悪玉菌が多いと脳卒中に!

 最近、腸内細菌への注目が高まっています。人間の腸の中には約1000種類、100兆個以上の細菌がいるといわれます。人間の細胞は全部で37兆個といわれるので、その数倍です。腸内細菌は下痢や便秘など、単にお腹の調子に関わるのみならず、全身の健康にも大きく影響していることが明らかになってきました。

 腸内細菌には善玉菌と悪玉菌、その中間の日和見(ひよりみ)菌がいて、これらが混在する全体の構成を「腸内フローラ」(腸内細菌叢)と呼びますが、人によって大きく違い、肥満や糖尿病にも関係していることが分かってきました。たまたま、肥満の人の便をやせた人の腸に移植したら、その人も肥満になったという報告もあります。



腸の働きが良くなれば血管も良くなる

 さらに、腸内フローラは動脈硬化とも深い関係があり、腸と血管は持ちつ持たれつの関係で、腸が消化吸収した栄養素は血管によって全身に運ばれ、腸自身も血管から栄養をもらっています。腸内環境が悪くなれば栄養の吸収が阻害されるし、血行が良くなれば腸の働きも良くなります。

 腸内フローラに悪玉菌が多い人は、食物に含まれるコリンという栄養素が腸内細菌に代謝されてできる「TMAO」という物質が多くなります。約4000人を3年間追跡調査した結果、血液中のTMAOが多い人ほど、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高いことが確認されました。つまり、動脈硬化が進んでいたわけです。


腸内フローラが乱れている人は心筋梗塞や脳卒中を起こしやすい

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 腸内フローラと血管が関係しているとなれば、腸内フローラを整えるためには血管のことも考えなくてはいけません。発酵食品や乳酸菌飲料を摂取してせっせと腸を整えても、動脈硬化を進めるタバコを吸っていては効果半減し、血行が悪くなり、結果的に腸の働きも悪くなってしまいます。

 腸内環境が良くなれば血行も良くなり、血行が良くなれば腸の働きも良くなります。腸と血管、どちらにもいい生活を心がけると効率が良くなるわけです。


腸と血管、両方にいい生活とは?


(1)水溶性の食物繊維をとる

 食物繊維には不溶性と水溶性があり、腸と血管にとって特に重要なのが水溶性です。大麦、オクラ、山芋、納豆、海藻、アボカドなどに多く含まれています。

 腸内の善玉菌は水溶性の食物繊維を使って、酢酸やプロビオン酸といった「短鎖脂肪酸」を作り出します。短鎖脂肪酸は腸内を酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑え、ぜん動運動を活発にします。また、水溶性の食物繊維はGLP-1というホルモンの分泌を促し、血糖値の上昇を抑える作用もあります。


(2)魚に含まれるEPA・DHAをとる

 魚の油に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった脂肪酸は、体内のあらゆる部位の炎症を鎮める作用が強い。「動脈硬化は血管の炎症」なので、動脈硬化の予防や改善を期待できるわけです。さらに、腸の炎症を抑えることで腸内環境も良くなるといいます。

 また、EPAは細胞膜の原料にもなります。赤血球の細胞膜にEPAが増えると柔らかく(流れやすく)なり、血小板の細胞膜に増えると血液が固まりにくくなり、白血球の細胞膜に増えると炎症やアレルギー反応を起こしにくくなります。最近の子どもにアトピー性皮膚炎などのアレルギーが多いのは、魚の摂取量が年々減っていることも関係していると思われます。


(3)ラクトトリペプチドをとる

 腸内フローラを整えるには、チーズ、キムチ、味噌といった発酵食品がいいことは広く知られています。発酵食品に含まれる乳酸菌が腸内を酸性にし、悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やしてくれます。コレステロールとくっつき、体外に排出してくれる働きもあります。

 発酵食品の中でもブルーチーズ、ゴーダチーズ、米麹などに多いラクトトリペプチド(LTP)は、とても血管にいい栄養素です。血圧を下げるとともに、血管内皮細胞からNO(一酸化窒素)の分泌を増やし、血管を拡張する作用があります。


(4)運動をする

 運動は腸と血管、両方にいいといいます。体を動かすことで腸のぜん動運動も活発になり、血行も良くなります。運動をすると、筋肉細胞からブラジキニンという成分が分泌されます。その結果、血液中のブドウ糖が細胞に吸収されやすくなって血糖値が下がり、血管内皮細胞から分泌されるNOを増やして血管を若返らせてくれます。

(日経Goodayより要約)
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