「スーパー高齢者」になる秘訣とは?

 昨晩食べたメニューをとっさには思い出せなくても、食べたこと自体を忘れるようにはなりたくない――つまり、加齢に伴う「もの忘れ」は諦めがついても、認知症は勘弁願いたい。

 誰もがそう願いつつ、そのじつ脳を鍛える手立てをなんら行なうこともなく、「自分に限っては大丈夫」と根拠のない自信・過信のまま齢を重ねている方が多いのも事実です。

 Donald Tenbrunsel氏は、興味の赴くままにインターネットをやすやすと使いこなし、世代を超えたタイムリーな話題の数々を愉しげに語り合い、日々の読書を欠かさず、そればかりか定期的にボランティア活動へも積極的に参加しています。


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 老いても毎日、そんなアクティブな暮らしを続けているという彼の年齢を問えば、御年89歳というから「介護される側」だとしても不思議はなく、驚きを禁じ得ません。

 わが国では今年に入り、日本老年学会が「高齢者」の定義年齢を「現在の65歳以上から75歳以上」に引き上げることを提言して話題を集めましたが、このDonald氏レベルになれば「スーパー高齢者」の称号も納得がいくというもの。そして、彼のように超高齢を迎えても、極めて明晰でエイジレスな頭脳を保ち続けている人々の秘密を探った研究の成果が、先日報告されました。


脳内老化の速度差に違いが……

 『Journal of the America Medical Association』(4月4日号)に最新の知見を寄稿したのは、米ノースウェスタン大学認知神経学・アルツハイマー病センターのEmily Rogalski氏ら研究陣。老いてもなお頭脳明晰なスーパー高齢者の秘密を探るべく、彼ら研究陣は脳の老化の指標として「大脳皮質の厚さ」に着目しました。

 この大脳皮質は、一時的に保存(記銘)された「海馬」から取捨選択され、必要な情報のみを残しておく大切な「貯蔵庫」。海馬の検索がかかれば、呼び戻せるという関係です。貯蔵機能に長けたこの部分は、大脳の表面を覆う灰白質で、高度な思考や記憶力に優れ、ヒトの計画力や問題解決能力を司る個所として知られています。


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 今回の研究に際しては、スーパー高齢者(24人)と、ごく平均的な高齢者(12人)の協力を得て、いずれもMRI検査を実施。結果、前者のスーパー高齢者層の場合、後者の平均層に比べて「脳の老化速度」が半分程度に抑えられているとの傾向が顕著に認められました。

 加齢が進むと大脳皮質は委縮する――それは斯界の常識です。事実、今回の被験者たちに関しても1年半という期間中の「大脳皮質の変化」を比較検証した結果、いずれの層でも例外なく脳容量が有意に減少していました。しかし、その減少率を精査すると違いは明らかで、スーパー高齢者組が1.1%であるのに対し、平均的な高齢者組のほうは2.2%強と「2倍以上」の減少率が読み取れました。


あなたは人の3倍噛めるか?

 「スーパー高齢者の場合、大脳皮質はあまり委縮せずに50~60代の脳とほぼ変わらないという点については、先行研究でも示唆されていたが、その理由に関しては、これまで明らかにされてこなかった。今回の研究成果によって、スーパー高齢者では老化の経過が一般と異なり、平均的な高齢者よりも脳容量の減少速度がはるかに遅めであることが分かった。今後の研究では、脳の老化に影響する遺伝的要因に着目し、アンチエイジングのための治療法の手がかりを提供していきたい」とEmily氏は述べています。

 加齢に伴う脳の萎縮率が半分以下で、80歳を過ぎても一般比の記憶力が衰えないされるスーパー高齢者たち。最近では彼らの生活習慣が俄然注目されだし、週刊誌上で度々顔をみかける日本人のスーパーエイジャーも数人います。

 代表的な一人が、54歳時に円周率の4万桁暗唱でギネス記録(当時)を樹立し、昨年は「目隠し状態」でルービックキューブの全面を揃える競技で世界最高齢記録を自己更新したという驚異の脳力者、友寄英哲さん(84)でしょう。

 自著『老ける脳と老けない脳』も持つ友寄さんの日常は、22時就寝の8時間睡眠をとり、玄米や魚・野菜中心に「よく噛んで」1日2食とか。しかも現在84歳の友寄さん、13歳年下の愛妻の介護も日々こなしているというから、前出のDonald氏にも負けず劣らずのアクティブ派といえるでしょう。

(HealthDayNews、Health Pressより)
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