主よ、まことの神よ、われらから取り去りたまえ(BWV101)

 三位一体主日後第10主日に聴く日曜カンタータは、1724.8.13ライプツィヒで初演されたマルティン・モラーのコラールを用いたコラール・カンタータです。

 このコラールは、1584年、ペストがドイツを襲ったさなかに、痛切な悔い改めの祈りとして作られたもので、エルサレムの滅びを預言する、当日の福音書章句にも対応しています。


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 厳粛な身の引き締まりるような趣のカンタータですが、ドーリア調の旋律はほとんど全曲を通じて響き続け、楽章ごとに多様に変化してゆきます。最後の4声コラールでやっと救いが現れ、苦しみを乗り越えた永遠の安息が歌われて静かに曲が閉じられます。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、キャロライン・スタム(S)、マイケル・チャンス(CT)、ポール・アグニュー(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




主よ、まことの神よ、われらから取り去りたまえ(BWV101)

1.合唱

Nimm von uns Herr, du treuer Gott,

私たちから取り除いてください。主、まことの神よ、

Die schwere Straf und große Not,

厳しい罰と、大きな苦悩を。

Die wir mit Sünden ohne Zahl

私たちが重ねる無数の罪のために、

Verdienet haben allzumal.

これら全てがもたらされているのです。

Behüt für Krieg und teurer Zeit,

守ってください私たちを、戦争と犠牲多き時から、

Für Seuchen, Feur und großem Leid.

疫病と火災と大きな苦難から。

2. アリア (テノール)

Handle nicht nach deinen Rechten

あなたの正義の基準で、私たち罪深い僕を

Mit uns bösen Sündenknechten,

裁かないで下さい、

Lass das Schwert der Feinde ruhn!

敵の剣を収めさせてください!

Höchster, höre unser Flehen,

偉大な御方よ、私たちの願いを聞いて下さい、

Dass wir nicht durch sündlich Tun

私たちが罪深い行いによって

Wie Jerusalem vergehen!

エルサレムのように滅ばないように!

3. コラールとレチタティーフ (ソプラノ)

Ach! Herr Gott, durch die Treue dein

ああ、主なる神よ、あなたのまことによって

Wird unser Land in Frieden und Ruhe sein.

私たちの国が平和と平安で満たされますように。

Wenn uns ein Unglückswetter droht,

天を覆うほどの悲しみが私たちに迫るとき、

So rufen wir,

わたしたちは呼びます

Barmherziger Gott, zu dir

慈しみ深い神よ、あなたに、

In solcher Not:

このような苦しみの中で祈ります。

Mit Trost und Rettung uns erschein!

慰めと救いをもって私たちにあらわれてください。(と)

Du kannst dem feindlichen Zerstören

あなたは敵の破壊から

Durch deine Macht und Hilfe wehren.

大いなる力と助けをもって、守ってくださいます。

Beweis an uns deine große Gnad

私たちにあなたの大きな恵みを与えてください。

Und straf uns nicht auf frischer Tat,

そして他の罪で私たちを裁かないでください、

Wenn unsre Füsse wanken wollten

私たちの足元が揺らぎそうなとき

Und wir aus Schwachheit straucheln sollten.

弱さから倒れそうなときに。

Wohn uns mit deiner Güte bei

慈しみをもって、私たちと共にいてくださいますように。

Und gib, dass wir

どうか私たちが

Nur nach dem Guten streben,

己を人のために捧げるよう努め、

Damit allhier

そしてこの地でも

Und auch in jenem Leben

かの地にあっても

Dein Zorn und Grimm fern von uns sei.

あなたの怒りと憤怒にふれることがないように。

4. アリア (バス)

Warum willst du so zornig sein?

なぜにあなたは、そのように怒りたいのですか?

Es schlagen deines Eifers Flammen

あなたの燃え上がるような炎は

Schon über unserm Haupt zusammen.

すでに、私たちの頭上に集中して打ちかかっています。

Ach, stelle doch die Strafen ein

ああ、どうか罰を止めて下さい、

Und trag aus väterlicher Huld

そして父なる温情をもって

Mit unserm schwachen Fleisch Geduld!

私たちの弱さからくる欲望を見過ごして下さい。

5. コラールとレチタティーフ (テノール)

Die Sünd hat uns verderbet sehr.

罪は私たちをたいそう堕落させた。

So müssen auch die Frömmsten sagen

だから、敬虔な者たちは、言わなければならない

Und mit betränten Augen klagen:

そして涙でぬれた目で、嘆かなければならない。

Der Teufel plagt uns noch viel mehr.

悪魔がさらに私たちを苦しめる(と)。

Ja, dieser böse Geist,

そうだ、これらの悪霊(悪魔)、

Der schon von Anbeginn ein Mörder heißt,

初めから殺人鬼と言われるやつは、

Sucht uns um unser Heil zu bringen

私たちを救おうと偽って、

Und als ein Löwe zu verschlingen.

本当はライオンのように、飲み込んでしまおうとするのだ。

Die Welt, auch unser Fleisch und Blut

また私たちの肉親である世も

Uns allezeit verführen tut.

常に私たちを堕落させるのだ。

Wir treffen hier auf dieser schmalen Bahn

私たちは、このような狭い路上で、

Sehr viel Hindernis im Guten an.

あまりに多くの善行への障害と出会ってしまう。

Solch Elend kennst du, Herr, allein:

主よ このような悲惨さをあなただけがご存知です。

Hilf, Helfer, hilf uns Schwachen,

助けて下さい、救い主よ、私たちの弱さを救って下さい。

Du kannst uns stärker machen!

あなたは、私たちをより強くすることができるのですから。

Ach, lass uns dir befohlen sein.

ああ 私たちはあなたの命にしたがいます。

6. アリア (二重唱: ソプラノとアルト)

Gedenk an Jesu bittern Tod!

イエスの厳しい死を思ってみなさい!

Nimm, Vater, deines Sohnes Schmerzen

父よ、御子の痛みを取り去ってください

Und seiner Wunden Pein zu Herzen,

心臓にいたる、その傷の痛みを。

Die sind ja für die ganze Welt

確かに、この傷は全世界にとっては

Die Zahlung und das Lösegeld;

罪の代償と贖いの対価なのです。

Erzeig auch mir zu aller Zeit,

私にも、いつでも示してください、

Barmherzger Gott, Barmherzigkeit!

慈悲深い神よ、お慈悲を!

Ich seufze stets in meiner Not:

私はいつも、自身の苦しみにため息しています。

Gedenk an Jesu bittern Tod!

イエスの厳しい死を思ってみなさい!

7.コラール

Leit uns mit deiner rechten Hand

汝が正義の右手をもて我らを導き

Und segne unser Stadt und Land;

我らの町と土地とを祝したまえ、

Gib uns allzeit dein heilges Wort,

汝の聖なる御言葉を常に我らに与え、

Behüt für's Teufels List und Mord;

悪魔の策略と殺戮から守りたまえ。

Verleih ein selges Stündelein,

恵みに満ちた最後の時を我らに賜り、

Auf dass wir ewig bei dir sein.

とこしえまでも汝の御許におらせたまえ。

ターフェルムジーク鎌倉訳


ルカによる福音書 19,41-48

 エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、言われた。「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし 今は、それがお前には見えない。

 やがて時が来て、敵が周りに堡塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻め寄せ、

お前とそこにいるお前の子らを地にたたきつけ、お前の中の石を残らず崩してしまうだろう。それは、神の訪れてくださる時をわきまえなかったからである。」

 それから、イエスは神殿の境内に入り、そこで商売をしていた人々を追い出し始めて、彼らに言われた。「こう書いてある。『わたしの家は、祈りの家でなければならない。』 ところが、あなたたちはそれを強盗の巣にした。」

 毎日、イエスは境内で教えておられた。祭司長、律法学者、民の指導者たちは、イエスを殺そうと謀ったが、

 どうすることもできなかった。民衆が皆、夢中になってイエスの話に聞き入っていたからである。

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