国交省「バックカメラ」を義務づけ 事故防止で方針

 自動車が駐車場などでバックする時に起きる事故を減らすため、国土交通省は自動車メーカー各社に対し、車の後方の安全を確認する「バックカメラ」の搭載を義務づける検討を始めました。昨年10月に徳島市で視覚障害者がバックしてきたトラックにはねられ死亡した事故がきっかけで、先進的な装置の導入で運転手の死角を補う狙いがあります。



 現在の自動車の保安基準は、車体の前や左右に立つ子供を運転席から視認できなければなりませんが、すぐ後方に関する規定はありません。そこで同省は、自動車の世界的な基準を決める10月の国際会議で、運転席からの目視では確認することが難しい車体直後約3メートル四方の範囲の安全も確保すべきだ、とする新たな規制を提案する方針です。

 米国では先行して、2018年5月以降に販売される乗用車やバスにバックカメラが義務づけられることが既に決まっています。今後は米国向けの輸出車に同様の装置が不可欠となるため、日本の提案は国際会議で承認される公算が大きいといいます。日本の提案は、バックカメラだけでなく、超音波センサーで障害物を検知する「ソナー」の活用も認める内容で、早ければ3年後に国内の保安基準を改定し、それ以降に製造された新車から搭載を義務づけたい考えです。



 同省によると、14年に生産された乗用車のうち、バックカメラの搭載は35%の約153万台、ソナーの搭載は7%の約29万台。それぞれの台数は増加しつつありますが、義務づけによって普及の加速化を図るといいます。

 同省の取り組みの背景には、徳島市で昨年10月、視覚障害者の男性(当時50歳)がバックしてきたトラックにはねられた死亡事故があります。運転手がバック時に警報音で危険を知らせる装置のスイッチを切っていたため、視覚障害者団体が装置の使用を徹底するよう求めました。

 徳島の事故を受け、同省はまず、走行音が静かなことで、歩行者が車の接近に気づかず事故につながるケースが多いとして、ハイブリッド車や電気自動車の消音機能をなくすよう義務化しました。さらにバックカメラの義務化によって運転手の死角を補っていく方針です。同省幹部は「事故防止には歩行者の注意も必要だが、まずは運転手が注意義務を果たすべきだ。バックカメラで死角を補い死亡事故の減少につなげたい」と話します。


低速度で死者も

 近年の交通事故では、死亡者のおよそ3〜4割を歩行者が占めています。駐車場や交差点で低速度の自動車が死亡事故を引き起こすケースも少なくありません。

 国土交通省は2010〜14年の日中に歩行者が車にはねられた死亡事故を分析しました。時速10キロ以下で死亡事故を起こした車の割合を車種別にみると、最も多かったのが大型トラックの32%(死者78人)▽バス29%(同8人)▽スポーツタイプ多目的車(SUV)24%(同11人)でした。車高が高く死角が広い車種が死亡事故を起こす傾向が見られました。低速時ではバックする場合に限らず、右左折の巻き込みでも死者が出ています。このため同省は、10月の国際会議で左右や前方の視界を確保する要件を厳格化することも提案する方針です。承認されれば、一部の車種で補助ミラーを追加して装備するなどの対策が必要となるといいます。

(毎日新聞より)
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