良質な脂肪が長寿の鍵

 現代の栄養学では、もはや「脂肪」=「ダイエットと健康の大敵」という時代は完全に終わりを告げたようです。むしろ良質な脂肪を積極的に、たっぷり摂ることが長寿の鍵になるといいます。

 それを明らかにする新たなレビューが7月19日、米・内科学会の学術誌『Annals of Internal Medicine』に掲載されました。いわゆる「地中海食」は、脂肪分がかなり多く含まれても、さまざまな生活習慣病のリスクを大幅に下げるといいます。


モッツァレラチーズとトマト、バジルに、オリーブオイルを回しかけした「カプレーゼ」


 この研究を率いた米ミネソタ大学教授のHanna Bloomfield氏は、「地中海食を摂っている人は、心筋梗塞や脳卒中になるリスクが低く、乳がんや糖尿病の発症率も低い」と述べています。


脂肪の摂取量に関係なく病気のリスクが下がる

 数年前に「地中海式ダイエット」という呼び名で話題になり、ユネスコの無形文化遺産にも登録される地中海食は、主に南イタリアやギリシャの食文化です。

 特徴はオリーブオイルを積極的に摂取し、主食となる穀物をベースに、野菜や果物、豆などの植物性食品と、チーズなどの乳製品や新鮮な魚介などで構成されていること。肉なら鶏肉で、赤身は食べてもごくわずかです。

 今回のレビューは1990年から2016年4月に発表された、食生活と病気についての56件の研究について検討をしました。Bloomfield氏の研究チームは分析を進めるにあたり、地中海食の定義として、次の7つの要素のうち少なくとも2つを満たすものとしました。ただし、脂肪分の摂取量は無制限としています。


1)飽和脂肪に対する一価不飽和脂肪の比率が高い(たとえばオリーブ油が多く、動物性脂肪が少ない)。

2)果物と野菜を豊富に摂取する。

3)豆類を豊富に摂取する。

4)穀物やシリアルを豊富に摂取する。

5)適量の赤ワインを摂取する。

6)適量の乳製品を摂取する。

7)肉や肉製品は少なめ、魚を多めに摂取する。


 その結果、「全死因による死亡率に対する影響については認められなかった」とBloomfield氏。しかし1件の注目すべき大規模研究では、地中海食を習慣としている人は脂肪分の摂取量に関係なく、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病のリスクが30%減少。特に乳がんリスクは50%以上低くなることが示されました。

 また一部の研究では、大腸がんのリスク低減の可能性も示唆されましたが、これについては断言することは難しく、十分な確証が得られなませんでした。


肥満は脂肪よりも精製された穀物や砂糖に原因?

 結論として因果関係は明らかにできませんでしたが、地中海食はコレステロールや体重、血糖値を低下させるほか、抗酸化物質が豊富であることも健康増進をもたらすと言えるといいます。何より注目すべきは、脂質制限がない点です。

 「米国ではこの30年、あらゆる脂肪の摂取量を減らすことが重要とされてきた。だが今回の研究で、健康的な食事であれば脂肪、特に良質の脂肪が多く含まれていてもかまわないことがわかった」

 「米国の肥満問題は脂肪よりも、精製された穀物や砂糖の摂取量の増加によるところが大きいのかもしれない」とBloomfield氏は述べています。



今の食事に取り入れるのも簡単

 日本人の食生活は、もともと地中海食を取り入れやすいといいます。まず、調理用の油やサラダ用の油をオリーブオイルに変えて、果物や野菜の摂取量を増やす。さらに肉を減らして、週に数回魚料理に置き換えるだけです。

 メニューもシンプルで十分。たとえば生野菜やオリーブ、チーズを彩りよく皿に盛り、塩コショウとオリーブオイルを加えれば地中海式サラダです。

 魚の切り身をたっぷりのオリーブオイルでムニエルにし、少量のバターやレモン汁で風味づけをすれば、おいしくてカラダが喜ぶ魚料理ができます。オリーブオイルを垂らした冷奴も、豆製品をたっぷり摂れる立派な地中海食といえます。

 「ダイエット食は油分が少なくて美味しくない」「体にいい食事は続かない」と思っていた人には、今回の研究結果は朗報です。前述の7つの条件を参考にして、ぜひ試してみてはどうでしょうか。

(HealthPressより)
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