中年太りで脳が10歳老化!

 「Neurrobiology of Aging」オンライン版7月27日号に掲載された最新研究では、標準体重(BMI:18.5以上25未満)の人に比べ、過体重(BMI:25以上30未満)や肥満(BMI:30以上)の人は、「中年期からの脳の老化」が早まっている可能性が明らかにされたといいます。

 英ケンブリッジ大学精神医学のLisa Ronan氏らが行った研究は、過体重が脳の「白質」にどのような影響を及ぼすかについて焦点を当てたものです。

 白質とは脳領域同士の情報伝達に重要な役割をはたす部位で、いわば通信ケーブル(=軸索)が脂質で何層にも巻かれて白く見える箇所です。


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失われる10年の<脳格差>

 近年の研究では、経験や環境の差によって白質の発達に違いが生じることもが明かされ、白質と早期学習の相関を裏づけるデータも公表されています。同時にこの白質が、加齢に応じて縮小することも知られてきました。

 そして、今回の研究で判明したのが、50歳の過体重(および肥満)の人の白質が、60歳の標準体重の人と「同程度」であるという事実です。

 つまり、<アラフィフ>を迎えてから脳内の「失われた10年」を嘆くよりも、中年期以前から「失われる10年」を意識して、標準体重を維持すべきとの警鐘です。

 研究に際しては、ケンブリッジ地域で暮らす心身共に健康な男女500人(20~87歳)の協力を得て、MRI検査が実施されました。被験者のうち「①標準体重層」は約半数、「②過体重層」は全体の約3割、「③肥満層」は約2割を占めていました。

 各層のMRI検査結果で脳構造を評価してみたところ、①標準体重層に比べ、②過体重層および③肥満層は「白質量が減少している」傾向が読み取れました。

 さらに年齢別の解析を進めると、中年期に当たる②過体重層および③肥満層の白質量は、「10歳年上の標準体重の人々の白質量」と同レベルであることが浮き彫りにされました。


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脳の若さはアラフィフが分岐点

 今回の知見から結論づけてしまうのは時期尚早かもしれませんが、過体重であることが認知症やアルツハイマー病などの神経変性疾患の発症リスクを高める可能性はありうるといいます。

 しかし今回の研究で「肥満と老化の加速」との因果関係が証明されたわけではありません。実際、①標準体重層と③肥満層の被験者を比較してみても、「認知機能の差」は見られなかったそうです。

 また、①標準体重層と②過体重層および③肥満層との間で示唆された「10年の格差」に関しては、中年期以降の被験者層でのみ顕著な相違であり、20~30代の層では認められない格差でした。

 言いかえれば、ヒトの脳は、加齢に伴う体重増加で悪影響を受けやすいということでしょう。


ダイエットは脳を若くする?

 厳密にいえば、現時点でBMI(体格指数)の増加と白質量の減少がどのうような関連性を持っているのかが明らかにされたわけではありません。Lisa氏自身も「過体重や肥満であることが脳の変化をもたらすのか、逆に脳の変化が脂肪細胞を増やしているのか、それは不明である」と認めています。

 興味深い成果と評している米ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院のYvette Sheline氏も、内臓脂肪や皮下脂肪等の「脂肪の分布」や、経時的追跡の研究ではない点で「限界のある知見であること」を指摘しています。

 過体重の域に属する人の場合、最も気になるのが「もし、今から努力して減量すれば、脳への悪影響は軽減できるか?」という点です。Lisa氏は「それを減らせるかどうかも結論づけるのは難しく、今後検証していきたい」といいます

 畳と女房は……いや、脳だって若いに越したことはありません。もしも中年太りしてきた自分への言い訳に「見た目よりも中身で勝負!」とか思っているなら、なおさら考えを改めるべきかもしれません。ダイエットは脳も若くするのです。

(HealthPressより)

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