支払いをなせ!そはおそろしき言葉(BWV168)

 三位一体主日後第9主日に聴くカンタータは、ワイマール時代の歌詞作者ザーロモ・フランクの台本を用いて、ライプツィヒ時代の第3年巻に書かれた最初の作品で、1725.7.29に初演されました。


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 この日のための福音書聖句は、「不正な管理人」のたとえで、ある金持ちが、自分の財産を管理人が無駄遣いしていると聞き、呼び寄せて会計の報告をださせようとしたが、管理人は一計を案じ主人に借りのある者を集めて、その証文を安く書き換えたところ、主人は彼のやり方を賢いと褒めたというものですが、聖句の真意がどこにあるのかよくわかりません。歌詞を読んで納得するしかありません。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、ヨハネッテ・ゾマー(S)、ボグナ・バルトシュ(A)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




支払いをなせ!そはおそろしき言葉(BWV168)

1 .アリア(バス)

Tue Rechnung! Donnerwort,

会計の報告を出しなさい!この雷の言葉は

Das die Felsen selbst zerspaltet,

岩さえも砕いてしまう。

Wort, wovon mein Blut erkaltet!

血も凍るような言葉だ!

Tue Rechnung! Seele, fort!

会計の報告を出しなさい!魂よ、早く!

Ach, du musst Gott wiedergeben

ああ、お前は神に返さなくてはならないのだ、

Seine Güter, Leib und Leben.

神からの財、身体、命を。

Tue Rechnung! Donnerwort!

会計の報告を出しなさい!これは雷の言葉だ!

2. レチタティーヴォ(テノール)

Es ist nur fremdes Gut,

所詮は縁遠い宝だ、

Was ich in diesem Leben habe;

私がこの世でもつものは。

Geist, Leben, Mut und Blut

霊、命、勇気と血、

Und Amt und Stand ist meines Gottes Gabe,

職と身分は、私の神の賜物。

Es ist mir zum Verwalten

私には、管理すること、

Und treulich damit hauszuhalten

それによって忠実に家を守ることが

Von hohen Händen anvertraut.

高い御手から委ねられているのだ。

Ach! aber ach! mir graut,

ああ、しかしああ!私は恐ろしい

Wenn ich in mein Gewissen gehe

良心に目覚めて

Und meine Rechnungen so voll Defekte sehe!

自分の会計報告が欠陥だらけなのを見ると!

Ich habe Tag und Nacht

私は日夜、

Die Güter, die mir Gott verliehen,

神が与えてくださった財を

Kaltsinnig durchgebracht!

無思慮に蕩尽してきたのだ!

Wie kann ich dir, gerechter Gott, entfliehen?

どうしたら、正しい神よ、あなたから逃れることができましょうか?

Ich rufe flehentlich:

私は懇願しつつ呼ばわる、

Ihr Berge fallt! ihr Hügel decket mich

山々 よ、落ちかかれ!丘よ、私を覆え、

Vor Gottes Zorngerichte

神の怒りの裁きから、

Und vor dem Blitz von seinem Angesichte!

御顔の発する稲妻から守ってくれ!と。

3 .アリア(テノール)

Kapital und Interessen,

資本と利子、

Meine Schulden groß und klein

私の負債は、大きくとも小さくとも

Müssen einst verrechnet sein.

いつかは清算されなくてはならない。

Alles, was ich schuldig blieben,

負債として残ったものはすべて

Ist in Gottes Buch geschrieben

神の帳簿に書きこまれたのだから、

Als mit Stahl und Demantstein.

鋼鉄とダイヤモンドで刻んだように。

4 .レチタティーヴォ(バス)

Jedoch, erschrocknes Herz, leb und verzage nicht!

それでも、おびえた心よ、生きよ、臆するな!

Tritt freudig vor Gericht!

裁きの前へと、喜ばしく歩むがいい!

Und überführt dich dein Gewissen,

良心がお前に罪を認めさせ、

Du werdest hier verstummen müssen,

沈黙せざるを得ないならば、

So schau den Bürgen an,

保証人を見るがいい、

Der alle Schulden abgetan!

すべての負債を処理した保証人を。

Es ist bezahlt und völlig abgeführt,

支払われ、ことごとく清算されたのだ、

Was du, o Mensch, in Rechnung schuldig blieben;

おお人よ、お前に負債として残っていたものが。

Des Lammes Blut, o großes Lieben!

小羊の血が、(おおなんという愛だろうか、)

Hat deine Schuld durchstrichen

お前の負債を抹消し、

Und dich mit Gott verglichen.

お前を、神と和解させてくれたのだ。

Es ist bezahlt, du bist quittiert!

支払いは行われ、お前は領収書を受けた!

Indessen,とはいえ、

Weil du weißt,お前は知っている、

Dass du Haushalter seist,自分が管理人であることを。

So sei bemüht und unvergessen,だから努力せよ、忘れるな、

Den Mammon klüglich anzuwenden,マモンを賢明に用い、

Den Armen wohlzutun,貧しい人に施すことを。

So wirst du, wenn sich Zeit und Leben enden,

そうすればお前は、時と命が終わるとき、

In Himmelshütten sicher ruhn.

天の幕屋に憂いなく安らぐだろう。

5 .アリア(二重唱)ソプラノとアルト

Herz, zerreiß des Mammons Kette,

心よ、マモンの鎖を断ち切りなさい、

Hände, streuet Gutes aus!手よ、

善きものを配りなさい!

Machet sanft mein Sterbebette,

私の死の床を穏やかにし、

Bauet mir ein festes Haus,

私に堅固な家を建てるがいい、

Das im Himmel ewig bleibet,

天に永遠に残る家を、

Wenn der Erde Gut zerstäubet.

地上の宝が四散しても残る家を。

6 . コラール

Stärk mich mit deinem Freudengeist,

喜びの御霊をもって力づけてください、

Heil mich mit deinen Wunden,

あなたの傷をもって癒してください。

Wasch mich mit deinem Todesschweiß

死の汗をもって洗ってください、

In meiner letzten Stunden;

最期の刻に、この私を。

Und nimm mich einst, wenn dirs gefällt,

そしていつか、心に適うなら私を

In wahrem Glauben von der Welt

まことの信仰のうちにこの世から召し

Zu deinen Auserwählten.

選ばれた者たちへと加えてください!

                    対訳:磯山 雅


ルカ福音書16,1-9

 イエスは、弟子たちにも次のように言われた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この男が主人の財産を無駄使いしていると、告げ口をする者があった。

 そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが、どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』

 管理人は考えた。『どうしようか。主人はわたしから管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし、物乞いをするのも恥ずかしい。

  そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、自分を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』

 そこで、管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで、まず最初の人に、『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。

 『油百バトス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで、腰を掛けて、五十バトスと書き直しなさい。』

 また別の人には、『あなたは、いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』

 主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。
 そこで、わたしは言っておくが、不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる。

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