地球は「プラスチックの惑星」!

 石油を原料にして作られるプラスチックは現代人の生活に欠かせないものになっていますが、ガラスや金属のように溶かしてリサイクルすることが容易ではなく、その多くは埋め立てることで廃棄されています。ある研究チームがこれまでに人類が作りだしてきたプラスチックの量を算出したところ、その総量は実に83億トンにものぼり、まさに地球は「プラスチックの惑星」とも言える状態になっているといいます。


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 カリフォルニア大学サンタバーバラ校に所属するインダストリアル・エコロジスト(工業生態学者)らによる研究チームは、プラスチックが大規模に生産されだした時点を第二次世界大戦終了後の1950年とし、そこからおよそ65年間で人類が生産してきたプラスチックの量を重量ベースで算出し、「83億トン」という数値をはじき出しました。これは人類が生みだしてきた物質の中でも極めて多いもので、ゾウに換算すると1億頭分、鉄とコンクリートでできた総重量「4万1000トン」の東京スカイツリーだと20万棟分に相当します。

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 プラスチックは軽量でありながら丈夫さを備えるという特長を持っており、身の回りのあらゆる場所で使われていると言っても過言ではありません。特に、荷物や製品を輸送する際のコンテナとして優れた特性を備えていることから産業分野でも多く使われているのですが、その70%は非常に短い期間だけ使われて廃棄されるという運命をたどっています。研究チームの主要メンバーであるローランド・ゲイヤー博士は「人類はものすごいスピードで『プラスチック惑星』に向かっています。そのような星に住みたくないと思うのであれば、特にプラスチックのような素材の使い方について考え直す必要があります」と語っています。

研究チームが算出した内容からは、以下のようなポイントが浮き彫りになっています。

・これまでに生産されたプラスチックの総量は83億トン

・そのうち半分は、過去13年間で生産された

・過去に生産されたプラスチックの30%が今でも使われ続けている

・廃棄されたプラスチックのうち、リサイクル処理されたのはおよそ9%のみ

・約12%は焼却処分され、実に79%は埋め立て処理されている

・最も使用期間が短いのは梱包材として使われるもので、1年以内で廃棄される

・逆に最も長く使われているのは、建設および機械に使われているプラスチックで

ある

・現在のトレンドのまま状況が進むと、2050年には120億トンの廃棄プラスチッ

クが生みだされる計算

・2014年における地域ごとのリサイクル率:ヨーロッパ30%、中国25%、アメ

リカ9%


 現在では、生物資源から作られるバイオプラスチックなど、微生物を使って分解できる生分解性プラスチックなどが開発されていますが、どうしてもコストが高くなってしまうために採算ベースに乗らず、安価な埋め立て処理が行われているのが現状。また、プラスチックをリサイクルすることもコストがかかり、石油から新たにプラスチックを作り出すほうが安くあがるという事実からも、プラスチックの生産を止める原動力が生まれてこない状況が作り出されています。

 日々生み出され、リサイクルや分解することも難しいプラスチック廃棄物は次々に地上にたまり続けており、計算上はアルゼンチンの国土をすっかり覆い尽くすほどの量が地球上に存在していると考えられています。研究チームはまずはその実態を明らかにすることで、人類が実は直面している問題に人々の目を向けさせたいと考えているとのこと。ゲイヤー博士は「我々のチームの信念は『量っていないものは管理できない』というものです。私たちは数字だけを公表することで世界が何をすべきかを伝えるつもりでしたが、実際には世界が一致して立ち向かうための議論を始めることを促すことになりそうです」と語っています。

(BBC News―Gigazineより)

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ものみな汝を待てり(BWV187)

 三位一体主日後第7主日に聴く日曜カンタータは、ライプツィヒ3年目の1726.8.4に初演された力作のカンタータです。

 「ルードルシュタット詩華選」のテキストに基づく7つのカンタータの1曲で、特色は全体が2つに区分され、第1部と第2部の冒頭で、旧約・新約の聖句がそれぞれ引用されていることです。


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 当日用の福音書聖句は、群衆が空腹であることを憐れんだイエスが、7個のパンを裂き、4000人を満腹にさせたという奇跡について語っています。

 創造性に富む個性的な作品で、冒頭の合唱が後にミサ曲ト短調(BWV235)の第6曲に転用され、他にも第3曲から第5曲が同じミサ曲に転用されていることからも、BACHにとって自信作の一つであったものと思われます。


 シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド、鈴木美登里(S)、マグダレーナ・コジェナー(MS)、クヌート・ショッホ(T)、ヤン・ファン・デル・クラッベン(B)の演奏でお聴きください。





ものみな汝を待てり(BWV187)

第 1 部

1. 合唱

„Es wartet alles auf dich, daß du ihnen

「人は皆、あなたがその時に、食事を与えて

Speise gebest zu seiner Zeit.

くださるものと期待して待っています。

Wenn du ihnen gibest, so sammlen sie;

あなたがお与えてくださるので、彼らは集まり、

wenn du deine Hand auftust,

あなたが御手を開かれるので、

so werden sie mit Güte gesättiget.“

彼らはそのご好意に満足するのです。」

2. レチタティーヴォ (バス)

Was Kreaturen hält

神は、この全世界でどれほど多くの創造物を

das große Rund der Welt!

お養いくださるのだろうか!

Schau doch die Berge an, sie bei tausend gehen;

見るがいい、幾千と連なりゆく山々を。

was zeuget nicht die Flut?

満ちる水は何を示しているのか、

Es wimmelnStröm und Seen.

その水は流れとなり、湖に満ち溢れる。

Der Vögel großer Heer

鳥の大群は

zieht durch die Luft zu Feld.

天空をよぎって野へと進むのだ。

Wer nähret solche Zahl,

誰がこれほどの数を養いうるというのか

und wer

また誰が

vermag ihr wohl die Notdurft abzugeben?

彼らに必需品(食べ物など)を与えうるのか?

Kann irgendein Monarch nach solcher Ehre

どのような君主が、このような栄誉のための

streben?

努力をなしえるのか。(誰もなしえない)

Zahlt aller Erden Gold

全ての地上の黄金をもってしても

ihr wohl ein einig Mahl?

彼らの一食さえも支払いうるのだろうか。

3. アリア (アルト)

Du Herr, du krönst allein das Jahr mit deinem Gut.

主よ、あなただけが豊作の年の恵を授けてくださいます。

あなたのたどられた道筋には

Es träufet Fett und Segen

Auf deines Fußes/allen deinen Wegen,

油と祝福がしたたり、

Und deine Gnade ists, die allen Gutes tut.

そこであなたの恵、すべての良きことが行われるのです。

第 2 部

4.アリア (バス)

„Darum sollt ihr nicht sorgen noch sagen:

「だから決して思い悩むな、言うな。

Was werden wir essen,

何を食べようか、

was werden wir trinken,

何を飲もうか、

womit werden wir uns kleiden?

何で着飾ろうか、と

Nach solchem allen trachten die Heiden.

それらのことはみな、異邦人が求めていることなのだから。

Denn euer himmelischer Vater weiß,

でも、天の父は知っておられる、

daß ihr dies alles bedürfet.“

お前たちがこれらのものをみな必要としていることを。」

5.アリア (ソプラノ)

Gott versorget alles Leben,

神はこの地上に息づくすべての命を

Was hienieden Odem hegt,

養ってくださいます、

Sollt er mir allein nicht geben,

神は私だけに与えてくださったりはしません、

Was er allen zugesagt?

神は人皆に何を約束してくださったのでしょうか。

Weicht ihr Sorgen, seine Treue

悩みよ、消え失せよ、誠の神は

Ist auch meiner eingedenk

私のことをも覚えていてくださる。

Und wird ob mir täglich neue

だから沢山の父の愛をこめた賜物によって、

Durch manch Vaterliebs-Geschenk.

そのことは、日々新たになるのです。

6. レチタティーヴォ (ソプラノ)

Halt ich nur fest an ihm mit kindlichemVertrauen

わたしは、子供のような信頼感をもって神にのみ堅く頼ります。

und nehm mit Dankbarkeit, was er mirzugedacht

感謝の気持ちをもって神がわたしに与えてくださるものを受けとります、

so werd ich mich nie ohne Hülfe schauen,

そうすれば、私はけっして助けの得られない身になることはないのです、

und wie er auch vor mich die Rechnung hab’ gemacht.

神はこのように私にも気をつかってくださいます。

Das Grämen nützet nicht, die Mühe ist verloren,

悲嘆は役に立たず、労苦は損失です、

die das verzagte Herz um seine Notdurft nimmt:

必需品(食料など)を得るために弱気になることはありません。

der ewig reiche Gott hat sich die Sorgeauserkoren,

永遠に豊かな神は、自ら配慮してくださるのですから。

so weiß ich, daß er mir auch meinen Teilbestimmt

私は、知っています、神が私の取り分を決めてくださることを。

7.コラール

Gott hat die Erde zugericht’,

神は大地を整えられた、

Läßt’s an Nahrung mangeln nicht;

食物が足りなくなることがないように。

Berg und Tal, die macht er naß,

山や谷を潤わされた、

Daß dem Vieh auch wächst sein Gras;

その草が家畜たちを大きく育てられるように。

Aus der Erden Wein und Brot

神は大地からぶどう酒とパンを作り出され、

Schaffet Gott und gibt’s uns satt,

私たちに十分に与えてくださった、

Daß der Mensch sein Leben hat.

人々がその命を保てるように。

Wir danken sehr und bitten ihn,

私たちは深く感謝し、また、請い願います、

Daß er uns geb des Geistes Sinn,

聖霊の意味を教えてくださるように、

Daß wir solches recht verstehn,

それらを正しく理解できますように、

Stets in sein’ Geboten gehn,

あなたの戒律によって正しく歩めますように、

Seinen Namen machen groß

そして、あなたの御名がキリストによって

In Christo ohn Unterlaß:

絶えず大いなるものになりますように。

So sing’n wir recht das Gratias.

それ故に、私たちは感謝の祈りを心から歌うのです。

                     対訳:ターフェルムジーク鎌倉

マルコによる福音書 8章 1-9

 そのころ、また群衆が大勢いて、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「群衆がかわいそうだ。もう三日も私と一緒にいるのに、食べ物がない。

空腹のまま家に帰らせると、途中で疲れ切ってしまうだろう。中には遠くから来ているものもいる。」弟子たちは答えた。「こんな人里離れた所で、いったいどこからパンを手に入れて、これだけの人に十分食べさせることができるでしょうか。」イエスが、「パンは幾つあるか」とお尋ねになると、弟子たちは、「七つあります」と言った。そこで、イエスは地面に座るように群衆に命じ、七つのパンを取り、感謝の祈りを唱えてこれを裂き、人々に配るようにと弟子たちにお渡しになった。弟子たちは群衆に配った。また、小さい魚が少しあったので、賛美の祈りを唱えて、それも配るようにと言われた。人々は食べて満腹したが、残ったパンの屑を集めると、七籠になった。およそ四千人の人がいた。イエスは彼らを解散させられた。

「トランス脂肪酸」制限で循環器疾患の減少に効果も (米国)

 揚げ物やマーガリン、ショートニング、それらを原材料に使ったパンなどに含まれるトランス脂肪酸の外食産業などでの使用を2007年以降に制限したニューヨーク州の11の郡で、循環器疾患(心筋梗塞または脳卒中)による入院率が低下したことが明らかになりました。



日本人の7倍以上のトランス脂肪酸を摂取する米国

 トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質の一種で、天然由来のものもありますが、多くは工業由来のものです。具体的には

(1)ドレッシングなどの植物油を精製する際に、脱臭処理の工程で生じるもの

(2)植物油に水素を加えて固形のマーガリンやショートニングなどを製造する際に生じるもの

(3)揚げ物など、油を高温で加熱する調理のときに生じるもの、に分けられます。

 人工的に生じたトランス脂肪酸は代謝されにくく、循環器に有害な影響を及ぼすことが知られていますが、トランス脂肪酸の摂取量が多い人では、脳卒中、冠動脈疾患、心臓突然死のリスクが高いといわれています。

 そこで、国民のトランス脂肪酸摂取量が、日本人の7倍以上となっている米国では、10年ほど前から、地方自治体レベルでトランス脂肪酸の摂取を減らす試みが行われてきました。ニューヨーク州の11の郡でも、2007年から2011年までの間に、トランス脂肪酸の使用の制限を開始しました。

 これに遅れて、米食品医薬品局(FDA)は、米国民の食事から、天然以外のトランス脂肪酸をほぼすべて排除するための政策を2018年に実施することを公表しています。しかし、トランス脂肪酸の摂取を制限することが、住民の健康にもたらす利益について検討した研究は、これまでありませんでした。

 そこで米Yale大学医学部のEric J. Brandt氏らは、ニューヨーク州を構成する郡の中で、トランス脂肪酸の制限を行った郡と行わなかった郡の住民を対象に、循環器疾患(心筋梗塞または脳卒中)による入院率を比較することにしました。


制限なしの郡に比べて、心筋梗塞などによる入院が6%減

 米国内の大都市としては最初にトランス脂肪酸を制限したニューヨーク市にならって、ニューヨーク州の一部の郡は、レストラン、カフェテリア、ベーカリー、ケータリング、高齢者向け給食サービス、料理の移動販売、(貧困者のための)無料食堂、公園内の売店、ストリートフェアに出店する屋台などで提供する料理を対象に、トランス脂肪酸の制限を実施しました。具体的には、1人前当たりのトランス脂肪酸含有量を0.5g未満にするよう指示しました。ただし、製造事業者が製造、包装して提供するクラッカーやポテトチップスなどの食品には、この規制は適用されません。

 研究者たちは、ニューヨーク州内の都市化レベルの高い郡の中から、こうした制限を行った11郡と、制限を行わなかった25郡を選び、それぞれの住民の2002年から2013年までの入院記録を調べて、心筋梗塞または脳卒中によって入院した患者の割合を比較しました。

 ニューヨーク州では、トランス脂肪酸の制限開始前から、心筋梗塞と脳卒中による入院と、心筋梗塞による入院、脳卒中による入院は、毎年減少する傾向にありました。そこで、トランス脂肪酸の制限が、予想された減少率を超える入院率の減少をもたらしたかどうかを調べました。

 制限開始から3年以上経過した時点で、トランス脂肪酸を制限した郡(制限郡)の住民の心筋梗塞と脳卒中による入院の減少は、減少傾向から予測される値より明らかに大きくなっていました。トランス脂肪酸を制限しなかった郡(非制限郡)に比べ、心筋梗塞と脳卒中による入院は6.2%少なく、これを10万人当たりにすると43人がこれらによる入院を免れたことが明らかになりました。トランス脂肪酸制限の利益は、男性、女性の両方に、同様に認められました。

 内訳を見ると、心筋梗塞による入院は、制限郡では7.8%少なくなっていました。脳卒中による入院も、制限郡で3.6%少なくなっていましたが、脳卒中に関しては、非制限郡との差は、統計学的に意味のあるレベルではありませんでした。

 ニューヨーク州内で行われたトランス脂肪酸制限は、開始から3年以降に、循環器疾患による入院を減らしていたことが明らかになりました。米国全土で制限が開始されれば、米国民の循環器疾患患者は意義のあるレベルの減少を示すと期待されます。


日本人はこの結果をどう生かせばよい?

 さて、日本人はこの結果を日常生活にどのように生かせばよいのでしょうか。内閣府食品安全委員会は、多くの日本人において、「通常の食生活を継続する限りは、トランス脂肪酸の健康への影響は小さいが、脂質に偏った食事をしている人は留意する必要がある」としています。

(Nikkei Style ヘルスUpより)

耳が遠いと認知症になりやすい?

 超高齢社会を迎え、加齢性難聴の患者数も年々増加しています。世界保健機関(WHO)では会話領域の平均聴力レベルが25dBHLを超えると難聴と定義しており、国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」という疫学調査によれば、聴力レベルが25dBHLを超える難聴の有病率は65歳以上から急激に増え始め、75~79歳では男性71.4%、女性67.3%、80歳以上になると男性84.3%、女性73.3%が難聴という結果でした。


地域住民を対象に調査して得られた難聴有病率

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 聴力が低下すると、相手の声、話の内容が聞きとりにくくなり、話し相手が繰り返し話しかけたり、大きな声を出さなければいけなくなるなど、コミュニケーションの工夫や努力が必要となります。仮に高齢者1人に家族が2~3人いるとすれば、難聴がもたらす影響は、本人を含めて、国民の4500万~6000万人に及ぶ深刻な問題といえます。

 問題は難聴だけではありません。難聴があると認知機能の衰えが進むことも同疫学調査から分かってきています。認知機能は加齢に伴い誰でも低下していくものですが、難聴があるとその衰えは顕著になります。しかも、難聴によって衰える認知機能は、加齢に伴い成熟する知識や言語能力など、老化によって衰えないとされる領域にも及ぶといいます。


なぜ難聴だと認知機能が低下するのか?

 難聴があると、どうして認知機能も低下するのか、その理由はまだ明確には解明されていません。しかし、いくつかの仮説が考えられています。仮説のひとつが、「共通原因説」。脳にはたくさんの神経細胞が集まっています。例えば動脈硬化や糖尿病などは神経を障害しますが、音を聞きとる感覚神経と、認知機能をつかさどる中枢神経に同時に影響が及ぶと、同時並行で聴力と認知力の機能低下が起こります。つまり、難聴があるから認知症になるのではなく、難聴と認知症に共通の原因が作用するという考えが共通原因説です。

 もうひとつは、「Effortful Listening仮説」あるいは「認知負荷理論」というものです。Effortful Listeningは努力して聞くということ。私たちの脳には、パソコンでいうところのワーキングメモリー(情報を一時的に保ちながら操作するための領域)があり、例えば、「2階にメガネを忘れたから取ってこよう」という行為は、このワーキングメモリーに入れられて、一時記憶として保存されます。

 しかし、2階に行ったときに、ちょうど雨が降ってきたからとあわてて洗濯物を取り込んだりしていると、「メガネを取ってこよう」という最初の記憶が「洗濯物を取り込む」という記憶に上書きされる形で消されてしまい、1階に戻ってから「肝心のメガネを忘れた!」となります。これはワーキングメモリーの容量が限られているために、あれもこれもと同時にやろうとする結果起こる物忘れです。

 実は難聴のある人は、日常生活で、耳から入ってくる少ない情報から内容を理解するために、無意識のうちに人よりも多くのワーキングメモリーを消費してしまっていると考えられています。例えば、電車内の聞きとりやすいアナウンスならば小説を読みながらでも内容を理解できますが、音声の悪いアナウンスを聞きとる場合は、他の作業を止めて耳を澄まし集中しなければ聞きとれません。難聴がある人は、日常的に、音声の聞きとりに多くのワーキングメモリー容量を使ってしまい、それが認知機能の低下に影響するという理論です。

 また、「誤解」説というものもあります。これは難聴が原因で、認知機能のテストで実力よりも低く評価されてしまうというものです。一般的な認知症の検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)や長谷川式の認知機能検査は、音声指示で行われるために、聴力が低下していると不利になり、質問をあいまいにしか聞きとれなかったり、聞きとるのに労力を使ってしまい記憶に定着しにくくなるなどして、実際の能力より検査結果が低く出る可能性があります。

 実験的に聴力が正常な人に、聞きとりにくい音声加工で擬似難聴の条件を作り認知機能の検査をしたところ、重い難聴レベルの音声では約9割の人が認知症患者と同レベルの結果になってしまったという研究報告もあります。通常、認知機能の検査をする場合は、検査の前に会話をして聴力がどの程度か確認し、必要に応じて質問を文字で見せるなどしますが、中には聴力が衰えていることが見逃されることもあるといいます。

 最後の「誤解」説は別にして、難聴と認知症がお互いに関連していることは明らかです。厚生労働省が2015年に発表した「認知症施策推進総合戦略」の中でも、認知症発症の危険因子として、加齢、遺伝性のもの、糖尿病、喫煙などとともに、難聴が掲げられています。


聴力機能は一度壊れたら元には戻らない

 難聴を引き起こすすべてのメカニズムはまだ解明されていません。しかし、難聴の危険因子としては加齢のほかに遺伝的要因や糖尿病、喫煙など様々なリスクが考えられています。中でも難聴を起こす最も大きな原因と考えられているのが、騒音です。

 若い頃に大きな音を長期間にわたって聞いていると、年を取ってから難聴になるリスクは高くなるといいます。10代や20代の頃に、大きな音量で音楽などを日常的に聞いていると、60歳を過ぎてから加齢性難聴になるリスクは非常に高くなります。また、大音量に長時間さらされると40歳くらいで難聴が起こることもあります。怖いのは、聴力機能は一度壊れたら元には戻らないということです。

 大音量から耳を守るためには、できるだけ大音量に耳をさらさないことが大事です。コンサートなども1時間に5分くらい休憩を入れるといいといいます。工事現場で仕事をしている人などで、その場から抜けられない場合は、耳栓をして耳を休めるようにしてもいいでしょう。またライブハウスなどではスピーカーの近く、音の反響がある壁の近くは避けることも重要です。

 また、高齢者の場合、難聴かと思ったら、耳あかがたまっていたというケースもあるといいます。通常、耳は自浄作用があるので、耳あかは外側へ押し出されるのですが、高齢になると自浄作用が低下して、耳の奥に耳あかがたまってしまうことがあります。健康診断では、聴力の検査はしても耳の中まで調べることはありません。耳の聞こえが悪くなったなと思ったら、年だから仕方がないと思わずに、一度、耳鼻咽喉科でしっかり中まで調べてもらうことも大切です。

 高齢者の難聴、そして難聴と認知症の関連はまだ分からないことも多いのですが、できるだけ若いうちから、騒音に耳をさらさないようにして、聴力の低下を予防することが大切といえそうです。

(日経Goodayより)

精子数の減少によって人類絶滅する可能性

 これまでに発表された研究内容やデータから、ここ数十年で男性の精子の数が減り続けているという見方が研究者らによって示されています。「精子の数が減っている」とする主張には懐疑的な目を向ける研究者らも存在しますが、新たな研究では、約40年の間に行われた200近い研究内容が分析され、現在の傾向が続けば「人類は絶滅する可能性」さえあることが示されました。



 1973年から2011年までに行われた185の研究を分析した結果、北アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・ニュージーランドで暮らす男性の精液の濃度が9900万/mlから4710万/mlになっており、年間平均1.4%ずつ減少していくことで、調査期間内で52.4%も減少していると判明しました。トータルの精子の数は59.3%減少していたとのこと。また、この減少率は現在も継続しており、国によっては加速傾向にあることもわかっています。

 今回の調査を率いたヘブライ大学の疫学者であるHagai Levine氏は、「生活のあり方や環境、そして化学物質にさらされている現在の状況を私たちが変えなかったときの未来を、私は懸念します」「最終的に生殖の問題、そして人類の絶滅という問題を抱くでしょう」とBBCに対して語っています。



 一方で、南アメリカ・アジア・アフリカで顕著な減少は見られなかったとのこと。しかし、これらの国々ではデータの元となる調査の数自体が少ないという点を研究者らは指摘しており、Levine氏は、最終的には南アメリカ・アジア・アフリカという国々でも精子の数が減少するのではないかと危惧しています。

 ただし、この研究自体については賞賛しつつも、「人類が絶滅するかもしれない」という見方に対しては懐疑的な目を向ける専門家たちもいます。データの元となった研究の中には、不妊治療院を訪れた少数の男性を被験者として調査しているものなど、十分な研究結果とはいえないものが交じっているためです。また、「精子の数が減少している」という結果は、「精子の数が増加している」という内容の論文よりも出版されやすいという点や、初期の研究で用いられた測定方法は精子の数を過大評価していた可能性も指摘されています。

 シェフィールド大学のAllan Pacey教授のように、「私は『近年、精子の数が減少している』と主張する数多くの研究に対して納得していませんでした。しかし、今日発表されたLevine氏の研究は、過去の研究の欠陥を、真正面から扱ったものです」と語る研究者もいます。Pacey教授は今回の研究は「間違いの可能性を減らしている」と評価しつつも、全ての間違いを取り除けているわけではなく、調査結果は慎重に扱わなければならないとしています。

 「精子の数が減少している」という研究結果はいまだ議論のまっただ中であり、結論が出ているわけではありませんが、今回の研究は、これから行うべき調査の内容の方向を明確にする第一歩だと言えます。これまでの研究では精子が減少する明確な原因はわかっていないものの、農薬・プラスチックなどに含まれる化学物質や、肥満・喫煙・ストレス・食生活・テレビの見過ぎなどとの関連性が示されています。Levine氏は精子減少を引き起こす原因を特定し、「人工的な化学物質などに規制をもうけるなどして、私たちは行動を起こす必要があります。そして、喫煙や肥満といった問題の解決に取り掛からなければなりません」と語っています。

(BBC News―Gigazineより)

夏に疲労を悪化させる「3大要因」とは?

 疲労が蓄積すると、自律神経の機能が低下して、本来なら対処できるストレス要因に対応できなくなり、体が「バテた」状態になります。「夏バテ」の要因は大きく分けて3つあるといいます。


紫外線が体の疲れを悪化させる!

 私たちが日常「体が疲れた」と口にするときは、「脳が疲れた」状態であり、肉体疲労も精神疲労も、あらゆる疲労は脳の中にある自律神経の中枢が疲れることで起こります。疲労が蓄積した結果、自律神経の機能が低下して、本来なら対処できるストレス要因に体が対応しきれなくなった状態が、いわゆる「バテた」状態です。特に夏は疲労を悪化させる要因が多く、これが「夏バテ」を招くといいます。その要因とは、大きく分けて「暑さ」「紫外線」「寒暖差」の3つです。



 暑い夏でも体が活動できるために、人の体は汗をかきます。汗が蒸発するときに気化熱を奪うことで体の熱を放出して一定の体温を保っているわけですが、この体温調節を担っているのは自律神経です。つまり暑いときは、自律神経がたくさん働かなければならず、その負担が大きくなるから疲れるわけです。

 また、夏(7~8月)は1年のうちでも紫外線量が最も多くなる時期です。紫外線が目から入ることによってその刺激が脳に伝わり、自律神経のうち交感神経が優位になりやすく、疲れやすくなります。これは全身が戦闘態勢をとるようなものだといいます。すべての動物は交感神経を落としてしまうと、アラート機能が働かず、敵に狙われて殺される危険があるため、自律神経が疲れても交感神経をあまり落とさないようにできています。その結果、相対的に交感神経優位になり、さらに疲れを招きやすくなります。

 さらに、暑い屋外と冷房の効いた室内を出入りするたびに、自律神経が急激な上下をくり返し、なんとか交感神経・副交感神経のバランスを保っています。こうした急激な切り替えは、本来、体に備わったシステムとしては想定されていないことなので、結果的に自律神経は疲弊してしまいます。

 疲労回復を左右する最大の要素は「睡眠の質」です。夏バテについても同じで、夏バテを予防・解消する最良の手段は「質の良い睡眠を十分にとること」に尽きます。

 自律神経を酷使しやすい夏は、交感神経が優位になりやすく、夜になっても交感神経が興奮したままで副交感神経優位になりにくいため、睡眠の質が落ちやすい。睡眠リズムをつくっているのも自律神経であるため、リズム自体も狂ってきます。夏こそ、第一に質の良い睡眠をとる工夫を重視すべきでしょう。

(日経Goodayより)

「富の格差」があるように「運動格差」が存在し格差が大きいほど肥満率に影響する

 世界各国の70万人、約6800万日分のアクティビティの分単位のデータをスタンフォード大学の研究チームが解析し、「世界で最も運動量の多い国」「世界で最も運動量が少ない国」がNatureで発表されました。これは過去最大規模で行われた調査で、世界中の人々の1日の平均歩数が4961歩で、平均歩数が最も多いのは中国・香港、少ないのはインドネシアと判明。また、国の中で「富の格差」ならぬ「運動の格差」があるほど、その国の肥満率が高くなることが判明しています。



 研究チームの一員でありバイオエンジニアリングを研究するScott Delp教授によると、今回の研究は、人間の動きについて調査した過去の類似研究の約1000倍の規模とのこと。調査のデータは「ARGUS」から集められ、最も平均歩数が多い国は中国・香港で6880歩、最も少ないのはインドネシアで3513歩であるとわかりました。

 以下の世界地図が各国におけるアプリユーザーの平均歩数を示すもの。灰色で塗られている部分がデータのない国で、平均歩数の多さ・少なさが暖色・寒色のカラースケールで示されています。中国や日本は平均歩数が多いことを示す寒色で、インドネシアの島々は平均歩数が少ないことを示す暖色で塗られています。



 アプリのユーザーの1日あたりの平均歩数について、各国の差をグラフ化すると以下のような感じ。日本は中国に続いて平均歩数が多く、1日あたり約6000歩となっています。日本の後にはスペイン・イギリス・アメリカ・アラブ首長国連邦・ブラジルが続きます。

 今回の研究で明らかになったのは、貧しい人々と裕福な人々の間に「富の格差」があるのと同じように、活動量が多い人々と少ない人々の間に「運動の格差」が存在するということ。そして、このような運動の格差が大きくなると、肥満になる確率も高くなるそうです。「例えば、スウェーデンは運動量が多い人と少ない人の間のギャップが最も小さい国の1つです。また肥満率の少ない国の1つでもあります」と研究チームの一員であるTim Althoff氏は語りました。

 一方で、各国ごとの平均歩数の違いは、そこまで肥満率に影響を与えませんでした。アメリカとメキシコの平均歩数は似たような数ですが、アメリカは運動の格差が大きく、肥満率も高い傾向にありました。

 また、研究者らは、男女の間でも運動の格差があることを発見。運動の格差が小さく、肥満率も低い日本では、運動の男女格差が小さかったとのこと。しかし、アメリカやサウジアラビアのような運動の格差がある国では、女性がアクティビティを行う時間が短かい傾向にありました。運動の格差が大きい国では女性の運動量が劇的に少なく、ゆえに女性が肥満になりやすい傾向があったわけです。

 研究チームは、今回の研究は、世界規模で見た時の肥満パターンの原因を説明するものであり、今後、肥満防止に取り組むための大きな助けになるものと考えています。さらに、各国の違いだけでなく、都市ごとの差異もデータ解析によって明らかになりました。アメリカの中でもニューヨークやサンフランシスコは歩行者に優しい道になっている一方で、ヒューストンやメンフィスは周囲を回るのに車を必要とする土地柄になっています。このような都市を比較した結果、当然ですがニューヨークやサンフランシスコの方が人々はより歩く傾向にあったとのこと。

 以下の青いグラフが歩きにくい都市での1日の平均歩数の変化、緑のグラフが歩きやすい都市での1日の平均歩数の変化を示しています。

 このようなデータを使えば、人々が運動に取り組みやすいよう都市をデザインしていくことも可能だと研究者らは記しています。

(BBC News―Gigazineより)

2017年は観測史上2番目の暑さになることがほぼ確実

 地球全体の気象観測データから、2017年はこれまでの記録の中で2番目に平均気温が高い一年になることが確実視されています。さらに、その変化には単なる「気温の上昇」だけではない、気象の極端化という特徴が明らかになってきています。

 2017年7月17日にアメリカ海洋大気庁(NOAA)が発表した最新のデータによると、2017年の6月は観測史上で3番目に暑い6月だったことが明らかになっています。また、2017年1月からの6カ月間における平均気温を20世紀全体の平均データと比較した際に生じる温度偏差は「セ氏プラス0.9度」となっており、以下のグラフのように、最も暑かった2016年に次いで、2017年は2番目に暑い半年間であったことも明らかにされています。

 また、世界各地の平均気温の状況は以下の図のとおり。色が赤いほど20世紀全体の平均データよりも気温が高かったことを示しているのですが、ほぼ地球全土において気温が平均を上回っていたことがわかります。特に、赤く示されている部分は記録を更新するほどの平均気温に達していたことを示しています。

 2017年は2016年の暑さを超えることはないと考えられていますが、それはエル・ニーニョ現象が発生していないという事実から推測されているとのこと。南米・ペルー沖の東太平洋で海水温が上昇するこの現象は、世界各地で異常気象が発生することとの関連があると考えられているのですが、地球の平均気温にも影響を及ぼす傾向があると見られており、2017年はこの発生が見られないことから、2016年ほどは気温が上昇しないと予測されています。

 とはいえ、長い目で見ると地球の平均気温は明確な上昇を示していることも紛れもない事実といえます。1990年を基準とした時の年間平均気温は以下のようなグラフになり、おおむね右肩上がりで地球が暑くなっている傾向がわかります。


 しかし注目すべきは、単に「地球が暑くなっている」ということでなく、異常気象の発生頻度や規模が増している点にあるとのこと。その一例が、特に北半球で頻発するようになった大雨や、それに起因する洪水により、多くの人が被害を受けています。また、海水温の上昇によりサンゴが死んで白化する「白化現象」が各地で確認されており、世界的に有名なオーストラリアの「グレート・バリア・リーフ」でも2年連続で大規模なサンゴの白化現象が確認されています。

 さらに、南極と北極の氷が減少していることも気候変動に関わりがあると見られています。北極では、冬の時期に氷が発生する規模が小さくなっているほか、南極では総重量1兆トンで九州の半分ほどの大きさがある「ラーセンC棚氷」が南極の棚氷から分離するという出来事があったばかり。これにともない、さらなる棚氷の減少も予測されており、地球の環境は急激な変化の途中であることはほぼ疑いようのない状態であると言えそうです。

(Popular Science―Gigazineより)

救いは我らに来たれり(BWV9)

 今日は三位一体主日後第6主日です。BACHはライプツィヒの第2年目にコラール・カンタータを集中的に作曲しましたが、完全な年巻を完成できなかったため、後年これを補う作業が行われました。1932年にBWV9が補われ、1732.7.20、ライプツィヒで初演されたのが、このコラール・カンタータです。


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 この日の福音書の章句は「殺すなかれ、人を殺したものは裁きを受ける」という律法の再解釈です。イエスは、自分は律法を廃棄するためではなく、それを満たすために来たと述べ、殺人の禁止を、すべての怒りや争いへの戒めとして解釈し直します。

 この曲はパウル・スペラートゥス作詞の同名コラールを基にしています。


 シギスヴァルト・クイケン指揮、 ラ・プティット・バンド 、鈴木美登里(S)、マグダレナ・コジェナー(MS)、クヌート・ショッホ(テノール)、ヤン・ファン・デア・クラッベン(B)の演奏でお聴きください。





救いは我らに来たれり(BWV9)

1.コラール(合唱)

Es ist das Heil uns kommen her

救いが私たちにもたらされた

von Gnad' und lauter Güte;

恵みとただ慈しみの御心によって。

die Werk' die helfen nimmermehr,

人の行いは何の役にもたたない、

sie mögen nicht behüten;

それは私たちの守りにはならない。

der Glaub' sieht Jesum Christum an,

だが信仰はイエス・キリストを見つめる、

der hat g'nug für uns all getan,

私たちすべてのために十分なことを為してくださった方を、

er ist der Mittler worden.

彼こそが神と人との仲介者となられたのだ。

2.レチタティーボ(バス)

Gott gab uns ein Gesetz, doch waren wir zu schwach,

神は私たちに律法を与えられたが、私たちはあまりに弱く

daß wir es hätten halten können.

それを守ることなど及びも付かなかった。

Wir gingen nur den Sünden nach,

私たちはただ罪の道に従い、

kein Mensch war fromm zu nennen;

正しい者と呼ばれるべき人は一人もいなかった。

der Geist blieb an dem Fleische kleben

霊は肉にへばりついたままで

und wagte nicht zu widerstreben.

罪にあらがおうとさえしなかったのだ。

Wir sollten in Gesetze gehn

私たちは律法の道を歩み

und dort als wie in einem Spiegel sehn,

そこでまるで鏡に映すようにして、

wie unsere Natur unartig sei:

私たちの本性がいかによこしまなものか知るほかになかった。

Und dennoch blieben wir dabei.

それなのに私たちはその罪にとどまるばかりだった。

Aus eigner Kraft war niemand fähig,

自分の力では誰一人として

der Sünden Unart zu verlassen,

罪のよこしまから逃れることはできない、

er mocht’ auch alle Kraft zusammenfassen.

たとえ自分の全ての力を呼び起こしたとしても。

3.アリア(テノール)

Wir waren schon zu tief gesunken,

私たちはもはやあまりにも深く沈み込み、

der Abgrund schluckt uns völlig ein,

深淵が私たちを飲み込もうとしている、

die Tiefe drohte schon den Tod,

奈落はまさに死の恐怖を突きつけ、

und dennoch konnt in solcher Not

そのような窮地にもかかわらず、

uns keine Hand behülflich sein.

私たちにさしのべられる手はどこにもない。

4.レチタティーボ(バス)

Doch mußte das Gesetz erfüllet werden;

けれども律法は成就されなければならない。

deswegen kam das Heil der Erden,

それゆえにこの世の救いが現れた、

des Höchsten Sohn, der hat es selbst erfüllt

いと高き神の子の救いが、彼は律法を自ら成就し

und seines Vaters Zorn gestillt.

そして父なる神の怒りを鎮められた。

Durch sein unschuldig Sterben

彼の罪なき死を通して

ließ er uns Hülf’ erwerben;

私たちに救いを得させてくださった。

wer nun demselben traut,

今や彼を信じ、

wer auf sein Leiden baut,

彼の受難に依り頼むならば、

der gehet nicht verloren.

その人は滅びることがない。

Der Himmel ist vor den erkoren,

神の国はあなたがた選ばれた者の前にある。

der wahren Glauben mit sich bringt

真の信仰を抱き

und fest um Jesu Armen schlingt.

イエスに固くすがりつく者の前に。

5.アリア 二重唱(ソプラノとアルト)

Herr, du siehst statt guter Werke

主よ、あなたは善い行いには目を留めず、

auf des Herzens Glaubensstärke,

その心の信仰の強さに目を留められます

nur den Glauben nimmst du an.

あなたが嘉せられるのはただ信仰のみです。

Nur der Glaube macht gerecht,

ただ信仰だけが人を義とし、

alles andre scheint zu schlecht,

その他の全てのものは、

als daß es uns helfen kann.

私たちを救うためには無益なのです。

6.レチタティーヴォ(バス)

Wenn wir die Sünd’ aus dem Gesetz erkennen,

私たちが律法によって罪に気がつくならば、

so schlägt es das Gewissen nieder;

それによって良心は打ちのめされる。

doch ist das unser Trost zu nennen,

けれども私たちの慰めと言うべきなのは

daß wir im Evangelio

私たちが福音においては

gleich wieder froh

すぐに再び晴れやかに

und freudig werden:

喜びに満ちることだ。

dies, dies stärket unsern Glauben wieder.

まさにこのことが、また私たちの信仰を強めてくれる。

Drauf hoffen wir der Zeit,

このことによって私たちは

die Gottes Gütigkeit

神が慈愛をもって私たちに

uns zugesaget hat,

約束された時を待ち望む。

doch aber auch aus weisem Rat

しかしまた神は深い配慮から

die Stunde uns verschwiegen.

その時を私たちに隠された。

Jedoch, wir lassen uns begnügen;

けれども、私たちはそのことに満足する。

er weiß es, wenn es nötig ist,

神はそれが必要な時を知り給い、

und brauchet keine List

そして私たちに対しては何の策略も

an uns: Wir dürfen auf ihn bauen

必要とされないのだから。私たちは神を信頼し

und ihm allein vertrauen.

ただ神のみに依り頼めば良いのだ。

7.コラール(合唱)

Ob sich's anließ, als wollt' er nicht,

たとえ神には人を救うお気持ちなどなさそうに思えても、

laß dich es nicht erschrecken,

そのことにおびえるな。

denn wo er ist am besten mit,

というのは、神が最も近く共におられるときは

da will er's nicht entdecken;

神はそのことを明かそうとされないのだから。

sein Wort laß dir gewisser sein,

神の言葉にさらに確信を持ち、

und ob dein Herz spräch lauter Nein,

そしてもしあなたの心がただただ「否」と言うとしても

so lass doch dir nicht grauen.

それでもなお恐れるな。

                   対訳:葛の葉


マタイによる福音書 第5章 20-26

言っておくが、あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国に入ることができない。

「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。

しかし、私は言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁きを受ける。兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の地獄に投げ込まれる。

だから、あなたが祭壇に供え物を捧げようとし、兄弟が自分に反感を持っているのをそこで思い出したなら、

その供え物を祭壇の前に置き、まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を捧げなさい。

あなたを訴える人と一緒に道を行く場合途中で早く和解しなさい。さもないと、その人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、あなたは牢に投げ込まれるに違いない。

はっきり言っておく。最後の一クァドランスを返すまで、決してそこから出ることはできない。」

父親が高齢であるほど息子はギークになる?

 人の性格を決定づける要因には先天性なものと、生活環境などの後天的な要因が作用していることが知られていますが、新たに発表された研究結果からは父親の年齢が高いほど息子は「ギーク」寄りな人物になるということが浮き彫りになっています。



 ロンドンにあるキングス・カレッジ・ロンドンとニューヨークのマウント・シナイ・アイカーン医科大学Seaver自閉症研究治療センターによる研究チームは、イギリスのTwins Early Development Study(TEDS:双生児の初期発達に関する研究)によって得られたイギリスに住む1万5000人の双子の研究結果から、行動面と認知面におけるデータを取得して分析を行いました。

 TEDSの研究では、双子が12歳に達した際に「非言語IQ」や関心のあることに対する強い集中、社会的孤立の度合いなどを調べるという「ギーク的」な内容に関するオンライン調査を実施しています。同時に、両親に対しては双子がそれぞれ相手からどのように受け止められているか、また、関心のあることに対して多くの時間を割く傾向があるかについての調査を行っています。そして研究チームはこれらのデータをもとに、対象となる子供たちの「ギーク指数」を算出しました。

 その結果、年齢の高い父親を持つ子どもたちは総じて高いギーク指数を示すことが明らかになっています。この結果は両親の社会的、経済的状況や、技能的状況、雇用環境などを踏まえたうえにおいても同じ内容が得られたとのこと。ちなみに、母親の年齢との関連性は特に認められなかった模様です。

 また、これら「ギーク」な子どもたちは、学校で行われる試験で良い結果を残す傾向があることもわかっています。さらに、成長すると、科学・技術・工学・数学のいわゆる「STEM (Science/Technology/Engneering/Mathematics)」の呼ばれる分野で良い成績を残していたことが判明しています。

 この結果について、キングス・カレッジ・ロンドンのMagdalena Janecka博士は「年配の父親を持つことによる恩恵が存在していることを示しています。年齢の高い両親を持つことに関してはマイナス面の影響がこれまでにもわかっていましたが、その一方で教育面、職業面において良い見込みがあることも示されています」と語っています。

 Janecka博士が述べているように、年配の両親を持つ子どもは自閉症や統合失調症など不利な結果(adverse outcomes)に至るリスクの存在が指摘されてきましたが、今回の研究結果は逆に利点と呼べる効果が現れていることも浮き彫りになっています。

 今回の研究では、家族の環境に対する直接的な調査は実施されていませんが、父親の年齢が高いことで、キャリア面でもより高いポジションに位置し、収入が比較的高くなるためにより良い教育を受けることができる、などの要因があるものとみられています。また、両親の年齢の高さと自閉症、統合失調症の症状と「ギーク」な子どもたちが典型的に持つ性格との関係性も暗に示されているとのこと。

 まだ仮説の段階ですが、研究チームはギークさと自閉症に関する遺伝子には共通する部分が存在しているとみており、これらの遺伝子は年齢を重ねた父親において出現する傾向にあると考えているとのこと。Janecka博士は「子どもたちがこれらの遺伝子を持って生まれたとき、彼らは学校で良い成績を収める可能性があります。しかし、これらの遺伝子の影響が強くなると、そしてリスク要因に作用するファクターが存在すると、自閉症の発症につながる可能性があります。これは、自閉症に関する遺伝子と高いIQに関する遺伝子は関連しているという近年の研究結果によって支持されるものです」と語っています。

(Gigazineより)