「スーパー大麦」は大腸の奥まで届き、腸内環境を整える

 今、健康食材として熱い視線を集めている大麦。腸の中で発酵し、有用菌のエサになる水溶性食物繊維β-グルカンが、ほかの穀物に比べて豊富なのが特徴です。そんな大麦の中に、水溶性食物繊維だけでなく、第三の食物繊維といわれる「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」を多く含む、“スーパー大麦”があります。“スーパー大麦”は、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、レジスタントスターチが組み合わさったコンプレックス構造で、食物繊維を大腸の奥まで届けることができ、大腸の奥の細菌叢(腸内フローラ)に役立つ大麦です。 


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腸の健康に欠かせない食物繊維

 最近、健康の要として注目されている腸。各国の研究で、腸の健康が全身の様々な病気や不調と関わりが深いことが明らかになっています。そうした腸の健康に大きく関わることが多くの研究から解明されつつあり、改めて専門家からも注目を集めているのが、食物繊維です。食物繊維には腸内細菌のエサになって、多様な機能性を発揮する水溶性食物繊維と、便の量を増す不溶性食物繊維があります。

 水溶性食物繊維は主に小腸から大腸の上部にいる腸内細菌のエサになり、不溶性でありながら、水溶性食物繊維のような働きをするものもあります。それがレジスタントスターチです。これは大腸でゆっくり発酵し、そこにすむ腸内細菌のエサになる(発酵する)という性質を持つといいます。

 この点に注目したオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、レジスタントスターチを多く含む“スーパー大麦”とも呼べる品種を開発しました。 そもそも大麦自体、穀類の中でも食物繊維がダントツに多く、さらに水溶性と不溶性の量のバランスがいいスーパー大麦は、それに加えてレジスタントスターチが豊富なので、腸の健康に大きく貢献する穀物といえます。


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主な穀類、野菜、果物 の食物繊維含有量 ※いずれも100g当たり


4倍のレジスタントスターチを含むスーパー大麦

 現代人の健康を揺るがしている要因の一つが、食物繊維の不足です。日本人の平均摂取量は14gですが、1日にとるべき量は男性20g以上、女性18g以上。約4~6g足りません。そこで注目したいのが大麦です。大麦なら主食として食物繊維を無理なく摂ることができます。

 日本健康・栄養食品協会の論文評価では、大麦β‐グルカンには、食後血糖値の上昇抑制や血中コレステロール値の正常化作用が認められると報告されています。

 大麦には水溶性食物繊維β-グルカンが豊富に含まれていますが、CSIROが開発したスーパー大麦は、一般の大麦の2倍の水溶性食物繊維を含んでいます。しかも4倍ものレジスタントスターチが含まれるので、大腸の奥の環境を整えるには大いに頼りになりそうです。

スーパー大麦の食物繊維量

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 大腸は、小腸に続く大腸の上部から横行結腸などを経て、大腸の奥の下行結腸やS状結腸、直腸へと続きます。大腸の中でも腸内環境が悪化しやすいのが、下行結腸より先の大腸の奥です。



 摂取した水溶性食物繊維のほとんどは、小腸と大腸の上部にすんでいる腸内細菌で消費されてしまうため、大腸の奥にすむ有用菌が栄養不足になって元気がなくなり、たんぱく質と脂質を好物とする悪玉菌が優勢になりやすく、悪玉菌が活発に働くとインドールやフェノールなどの毒素を作り出すため、大腸の奥の腸内環境が悪化すると考えられます。

 腸の健康を守るには、「大腸の奥」に目を向けることが大切ということが分かってきたのです。

 スーパー大麦のレジスタントスターチは、他の食物繊維とのコンプレックス構造になっているため、小腸では消費されにくく、大腸の奥まで届きます。大腸の奥にいるビフィズス菌などの有用菌はレジスタントスターチをエサとし、酪酸、酢酸、プロピオン酸など「短鎖脂肪酸」を作り、大腸の奥を弱酸性にします。すると、アルカリ環境を好む悪玉菌が生育しにくい環境になるというわけです。

 さらに、短鎖脂肪酸は腸管の細胞のエネルギー源としても使われるため、腸のバリア機能が高まるほか、消化管ホルモンであるインスリンの分泌を促す作用もあります。


スーパー大麦で排便回数、排便量が増加、便中の毒素低減も

 実際、スーパー大麦を便秘気味の人18人に4週間食べてもらう試験で、このスーパー大麦の排便作用が確認されています。

 この試験でスーパー大麦を食べなかったときに比べ、排便回数も排便量も増えました。また、糞便中の短鎖脂肪酸の割合や腸内細菌の種類を調べたところ、スーパー大麦を食べて2週間後に、腸内フローラの分布が大きく変わりました。これは、スーパー大麦により腸内環境が劇的に変化したことを表しています。


スーパー大麦を食べると排便回数がアップ


スーパー大麦を食べると腸内フローラの分布が改善



 スーパー大麦摂取後、腸の上部に生息する乳酸菌の変動が認められないこと。糞便中の毒性物質4-エチルフェノールの量が減ったこと。これは、大腸の奥にレジスタントスターチが届き、大腸奥に生息する善玉菌が活性化されたためと考えられます。

 こうした毒素は、腸管から吸収されて全身に回り、肌にも関係しているという最近の知見もあります。腸の健康は、全身の健康に大きく関わるのです。


自前の有用菌にエサを与える“畑づくり”から

 腸の健康に悪影響を及ぼす要因の一つがストレスで、30~40歳代のストレスが多い働き盛りの人こそ、腸を元気にする“腸活”をする必要があります。ヨーグルトなどでいい菌を食べて腸内環境を整えることは多くの人が実践していますが、その前にすべきことがあります。

 いい菌を補給する前に、自前の有用な腸内細菌がスクスク育つ“畑”を耕すことが大切で、それにはレジスタントスターチなどエサになる成分を含む食品を積極的にとって自前の菌を元気にすること。しっかり耕した後で善玉菌という“種”を外から補給すれば、善玉菌中心の腸内フローラができ上がるといいます。

 腸活は一朝一夕にはできません。このような食品の場合、少なくとも4週間程度は摂取し続けます。最初はお腹がゴロゴロすることがあるかもしれませんが、2週間ほどたてば落ち着くはずです。

 オーストラリアではこのスーパー大麦が、食品として食べられています。

(日経Goodayより)
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