トッカータ(BWV910~916)

 トッカータとは、主に鍵盤楽器による速いパッセージや細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲で、技巧的な表現が特徴です。オルガンやチェンバロの調子、調律を見るための試し弾きといった意味に由来しています。最初期の鍵盤用トッカータは16世紀中ごろに北イタリアで作られました。

 BACHは1710年以前の青年期にクラヴィーアのための6つのトッカータ作曲していますが、これらはオルガンの手鍵盤のための作品とする説もあります。「故人略伝」の作品リストでは6つの組曲やパルティータと同じく6つのトッカータとしてリストアップされています。全7曲のうちホ短調(BWV914)だけは30歳代に作られたといわれます。


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 これらの作品はオルガン曲ほどの華やかさはありませんが、幻想的表現に満ちた若きBACHの大変魅力ある作品です。

 今回も各曲を7人のチェンバリストで聴いてみたいと思います。できるだけ演奏の様子が分かる動画と、比較的若い演奏家も選んでみました。


第1番嬰ヘ短調(BWV910)

 クリスティーネ・ショルンスハイムはグスタフ・レオンハルトやトン・コープマンなどに師事したベルリン生まれのチェンバロ奏者で、演奏会の録画です。



第2番ハ短調(BWV911)

 メノ・ヴァン・デルフトはグスタフ・レオンハルト、ボブ・ファン・アスペレンに師事した1963年生まれのオランダの鍵盤奏者です。



第3番ニ長調(BWV912)

 キアラ・カッターニは1985年生まれのイタリアの若いチェンバロ奏者です。自らYoutubeに投稿した動画です。



第4番ニ短調(BWV913)

 ロレンツォ・ギエルミはイタリアのオルガンニストとして知られていますが、チェンバロの演奏会も開いています。昨年投稿された演奏会の録画です。

 

 

第5番ホ短調(BWV914)

 ハンネケ・ヴァン・プロースジはサンフランシスコの古楽団体、ヴォイセス・オブ・ミュージックのリーダーで、リコーダーも演奏するマルチプレイヤーです。



第6番ト短調(BWV915)

 レオン・ベルベンは1970年生まれのオランダの鍵盤奏者です。グスタフ・レオンハルト、ボブ・ファン・アスペレンに師事し、ムジカ・アンティクヮ・ケルンのメンバーでした。



第7番ト長調(BWV916)

 キアラ・マッシーニは1971年生まれのイタリアのチェンバロ奏者です。ゴルトベルク変奏曲ほかBACHの多くの作品をレコーディングしています。本人が投稿した演奏動画です。



 同じ曲で聴き比べをしないと、この中で好みの演奏家を選ぶのは難しいのですが、トッカータのような作品は、端正な演奏よりも変化をつけた躍動感のある演奏の方が合っていると思います。その意味ではショルンスハイムのような名手よりも次世代の演奏家のほうが演奏の自由度が高く楽しめます。

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