ウォーキングの新常識は「ただ歩くだけではダメ!」

漫然と歩くだけでは筋肉が大きくならず、効果は低い

 健康増進のために、よく「1日1万歩を目標に歩こう」と言われますが、実は、漫然と歩くだけでは、いくらやっても期待するほどの健康効果は得られず、場合によっては逆効果にもなることが分かってきました。「1日1万歩のウォーキングに効果がないわけではありませんが、筋肉は普段より強い刺激がないと太く、大きくはならないのです」と話すのは、信州大学大学院医学系研究科教授の能勢博氏。能勢氏は、今話題の「インターバル速歩」の提唱者です。

 インターバル速歩とは、ややきついと感じるくらいの「早歩き」と通常の速度の「ゆっくり歩き」を3分間ずつ交互に繰り返すウォーキングです。

 1日1万歩を実行すると、確かに血圧も多少下がり、血液も多少サラサラになります。しかし、それだけだと年齢とともに減っていく筋肉量の維持ができません。インターバル速歩で早歩きをする間は、普段よりも強い負荷が筋肉にかかり、その刺激で筋肉が大きくなり、筋力が向上します。また、心肺機能をはじめとした循環器系の機能向上に加えて、筋肉が動くために必要な糖質の代謝機能も改善されて、血糖値も下がります。


黄金律は「1日8000歩、その中に20分の中強度の運動」

 いくら毎日1万歩を歩いても、やり方が悪ければ何の効果も期待できません。お勧めは1日8000歩で、その中に20分の中強度の運動を取り入れる歩き方です」と話すのは、東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室長の青柳幸利氏。

 「私たちはふだん何気なく『歩く』という言葉を使っていますが、『歩く』という行為には “量と質” という2つの観点があります。量は歩いた『歩数』。質とはどれだけの強さで踏み込んで歩いたかという『運動強度』。これまでは『歩数』だけを気にする方が多かったのですが、実はどれだけの運動強度で骨や筋肉に刺激を与えることができるかが運動においては重要です。なぜなら、多くの人は加齢とともに骨密度が減ったり、人体最大の“熱生産工場”である筋肉の量が減ることで体温が低下したりし、病気を引き起こしやすくなります。しかし、運動により体に適度な刺激を与えることで、骨密度や筋肉量の低下、ひいては体温の低下を防ぐことができるからです」(青柳氏)。 

 青柳氏が提唱する「中強度の運動」というのは、具体的には「なんとか会話ができる程度の運動」。早歩きや階段上り、スクワットなどの筋トレでもOKで、その人の年齢や体力に応じて適度な負荷の運動を選びます。


歩幅を「プラス10cm」するだけで筋トレ効果が!

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 筋肉に刺激を与えながら歩くには、ウォーキングに早歩きや階段上がりを組み込むほかに、「プラス10cm」の歩幅を心がけることも有効です。老化予防に有効な運動に詳しい東京都健康長寿医療センター研究所の金憲経さんは、「歩幅が大きくなると自然にスピードが上がって、足圧も増し、筋トレ効果が期待できます。歩いているうちに、いつの間にか元の歩幅に戻るでしょうが、思い出すたびに『プラス10cm』 を思い出して、心がければ大丈夫です」とアドバイスします。


ダイエットも即効性の有酸素運動+筋トレで体型維持!

 筋肉を鍛えることは、ダイエットにおいても重要です。一般には、体重を落とすためにはジョギング、ウォーキング、スイミングなどの有酸素運動が効果的といわれています。確かに有酸素運動には即効性がありますが、有酸素運動を止めた結果、徐々に体重がリバウンドしてしまう人も少なくありません。

 少々食べても運動しなくてもよい状態を保てる「ダイエット体質」を手に入れる、つまり、エネルギー代謝が高く“太りにくい身体”になるために、有効なのは筋トレです。


わざわざジムに通わなくても、意識すれば筋肉は鍛えられる!

 筋肉を鍛えるといっても、わざわざジムに通う必要はありません。ウォーキングに早歩きを取り入れる、上り坂や歩道橋を組み込む、オフィスや駅ではエレベーターやエスカレーターを使わず階段を使うなど、日常生活の小さな工夫でOKです。

(日経Goodayより)
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