汝至高の善なる主イエス・キリスト(BWV113)

 今日の日曜カンタータは、三位一体主日後第11主日、1724. 8.20にライプツィヒで初演された、バルトロモイス・リンクヴァルト作詞のコラール「主イエス・キリスト、こよなき宝」に基づくコラール・カンタータです。



 当日の福音書章句は、ファリサイ派の人とと徴税人のたとえで「高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる」というもので、罪を自覚し悔い改めることによって義とされるという内容です。

 歌詞の内容は、心の苦しみや悲しみがイエスの言葉による救いによって癒されるというキリスト教の信仰について述べたものですが、第6曲のレチタティーヴォ「悔い改めた収税人のように歩み、へりくだった霊をもって神よ、御意みを!と祈ろう」で福音書章句と重なります。

 一昨年も聴きましたが、今年はトン・コープマンの演奏で聴くことにします。

 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、歌手はシビラ・ルーベンス(S)、 アネッテ・マルケルト(A)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)です。




汝至高の善なる主イエス・キリスト(BWV113)

1.コラール合唱

Herr Jesu Christ, du höchstes Gut,

主イエス・キリスト、至高の宝、

Du Brunnquell aller Gnaden,

あらゆる恵みの湧く泉よ。

Sieh doch, wie ich in meinem Mut

ご覧ください、私が心の中にどれほどの

Mit Schmerzen bin beladen

痛みを負っているかを。

Und in mir hab der Pfeile viel,

私の中には多くの矢が突き刺さり、

Die im Gewissen ohne Ziel

良心を数限りなくうずかせて

Mich armen Sünder drücken.

哀れな罪びとを苦しめるのです。

2.コラール(アルト)

Erbarm dich mein in solcher Last,

これほどの重荷にあえぐ私を憐れんでください。

Nimm sie aus meinem Herzen,

心から重荷を取り除いてください。

Dieweil du sie gebüßet hast

あなたがそれを購ってくださったからには、

Am Holz mit Todesschmerzen,

木にかかり、死の苦痛さえいとわずに。

Auf dass ich nicht für großem Weh

だからこそ、私は激しい悲嘆の果てに

In meinen Sünden untergeh,

罪の中で破滅することがなく、

Noch ewiglich verzage.

永遠におののくこともないのです。

3.アリア(バス)

Fürwahr, wenn mir das kömmet ein,

本当に、それが私に起こるならば、

Dass ich nicht recht vor Gott gewandelt

すなわち私が神の御前に正しく歩まず、

Und täglich wider ihn misshandelt,

日々御旨に背いて悪行を重ねるならば、

So quält mich Zittern, Furcht und Pein.

震え、恐れ、苦痛が、身を苦しめることになる。

Ich weiß, dass mir das Herze bräche,

わかっている、この心は張り裂けるだろう、

Wenn mir dein Wort nicht Trost verspräche.

御言葉が慰めを約束しないとするならば。

4.コラールとレチタティーヴォ(バス)

Jedoch dein heilsam Wort, das macht

しかし、あなたの癒しの御言葉が働〈、

Mit seinem süßen Singen,

甘美な歌の調べとともに。

Dass meine Brust,

すると私の胸は

Der vormals lauter Angst bewusst,

かつて不安に占められていたこの胸は

Sich wieder kräftig kann erquicken.

ふたたび、力強くよみがえるのだ。

Das jammervolle Herz

悲嘆にみちた心は、

Empfindet nun nach tränenreichem Schmerz

涙しきりの苦痛をへて今感じとる、

Den hellen Schein von Jesu Gnadenblicken;

イエスの恵みのまなぎしから発する、明るい光を。

Sein Wort hat mir so vielen Trost gebracht,

御言葉は私に、かくも多くの慰めをもたらしてくれた。

   Dass mir das Herze wieder lacht,

すると私の心はふたたび笑い、

   Als wenn's beginnt zu springen.

いまにも飛び跳ねるかのよう。

Wie wohl ist meiner Seelen!

なんと幸いなのだろう、私の魂は!

Das zagende Gewissen kann mich nicht länger quälen,

おびえた良心が私をこれ以上苦しめることはできないのだ。

Dieweil Gotts alle Gnad verheißt,

それは神があらゆる恵みを約束なさるため。

Hiernächst die Gläubigen und Frommen

さらには信仰ある敬虔な者たちに

Mit Himmelsmanna speist,

天国のマナを食べさせるため。

Wenn wir nur mit zerknirschtem Geist

私たちが侮恨に砕かれた霊となって

Zu unserm Jesu kommen.

イエスのもとに至るときに。

5.アリア(テノール)

Jesus nimmt die Sünder an:

イエスが罪びとたちを受け入れてくださる。

Süßes Wort voll Trost und Leben!

なんと慰めと命に満ちた、甘美な言葉だろう!

Er schenkt die wahre Seelenruh

あの方はまことの魂の安らぎを贈り、

Und rufet jedem tröstlich zu:

人みなを慰めて呼ばわる。

Dein Sünd ist dir vergeben.

お前の罪は許された、と。

6.レチタティーヴォ(テノール)

Der Heiland nimmt die Sünder an:

救い主が罪びとたちを受け入れてくださる。

Wie lieblich klingt das Wort in meinen Ohren!

この言葉がなんと快く、耳に響くことだろう

Er ruft: Kommt her zu mir,

あの方は呼ばわる:私のもとに来なさい、

Die ihr mühselig und beladen,

労苦に疲れた、重荷を負った者たちよ。

Kommt her zum Brunnquell aller Gnaden,

あらゆる恵みの湧く泉へと来なさい。

Ich hab euch mir zu Freunden auserkoren!

私はお前たちを、友として選び出したのだ!

Auf dieses Wort will ich zu dir

この言葉を頼りに、私はあなたのもとへ

Wie der bußfertge Zöllner treten

悔い改めた収税人のように歩み、

Und mit demütgem Geist ”Gott, sei mir gnädig! ” beten.

へりくだった霊をもって「神よ、御意みを!」と祈ろう。

Ach, tröste meinen blöden Mut

ああ、弱い気持ちを慰めてください。

Und mache mich durch dein vergossnes Blut

私を、あなたの流された血によって

Von allen Sünden rein,

あらゆる罪から清めてください。

So werd ich auch wie David und Manasse,

そうすれば、私もダビデとマナセのようになるでしょう。

Wenn ich dabei

そのとき私は

Dich stets in Lieb und Treu

たえずあなたを、愛と誠をこめて

Mit meinem Glaubensarm umfasse,

この信仰の腕にお抱き申しましょう。

Hinfort ein Kind des Himmels sein.

そしてそのままに、天の子となるのです。

7.アリア(二重唱 ソプラノとアルト)

Ach Herr, mein Gott, vergib mir's doch,

ああ、主、私の神よ、私を許してください、

Wormit ich deinen Zorn erreget,

あなたの怒りを呼び起こした

Zerbrich das schwere Sündenjoch,

重い罪のくびきを打ち壊してください。

Das mir der Satan auferleget,

それは、サタンが課したものなのです。

Dass sich mein Herz zufriedengebe

願わくば、私の心が満足し

Und dir zum Preis und Ruhm hinfort

今後あなたに讃美と栄光を捧げ

Nach deinem Wort

御言葉に従って

In kindlichem Gehorsam lebe.

子供のように従順に生きられますように。

8.コラール

Stärk mich mit deinem Freudengeist,

喜びの御霊をもって力づけてください、

Heil mich mit deinen Wunden,

あなたの傷をもって癒してください。

Wasch mich mit deinem Todesschweiß

死の汗をもって洗ってください、

In meiner letzten Stunden;

最期の刻に、この私を。

Und nimm mich einst, wenn dir's gefällt,

そしていつか、心に適うなら私を

In wahrem Glauben von der Welt

まことの信仰のうちにこの世から召し

Zu deinen Auserwählten!

選ばれた者たちへと加えてください!

                      対訳:磯山 雅


ルカによる福音書 18章 9-14

 自分は正しい人間だとうぬぼれて、他人を見下している人に対しても、イエスは次のたとえを話された。「二人の人が祈るために神殿に上った。一人はファリサイ派の人で、もう一人は徴税人だった。ファリサイ派の人は立って、心の中でこのように祈った。『神様、わたしはほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦通を犯す者でなく、また、この徴税人のような者でもないことを感謝します。わたしは週に二度断食し、全収入の十分の一を献げています。』ところが、徴税人は遠くに立って、目を天に上げようともせず、胸を打ちながら言った。『神様、罪人のわたしを憐れんでください。』言っておくが、義とされて家に帰ったのは、この人であって、あのファリサイ派の人ではない。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」
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