疲労の予防・改善に本当に効く飲み物、食べ物、サプリメントは?

抗酸化成分はこまめにとる

 疲労の原因に活性酸素による酸化ストレス、いわば「体のサビ」が大きく関わっています。日中、仕事や運動をしているときには、どんどん活性酸素が発生して体がサビている状態です。そのため、それに対抗する抗酸化成分をとると、疲れにくい体をつくる上で力を発揮します。

 抗酸化成分には、ビタミンA・C・Eをはじめ、コエンザイムQ10、カテキンやアントシアニンといった各種ポリフェノールなど、さまざまな種類があります。

 ただ、ポリフェノールは代謝が早く、効果が持続しにくので、ポリフェノールのサプリメントなどを利用する場合、1回にたくさんとるよりも、1日数回に分けてこまめにとる方が効果だといいます。



抗酸化作用が持続するイミダペプチド

 産官学連携の「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」で、さまざまな食品中に含まれる抗疲労成分の効果を評価したところ、最も抗疲労効果が認められたのは「イミダゾールジペプチド」(以下、イミダペプチド)という成分でした。

 このイミダペプチドは、鶏の胸肉などに多く含まれる抗酸化成分で、骨格筋や脳で再合成されてその場で抗酸化作用を発揮します。そのため、他の抗酸化成分に比べて、酸化ストレスに対抗し続ける持続力が高く、1日1回の摂取でも効果が期待できます。渡り鳥が長時間、疲れずに飛び続けることができるのは、羽を動かす胸肉にイミダペプチドが多く含まれているからです。

 「抗疲労プロジェクト」の検証実験結果から、1日当たり200mgのイミダペプチドを最低2週間とり続けると抗疲労効果が現れ、4週間摂取すると75%の人が疲労感の軽減を実感することが確かめられました。

 体にサビをつけにくくする、疲れにくくするという意味で、イミダペプチドは朝・昼に摂取するとより効果的です。

 1日200mgのイミダペプチドは、鶏胸肉100g(鶏もも肉なら300g、ささみなら200gほど)で摂取できます。これ以外に、まぐろやかつおなどの回遊魚、豚肉や牛肉にもわずかながら含まれていので、これらを合わせて1日200mg摂ればよいといいます。毎日、定量のイミダペプチドを摂るには、サプリメントを利用するのも一法です。


クエン酸に疲労回復効果

 「抗疲労プロジェクト」では、イミダペプチド以外にクエン酸にも疲労回復効果があることが分かりました。クエン酸はエネルギーを産生するサイクルを円滑にする潤滑剤のような役割を担っており、細胞がエネルギー不足に陥ったときにクエン酸を増やして「クエン酸回路」を活性化すると、再びエネルギーが産み出されます。したがって、特に、栄養不足の状態で激しい運動をするようなとき、クエン酸をとると、「クエン酸回路」が短時間で活性化し、疲労軽減が期待できます。

 クエン酸はレモンなどの柑橘類や、梅干し、酢など酸味のある食品に含まれます。クエン酸で疲労を回復するなら、レモンで1日2個、梅干しなら1日2個、黒酢なら1日大さじ1杯が目安だといいます。

 ただし、クエン酸単独では、エネルギー代謝は活性化しても、疲れの原因となる活性酸素は防げません。日頃から、疲れを感じる前に抗酸化成分とクエン酸を組み合わせて摂取し、疲労を予防することが大切です。


栄養ドリンクを飲み過ぎると疲れがたまる

 科学的研究が進むにつれ、これまで疲労回復の常識と思われていたことが、覆されることもあります。その一つが、疲れたときについ手が伸びる栄養ドリンクやエナジードリンクです。

 栄養ドリンクは、そもそも日本が貧しくて栄養不足の時代に、脚気を改善するためにビタミンB1を配合した栄養ドリンクが役立ったことから、人気を集めました。しかし、飽食の時代となった今では、通常の食生活をしていれば、わざわざ栄養ドリンクでビタミンB1を補給する必要はほとんどないといいます。

 また、タウリンが多く配合されている栄養ドリンクもありますが、タウリンは体内で必要量を合成できる成分なので、肝臓に働きかける作用が知られているものの、疲労を軽減するという実証はありません。

 加えて、栄養ドリンクやエナジードリンクには覚醒作用のあるカフェインと、気分を高揚させる微量のアルコールが配合されていることが多く、これらの作用により一時的に疲労が軽くようになったと感じることがあるかもしれませんが、日常的に栄養ドリンクなどを飲み続けるのは明らかにマイナスだといいます。

 なぜなら、本質的な疲労回復につながらないどころか、これらの覚醒作用や高揚感が、本来の疲労を覆い隠してしまい、見過ごしたまま、さらに疲労を重ねてしまう危険性が高いからです。

 栄養ドリンクはあくまでも、一時的な目覚まし用と捉え、根本的に疲労をためない生活の仕方を考え直しましょう。


一部のアミノ酸はとりすぎに注意

 人の筋肉を構成する必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンという3つのアミノ酸を総称した「BCAA」(分岐鎖アミノ酸)も、運動時の疲労回復に効果があるとスポーツドリンクやサプリメントに配合されています。確かに、スクワットや腕立て伏せなどの高強度のトレーニングや登山、ボクシングなど、筋肉にダメージが及ぶような運動をしたときには、BCAAが消耗するので、それを補うことには意味があります。


 しかし、「抗疲労プロジェクト」の実験では、BCAAに上記のような運動以外の長時間運動での疲労回復効果は期待できないことが確かめられました。

 BCAAを摂りすぎると、脳内で芳香族アミノ酸をキャッチする受容体を専有してしまい、セロトニンという脳内神経伝達物質の原料となるトリプトファンを脳内で利用しにくくなってしまいます。するとセロトニンの合成が少なくなって、かえって疲労感が増す恐れもあります。


甘いものは疲労解消ではなく癒し

 「甘いものを食べると疲れがとれる」と思う人も少なくありませんがが、これは本当でしょうか。動物は本能的に血糖値が低くなってくるとイライラし、血糖値が上がると副交感神経優位になってイライラが鎮まります。甘いものはすぐにエネルギーに変換され、血糖値を上げるので、イライラが鎮まった結果、ほっとして疲れがとれたような感覚になるのかもしれません。

 甘いものは癒し効果を得る意味では役立ちますが、これによって疲労が解消されることはありません。

(日経Goodayより)

スポンサーサイト

諍いは起これり(BWV19)

 今日、大天使ミカエルの祝日に聴くカンタータは、1726.9.29にライプツィヒで初演された、ピカンダーの歌詞台本による作品で、初演時には第4曲・第5曲が欠けていたとされます。再演時の補填によって見事に完成されました。


Werner-L17-1.jpg


 このカンタータでは、当日の福音書聖句であるヨハネ黙示録を引用しながら、天使とサタンの軍勢との戦いを描き出しています。

 BACHの死後もフリーデマンやエマニュエルが演奏した記録があり、BACHの家庭でも人気があった作品だと言われます。


 エリック・ミルンズ指揮、ラ・バンド・モントリオール・バロック、モニカ・マウフ(S)、デイヴィッド・DQ・リー(CT)、ヤン・コボウ(T)、ステファン・マクラウド(B)の演奏でお聴きください。





諍いは起これり(BWV19)

1. 合唱

Es erhub sich ein Streit.

戦い かくて 起これり

Die rasende Schlange, der höllische Drache

怒れる 蛇 地獄の 龍(りゅう)

Stürmt wider den Himmel mit wütender Rache.

天を 攻め 襲いかかり来たる

Aber Michael bezwingt,

ミカエルは 勝ちて

Und die Schar, die ihn umringt,

たけき 悪魔を

Stürzt des Satans Grausamkeit.

うち倒したり

2. レチタティーヴォ(バス)

Gottlob! der Drache liegt.

見よ 龍 倒る

Der unerschaffne Michael

みつかい ミカエルと

Und seiner Engel Heer

その軍勢は

Hat ihn besiegt.

勝ちたり

Dort liegt er in der Finsternis

暗きに 龍は

Mit Ketten angebunden,

つながれ 伏しおり

Und seine Stätte wird nicht mehr

攻め入りし み国に

Im Himmelreich gefunden.

姿 とどめず

Wir stehen sicher und gewiß,

われら かたく 信じ

Und wenn uns gleich sein Brüllen schrecket,

臆せず ここに 立つ

So wird doch unser Leib und Seel

われらが 身と たま

Mit Engeln zugedecket.

守られたれば

3.アリア(ソプラノ)

Gott schickt uns Mahanaim zu;

守られて あれば

Wir stehen oder gehen,

立つも 進むも

So können wir in sichrer Ruh

あだの 前に われら

Vor unsern Feinden stehen.

安けく あらん

Es lagert sich, so nah als fern,

主の 軍勢 よき 備え ありて

Um uns der Engel unsers Herrn

遠く 近くより 守る

Mit Feuer, Roß und Wagen.

われら かこみ

4.レチタティーヴォ(テノール)

Was ist der schnöde Mensch, das Erdenkind?

人とは そも 何者

Ein Wurm, ein armer Sünder.

地の虫の ごとし

Schaut, wie ihn selbst der Herr so lieb gewinnt,

主 そを 卑しめたまわず

Daß er ihn nicht zu niedrig schätzet

みつかいの 軍勢

Und ihm die Himmelskinder,

これに 送りて

Der Seraphinen Heer,

見張り 守り

Zu seiner Wacht und Gegenwehr,

悪しき あだの 手を

Zu seinem Schutze setzet.

防がしめたもう

5.アリア(テノール)

Bleibt, ihr Engel, bleibt bei mir!

とどまれ かたえに

Führet mich auf beiden Seiten,

天使よ わが かたえに

Daß mein Fuß nicht möge gleiten!

支え みちびけ われを

Aber lernt mich auch allhier

わが足の すべりゆかぬ ため

Euer großes Heilig singen

なれらの きよき ほめ歌 教え

Und dem Höchsten Dank zu singen!

感謝を 主に ささげしめよ

6.レチタティーヴォ(ソプラノ)

Laßt uns das Angesicht

みつかいの 顔

Der frommen Engel lieben

慕いまつる

Und sie mit unsern Sünden nicht

われらの 罪もて

Vertreiben oder auch betrüben.

そを 曇らせたもうな

So sein sie, wenn der Herr gebeut,

世に 別れ 告ぐる日

Der Welt Valet zu sagen,

来たり みちびき

Zu unsrer Seligkeit

み国 めざし

Auch unser Himmelswagen.

運ばしめたまえ

7.コラール

Laß dein’ Engel mit mir fahren

みつかいと 共に

Auf Elias Wagen rot

天駆(あまが)けらしめ

Und mein Seele wohl bewahren,

死せる ラザロのごと

Wie Lazrum nach seinem Tod.

安きを たまえ

Laß sie ruhn in deinem Schoß,

みもとに いこい

Erfüll sie mit Freud und Trost,

慰められて

Bis der Leib kommt aus der Erde

身と たま ふたたび

Und mit ihr vereinigt werde.

よみがえらしめよ

訳詞:大村恵美子


マタイによる福音書第11章、1-11

そのとき、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「いったい、天国ではだれがいちばん偉いのですか」。

すると、イエスは幼な子を呼び寄せ、彼らのまん中に立たせて言われた、「よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。この幼な子のように自分を低くする者が、天国でいちばん偉いのである。

また、だれでも、このようなひとりの幼な子を、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。しかし、わたしを信ずるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海の深みに沈められる方が、その人の益になる。この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。

しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。もしあなたの片手または片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。両手、両足がそろったままで、永遠の火に投げ込まれるよりは、片手、片足になって命に入る方がよい。もしあなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままで地獄の火に投げ入れられるよりは、片目になって命に入る方がよい。あなたがたは、これらの小さい者のひとりをも軽んじないように、気をつけなさい。あなたがたに言うが、彼らの御使(みつかい)たちは天にあって、天にいますわたしの父のみ顔をいつも仰いでいるのである。人の子は、滅びる者を救うためにきたのである。

子どもの頃の経験がDNAを改変させる

 子供時代は誰にとっても人生を左右する大切な時期です。多くの人にとって、幼少期の体験は遺伝子レベルで影響するほどだといいます。米ノースウェスタン大学の研究チームは、子供時代の出来事を特定することで、炎症を制御する遺伝子が改変されるかどうかを正確に予測することに成功しました。これはその後の人生で患う病気が、子供の頃の体験の結果であることを示唆しています。



後天的に変化する遺伝子

 研究チームは、後成的変化のヒントを求めて、炎症に関連する数百の遺伝子を解析しました。彼らが疑っていたのは、子供時代の環境と炎症プロセスに見られる差異との関連性は遺伝子自体に起因するのではないかということです。ゲノムのDNA配列は、妊娠したときに多かれ少なかれ固定されるものですが、個人の遺伝子はその後も修正され続けるという結果がときおり得られています。

 その後成的プロセスの顕著な例の1つがメチル化です。これはメチル(CH3)基がDNAの機能を阻むような形でDNA構造に追加されるプロセスを含むものです。メチル化をはじめとする後成的変化は遺伝子によって書かれている設計図の解釈の仕方に革命を起こしました。かつて遺伝的な運命と考えられていたものが、ささいな環境における出来事であってすら重要な遺伝子に波及効果を及ぼすことが理解されつつあろます。



子供時代の経験が遺伝子の後成的変化に大きく影響

 後成的変化は周囲の変化に素早く反応し、ゲノムを調整するために進化したようです。体には悪影響をもたらす恐れがある遺伝子もあり、それが後成的プロセスによってスイッチが切られれば、人体に有益な場合もあります。これらについての理解は比較的初期の段階ですが、睡眠から経済的水準まであらゆることによって引き起こされます。子供時代は明らかに人生における重要な部分で、この間にその後の健康や幸福感に影響する生物学的プロセスを作り出します。

 今回の最新の研究で用いたのはフィリピンの500人ほどのサンプルで、それらは1980年代初頭まで遡れるデータを含むものです。2005年に採取された血液を使用し、炎症を制御する免疫プロセスに関連する114の遺伝子を解析。それらの遺伝子のうち9つのメチル化が、世帯の社会経済的状況、両親の不在、さらには乾季に生まれたかどうかといった子供時代の変数と密接な関連があることが判明しました。つまり子供時代の特定の経験を知ることができれば、9つの炎症関連遺伝子にスイッチが入るかどうかを予測できたということです。

 炎症は諸刃の剣のようなところがあり、血管を広げ、感染症と戦い、回復を促す手助けをする一方、それが長引けば不快感や損傷が発生したりもします。炎症を制御する遺伝子は特定の状況における効果と費用とのバランスをとっているのかもしれないが、そのスイッチが切られてしまうと再び入ることは滅多にありません。それは後になって病気になる可能性を開くということでもあります。こうしたことは、特定のコミュニティにおいて心臓血管系の病気や炎症関連の病気が発症しやすい理由を説明するかもしれません。

(ScienceAlert―カラパイアより)

座り続ける生活で死亡リスク増、30分毎に運動を

 日常生活の中で座って過ごす時間が長過ぎると、早死にするリスクが高くなるという研究結果を、米国のチームが明らかにしました。一度に連続して座る長さが30分間を超えた場合、リスクはさらに上昇するといいます。米コロンビア大学医学部のキース・ディアス博士が率いるチームが、米内科学会機関誌「AIM」に発表しました。



 チームは白人よりも黒人、とりわけ米国南部の黒人に脳卒中が多発する理由を探るため、米国立衛生研究所(NIH)の出資で実施された地域別、人種別の脳卒中研究プロジェクト「REGARDS」に着目。同プロジェクトに協力した参加者のうち、45歳以上の白人と黒人合わせて7985人の日常動作を、平均4年間にわたって追跡しました。対象者の腰に加速度センサーを装着し、座って過ごす時間の長さを計測しました。研究期間中に死亡した人の数を原因にかかわらず合計すると340人でした。

 チームがデータを分析した結果、対象者全体の平均では、睡眠時間を除いた1日16時間のうち座っている時間が12.3時間、一度に座り続ける長さは11.4分でした。従来の研究で成人は1日のうち平均9~10時間を座って過ごすとされてきましたが、今回は中高年が対象だったこと、自己申告ではなくセンサーを使ったことにより、これを上回る数字が出たとみられます。

 チームによれば、1日に座っている合計時間や、立ち上がらずに座り続ける時間が長くなるにつれ、年齢や性別、人種、体格指数(BMI)、運動習慣にかかわらず、死亡のリスクが高くなることが分かりました。例えば1日に合計13時間以上座る人は11時間前後以下の人に比べ、死亡率が2倍に上昇していました。



 また、一度に座り続ける時間が30分未満の人は、30分を超える人より死亡のリスクが55%低く、90分以上座り続けることが多かった人の死亡率は、そうでない人の2倍近くに達していました。両方の要因を合わせると、1日に計12.5時間以上座って過ごし、一度に30分以上座り続けていた人の死亡率が最も高く、1日12.5時間を下回るグループでは、一度に座る長さの影響はほとんどみられませんでした。

 座るという行動が健康に影響を及ぼす仕組みは解明されていません。専門家の間でも、座っているうちに「インスリン感受性が低下する」「消費カロリーが低下する」など、さまざまな説があります。

 それでは立ったまま作業ができる「スタンディングデスク」を使うのは有効か、という質問に対し、ディアス博士は「座った姿勢より健康的だという根拠は限られている」と述べました。同博士は長時間座る生活が避けられない場合の最善策として、30分ごとに休憩を取って動き回ることを提案。「我々の研究は、この一点を改善するだけで死亡リスクが下がり得ることを示している」と強調しました。

(CNN.co.jpより)

精子の健康改善にくるみが有効の可能性

 くるみが精子の質を改善するという研究結果が発表されました。雄マウスにくるみを豊富に含む餌を与えたところ、通常の餌を与えたマウスよりも精子の運動性や形態が向上したといいます。既にヒトを対象とした研究でも同様の報告がなされており、今回の結果はそれを支持するものです。

 不妊症の約半数は、男性が原因または男性・女性双方の原因によるもので占めると言われます。研究者は、「くるみに含まれるどの成分が良いのかなど、さらなる研究が必要だが、くるみが精子の健康に役立つ可能性が示唆される」と述べています。

くるみ.jpg

ヒトでは1日75gに相当する、くるみが豊富な餌でマウスを9~11週間飼育

 この研究では、野生型マウス(遺伝的な変異が特にない通常のマウス)を2つのグループに分け、一方にはくるみを豊富に含む餌を与え、もう一方には通常の餌を与えて飼育しました。また、遺伝子変異があり精子の活性化が起こりにくいPMCA4欠損マウスでも同様の検討をしました。くるみ食はカロリーの19.6%をくるみで占めており、ヒトに換算すると1日あたり75gのくるみ摂取に相当します。

 9~11週間の飼育期間後に、精子の運動性や形態などを評価して、くるみ食の影響を検討しました。精子の運動性については、非受精能状態(卵子に到達する前の受精能未獲得で、運動性が高い状態)と、受精能状態(卵子に到達する過程で受精能を獲得し、運動性はやや低下した状態)のそれぞれで検討しました。


くるみ食群で精子の運動性と形態が有意に改善

 結果をみると、まず、野生型マウスについては、くるみ食群は通常食群に比べて、受精能非獲得状態と受精能獲得状態の双方で、有意に精子の運動性(精子運動率)が向上していました。一方、PMCA4欠損マウスでは、精子運動率に有意な変化は認められませんでした。

 次に精子の形態をみると、野生型マウスではくるみ食群で通常食群に比し、正常形態の精子が占める割合が有意に高く、また、PMCA4欠損マウスは野生型マウスに比べて正常形態率が有意に低いことが確認されたが、そのような背景のもとにおいても、くるみ食によって正常形態率の有意な改善が認められました。

くるみが酸化ストレスを抑制して精子の質を改善

 くるみが精子の精子運動率や正常形態率を向上させる理由として、くるみが豊富に含有している多価不飽和脂肪酸によって酸化ストレスが軽減され、精子保護的に働くという機序が考えられます。この経路の確認のため精子の脂質過酸化レベルを評価したところ、通常食に比べくるみ食では、脂質過酸化レベルが野生型マウスで約5割、PMCA4欠損マウスでは約4割まで有意に抑制されていました。これにより、くるみ食が酸化ストレスを抑制することで精子の質を改善することが推察さます。


ヒトでの検討と一致する結論

 くるみの精子に及ぼす影響は、動物実験としては恐らく今回の報告が初めてのものですが、ヒトを対象とする研究は既に報告があります。

 21~35歳の男性117人を2群に分け、一方の群のみに1日75gのくるみを摂取しもらったところ、精子の活力、運動性、形態がくるみ摂取群のほうが良好であり、有意な群間差があったといいます。今回のマウスでの研究結果は、ヒトにおけるこの研究結果を支持するもので、くるみの精子に対する作用がより強固に証明されたと言えます。


くるみ食で体重や血清脂質は変化しない

 ところで、「くるみは脂肪分が豊富だから、食べ続けると太ったり血清質が高くなったりするのではないか」と思われるかもしれません。しかし本研究では、くるみ食群と通常食群のマウスの体重の推移は一致しています。また前述のヒトでの検討でも、血清脂質値に群間差がなかったことが報告されています。

 総摂取カロリーを変えず、その一部をくるみに置き換えるという方法において、体重や血清脂質へマイナスの影響が生じる可能性は、今のところ否定されていると言えます。


不妊症の約半数は男性にも原因

 現在、世界中の夫婦の1割近くが不妊症であると言われています。不妊症というと、その原因の多くは女性の側にあると思われがちですが、実際には男性の側に原因があるケースが4分の1ほどを占め、かつ、男女の両方に原因があるケースも約4分の1を占めると考えられています。つまり、不妊症の約半数は、男性の側にも原因が存在するということです。このような男性不妊で悩む多くの夫婦に、くるみが解決の糸口を与えてくれることもあるかもしれません。

(保健指導リソースガイドより)

人間は寿命を伸ばす方向へ進化し続けているらしいことが判明

 研究を行ったのは、コロンビア大学の進化生物学者・Hakhamanesh Mostafavi氏らのチームで、人類が1~2世代でどのように進化しているのかということを調べる数少ない試みだったとのこと。



 「長命である」ことは必ずしも種族を繁栄させることとは一致せず、重要なのは成人するまで生き残って、子孫を少しでも多く残すという点にあります。この視点から考えると、若いうちに致命的な効果を発揮するような突然変異はやがて淘汰されていくというのは自然の成り行きであると理解できる一方で、子孫を残すために適した年齢を過ぎてから効果を発揮する有害な突然変異は、種族の繁栄とは一致せず、淘汰の対象にはならないとも考えられます。

 Mostafavi氏らは、ある遺伝子変異が生存に影響を及ぼすような有害なものなのであれば、その変異体を持つ人々は持たない人々に比べて高い割合で早く亡くなるため、高齢の集団の中ではあまりみられなくなるのではないかと考えました。

 研究で見えてきたことの1つが、アルツハイマー病に強く関連があるとみられているApoE遺伝子の変異体が、70代以上の女性にはほとんどみられなかったこと。アルツハイマー病は、一般的には子どもを作る年齢で発症するものではないので、関連する変異体は淘汰の対象ではないと考えられてきましたが、実際にはそうではなかったということです。同様に、ぜんそく・高コレステロール・高BMI・冠動脈疾患になりやすいと考えられる遺伝子を持っている人も減っていて、ヘビースモーカーになることと関連があると考えられているCHRNA3遺伝子の突然変異についても、変異体を持たない人の方が長生きしているということがわかりました。

 こうした結果を、Mastafavi氏らは、こうした遺伝子変異も子どもに対して何らかの形で影響を与えるものだったので淘汰されつつあると考えているとのことです。

 一方で、長命な人々には、思春期の到来と出産が遅くなる変化の傾向も見られたとのこと。以前から、出産時期の高齢化と長寿との関係は指摘されていましたが、「富」と「教育」の効果が加味されたものだったため、そうした要因を抜きにした今回の研究結果はとても素晴らしいものだと、遺伝学者のJonathan Pritchard氏は語っています。

(Nature―Gigazineより)

もろびとよ歓呼して神を迎えよ(BWV51)

 三位一体主日後第15主日に聴く日曜カンタータは、1730.9.17にライプツィヒで初演されたと思われる作品で、合唱を含まず、ソプラノとトランペットが華麗な競演を繰り広げるヴィルトゥオーソ的なソプラノ・ソロ・カンタータです。1730年台の新しい作風を示しています。


無題.png


 自筆楽譜には「三位一体節後第15日曜日、及びすべての機会に」と記されており、普遍的な神への賛歌となっています。作詞者は不明ですが、第4曲のコラールはヨハン・グラマン作詞の『今こそ主を讃えん、わが魂よ』の一節『父と子と聖霊をほめ讃えよ』を用いています。

 ソプラノの歌唱が高い音域が技巧的に要求され、また同時にトランペットも華やかに活躍しますが、このトランペットは当時ライプツィヒで有名だった楽士ゴットフリート・ライヒェ(1667年 - 1734年)が初演時に担当したものと考えられています。


 モニカ・ハジェットが組織したアンサンブル・ソネリとカナダ出身のソプラノ歌手、ナンシー・アルジェンタの美しい歌声でお聴きください。





もろびとよ歓呼して神を迎えよ(BWV51)

1.アリア

Jauchzet Gott in allen Landen!     

全地よ神に向かって歓呼せよ

was der Himmel und die Welt      

天と地の中にある

an Geschopfen in sich halt,      

被造物はすべて

musse dessen Ruhm erhohen,       

神の誉れを讃えよ。

und wir wollen unserm Gott       

私たちも同じように

gleichfalls jetzt ein Opfer bringen,  

神に供え物を捧げよう

dass er uns in Kreuz und Not      

神は十字架と苦難の中で

allezeit hat beigestanden.       

常に私たちのそばにいて下さるのです。

Jauchzet Gott in allen Landen!     

全地ら神に向かって歓呼せよ。

2.レチタティヴォ

Wir beten zu dem Tempel an,      

私たちは神殿に向かって祈ります

da Gottes Ehre wohnet,         

神の栄光がそこに宿っています

da dessen Treu,so taglich neu,     

神の真実は日毎に新しく

mit lauter Segen lohnet.        

常に祝福を報いて下さいます。

Wir preisen,was er an uns hat getan.  

神がして下さったことを賛美します。

Muss gleich der schwache Mund     

つたない口であっても神の不思議な

von seinen Wundern lallen,       

みわざを語らずにいられません、

so kann ein schlechtes Lob       

たとえつたない賛美であっても

ihm dennoch wohlgefallen.       

喜んで下さるのです。

3.アリア

Hochster mache deine Gute       

至高者よ、あなたの恵みを

ferner alle Morgen neuj!        

朝ごとに常に新しくして下さい。

So soll vor die Vatertreu        

そうすれば父の真実の前に立って

auch ein dankbares Gemute       

私たちの感謝の思いは

durch ein frommes Leben weisen,    

敬虔な生活をすごすことによって

das wir deine Kinder heissen.     

私たちがあなたの子であることを示します 

Hochster mache deine Gute     

至高者よ、あなたの恵みを

ferner alle Morgen neu!        

朝ごとに新しくして下さい。

5.コラール

Sei Lob und Preis mit Ehren      

賛美と誉れと栄光が

Gott Vater,Sohn,hieligem Geist!    

父なる神とみ子と聖霊にありますように。 

Der woll'in uns vermehren,       

どうぞ増し加えて下さい

was er uns aus Gnaden verheisst,    

恵みによって約束されたことを。

dass wir ihm fest vertrauen,      

そして私たちが神にかたく信頼して

ganzlich verlass'n auf ihn,      

すべてをゆだね

dass uns'r Herz,Mut und Sinn      

心と意志と思いのすべてを

ihm festiglich anhangen;        

みなあなたにおまかせできますように。

drauf singen wir zur Stund:      

こうして今こそ私たちは歌います、

Amen!wir werd'ns erlangen,       

アーメン、約束は成就します

glaub'n wir ans Herzens Grund.     

心の底から信じています。

Alleluja!               

ハレルヤ!

川端純四郎 訳詞


マタイ福音書 6章24-34

「だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」

「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」

マグネシウムの多い食品が心筋梗塞のリスクを低下

 魚や大豆などの食品に含まれるマグネシウムを多く摂取している人は、心筋梗塞などを発症するリスクが3~4割低いという調査結果を、国立がん研究センターなどがまとめました。マグネシウムを多く含む魚や果物、野菜、豆類、海藻などをよく食べることが望ましいといいます。


2.jpg


マグネシウム摂取量が増えるほどリスクが低下

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究です。「食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連」研究は、国立がん研究センターと国立循環器病研究センターが共同で実施したものです。

 今回の研究では、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎に在住していた、1995年と98年に45~74歳だった男女8万5,293人を対象に、約15年追跡して調査し、食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患との関連を調べました。

 カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルは必須栄養素で、これらを多く摂取すると脳卒中や虚血性心疾患の予防に有効であることが報告されていますが、日本人を対象とした研究は少ない。研究チームは、食事からのマグネシウム摂取量を、アンケート調査の結果から5等分(Q1~5)に分け、循環器疾患(脳卒中および虚血性心疾患)発症率を比較しました。調査期間中に4,110人が脳卒中を、1,283人が虚血性心疾患を発症しました。解析した結果、虚血性心疾患の発症リスクは、男女とも、食事からのマグネシウム摂取量が増えるほどリスクが低下する傾向がみられました。


男性で虚血性心疾患の発症リスクが34%低下

 ただし、マグネシウムを多く摂取している人は、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルも多く摂取している傾向があり、マグネシウムのみが影響しているかは判別できないので、研究チームは、ナトリウム、カルシウム、カリウムの摂取量を調整した分析を実施しました。

 その結果、男性では、食事からのマグネシウム摂取量がもっと少ないグループに比べ、もっとも多いグループで、虚血性心疾患の発症リスクが34%低いという結果になりました。女性では、摂取量が一番少ない群に比べ、摂取量が中間の群で有意差がみられ、虚血性心疾患の発症リスクが39%低いという結果になりました。

1.jpg

マグネシウムは血糖値と脂質値に影響

 過去の研究では、食事でマグネシウムが足りないと虚血性心疾患の発症リスクが高まることが報告されています。マグネシウムの欠乏は、血圧上昇、血糖代謝低下、動脈硬化促進、脂質代謝異常など、虚血性心疾患の要因と関連しています。

 動物実験では、高マグネシウム食を与えると血糖値と脂質値が下がるという結果になりました。これらはマグネシウムを摂取することが、循環器疾患の予防に効果的であることを示しています。研究チームは、「マグネシウムは魚、果物、野菜、大豆に多く含まれ、これらの食品を多く摂取することで、循環器疾患の予防が期待できる」とまとめています。多目的コホート研究の先行研究でも、魚、野菜・果物、大豆製品の摂取により、循環器疾患の発症リスクの低下が報告されています。

(保健指導リソースガイドより)

アルコールを飲むのをやめると、体に起こる7つの驚くべき事

photo.jpg


1.寝付きが良くなる

 2015年にメルボルン大学のMelbourne School of Psychological Sciencesが発表したアルコール依存症に関する研究によると、アルコールは睡眠を妨害する性質を持つため、夜に目覚めたりイライラしてストレスを感じたりする原因になり、日中に眠気が続いてしまうことがあるとのこと。飲酒をストップすると夜間の睡眠の質が向上するため、目覚めが良くなり、一日をリフレッシュした気分で過ごせるようになることが科学的に証明されています。


2.がんになるリスクが減少する

 アルコールの飲み過ぎが肝臓に悪影響を及ぼすことは周知の事実ですが、アメリカ国立がん研究所によると、乳がん・頭頸部がん・食道がん・大腸がんを引き起こす可能性もあるとのこと。日常的にお酒を飲む人は、断酒するだけで肝臓がんを含む5つのがんリスクを遠ざけることができるわけです。


3.節約になる

 1本1000円のワインのボトルを買う代わりに、数百円で買える水や炭酸水にすればお金の節約になるのは明らか。バーでお酒を飲めば1杯のカクテルで500円以上かかり、場合によってはグラス1杯の炭酸水で数百円を支払うことになります。


4.食べ過ぎなくなる

 National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism(アルコール乱用・アルコール依存に関する国立研究所)の調べでは、適度な飲酒量を守っていても、お酒を飲んでいる間はお酒を飲まない人より食べる量が多くなることがわかっています。


5.ダイエットになる

 4番の「お酒を飲むと食べ過ぎてしまう」ということは、お酒を飲まなければ自然と食べる量が適量になるということ。ピザなどのジャンクな食べ物はお酒のいいお供になりますが、食べ物のデータベースサイト「MyFitnessPal」によると、冷凍マルガリータには1枚あたり300kcal、および糖分が23g含まれています。また、カクテルの種類によっては食事と同レベルのカロリーを含むことがあるため、お酒飲まなければ不要なカロリーをカットすることができます。


6.肌がきれいになる

 アルコールを飲むと脱水と炎症を引き起こし、肌に深刻なダメージを与えます。お酒をやめることは肌にみずみずしさを与えるだけではなく、壊れた血管が減少することで肌の色も良くなるそうです。また、同年齢で20年以上飲酒している人とそうでない人は10歳以上の年の差があるように見えることもあり、お酒を飲まなければ老化の速度を抑えることも可能です。


7.胃酸の逆流が減る

 アメリカ国立医学図書館の発表によると、アルコールは胃と食道の筋肉を弛緩させ、胃酸の逆流を起こしやすくなることがあり、「胃食道逆流症(GERD)」の発症リスクになる可能性があるとのこと。もし胸焼けなどの症状が長く続いているのなら、アルコールを少なくしてみると改善するかもしれません。

 このようにお酒を飲まないことでさまざまな利点が得られるわけですが、継続的に飲酒を続けていた人は、禁酒後の数日間に体の震え、不眠、不安感、ゆううつ、発汗などのさまざまな離脱症状に悩まされる可能性があります。しかし、1週間後には禁酒による利点を体で感じられるようになるとのことです。

(LittleThings.com、Gigazineより)

胃がんの多い日本人 原因はピロリ菌が作るタンパク質

 日本人には胃がんが多いが、その背景にはピロリ菌が作るタンパク質の結合様式の違いがある――そんな研究結果を9月20日、東京大学の研究グループが発表しました。これまでも胃がんの発症にはピロリ菌への感染が関わっていると考えられており、日本を含む東アジア諸国と欧米のピロリ菌には発がん性の強さに違いがあったが、その原因は分かっていませんでした。今回の研究で、東アジアと欧米のピロリ菌には生産するタンパク質の構造に違いがあり、それが発がん性の高さの違いにつながっていることが判明したといいます。

 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、ヒトの胃粘膜にすみつく病原細菌で、感染すると胃潰瘍(いかいよう)や萎縮性胃炎を引き起こすほか、胃がんの発症原因にもなるといわれています。研究グループによると、発がんの過程にはピロリ菌が作り出す「CagA」(キャグエー)というタンパク質が関わっており、これがヒトの胃細胞に侵入して「SHP2」という酵素と結び付くことで、SHP2が異常に活性化し、細胞のがん化が促進されるとしています。


1.png


 中でも日本を含む東アジアにまん延するピロリ菌が生み出すCagAは、欧米型CagAに比べてがん発症への影響が強いとされていたが、両者の違いがどのようにして生まれるかは分かっていなかったといいます。


3.png


 今回研究グループは、2種のCagAを原子レベルで分析し、アミノ酸残基の違いによる立体構造の違いが発がん活性に影響していることを解明。欧米型の持つアスパラギン酸残基よりも東アジア型の持つフェニルアラニン残基の方が、よりCagAとSHP2の結合を安定化させるといいます。また、この安定した結合が胃細胞のがん化を強力に誘導するとしています。


2.png


 今回の研究は、胃がん発症のメカニズムの科学的な解明に役立つほか、胃がんの予防や早期治療の開発などにもつながる可能性があるといいます。研究成果は、米国の科学誌「Cell Reports」(オンライン版)に9月19日付(アメリカ東部時間)で掲載されました。


http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0457530_01.pdf


(ITmedia News、日経速報より)