脳は睡眠中に仕事をする!

 1日の平均睡眠時間が8時間だとすると、人間は人生の3分の1を睡眠に費やすことになります。これは、90歳まで生きる人であれば、人生の30年分は眠っているという計算です。なぜ人はこんなにも眠りを必要とするのでしょうか。


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 The New Yorkerのの記事によると、18世紀には睡眠は罪深いことであるとされていたそうで、また、長らく眠りを研究する学者の間でも、明らかに無益なものだとみられていた時期があるそうです。アメリカの精神医学者で睡眠の研究をしていたアラン・ホブソン氏は「眠りの効果は、眠気を覚ましてくれることだけだ」というジョークを持ちネタにしていたほどです。しかし、研究が進むに連れて、謎はだんだんと明かされてきています。

 レム睡眠行動障害*では、人々は夢見た内容をそのまま実体験しているかのように体が動き出してしまいます。モントリオールにある研究センターによると、この行動障害が起きた人のうち半数以上で、12年以内に神経疾患が見られたとのこと。また、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病・心疾患との関係があり、認識機能障害に結びつくことが示されています。さらに、慢性不眠症の人の10%はうつ病、心疾患と高血圧の増加、認識力・運動不全などに悩まされているそうです。

 睡眠科学者によると、こうした神経疾患との関連は睡眠が認識機能に影響を与えていることを、心疾患との関連は睡眠が血管へのストレスを和らげる役割を果たしていることを、不眠症とうつとの関連は睡眠が情緒面へも影響を与えていることを、それぞれ示唆しているとのことです。


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 2000年に、ハーバード大学で睡眠を研究しているロバート・スティックゴールド氏は、3つのグループに対して1日7時間、合計3日間にわたってテトリスをプレイしてもらう実験を行いました。グループ1はテトリスをしたことがない人たち。グループ2はテトリスに慣れた人たち。そして、グループ3は側頭葉や海馬にダメージを受けた健忘症患者で、新たなエピソード記憶を形成することができません。しかし、実験期間中にどんな夢を見たかを確認したところ、グループ1、グループ2だけではなく、グループ3の人すらテトリスの夢を見ていたことがわかりました。彼らは「テトリスが何か」もわからない状態なので、「自分たちが何の夢を見ていたのか」もわかっていない状態でしたが、その話に出てきた物体の形状はテトリミノの形と一致しており、時には、テトリミノが隙間に入るために回転するところまで夢に出てきたと証言しました。このように、睡眠には記憶関連、特に夢に関する機能もあることが浮上しました。


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 さらに、テュービンゲン大学の神経生物学者ジャン・ボルン氏、ウルリッヒ・ヴァーグナー氏は、睡眠が「記憶の統一」だけではなく「記憶の選択」のメカニズムも備えていることを明らかにしました。ボルン氏らは実験で、一群の人々に複雑な数学の問題を出しました。実は、簡単な解法が示されているのですが、多くの人が気付かず、問題を解くことができませんでした。参加者は8時間後に再テストを受けましたが、グループのうち半数は眠りを挟んでの挑戦、半数は眠らずに挑戦しました。すると、不眠グループの正解率は25%を切ったのに対して、睡眠グループはその倍以上が正解。また、60%以上の人が簡単な解法に気付きました。

 このことから、睡眠は脳内情報の処理・学習・抽出などをしているとも考えられます。睡眠中、いろいろな機能をこなしていると考えると、1日に数時間の睡眠というのは妥当な数字なのかもしれません。

 痴呆の初期症状として睡眠障害があることが知られており、また、睡眠時間をコントロールする遺伝子のうちいくつかは統合失調症との結びつきが判明しています。かつての認識とは正反対に、睡眠は体に有益なものであり、むしろ睡眠不足こそ体に悪いものなので、くれぐれも睡眠は大事にしましょう。

(The New Yorker―Gigazineより)


レム睡眠行動障害

 健康な人ではレム睡眠中には骨格筋が弛緩して動きません。レム睡眠行動障害ではこの抑制機構が障害されるため、夢の中での行動がそのまま現実の行動となって現れてしまいます。

 大声で寝言を言ったり、腕を上げて何かを探すしぐさをしたり、殴る、蹴るなどの激しい動作がみられます。症状が強いケースでは、起き上がって歩き回る、窓から飛び出して怪我をする、ベッドパートナーに怪我をさせるなど危険を伴うこともあります。

 原因が明らかでない場合も多いのですが、約半数例には中枢神経の疾患がみられます。特に、パーキンソン病、レビー小体病、多系統萎縮症などで高頻度にみられ、これらの神経疾患の発症に先だってレム睡眠行動障害がみられることもあります。

(e-ヘルスネット より)
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心臓もウコンでアンチエイジング!

 ウコンがアルコールの分解を速めることは医学的に確認されており、悪酔いや二日酔いを防ぐ効果は広く知られるようになりました。その有効成分はクルクミンという黄色の色素成分で、カレーが黄色いのも、ウコンにクルクミンが入っているためです。その効果は肝機能改善だけではありません。驚くべき効果が次々と明らかになり、アンチエイジング医学界で注目を集めています。

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 まず、がんに対する効果で、すい臓がんが改善したなど、多くの報告があります。京都医療センターの研究によって、変形性膝関節症に対する効果も報告されました。患者に1日180mgの高吸収型クルクミン(セラクルミン)の投与を8週間続けた結果、痛みの強さを示すVASスコアが低下したといいます。

 脳に対する効果も研究が進んでいます。クルクミンは脳内のセロトニンを増やす抗うつ作用があり、また、アルツハイマー病は脳にアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質がたまることで起こりますが、クルクミンはこのアミロイドβがたまりにくくします。実際、毎日ウコンを使ったスパイス料理を食べるインドでは、アルツハイマー病の発症率が米国の4分の1しかありません。



 ウコンには鉄が多く含まれているので大量にとると害がありますが、クルクミン自体は安全性が高く、少々とりすぎても危険はないとされています。

 なぜクルクミンがこれほど幅広い分野で効果を発揮するのでしょうか。最大の理由は強い抗炎症作用です。がんやアルツハイマー病をはじめ、多くの病気が炎症から引き起こされますが、クルクミンはNF-kBという生理活性物質の働きを抑えることで体内の炎症反応を抑えます。

 最近は心臓に対する作用も研究され、クルクミンによって、心不全が改善される可能性が高いといいます。


心不全の進行を抑える効果は薬と同じ!?

 心臓病で亡くなる人は想像以上に多く、厚生労働省の平成26年「人口動態統計」によると、心臓病はがんに続いて日本人の死因第2位で、年間20万人近い人が亡くなっており、2014年に亡くなった人のうち、実に15.5%を占めます。


心臓病で亡くなる人は年間20万人近くいる


 そのベースにあるのが心不全です。心不全というと「心臓が止まること」(心停止)と誤解されることも多いのですが、そうではありません。また、そういう名前の病気があるわけでもありません。心不全とは心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液をうまく送り出せなくなった状態です。

 心不全には、心筋梗塞などで起こる急性心不全と、心臓弁膜症や心筋症などで起こる慢性心不全があります。慢性の場合はすぐに死ぬことはありませんが、むくみや息切れが起こるようになり、日常生活に支障をきたします。高齢者が心不全を起こすと、そのまま寝たきりになってしまうことも少なくありません。

 心不全の原因のひとつが、心筋(心臓の筋肉)が厚くなる心肥大です。心筋細胞の核の中にP300というたんぱく質があり、これが活性化することで心肥大が進みます。メカニズムははっきりと分かっていませんが、クルクミンにはこのP300の活性化を抑える働きがあるといいます。

 高血圧のラットと心筋梗塞のラットにクルクミンを飲ませ、心不全の進行を抑える効果を調べると、血圧を下げて心不全を予防する医薬品(エナラプリルマレイン酸塩)に匹敵したといいます。


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カレーは辛いほうがいい?

 心肥大の患者を対象にした臨床試験も行われました。患者を2グループに分け、一方に1日60mgのセラクルミン、もう一方にプラセボ(偽薬)を半年間投与した結果、セラクルミンのグループは心臓の固さを示す指標が明らかに改善しました。つまり心臓の筋肉が柔らかくなり、ポンプ機能が改善することで、心不全が改善する可能性があります。

 心臓を柔らかくして肥大を抑えるということは、“心臓のアンチエイジング”ともいえます。クルクミンの効果が、またひとつ発見されたわけです。

 食事からクルクミンを摂ろうと思ったら、カレーライスが最適です。クルクミンは吸収されにくいのが欠点ですが、カレーのようにスパイシーなものを食べると血流が良くなって、腸から吸収されやすくなり、なるべく辛いカレーを食べたほうがいいといいます。

 体内の炎症を抑え、がんや心不全といった命にかかわる病気を予防してくれる可能性を秘めたクルクミン。辛いカレーやサプリメントで、積極的にクルクミンを補給しましょう。

(日経Trendyより)

飛行機内での飲酒は百害あって一利なし!

 明日から待望のゴールデンウィークです。今年は2日休めば10連休になることもあり、海外などに長期旅行に出かける方も多いと思われます。海外旅行といえば飛行機での長旅にお酒は欠かせないという人も少なくないはずです。酒飲みでなくても、「お酒を飲んでさっさと寝る」という人もいるでしょう。しかし一般に、飛行機での飲酒は酔いが早いから気を付けようと言われますが、実はもっと怖いことがあります。


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飛行機で酒を飲むと、いつもより酔っぱらう

 飛行機内での飲酒と酔い方の関係を調べてみると、機内での飲酒は単に「酔いやすい」だけではない危険性を含んでいるようです。いわゆるロングフライト症候群(エコノミークラス症候群)との関係です。

 ロングフライト症候群は、長時間同じ姿勢で座り続けていることで、下肢の血流が悪くなることによって血栓ができ、その血栓が何らかの拍子に肺に届き、動脈を詰まらせてしまうというものです。そんな恐ろしいロングフライト症候群と機内での飲酒が関係あるとは!

 単に酔いやすいだけならまだしも、生死にかかわるとなると、これはもうただごとではありません。


低酸素状態が要因!

 飛行機は離陸した後、高度1万メートル付近を飛行しています。飛行中、飛行機は空気を外から取り入れ、与圧装置で気圧を調節します。飛行中の機内の気圧は0.8気圧前後で最大で0.74気圧まで下がります。気圧の低下に伴い、酸素の分圧も減少します。具体的には、機内の酸素分圧も地上の80%程度まで低下します。1回の呼吸で体内に入ってくる酸素の量が、機内では地上に比べ2割減るということです。そういう環境に身を置くと、呼吸や脈拍を上げて適応しようとしますが、それでも血液中の酸素濃度(酸素飽和濃度)も92~93%と低酸素状態になります。酸素飽和濃度は、90%を切ると低酸素危険レベルとなります。つまり、機内では危険レベルの一歩手前の状態にあるわけです。この低酸素がいつもより酔いが早いと思う要因の一つです。


アルコールの影響が出やすい

 では一体、低酸素状態に身を置くことで、体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか?脳は低酸素になるとパフォーマンスが落ち、判断力が鈍くなるなど、酔いにも似た症状が現れることがあります。そうした低酸素状態でお酒を飲むと、いつもよりアルコールの影響が強く出やすく、酔いが早いと感じます。

 単にアルコールが効きやすいだけなら大きな問題にならないように思われるかもしれませんが、心臓疾患や糖尿病をはじめとする、血管に関わる持病を抱えている方は症状が悪化する可能性があるので、より一層の注意が必要です。


「お酒を飲んでさっさと寝る」は危ない

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 フライト中の酸素飽和濃度の推移


 グラフをよく見ると、フライト半ばでいきなりガクーンと数値が下がり、低酸素危険レベルをしばらく下回っている部分があります。就寝時は、健常な状態の人でも呼吸が浅くなるため、覚醒時より低酸素状態になります。また、アルコールを摂取すると、低酸素に対する体の反応が鈍くなってしまいます。アルコールを飲んで寝てしまうと低酸素を助長することになり危険です。

 さらに、低地(海抜171m)と高地(3000m)におけるアルコール摂取前後の血液中の酸素濃度を比較した研究もあります。これによると、高地では低地に比べて酸素濃度が低くなり、さらにアルコールの摂取後は低地、高地のいずれも酸素濃度が下がることが確認されました。つまり、アルコールの摂取がカラダの低酸素状態をより助長していることを示しています。

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低地と高地におけるアルコール摂取前後の血液中の酸素濃度


機内は湿度20%! 猛烈に乾いている

 低酸素に加え、機内の乾燥による水分不足にも注意する必要があります。アルコールの利尿作用により水分不足が助長され、ロングフライト症候群などの健康問題を引き起こす可能性が高まります。

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フライト中の機内の湿度と温度の変化


 飛行機内は極めて乾燥しています。フライト開始後30分も経つと機内の湿度は30%台に下がり、その後20%程度まで下がります。適度な湿度と言われる40~70%と比較すると半分以下です。乾燥している状態で、利尿作用があるアルコールを飲むと、血液中の水分が不足し、血液はドロドロ状態になり、血栓のリスクが高まります。それでなくとも機内は同じ姿勢で長時間座っていることで、血栓ができやすいと言われています。

 これが、機内でのアルコール摂取がロングフライト症候群を引き起こす可能性があると言われる理由です。ロングフライト症候群を避けるためにも、アルコールは控えたほうがいいでしょう。特に心臓病などの血管系の病気や生活習慣病を持っている方は注意が必要です。


水分は1時間に100cc摂取!

 飲酒量を抑えるほかに注意すべきポイントは、水分をこまめに摂ることです。

食事の水分量も含め、1時間に100cc程度摂取するように心がけます。体重1キロあたり2ccが適量なので、体重50kgで100cc、体重100kgなら倍の200cc程度摂るようにします。

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 こうしたことに加え、血栓予防のためにも長時間のフライトの場合は、足を曲げたり、伸ばしたりするなどの軽い運動をすることも重要です。女性の場合、弾性ストッキングを身に付けることも有効な手立ての一つです。

 私もゴールデンウイーク直後に海外旅行を予定しています。酒は強いほうではないので控えますが、こまめな水分の補給を心がけます。またロングフライト症候群を予防するために、機内では「フットレストハンガー 」を使います。


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 色々市販されていますが気に入ったものがなく、また航空会社によっては使用を禁止されることがあります。そこで自分である工夫をしました。これについては後日、写真を撮ってブログで紹介する予定です。

(日経Goodayより要約、加筆)

スコット・ロス

 1989年6月13日にわずか38歳で、エイズのため夭折したスコット・ロスは、フランスとカナダを中心に活躍した米国生まれのチェンバロ、オルガン奏者です。その演奏は、古楽演奏にありがちな演奏効果や学術志向にとらわれることなく、音楽の生き生きとした本質に迫るもので、圧倒的な技術によって裏付けされた演奏は大きな魅力です。


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 1951年の3月1日にアメリカ合衆国ピッツバーグに生まれ、6歳のときにピアノを習い始め、1964年に渡仏し、親兄弟と離れてニースのコンセルヴァトワールに入学し、オルガンをルネ・サオルジャン、チャンバロをユゲット・グレミー=ショーリアックに学びました。卒業後は、パリ国立高等音楽院に進み、1971年、ブリュージュ国際チェンバロ・コンクールで優勝しました。
 BACHの全曲録音は果たせませんでしたが、ゴルトベルク変奏曲、平均律クラヴィーア曲集第1巻、第2巻、6つのパルティータなどの名演奏が残されています。


 ゴールドベルク変奏曲ト長調(BWV988)1988年録音



 6つのパルティータ(BWV 825-830)



 平均律クラヴィーア曲集第1巻( BWV 846 - 869)



 平均律クラヴィーア曲集第2巻( BWV 870-893)




 全部連続で聴くと6時間以上になります。PCで作業をしながらバックに流して聴くのも良いかもしれません。

驚愕のカツオ節の効能が判明!

 暖かい地域では3月から「初ガツオ」として食卓に上るカツオは、古くから世界中で食されてきた栄養豊富な魚です。日本では4~5世紀の大和政権時代から、干物が高級食材として献上されていた記録が残っており、東ティモールのジェリマライ遺跡では約4万年前の地層から、カツオの骨が貝でつくられた釣り針と共に出土しています。



「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」

 これは、江戸時代の有名な俳人・山口素堂が、春から初夏にかけて江戸の人たちが好んだものを詠んだ句です。江戸時代、カツオは「家族を質に入れてでも食べろ」といわれるほどの大ブームを巻き起こしました。

 初ガツオとは、日本近海に回遊してきたカツオが、その年、その地域で最初に水揚げされたもの。九州では3月、本州沖では4月から水揚げが始まり、5月から初夏にかけて最盛期を迎えます。

「質に入れてでも」という言い方からわかる通り、冷凍や輸送の技術が発達していなかった江戸時代の初ガツオは、とても高価なもので、庶民にとっては高嶺の花でした。そのため

「目と耳は タダだが口は 銭がいり」

と、皮肉混じりに返句されるほどの存在だったそうです。


カツオ節は世界一硬い食べ物

 カツオの調理方法として人気の高い「たたき」は、低脂肪・高たんぱくということもあり、初ガツオを味わうにはぴったりです。骨の新陳代謝を改善するビタミンD、エネルギーを生み出すビタミンB、血圧と血中のコレステロールを下げるタウリンなどを、効率的に摂取することができます。

 秋に水揚げされるカツオは、初ガツオに比べて脂肪が約12倍に増えており、食欲をそそる旨みが増しています。一方、その他のビタミンやミネラルはほぼ同じか減っているため、健康志向の人は、秋よりも初ガツオのほうがおすすめです。

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 また、最近はカツオ節も、高機能食品として世界的に注目を集めています。カツオ節は「世界一硬い食べ物」といわれていますが、金づちの代わりに釘が打てる食べ物は、世界広しといえどもカツオ節ぐらいではないでしょうか。

 カツオ節のおいしさと硬さの秘密は、水分を搾り出す製法にあります。3カ月以上をかけて伝統的な製法で加工され、最終的に水分は魚肉の十数%になるまで搾り取られます。残ったわずかな水分の中に、カツオ節の旨味成分であるイノシン酸とグルタミン酸がギュッと濃縮されています。


カツオ節に多く含まれる、ナイアシンの意外な効能

 さて、カツオ節に含まれる機能性成分として、ここ数年注目されているのがナイアシンです。これは、ビタミンB3と呼ばれることもあります。

 ナイアシンは米や肉に多く含まれていますが、圧倒的に含有量が高いのがカツオ節です。レバーもナイアシンを豊富に含んでおり、「鉄分を摂取できて貧血に効果がある」といわれますが、実はカツオ節の3分の1程度しか含まれていません。

 ナイアシンは全身でいろいろな役目を担っていますが、主な役割は酸化還元という化学反応の促進です。私たちの体内は「酸化還元の化学工場」といってもいいほど、食べ物からのエネルギーの取り出しや、呼吸、解毒など、あらゆるところで酸化還元反応が起きています。

 一般的な化学工場では、高い圧力や温度で酸化還元反応を行っていますが、私たちの体が自然な状態で酸化還元反応を適切に行うことができるのは、酵素とナイアシンが細胞内でペアになって、化学反応を加速する役目を担っているからです。

 また、アルコールの分解も酸化還元反応の一種です。お酒を飲むと、解毒反応として肝臓でアルコールが分解されますが、その過程でアセトアルデヒドという有害成分ができてしまいます。


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 アセトアルデヒドは悪酔いの原因物質でもありますが、この分解にナイアシンが関係しており、お酒を大量に飲むと、肝臓は大量のナイアシンを要求します。

 例えば「とうもろこしばかり食べている」など、極端に偏った食生活をしている人が、大量飲酒で肝臓のナイアシン不足に陥ってしまうと、ペラグラという病気になってしまいます。

 これは皮膚の炎症に始まり、嘔吐や下痢など消化器系疾患の症状が表れ、やがて脳が壊れて死に至る病気です。日本でも、米やカツオを食べないアルコール中毒患者にペラグラを発症するケースが見られます。

 春はヘルシーな高機能食品、秋には「食欲の秋」にぴったりの高脂肪食品と、季節によって姿を変えるカツオ。約4万年前の人たちが、沿岸に簡単に捕まえられる魚がいたにもかかわらず、困難な漁を行ってでもカツオを食べていたのは、きっと、その有効性に気付いていたからなのでしょう。

(Business Journal より)

「30歳若返りのクスリ」 ハーバード大が世紀の大発見!

もう怪しい若返り法には騙されない!

 私たちが年をとったとき、人間の寿命はどこまで延びているのでしょうか。不老長寿は実現しているのでしょうか。

 科学的な裏付けのない「アンチエイジング」と称する怪しげな健康法やサプリがは溢れています。これまで私たちの多くは、半分騙されていることを知りつつも、ちょっとでも若さを保つために涙ぐましい努力を続けてきました。

 しかし、そんな時代はもう終わりそうです。ハーバード大のデビッド・シンクレア教授を中心とするグループの科学的な研究によって、30年後には、先進国の平均寿命が100歳になり、開発されるであろう若返り薬によって30歳以上の若さに戻すことができるといいます。



 以下、米国ボストンに住むシンクレア教授にプレジデント誌がインタビューした「若返り」技術の全貌です。

 私は4歳のときから、老化に強い関心をもっていました。親が亡くなり、自分もいずれは死ぬと考えたことで強いショックを受けました。どうしても脳裏からそのショックを払拭できませんでした。昔から生物学には常に関心を抱いていて、オーストラリア・シドニーの大学では分子生物学を学びました。1987年のことです。

 ある日友人たちとトランプをしていたときに若いことはすばらしいという話になりました。私が「いつか人間は150歳まで生きるようになる」と言ったら、友人たちは「そんなことはありえない」と言ったのです。私は遺伝学、幹細胞などの新しい研究を見ていると、新世界が来ると言い返しました。

 私が老化の研究を始めたときに感じたのは、私たちの次の世代から飛躍的に寿命が延びるのではないかということでした。私たちの世代が最後の短命世代になってしまう懸念をもち、私は自分が生きている間に、長寿を成功させてやると決意したのです。



 91年私はMIT(マサチューセッツ工科大学)のレオナルド・ギャランテ教授に出会いました。彼は酵母(学名Saccharomyces cerevisiae )の老化のメカニズムについて研究を始めたばかりでした。専門用語ではサッカロマイセス・セレヴィシエといいます。酵母というとても単純な細胞で老化の研究をするメリットは多く、私もすでに酵母で研究をしていましたが、ギャランテ教授はとても頭が良く、この教授のもとで研究したいと思いました。

 そこで彼に「何が何でも行く」という内容の手紙を書きました。すると「こちらには払える資金がないから、フェローシップ(奨学金)を見つけたら来てもいい」という返事でした。やっとの思いでフェローシップを見つけ、なけなしの貯金をすべて使ってシドニーからボストンまで飛びました。95年のことです。

 レオナルド・ギャランテ教授は、「老化はいずれ“病気”に分類されるようになり、近い将来に“抗老化薬”は開発できる」と信じる分子生物学を起点にしたアンチエイジング研究の第一人者だ。酵母の寿命を制御するサーチュイン遺伝子の一つ(Sir2)を発見したことで知られている。人間の老化を遅らせる薬を開発する会社を99年に設立し、資金調達額は合計で4900万ドルに達したという。


みんなにクレイジーと言われた!

 MITの4年間で「酵母の老化」について研究をしました。酵母は永久に生きると思う人も多いのですが、実際は1週間で死にます。ギャランテ教授と一緒に、酵母の老化のメカニズムを初めて解明しました。染色体がもつれて死ぬのです。それが老化をコントロールするサーチュイン遺伝子の発見につながったのです。寿命延長の効果があるとされているレスベラトロールの登場は約8年後です。

 当初、酵母の研究は、同僚たちにクレイジーだと言われました。オーストラリアの母親に電話して「大きな間違いをした。みんなにクレイジーだと言われている。もうオーストラリアに帰る」と泣きつきました。すると母親は先見の明があったのか「もう少し頑張ってごらん。きっとうまくいくわよ」と言ってくれました。しばらくすると数週間ごとに大発見が続くようになりました。とてもわくわくする研究生活を過ごすことができました。

 そのあとコロンビア大学からもオファーが来ましたが、ボストンに残りたかったので、ハーバード大を選び、国籍もアメリカに変えました。ハーバード大では(長寿遺伝子の一つである)サーチュイン遺伝子をヒトの細胞で研究し始めたのです。その研究のために私のラボがつくられました。(サーチュイン遺伝子を活性化するとされる)レスベラトロールの研究もまだ続けています。

 その分子が重要なのは、一つは老化を遅らせる効果があることです。もう一つは今まさに臨床試験が行われており、4~5年すれば、老化を遅らせる薬ができる可能性が非常に高いことです。2005年にSirtrisというベンチャー企業を立ち上げましたが、それは08年に7億2000万ドルでグラクソ・スミスクライン社に買収されました。同社は10億ドルを投資して研究し、今年(2015年)の終わりまでには大規模な臨床試験が行われます。

 また、私たちは老化を逆行させる方法を理解するために幹細胞を研究しています。女性の卵巣から取り出した卵巣幹細胞を培養して何百万個もの卵子をつくることができます。今、女性が健康な赤ちゃんを産めるように、また遺伝病をいかにして治すかについて研究しています。OvaScienceというベンチャー企業を立ち上げ、新しい生殖医療や女性の卵子の老化を逆行させる研究をしています。今この企業は12億ドルの価値があります。


60歳の体が30歳になる

 今までは卵子の老化は止められないといわれていましたが、これからは逆行させることができます。まず女性から卵子を数個取ります。幹細胞から、細胞のエネルギー源であるミトコンドリアを取り出し、それを精子と一緒に卵子に注入します。そうするとはるかに健康な受精卵ができると考えています。これはカナダ、中東、イギリスなど多くの国・地域で行われており、日本でも始まっています。

 老女から古い卵子を取り出して、それを若返らせることもできます。そうするとその卵子と精子で子供をつくることができます。さらにDNAを改変することができれば、疾患がゼロの受精卵をつくることができます。これまで空想小説の世界だと考えられてきたことが現実になります。

 今研究しているもうひとつの分子は非常に新しい分子で、レスベラトロールよりも寿命を延ばす能力が高いものです。NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドの略で、サーチュイン遺伝子を活性化させる化学物質)という物質のレベルを上げる役割をします。この研究は現在、今井眞一郎氏(現ワシントン大学セントルイス校)と協力して行っています。

 NADは老化とともに減少します。私は今45歳ですが、NADは若いときの半分になっています。ですから、NADのレベルを上げると若返ると考えますが、今井氏も同じ考えです。我々はMetrobiotechというベンチャー企業を立ち上げ、マウスですでに若返りに成功しています。臨床試験も始まる予定です。

 NADのレベルを上げると体全体が若返ります。これをマウスに投与すると、人間で言えば60歳の体が30歳の体になります。クレイジーに聞こえますが、最も権威のある科学誌の一つCellに掲載されました。

 さらにこのラボで研究しているのはバイオインフォマティクス(生命情報科学。遺伝子やタンパク質のビッグデータをコンピュータにより分析する研究分野)です。

ヒトとサルとの比較から、すでにいくつかの新しい遺伝子を発見しています。私のラボには20人いますが、シドニーには10人、さきほど言ったベンチャー企業では何百人もの人が研究しています。ですから、毎日何かが起きています。

 若返りをするには何か代償を払わなければならないと考える人もいますが、それはないと思います。未だ明らかにされていないことが多いので今の段階では、完全に若返るということはありません。ですが、体がまるで若返ったように行動させるスイッチが複数見つかっていますし、将来もっと完全な若返りができるようになると思います。筋肉の若返りについては1年間研究しましたが、筋肉の老化を完全に逆行させることができました。それはそれほど難しいことではありません。


どっちのマウスが若く見えるか



 マウスでは老化を早めたり、遅らせたりすることができます。このマウス(写真を参照)を見てください。AとBでどちらが若いと思いますか?

 実は同年齢です。DNAはまったく同じですが、Aのマウスは老化を早めたのです。どの遺伝子のスイッチをオンにして、どれをオフにしたら老化を早めることができるかわかっています。現在は、老化を逆行させる、つまり若返らせようとしているところです。

 元々老化はDNAの損傷が原因であると考えられていますが、このマウスに起こっていることはDNAに損傷を受けたことによるものではないと我々は考えています。我々が考える老化の原因は、「細胞がDNAをどう読むか」が変化してしまうことです。いわゆるエピジェネティクス(環境などの条件が変わることで、様々な遺伝子のオン・オフが調節されること)です。

 例えば、自分たちが若いときに、完璧なコックさん(=DNAを正しく読む細胞)の料理をおいしく食べます。それが年をとるにつれて、そのコックさんも年をとり、同じようにつくることができなくなります。そうすると次のコックさん(=代わりに生まれた細胞)がつくることになりますが、完璧なコックさんが書き残したレシピ(=老化しないDNAの読み方)に従えば、同じようにつくることができます。細胞がDNAを正しく読めば、細胞が若返るということです。


寿命は簡単に20年延びる

 10年前にはマウスを若返らせることは難しかったのですが、今は簡単です。今若返りのために使うことができる分子はかなりあります。例えばレスベラトロールやNAD以外では、ラパマイシン、メトホルミン、ニコチンアミドモノヌクレオチドなど、老化を遅らせる分子はたくさんあります。今それがヒトにも効果があることを証明したいと思っています。またアルツハイマー病や二型糖尿病は、老化と深く結びついています。30歳とか40歳になったときに、こういう分子を注入すると老化だけでなく病気に対しても体が防衛してくれます。7つのサーチュイン遺伝子のスイッチをオンにすると、老化を遅らせたり、アルツハイマー病の発症を遅らせたりすることができることは動物では証明できています。今それがヒトに効果があるかどうかテストしなければなりません。私の父親は75歳ですが、先ほどの分子を注入しています。非常に健康で、強いです。私よりも健康です(笑)。自分の体を使って人体実験をするのはオーストラリアの伝統です。ノーベル賞を受賞したバリー・マーシャル医師は、胃で悪さをするバクテリア(ピロリ菌)を発見したときに、自分の体にはそのバクテリアがいなかったので、自らバクテリアを飲み、わざわざ感染して、抗生物質を飲んで治療し、研究材料としました。同じということではありませんが、私の父親も12年も前に自ら進んで実験を引き受けてくれました。オーストラリア人は勇気があるというか、クレイジーなところがありますね。

 私は、老化には2つのステージがあると考えています。ステージ1は80歳までの期間です。ヒトは中年を過ぎると、細胞の核とミトコンドリアにあるDNAが正しいコミュニケーションを取れなくなっていることがわかっています。それが原因でDNAの読みが変わってしまい、老化が進むのです。これについては、我々のアプローチによって若返りが可能と考えています。もっと年をとるとステージ2となり、ミトコンドリアDNAの突然変異が起きたり、不完全なかたちのタンパク質が増えたり、寿命と関係するテロメア(細胞が生まれ変わるたびに減少していく遺伝子)にもいろいろなことが起こり、後戻りは難しくなります。

 私が力を注ぎたいのは、80歳や90歳になるもっと前に、ヒトを若返らせることです。あまりにも年をとってから若返らせようとするのは、中年のときと比べるとはるかに難しいのです。現段階の技術では不老不死にはたどり着けませんが、寿命は簡単に20年くらい延びるでしょう。

( PRESIDENT Onlineより転載)

われ世を去るは汝らのためなり(BWV108)

 今日は復活祭後第4主日ですが、この日のためのカンタータはBWV108とBWV166の2曲しか現存しません。BWV108は一昨年ブログを書きましたが、再度聴くことにします。1725年4月29日に、ライプツィヒで初演さたカンタータです。


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 歌詞台本は女流詩人クリスティアーネ・マリアーネ・フォン・ツィーグラーで、福音書の章句、イエスが受難の迫ったことを弟子たちに伝え、自分の別れと弁護者すなわち聖霊の到来を告げるものです。「私が去っていくのは、お前たちのためになる」という章句から、ツィーグラーはカンタータの歌詞を作っています。最後のコラールはP.ゲールハルト作詞の聖霊降臨祭のコラール「父なる神よ、御霊をお送りください」が使われています。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、ボグナ・バルトシュ(A)、イェルク・デェルミュラ(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




われ世を去るは汝らのためなり(BWV108)


1.アリア(バス)

Es ist euch gut, dass ich hingehe;

私が去ることは、お前たちにとって有益である。

denn so ich nicht hingehe,

なぜなら、わたしが去らないなら、

kömmt der Tröster nicht zu euch.

慰め主がお前たちのところへ来ることはないからだ。

So ich aber gehe, will ich ihn zu euch senden.

しかし私が行けば、彼をお前たちのところへ派遣しよう。

2.アリア(テノール)

Mich kann kein Zweifel stören,

どんな疑いも妨げられません。

Auf dein Wort, Herr, zu hören.

私が主よ、あなたの御言葉を聞くことを。

Ich glaube, gehst du fort,

信じます、あなたが去りゆくならば、

So kann ich mich getrösten,

待ち望むことができるのです、

Dass ich zu den Erlösten

贖われた人々に加わり

Komm an gewünschten Port.

願わしい港へと去ることを。

3.レチタティーヴォ(テノール)

Dein Geist wird mich also regieren,

御霊が私が私を支配し

Dass ich auf rechter Bahne geh;

正しい道を歩ませてくれるでしょう。

Durch deinen Hingang kommt er ja zu mir,

あなたが行かれるからこそ、御霊が私のもとにやってくるのです。

Ich frage sorgensvoll:

私は気もそぞろで尋ねる、

Ach, ist er nicht schon hier?

ああ、御霊はもうここにいるのではありませんか、と。

4.合唱

Wenn aber jener, der Geist der Wahrheit,

しかしその方、つまり真理の霊が

kommen wird, der wird euch in alle Wahrheit leiten.

来るときは、彼はお前たちを あらゆる真理へと導くであろう。

Denn er wird nicht von ihm selber reden, なぜなら、

彼は自分自身から語るのではなく、

sondern was er hören wird, das wird er reden;

自分の聞くことを語るだろうからである。

und was zukünftig ist, wird er verkündigen.

また、未来に起こることを、彼は告げるであろう。

5.アリア(アルト)

Was mein Herz von dir begehrt,

私の心があなたに乞い求めるものは、

Ach, das wird mir wohl gewährt.

ああ、きっと与えられることでしょう。

Überschütte mich mit Segen,

私に祝福を注いで下さい、

Führe mich auf deinen Wegen,

あなたの道で私を率いてください、

Dass ich in der Ewigkeit

私が永遠のうちに

Schaue deine Herrlichkeit!

あなたの栄光を見られますように!

6.コラール

Dein Geist, den Gott vom Himmel gibt,

神が天より与える御霊は

Der leitet alles, was ihn liebt,

自分が愛するすべての者を

Auf wohl gebähntem Wege.

よく踏まれた道で導いてゆく。

Er setzt und richtet unsren Fuß,

彼が足を定め正してくださればこそ、

Dass er nicht anders treten muss,

私たちはあやまたず歩み

Als wo man findt den Segen.

祝福を見いだせるのだ。

                  対訳:磯山 雅


ヨハネによる福音書 16章 5-15
 今わたしは、わたしをお遣わしになった方のもとに行こうとしているが、あなたがたはだれも、『どこへ行くのか』と尋ねない。むしろ、わたしがこれらのことを話したので、あなたがたの心は悲しみで満たされている。しかし、実をいうと、わたしが去って行くのはあなたがたのためになる。わたしが去って行かなければ、弁護者はあなたがたのところに来ないからである。わたしが行けば、弁護者をあなたがたのところに送る。その方が来れば、罪について、義について、また、裁きについて、世の誤りを明らかにする。罪についてとは、彼らがわたしを信じないこと。義についてとは、わたしが父のもとに行き、あなたがたがもはやわたしを見なくなること。また、裁きについてとは、この世の支配者が断罪されることである。言っておきたいことは、まだたくさんあるが、今、あなたがたには理解できない。しかし、その方、すなわち、真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる。その方は、自分から語るのではなく、聞いたことを語り、また、これから起こることをあなたがたに告げるからである。父が持っておられるものはすべて、わたしのものである。だから、わたしは、『その方がわたしのものを受けて、あなたがたに告げる』と言ったのである。」

ハイテク照明が快眠へと誘う

 科学者たちの間では以前から、照明の輝度や色が人に強い生物学的な影響を及ぼすことが知られていました。しかし、それが実際に応用されてきた分野は宇宙飛行士のために24時間周期の環境を人工的につくるとか、新生児の黄疸(おうだん)の治療といった目的に使う照明装置などに限られおり、しかも一つが30万ドルもするほど高価でした。

 ところが今日では、特にLED発光ダイオードなど照明の技術的な高度化が進み、価格も安くなり、企業は一般消費者向けに、いわゆるバイオロジカル・ライティング(biologica lighting=生物学的な照明)の開発に取り組んでいます。

 この分野には、ベンチャー企業から最大手の電気製品製造会社までが参入しています。たとえばGE(ゼネラル・エレクトリック)社は光の色が変化するLEDを発表しました。これはApple社の「Homekit」システム(iOSデバイスと家電をつなぐためのフレームワーク)に合ったGE・Alignの商品で、自然の睡眠サイクルに応じて自動的に変化する照明器具です。

 Philips(フィリップス)社は2年前、「Hue」を発売しました。Wi-Fi接続型の電球で、目覚めや緊張をほぐす「光のレシピ」を提供するApple社のシステムに連動しています。

 スーパーマーケットを含む商工業施設向けのスマート照明システムの開発運営会社デジタル・ルーメンスは、照明の濃淡や発光波長を制御することで若者の学習力を高める研究をしているブラウン大学(在ロードアイランド州)に研究用の照明器具を納入しています。また、LumiFiルミファイ)という会社は、一般家庭やホテルなどの商業施設の照明器具に「休息」「活気」「集中」「セクシー」といった設定を組み込み、好みに応じて照明を調整できるアプリを開発しました。

 この種の照明器具が市場に出回るようになり、誰もが手ごろな価格で制御システムも使えるようになりました。

 市場調査会社ラックス・リサーチでバイオエレクトロニクス( Bioelectronics=生体電子工学)部門を率いるミロス・トドロウィックによると、企業は照明技術の健康分野への応用にも力を注いでいます。人の気分を変えたり、体内で実際に起きている現象に影響を与えたりすることです。たとえば、照明技術を使って、傷を癒すためのコラーゲンの再生をいかに促進するかです。

 こうした新しい消費者向けの照明器具は、眠りに就く時間がきたことや活発に動くべき時間になったことを視覚を通じて脳に伝えて休息や目覚めといった人間の身体の基本的欲求を調整するようデザインされています。

 発光スペクトル(光の強度分布)の青色の光である短い波長光には、睡眠を誘発するホルモンのメラトニンの放出を抑える作用があります。白色の人工光、とりわけ電球や彩色されたスクリーンに使われるLEDは一般的に青色の輝度が高いため、夕暮れ後にそれをあびると眠気が薄れ、覚醒が進むので、睡眠不足につながりやすくなります。

 過去50年の間に、人が浴びる人工的な光の量は1人当たりで10倍以上に増えました。つまり、太陽が沈んでから床に就くまで、すべてが非常に明るくなっているのです。それが何を意味するかというと、人の体内時計の進行具合が3時間から5時間押し戻されたのと同様の結果を招いているといいます。したがって就寝時間が遅くなりました。しかしその割に朝は相変わらず「ニワトリと一緒」に目が覚めてしまいます。

 日没後、より黄色く見える長波長の光を発する照明を使えば体内時計の狂った周期を修正できるといいます。長い波長の光は眠くなるホルモンや神経の働きをさほど妨害することはありません。

 研究者たちは、照明のスペクトルや輝度が脳にどう作用するかを調べています。睡眠だけでなく、覚醒の度合い、生産性、学習などとの関係がどうなっているのかについてです。

 高輝度の赤い照明はメラトニンの働きを抑え込むことがなく、活力を刺激する作用があります。ブラウン大学では、スペクトルと輝度の両方に着目し、若者たちが学習中に覚醒していられる照明システムの開発に取り組んでいます。

(The New York Times Asahi Digitalの抄訳より)

中高年の男性は豆類を食べよう!

前立腺がんも予防する食物繊維

 「国立がん研究センター がん予防・検診研究センター」の予防研究グループは、生活習慣病を予防するための調査「コホート研究」を行っています。コホート研究とは、年代や環境が同じ集団を対象に生活習慣や環境と疫病の関係を長期間かけて調査し分析する手法のことです。

 このコホート研究のひとつに、日本人における「食物繊維摂取と前立腺がんとの関連」の研究報告があります。腸内環境を整えることでおなじみの食物繊維は、前立腺がんのリスクを下げることが分かりました。


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食物繊維が進行性前立腺がんのリスクを下げた!

 予防研究グループは、2002年から2012年にかけて全国10保健所の管内に住む45~74歳の男性約4万3000人を対象に、対象者が食事から摂取した食物繊維量と前立腺がんの罹患率の関連性を調査しました。

 その結果、食物繊維の摂取に前立腺がんのリスクを下げる効果のあることが分かりました。このことは欧米での研究でも報告されていたのですが、今回の調査で欧米人と食生活の異なる日本人でも効果のあることが証明されたのです。

前立腺がんには、がんが前立腺に留まる「限局がん」と前立腺の外にがんの広がる「進行がん」があり、コホート研究では食物繊維の摂取により、自覚症状で発見された進行前立腺がんのリスクが低くなっていることが分かりました。

 また、特に不溶性食物繊維が前立腺がんのリスクを下げていることも確認されました。食物繊維は大腸がんのリスクとの関連性が知られていますが、前立腺がんに作用する成分でもあることが分かったのです。

 前立腺がんは日本人に急増しているがんのひとつです。今回の調査で確認された食物繊維の効用を活用し、多くの男性が前立腺がんから身を守ることができるかもしれません。


食物繊維が前立腺がんのリスクを下げる理由とは

 食物繊維は消化されずに腸を通過し、便と一緒に排出されていくいわば「食物のカス」のようなものです。腸内を掃除したり、善玉菌の栄養になって腸内環境を整えたりと整腸に効果のあることで知られます。その食物繊維が前立腺の病気にも作用しているのは、


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 といった効用を持っているから、と考えられています。がんのリスクを下げるだけでなく、すでに起こっている炎症を抑制する作用があるといいます。


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中高年の男性は豆類から食物繊維を摂取しましょう!

 中高年の男性は前立腺がん予防のためにも、成人男性が1日に推奨される19g以上の食物繊維を摂取しましょう。

 今回の調査で注目された不溶性食物繊維は豆類に多く含まれています。豆類を多めに食べるようにしましょう。ただし水溶性食物繊維にもがんのリスクを下げる効果があるので、2種類の食物繊維を不足なく摂取するようにします。

 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は2:1の比率で摂取するのが理想なので、成人男性は1日に不溶性食物繊維13g以上、水溶性食物繊維7g以上を目安にとるのがおすすめです。


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 成人男性の平均的な摂取量は、不溶性食物繊維約11g、水溶性食物繊維が約3gの合計14g程度となっており全体的に不足の傾向が見られるので、意識して食物繊維を摂取するようにします。


予防と定期健診で前立腺がんから身を守る

 前立腺がんは進行が遅く、ほかのがんに比べると生存率の高いがんです。比較的「たちの良い」ともいえます。しかし加齢に伴う前立腺肥大症と間違えられて発見が遅れることも多く、進行して転移の起こったがんは治療も難しくなってしまいます。

 50歳以降で発症率が急上昇するがんです。中高年の男性は予防と定期検診をしっかり行い、前立腺がんから身を守りましょう。食物繊維は、生活習慣病の予防にも効果がありと摂取して損することのない成分です。

(健康+生活より)

カフェインは世界一のドラッグ!?

継続的な摂取により中毒症状や健康被害を引き起こす可能性大

 コーヒーやエナジードリンクを飲んでカフェインを摂取すると、ストレスが軽減したり、記憶力がアップしたりといった効果があることが判明していますが、カフェインはドラッグと同様に強い依存性を持っていて、摂取し続けると健康上の問題が生じやすくなるという研究結果が明らかになっています。

 ジョンズ・ホプキンズ大学医学部の研究者であるSteven Meredith氏とRoland Griffiths氏はカフェイン研究雑誌で「カフェインは世界中で最も普及しているドラッグだ」という主旨の論文を掲載し、カフェインはこれまで考えられてきたよりも中毒性が高く、カフェインを摂取する習慣が一度身についてしまうと、なかなかやめられなくなることを発表しています。


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 論文によれば、アメリカに住む成人のうち90%以上は、日常的にカフェインを摂取しており、1日の平均摂取量は約200mgとのこと。アメリカ食品医薬品局(FDA)が推奨している1日あたりのカフェインの摂取量の上限は400mgですが、アメリカ国内の一般的なコーヒーショップのMサイズコーヒーには1杯あたりおよそ300mgのカフェインが含まれており、エナジードリンク缶1本のカフェイン量はおよそ160~240mgほど。つまり、コーヒーやエナジードリンクを1日に2杯以上飲むと、摂取量の目安を軽くオーバーしてしまいます。

 論文の共著者であるアメリカン大学心理学部のLaura M. Juliano教授は、「アメリカ人の多くがカフェインの被害を受けていない一方で、カフェインを含む食料品のいくつかは健康に悪影響を及ぼす可能性があり、日常生活に支障をきたすだけでなく、カフェイン依存症になってしまいカフェインの摂取をやめられなくなるという問題があります」と語ります。カフェインを摂取し続けていると、心臓病をはじめとする心血管疾患や、女性の場合は妊娠時に合併症を引き起こすことがあるとのことです。

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 カフェインを過度に摂取すると中毒症状を起こすこともあり、Meredith氏は「カフェインの中毒症状には、神経衰弱になったり、不眠症や、消化不良、頻脈、筋収縮などを引き起こしたりといった、さまざまな症状があり、さらに、慢性的にカフェインを摂取していると、カフェインを一時的に絶った際に、頭痛、疲労感、眠気、憂うつ感、集中力低下、吐き気、むかつきなどの禁断症状が現れます」と、カフェイン中毒の危険性について警告しています。Meredith氏によれば、カフェインの摂取量目安を超えて過度にカフェインを含む食事をしている場合、カフェインの摂取量を減らすことが難しく、健康問題を引き起こしやすくなるとのこと。つまり、カフェインの過剰摂取が体に悪いと知っていても、コーヒーを飲む習慣がついてしまうと、簡単にはやめられなくなってしまうというわけです。

 アメリカ精神医学会による書籍「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神障害の診断と統計マニュアル)」では、「カフェインの常用については、さらなる研究の必要あり」とされています。マニュアルの「Biological Evidence for Caffeine Dependence」という項目には、カフェイン摂取によって得られるプラスの効果が書かれており、健康状態の改善や、注意力アップ、社交性の向上につながるとのこと。しかし、これらの効果はコカインを摂取した際の効果に似ていて、「カフェインの摂取でプラスの効果が得られることにより、人間はカフェインを継続的に摂取するようになる」と推測されています。

 コーヒーなどカフェインを多く含む飲料が、コカインのように禁止されない理由について、Meredith氏は、「コーヒーは社会に十分受け入れられており、カフェイン依存が健康に悪影響を及ぼすという事実が忘れられがちです。同じ理由で、不眠症などの病気にかかった際、カフェインが原因だと考えることは非常にまれで、日常的にコーヒーを飲んでいることを医者に伝える人は少ないものです」と語ります。このような事態を防ぐためには、「カフェインは麻薬と同じで、過度または連続的な摂取は、身体的・精神的な悪影響の原因となる」という事実を常に心に留めておく必要がある、とMeredith氏は主張しています。

 Meredith氏は、カフェインの摂取量を徐々に減らしていくことが重要だと主張しており、毎日のカフェイン摂取量を日記に書いて記録していき、数週間かけて徐々にカフェインの摂取量を減らしていくことを推奨しています。

(HUBーGigazineより)