神のひとり子たる主キリスト(BWV96)

 今日は三位一体主日後第18主日ですが、この日のためのカンタータは2曲しか残されていませんので、一昨年聴いたBWV96を再び聴いてみたいと思います。

 ライプツィヒ第2年巻のコラール・カンタータでE・クロイツィガーのコラール「主キリスト、神の独り子」が冒頭合唱と第6曲のコラールに引用されています。


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 当日の福音書聖句はイエスとファリサイ派の人々の論争を綴っていますが、カンタータでは全曲を通して、「最も重要な掟は何か」、という問いをコラールに絡めて「それは神の愛である」と説いていきます。

 冒頭合唱は、キリストは神の子であり、さらに明けの明星として考察するコラールで、フラウト・ピッコロ(ソプラニーノ・リコーダー)が可憐な彩りを添えます。


 シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド、ガーリンデ・サマン(S)、ペトラ・ノスカイオヴァ(A)、イェンス・ウェーバー(T)、ヤン・ファン・デル・グラッベン(B)の演奏会の録画でお聴きください。合唱はOVPPです。









神のひとり子たる主キリスト(BWV96)

1.コラール(合唱)

Herr Christ, der einge Gottessohn,

主キリスト、神のひとり子、

Vaters in Ewigkeit,

永遠なる父の御子が

Aus seinem Herzn entsprossen,

御心から萌え出てられた、

Gleichwie geschrieben steht,

聖書に書かれている通り。

Er ist der Morgensterne,

この方は明けの明星、

Sein' Glanz streckt er so ferne

輝きをはるかかなたへと送る、

Vor andern Sternen klar.

他の星を凌いて、爽やかに。

2.レシタティーヴォ(アルト)

O Wunderkraft der Liebe,

おお、愛の不思議な力よ!

Wenn Gott an sein Geschöpfe denket,

神は被造物のことを心にかけてくださった

Im letzten Teil der Zeit

栄光がみずからをこの世の最後が迫る時に

Zur Erde senket.

地上へと下らせたのだ。

O unbegreifliche, geheime Macht!

おお、人知を超えた、神秘の権能よl

Es trägt ein auserwählter Leib

選び出された身体が

Den großen Gottessohn,

大いなる神の子を孕む、

Den David schon

その昔ダビデが

Im Geist als seinen Herrn verehrte,

霊に感じ、主とあがめたその方を。

Da dies gebenedeite Weib

そのときこの祝福された女は

In unverletzter Keuschheit bliebe.

清らかな処女のままであったのだ。

O reiche Segenskraft!

おお、豊かな祝福の力よ!

so sich auf uns ergossen,

それが私たちに注がれた、

Da er den Himmel auf-, die Hölle zugeschlossen.

そのとき主は天国を開き、地獄を閉じてくださったのだ。

3.アリア(テノール)

Ach, ziehe die Seele mit Seilen der Liebe,

ああ、愛の網をもって魂をお引きください、

O Jesu, ach zeige dich kräftig in ihr!

おおイエスよ、ああ魂の中に、御自身を力強く示してください!

   Erleuchte sie,

  魂を照らしてください、

   dass sie dich gläubig erkenne,

   あなたを信仰をもって知ることができるように。

  Gib, dass sie mit heiligen Flammen entbrenne,

  どうか、魂を聖なる炎に燃え立たせてください、

  Ach würke ein gläubiges Dürsten nach dir!

  ああ、あなたを求める信仰の渇きを起こしてください!

4.レシタティーヴォ(ソプラノ)

Ach, führe mich, o Gott, zum rechten Wege,

ああ、私を導いてください、おお神よ、正しい道へと。

Mich, der ich unerleuchtet bin,

この私は光に目覚めず、

Der ich nach meines Fleisches Sinn

肉の思いに引きずられ、

So oft zu irren pflege;

こんなにもしばしば、道を踏み外しています。

Jedoch gehst du nur mir zur Seiten,

しかしあなたが私のかたわらを歩み

Willst du mich nur mit deinen Augen leiten,

まなざしで私を導こうとしてさえくだされば、

So gehet meine Bahn

私の道はたどりつくのです、

Gewiss zum Himmel an.

必ずや、天国へと。

5.アリア(バス)

Bald zur Rechten, bald zur Linken

ある時は右へ、ある時は左へと

Lenkte sich mein verirrter Schritt.

私のさまよう歩みは向きを変える。

Gehe doch, mein Heiland, mit,

どうか歩んでください、救い主よ、ともに。

Lass mich in Gefahr nicht sinken,

私を危険にうち捨てないでください、

Lass mich ja dein weises Führen

私に、あなたの神慮の導きを

Bis zur Himmelspforte spüren!

天の門に至るまで、実感させてください。

6.コラール(合唱)

Ertöt uns durch dein Güte,

あなたの慈しみによって、私たちを死なせてください。

Erweck uns durch dein Gnad;

あなたの恵みによって、私たちを目覚めさせてください。

Den alten Menschen kränke,

内なる「古き人」を衰えさせてください、

Dass er neu Leben hab

「新しき人」が

Wohl hier auf dieser Erden,

つつがなくこの地上で生き、

Den Sinn und all Begierden

心とすべての望みと

         Und G'danken hab'n zu dir.

想いとをあなたへと寄せるように。

                    対訳:磯山 雅

マタイによる福音書 22,34-46

 ファリサイ派の人々は、イエスがサドカイ派の人人を言い込められたと聞いて、一緒に集まった。そのうちの一人、律法の専門家が、イエスを試そうとして尋ねた。「先生、律法の中で、どの掟が最も重要でしょうか。」イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている。

 ファリサイ派の人々が集まっていたとき、イエスはお尋ねになった。「あなたたちはメシアのことをどう思うか。だれの子だろうか。」彼らが、「ダビデの子です」と言うと、イエスは言われた。「では、どうしてダビデは、霊を受けて、メシアを主と呼んでいるのだろうか。『主は、私の主にお告げになった。「私の右の座に着きなさい、私があなたの敵をあなたの足もとに屈服させるときまで」と。』このようにダビデがメシアを主と呼んでいるのであれば、どうしてメシアがダビデの子なのか。」これにはだれ一人、ひと言も言い返すことができず、その日からは、もはやあえて質問する者はなかった。

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