACでアナログ変換された音声信号は、ラインアウト端子から出力されますが、端子形状は本格オーディオ機器と同じRCAピン端子となっているので、従来のオーディオケーブルを使って外部のアンプにつなぐことが可能です。据え置き型はポータブル型に比べると、持ち運びのために小型化する必要がなく妥協のない設計が可能であり、一般的には音質的にも有利といえます。

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ラトックシステムRAL-24192HA1 DAC内蔵ヘッドホンアンプ(約2万8,000円)


 WAVやMP3、AAC、FLACなどファイルの種類を問わず、従来のデジタルオーディオの世界ではPCMという方式が一般的でしたが、PCM方式に加えて、新方式のDSDに対応したUSB-DACも登場しています。DSDとは、PCMとは全く違う仕組みで音声をデジタル化する技術です。仕組みそのものが異なるので単純に比較はできませんが、ハイレゾ相当のPCMと比べてもはるかに細かな頻度で音をデジタル化し、ナチュラルで高音質なサウンドを表現できます。従来のシステムではそのまま再生できませんが、対応製品なら変換などを行わず、DSDネイティブ再生ができます。最近は音楽配信でもDSDを活用するサービスが増えているので、DSD対応製品にも注目です。
付加機能が豊富な製品

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SONY PHA-2 ポータブルヘッドホンアンプ(約4万1,500円)


 USB-DACにはヘッドホン出力端子を備え、ヘッドホンを駆動するためのヘッドホンアンプ回路を内蔵したものが多く発売されています。本体をコンパクトにしただけでなく、バッテリーを内蔵して屋外でスマートフォンやウォークマンなどと組み合わせ、携帯型ヘッドホンアンプとして使えるようになっているのがポータブル型です。
 パソコンとUSBでつないだときは最高24bit/192kHz対応のUSB-DACとして使えDSDにも対応。iPhone、ハイレゾ対応ウォークマンからはデジタル入力で、一般的な機器からはアナログ入力でポータブルヘッドホンアンプとして使えます。

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TIAC AI-301DA DAC搭載ステレオプリメインアンプ(約3万5,000円)


 プリメーンアンプにUSB-DAC機能を一体化したタイプもあります。手持ちのスピーカーを繋ぐだけで使えるので、システムをシンプルに構成でき、入力端子もデジタル・アナログとも豊富なため、パソコン以外のオーディオ機器も接続できます。

最高24bit/192kHzまで対応し、DSD再生もサポートしています。Bluetoothにも対応するなど、付加機能が豊富です。
安価なアンプ内蔵USB-DACも登場

 以上紹介してきたUSB-DACは、オーディオテクニカのベーシックな製品以外は結構高価です。ところが最近安価で手軽なアンプ内蔵の製品が登場しています。


FOSTEX PC200USB アンプ内蔵 USB-DAC(約9,000円)


 FOSTEXのこの製品はアンプ部の定格出力は5W×2(8Ω)で小さいのですが、基本的にはUSB-DAC搭載ステレオアンプですから、PCの両側に小型スピーカー置いてYoutubeなどの音楽を聞くのでしたら十分使えます。PCにミニジャックを差し込んで使うアンプ内臓のアクティブスピーカーより、高音質で音楽が楽しめます。但し量子化ビット数は16bitなので、ハイレゾ音源には対応していません。


参考 PC200USB レビュー・評価

ピロリ菌の検査と除菌

 ピロリ菌陽性者(感染者)は一般的に発展途上国に多く見られ、欧米先進国では少ないとされています。その中で日本は、先進国の中でも著しく感染者が多く、50歳以上では7割が感染しているという統計が出されています。

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ピロリ菌の検査方法 

 ピロリ菌の感染診断には、大きく分けて内視鏡を使わない方法と使う方法の2通りがあります。

<内視鏡を使わない方法>

内視鏡を使わないで済むため、手軽に受けることができます。

●尿素呼気試験:試薬を使って、服用前後の呼気を検査用の袋に吹き込み、その採取した呼気で診断します。簡単で精度の高い検査法です。

●血清・尿中抗体検査:ピロリ菌に感染すると、人は抗体を作ります。その抗体が血液中や尿中にあるかどうかを調べる方法です。

<内視鏡を使う方法>

胃炎や潰瘍などの病気があるかどうかを調べると同時に、胃粘膜を採取し調べる方法です。

●迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌が持っているウレアーゼという酵素の活性を利用して調べる方法です。採取した粘膜を専用の反応液に付けて、色の変化でピロリ菌の有無を調べます。

●鏡検法:粘膜に特殊な染色をして顕微鏡で探す診断法です。

●培養法:胃の粘膜を磨りつぶし、ピロリ菌の発育環境で培養して判定します。

 今までは内視鏡による迅速ウレアーゼ試験が、確実な検査方法として実施されてきました。しかし何の自覚症状もないのに内視鏡を胃の中に差し込むのは、苦痛を伴うので、私もまだ検査を受けていません。最近は口からではなく、鼻孔から差し込む細いスコープが開発されたので、かなり楽になったそうです。

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 気になる検査費用ですが、感染診断には、保険は適用されません。検査費用は全額自己負担になります。検査方法は医療機関によって異なりますが、目安は下記の通りです。

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 なお2013年2月22日から、慢性胃炎に対しても保険が適用されることになりました。その結果、健康保険なら、1割から3割負担で検査除菌できます。普段から胃の調子が悪い方は専門医に相談しましょう。厚生省は胃カメラで慢性胃炎を認めた方だけ保険適用を認めています。
除菌方法

 検査結果が陽性の場合は除菌が必要です。言葉で説明するより、某医療機関のフローチャートをご覧ください。


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われよろこびて十字架を担わん(BWV56)

 今日の日曜カンタータは三位一体主日後第19主日、1726.10.27に初演されたバスの独唱カンタータです。独唱カンタータの中で最も名高い作品です。

 「安らかな士への憧れと確信」が主題となっており、当日の福音書の章句「イエスは船に乗って潮を渡り、自分の町に帰ってこられた」が出発点になっています。


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 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラの演奏動画でお聴きください。独唱はドイツの歌手クラウス・メルテンスですがバスからバリトンまでこなす名歌手です。この演奏にはマルセル・ポンセールがオーボエを担当しています。



1.アリア

 弦楽合奏とオーボエに伴奏されるこの曲の主旋律は、十字架に対して鋭い増2度の音を当て、これに「ため息」音形の連続「すすり泣き」が続きます。

2.レシタティーヴォ

 アリオーソ風の、音による絵画ともいわれる美しいレシタティーヴォです。チェロの分散和音は舟の板底の下に渦巻く波を表しています。

3.アリア

 オーボエのソロと通奏低音を伴い喜びにあふれて跳ね回ります。

4.レシタティーヴォ

 弦の長い音符の伴奏で死を迎える準備が整ったことを荘重に語ります。後半では第1曲のアリアの最後の部分が同一の歌詞によって再現されます。

5.コラール (合唱)

 初めて合唱になり、舟旅と港のたとえを用いて安らかな死の到来に歌いかけます。


 フリップ・ヘレヴェッヘの演奏は、自ら1977年にパリで設立したラ・シャペル・ロワイヤル(合唱&管弦楽団)です。独唱はオランダの歌手ペーター・コーイが歌っています。素晴らしい演奏ですが、第1曲の合奏はコープマンの方が音が柔らかく「すすり泣き」をうまく表現していると思います。



 歌詞は《続きを読む 》に記載してあります。

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日本人と血液型:それで人格が決まる?

 あなたはA型、B型、O型、それともAB型ですか?日本では、血液型が性格を左右すると広く信じられていますが、この俗説の裏には何があるのでしょうか。

 血液は全人類に共通するものの一つですが、欧米ではほとんどの人が輸血が必要にでもならない限り、自分の血液型のことなど考えていません。しかし日本では、生活や、仕事や、恋愛に血液型が大きな意味を持っています。


 日本では、血液型によって気質や性格が決まると一般に信じられています。多くの場合、縁談から就職試験に至るまで、重要な質問となることが多くあります。

 日本の俗説によると、A型の人は感受性の鋭い完璧主義者で優れたチームプレーヤーですが、心配性です。O型の人は好奇心旺盛で寛大ですが、頑固者です。AB型の人は芸術化肌ですが、謎めいていて気まぐれ、そしてB型の人は陽気ですが変わり者、個人主義でわがままだと思われています。

 日本人のおよそ40%はA型で、30%がO型ですが、B型はわずか20%、そして残りの10%がAB型です。

 血液型による性格の違いについて書かれた本が、出版業界にセンセーションを起こし、500万部以上を売り上げました。

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 朝のテレビ番組、新聞や雑誌は、血液型占いを扱うことも多く、恋愛での相性についても語っています。多くの結婚紹介所は血液型に対応し、人気アニメ、漫画、ビデオゲームでも、キャラクターの血液型がよく話に出てきます。

 様々な業界からカスタマイズ製品も生まれていて、血液型に合わせた清涼飲料、チューインガム、入浴剤、さらにはコンドームでまで販売されています。

 しかし、血液型は血液中のタンパク質によって決まるに過ぎません。科学者たちは常にこうした迷信を正そうとしていますが、日本での人気は衰えません。よく挙げられる理由の一つは、比較的一様で同質の社会では血液型が人々を認識しやすいグループに分ける簡単な枠組みとなるからです。

 「同じであることが日本人社会では良いことと考えられています」と翻訳者の小林千恵さんは述べています。「しかし、人を区別する少しの違いを見つけることを楽しむ反面、少数派のB型やAB型に対する悪口につながることもあります」

 ABO式血液型をオーストリア人の科学者カール・ラントシュタイナーが発見したのは1901年でした。その研究によってノーベル賞を受賞し、異なる血液型の特定が可能となり、安全に輸血を行うための道が開かれました。

 優生学の理論家たちが彼の研究を盗み、ナチスが彼の成果を利用して人種的優越性という考えを推し進めました。

 1930年代の日本の軍事政権も優秀な兵士を養成するためにこれを採用し、第二次世界大戦中、帝国陸軍は血液型に従って戦闘群を形成したと報告されています。

 1970年代、日本で医学的知識のない能見正比古による、血液型と性格の違いに関する本が出版され、ベストセラーになりました。

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 最近では、その息子が一連の大衆本によってさらにこれを促進しています。彼は血液型人間学研究センターの運営にも関わっています。彼の目的は、才能を最大限に活用することで、人間関係を改善することではないと言っています。

 これらの信念は、異常な方法で利用されてきました。

 北京オリンピックで日本に金メダルを獲得した女子ソフトボールチームは、血液型理論を使って選手一人一人のトレーニングをカスタマイズしたと報告されています。 一般の幼稚園でも、血液型ごとの方針に従った指導法を採用され、さらに大手企業も、社員の血液型に基づいて部署を決定しています。

 こうした考えは、政治にまで影響しています。管元首相は、自分の血液型はA型で野党党首はB型だということを公式プロフィールで公表するほどの重要事項と考えました。2011年には、大臣だった松本龍氏が地方の知事に対して憤慨した様子をテレビで放送され、就任からわずか1週間後に辞職を余儀なくされました。その辞任挨拶で彼は、血液型がB型であることが自らの失態の原因だと述べました。

 それは、時には偏見や差別として現れ、これが一般化していることから、これを表す言葉を生み出しました。「ブラハラ」、つまりブラッドタイプ(血液型)ハラスメントです。B型とAB型に対する差別が、子どものいじめ、幸せな関係の崩壊、雇用機会の喪失などにつながると報告されています。繰り返し警告されているにもかかわらず、多くの雇用者は就職面接で血液型を尋ねるのをやめようとしません。

(以下Yomiuri Onlineより抜粋)

 今年の6月、九州大学の縄田健悟講師(社会心理学)が、血液型と性格の関連性に科学的根拠はないとする、統計学的な解析結果を発表しました。日米の1万人以上を対象にした意識調査のデータを分析し、日本心理学会の機関誌「心理学研究」に掲載されました。縄田講師は、経済学分野の研究チームが、2004~05年に日米の1万人以上を対象に、生活上の様々な好き嫌いなどを尋ねた意識調査に、回答者の血液型が記載されていることに注目し、血液型によって回答に違いがあるかどうかを解析しました。その結果、「楽しみは後に取っておきたい」「ギャンブルはすべきではない」など、計68項目の質問に対する回答のうち、血液型によって差があったのは「子供の将来が気にかかる」などの3項目だけで、その差もごくわずかでした。このため「無関連であることを強く示した」と結論づけました。

 血液型を巡っては、特定の血液型の人格が否定的にとらえられる例があり、問題視されています。厚生労働省によると、採用面接などで血液型を尋ねられるケースは後を絶たず、同省は「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」として、血液型を質問しないよう企業に求めています。大阪労働局によると、採用試験の応募用紙に血液型などの記入欄を設けていた企業に対し、是正するよう行政指導した例があるといいます。(以上)
 日本では、その誤りが科学的にどれだけ証明されても、血液型が全てを語るという根強い俗説を簡単に消し去ることはできません。能見正比古がナチスが利用した血液型の俗説を広め、その息子は「血液型人間学研究センター」を運営し、金儲けに利用しているという事実を知るべきです。これは占いとは比較にならない社会的罪悪です。

原文:BBC World News Magazine

リッター32.4kmを達成した新型ワゴンRの「S-エネチャージ」とは

 スズキ自動車が、燃費を従来比8%高めて32.4キロメートルに改善し、ワゴンRに採用しました。従来のエネチャージは、減速時の回生エネルギーを専用のリチウムイオン電池に蓄えて、電装品などの電力に使うシステムです。

 スズキはこれまでのエネチャージを進化させ、回生エネルギーを駆動力にも使う「S-エネャージ」を開発しました。それはモーターで駆動を補助する技術です。

減速時に貯めた電気を発進、加速時に使う

 ハイブリッドとエネチャージの違いは、モーターを使って駆動力として伝えるかどうかです。従来のエネチャージはそのシステムの中にモーターを持っていないので、ハイブリッドではありません。しかし、S-エネチャージはモーターを一体化したジェネレーター、ISG*を採用しました。これによって、最大6秒間のパワーアシストが可能になりました。

 同じようなシステムを採用している日産セレナは、S-ハイブリッドと呼んでいます。モーターとしての出力は1.8kWで、パワーアシスト時間は最大で約4秒。セレナは発進時にだけアシストするのに対して、S-エネチャージは中間加速でもアシストするので、少し考え方が違いますが、基本的な構造は同じです。

 技術陣が目を付けた発電機とモーターの機能を併せ持つ「ISG*と呼ばれる装置は、減速時にはタイヤの回転力を使って、ISGが発電機の役割を果たして電気を鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーにためます。加速する際には逆にリチウムイオンバッテリーから電気が流れてISGがモーターの役目を担い、エンジンのクランクシャフトの回転を助けます。エンジンの負担が減る分、ガソリンの消費量が抑えられ、燃費が改善するという訳です。従来の鉛バッテリーは、アイドリングストップで停止したエンジンの再始動時などに用います。ISGを駆動力の補助に用いるのは、軽自動車では初めてです。

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 しかしS-エネチャージの開発は一筋縄ではいかなかったそうです。最初の課題が
ISGのコストです。ISGは性能が高まる分、当然コスト高になります。しかもS-エネチャージを搭載するのはワゴンRのような軽自動車ですから、モデルチェンジ前と比べ価格差はせいぜい数万円以内に収めなければなりません。ISGを三菱電機からの調達し、モデルチェンジ前と比べた値上げ幅は4万円前後に抑えています。

 車の開発は高い燃費性能と乗り心地の両立にあります。燃費向上を最優先し開発を進めたところ、比較的早い段階でリッター32.4キロメートルの水準は実現できましたが、一方でアクセルを踏み込んでも「走り感」が弱かったそうです。モーターによるエンジンへのアシストを入れる最適なタイミングやアシストを入れた際でも走行にショックを起こさないようにするなど、乗り心地を高めるため、試行錯誤を繰り返したそうです。

エンジン、最大6秒間アシスト

 その結果、耐久性も重視した結果、時速15キロ~85キロメートルで走行しながら加速する際に、モーターでエンジンを1回当たりアシストは最大6秒間が決まったそうです。6秒間アシストできれば、街中で乗るには十分で、S-エネチャージの搭載とエンジンの性能改善により、従来比で8%の燃費性能向上を実現しました。

 このISGのコンパクト化も課題でした。従来のオルタネーターに比べ、ISGは一回りサイズが大きい上、新たにインバーターまで付いています。軽自動車にはISGを収納するエンジンスペースにも限りがあり、エンジンスペースを広げて車内空間を狭めるわけにもいきません。最初はISGをエンジンスペース内の所定の位置に収納できませんでしたが、三菱電機と協力しながらISGの設計を一から見直し、数ミリ単位で部品の寸法や向きなどを変更・調整するなどして改善しました。さらにアイドリングストップ後にエンジンを再始動する際には「キュルル」というギアがかみ込む音がなくなり、静かにエンジンの再始動ができるようにもなりました。


 S-エネチャージは通常のハイブリッド車とは異なりモーターだけでは走行しません。しかしモーターで駆動を補助するため広い意味ではハイブリッドの一種でもあります。スズキはあえてハイブリッドという言葉は使わず「S-エネチャージ」を打ち出して独自技術であることをアピールしています。スズキは今後、S-エネチャージを他の軽自動車にも順次搭載していく考えです。

 ISGハイブリッドシステムは、将来普通乗用車でも使われることになるでしょう。

(Nikkei Web、clicccar.com、SUZUKI MOTOR HPより)


※ ISGハイブリッドシステム

ピロリ菌の感染経路と疾患との関わり

 先日ピロリ菌感染者の胃がんのリスクについて書きましたが、ピロリ菌の発見から感染経路や、疾患との関わりなどを調べてみました。

 2005年、オーストラリアのウォーレン博士とマーシャル博士がピロリ菌の発見および研究においてノーベル医学生理学賞を受賞しました。1984年マーシャル博士は、培養したらせん菌のかたまりを自ら飲み込むという人体実験を行い、その10日後に行われた検査で胃炎を発症し、そこにらせん菌(ピロリ菌)が存在することを明らかにしました。当時はまだ「胃の中に細菌は存在しない」と思われていたため、この菌の存在が広く受け入れられるまでには、さらに数年を費やしました。


ウォーレン博士とマーシャル博士


 次にピロリ菌の感染経路ですが、食べ物や飲み水から感染する経口感染がほとんどで、日本の場合は衛生環境が十分整っていなかった時代に生まれた人の感染率が高く、50歳以上の約80%はピロリ菌を保菌していると言われています。ピロリ菌は幼児期に感染するもので、成人になってから感染することはまずありません。成人の被験者が大量のピロリ菌を口から摂取しても急性胃炎を発症すのみで、ピロリ菌の感染が持続することもほとんどないといいます。多くがが5歳以下の幼児期に感染します。幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。最近では母から子へなどの家庭内感染が疑われていますので、ピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。

 現在は生活環境が改善され、生活習慣も衛生的に変化してきたため、ピロリ菌保菌者は減少傾向し、現在は国民の約半数程度の感染に減少しています。1b315fd1dadc3bb1519a735fdea380d8.jpg

胃がんとピロリ菌

 ピロリ菌に感染すると、胃粘膜に定着し、慢性的に胃に炎症を起こします。炎症が持続すると慢性胃炎(萎縮性胃炎)が進展し、胃粘膜の防御能が低下して、潰瘍や胃がんなどを起こしやすい胃の状態がつくられます。また、ピロリ菌と関連のあるその他の疾患もわかってきており、胃MALTリンパ腫、胃以外では特発性血小板減少性紫斑病、慢性蕁麻疹、鉄欠乏性貧血の発症にも関与しているといわれています。

 但し、ほとんどの人がピロリ菌に感染しても無症状で、慢性胃炎のまま経過し、胃・十二指腸潰瘍を発症するのは、2~3%前後、胃がんに至るのは約0.4%と推測されています。

 一方、胃・十二指腸潰瘍の患者側からみると、ピロリ菌に感染していることが多く、潰瘍の発症や再発を繰り返すことに、ピロリ菌が関与すると言われています。

 発がんメカニズムも少しづつ明らかになってきましたが、ピロリ菌が産生するタンパク質(CagAというタンパク質)を胃の粘膜細胞に注入し、がんを誘発するのではないかといわれています。

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 ピロリ菌が産生する毒素(VacAタンパク質)には胃粘膜の免疫を弱める働きがあるとの指摘もあり、間接的に胃がんの発症を促進するとも考えられています。

 ピロリ菌感染は胃がんの確実発がん因子であると世界保健機関(WHO)によって最高の危険性を示す「グループ1」に分類されました。強力な発がん性で知られるタバコやアスベストと同じ分類です。

 次回はピロリ菌の検査と治療、健康保険の適用範囲などについて調べてレポートします。