疲れ解消に効果のある生活習慣とは

麺類やパンより「米飯」がおすすめ!

 大学生を対象に疲労の実態を調査した研究によると、朝食をとらない学生は疲労を強く訴え、重度疲労の学生は夜遅い食事の頻度が高い傾向が見られたといいます。疲れているときほど「忙しくて食事が不規則」「まともな食事をとっていない」といった悪循環は、思い当たる人も多いのではないでしょうか。

 米飯をしっかり食べている学生は、副食が豊かになるので、魚介類も摂取しており、n-6、n-3系の不飽和脂肪酸やマンガン、ビタミンなどの摂取量にも差が見られたといいます。


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 麺類やパンなどで済ませる食事では限られた栄養成分しか摂れないケースが多いが、米飯を規則正しくしっかり摂ると副食が豊かになるため、相対的に栄養バランスが良くなると考えられます。

 米飯によって疲れそのものがとれるわけではありませんが、疲労回復を助けたり、疲れによって回復力が低下するのを抑えたりするという意味で、米飯は重要な鍵を握るといいます。


ビタミンCなどの抗酸化成分をしっかり摂ろう

 私たちの体内では、食べたものをエネルギーに代謝する過程で「活性酸素」が生み出されます。活動によって血中の活性酸素が増え、酸化ストレス(活性酸素により引き起こされる生体にとって有害な作用)が増えると、一時的に抗酸化力も上がりますが、疲労につながるような作業や活動が長く続くと抗酸化力も下がっていきます。疲れたときは体内の活性酸素が除去しきれず過剰になり、疲労を回復する力も下がるという悪循環に陥ります。

 したがって、疲労予防や回復には、ビタミンC(アスコルビン酸)に代表される抗酸化物質を積極的にとって、抗酸化力の低下を補うことがすすめられます。

 ビタミンCの抗疲労効果を確かめる実験で、ラットに自重の8%の重りをつけてプールで泳がせたところ、通常のラット(疲労負荷をしていない)は約200秒で泳ぎ疲れて沈むのに対し、元々疲労を負荷したラットは約65秒で早く沈みました。この疲労負荷するラットに事前にビタミンCを摂らせておくと、浮いていられる時間が160秒以上に延びたといいます。


抗疲労効果が検証できた成分とは?

 その他、これまでに科学的に抗疲労効果が検証できた物質には、表のようなものが挙げられます。忙しく疲れがたまるときほど、これらの抗疲労物質を含めて、栄養バランスのとれた食事をしっかりとることを心がけましょう。多忙で食事に気を付けるのが難しい状況なら、サプリメントを活用するのも一策です。

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“まとめ休み”より“こまめな休息”

 疲労を回復させるには、睡眠・休息をとることが基本です。毎日質の良い睡眠をとって、1日の疲れは1日ごとにリセットするのが健全な状態です。問題は、疲れが翌日まで残ることで、これには自律神経のはたらきが関係しています。

 自律神経には交感神経と副交感神経があり、日中は脳を興奮させる「交感神経」が優位に、夜はリラックスさせる「副交感神経」が優位になります。しかし、強いストレスを感じていると自律神経のバランスが不安定になり、夜になっても交感神経のはたらきが下がらないままになってしまいます。こうなると脳が興奮したまま、なかなか寝付けなかったり、浅く質の悪い睡眠となったりして、疲れが十分に回復できないという悪循環に陥ります。

 こうした自律神経の活動低下は、疲労感や睡眠、抑うつと関連していることが明らかになっています。自律神経のバランスを正常に保つため、寝る1時間前には交感神経を高めるような活動――たとえば、仕事のメールを打つ、テレビを見る、スマートフォンを見る、激しい運動をするなど――は避け、リラックスして過ごすようにしましょう。


1時間作業をしたら5分間の休息をとる

 日中の仕事などでも、1時間同じ作業をしたら5分ほど休息をとるとよいそうです。仕事をスタートしてから55分後にアラームが鳴るようにタイマーをセットしておいて、アラームが鳴ったらトイレに立ったりお茶を入れたり、席を立って少しでも動くようにすると、末梢循環が良くなり、疲労の蓄積度が違ってくるといいます。


ポジディブ思考で上手に対処

 そもそも、疲労のもとになるストレスをどの程度うまく処理できるかによって、その影響は大きく違ってきます。何事も嫌々やるとストレスのもとで、長くストレスを引きずると神経・免疫・内分泌系の悪循環につながるので、嫌なことをやらされたときは成長するために与えられた試練だと都合よく解釈して、嫌なことはすぐ忘れる、などポジティブにとらえたほうが断然良いといいます。


笑う・泣く

 笑う、泣くなど感情を表に出すことで、ナチュラルキラー(NK)細胞の免疫活性が高まり、免疫力が上がることがわかっています。ストレスの原因を分析しても、現実には解決できない、離れることもできないことも多く、ストレスと感じることから離れるほうが得策の場合も少なくありません。自分の中で物事のとらえ方を変えると、その影響は変わってくるかもしれなません。


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疲れにくい体をつくる

 ストレスを解消し心身をリフレッシュする意味では、適度な運動をして心地よい疲労を感じるのも一法です。ウォーキングなどに代表される有酸素運動で末梢循環が良くなり、細胞の修復を早め、疲労回復効果があることが明らかになっています。

 また、乗馬にもこうした運動の効果とともにアニマルセラピー的な癒しの相乗効果が期待できるといいいます。乗馬を取り上げた研究では、馬と触れ合うことで気分の落ち込み、イライラ、不安感に差が出ることなどがわかっています。

 ただし、重い疲労のときに無理して運動をすると、かえって疲れてしまうので、日頃の軽い疲労のリセットや、そもそも疲れにくい体をつくるために運動習慣を持つと考えましょう。


みんなもやっている入浴の抗疲労効果は?

 一般の人がどのような疲労回復法を行っているのか、大阪府民1219人(15~65歳)を対象に行ったアンケート調査によると、最も多くの人が日常生活の中で疲労回復効果を実感しているのは「入浴」でした。

 入浴はマッサージ効果と温熱効果が得られるので、通常の疲労の場合、高い疲労回復効果が期待できます。ただし、入浴にもエネルギーが必要なので、重度の疲労の場合はかえって疲れてしまうこともあります。自分の疲労の状態を見極めましょう。

 また、同調査で疲労回復効果が高いと思われたものは「笑い」「アニマルセラピー」「アロマセラピー(香り)」などです。

 香りについては、ネズミに負荷を加えて疲れさせるとネズミの活動性が落ちてきますが、その疲れたネズミに緑の香りをかがせると活動量が増加するという研究報告や、サルに緑の香りをかがせて単純作業をさせると作業能率が落ちにくいという研究報告もあります。疲労に伴い活動が下がってくる脳の前帯状回(ぜんたいじょうかい)という部分が活性化して、活動が下がりにくくなるといいます。

 疲労の回復には、動物との触れ合いでも、香りでも、自分が好きなものでなければ効果はありません。色々な疲労解消法を試して、自分に合ったものを取り入れることが大切です。

 これまでは疲労のメカニズムはあまりわかっていなかったため、疲労回復方法の効果は、経験に基づいて判断するしかありませんでした。しかし、研究が進み、客観的に疲労を測るバイオマーカー(生物学的指標)も徐々に開発されてきました。これからは、酸化ストレスや自律神経などの状態を計測して、本当に疲労が回復しているのか効果を見ながら、自分に合った疲労回復法を見つけられる時代がやってくるでしょう。

(日経Goodayより)
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