われいずこに逃れゆかん(BWV5)

 三位一体主日後第19主日に聴く日曜カンタータは、1724.10.15に初演されたコラール・カンタータです。基本となるコラール旋律はオルガン用の同名作品にも使われ、コラール「我が愛しき神に」を運ぶ旋律として他のカンタータでも使われています。



 当日のマタイ福音書聖句は「中風患者の癒やし」で、病の中で真の信仰を失わなかった患者に対し、イエスは「罪の癒やし」を与え、それがそのまま病の癒やしとなったという説話で、カンタータは「罪の癒やし」を主題に取り上げています。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、シビラ・ルーベンス(S)、アネット・マーカート(A)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。




われいずこに逃れゆかん(BWV5)

1 .合唱

Wo soll ich fliehen hin,

いずこに逃れる先があろう?

Weil ich beschweret bin

この身は重荷を負っている、

Mit viel und großen Sünden?

多くの大きな罪のため。

Wo soll ich Rettung finden?

いずこに救いが見つかろう?

Wenn alle Welt herkäme,

かりに世のものこぞって来てくれようと

Mein Angst sie nicht wegnähme.

わが心細さを除いてくれはせぬ。

2 .レチタティーヴォ(バス)

Der Sünden Wust hat mich nicht nur befleckt,

罪の汚臓はこの身を臓しただけではない、

Er hat vielmehr den ganzen Geist bedeckt,

それどころか霊をすっかり覆っている。

Gott müßte mich als unrein von sich treiben;

神はこの身を臓れた者として

御許から追い立て給わねばならぬところであろう。

Doch weil ein Tropfen heilges Blut

だが聖なる御血の一滴が

So große Wunder tut,

まこと大きな奇蹟をなし給うがため、

Kann ich noch unverstoßen bleiben.

なおも追い放たれずにいられるのだ。

Die Wunden sind ein offnes Meer,

御傷は開けた大海原、

Dahin ich meine Sünden senke,

そこへわが多くの罪を沈めよう、

Und wenn ich mich zu diesem Strome lenke,

身をこの潮に向けるなら、

So macht er mich von meinen Flecken leer.

神はこの身を械れより清め給う。

3 .アリア(テノール)

Ergieße dich reichlich, du göttliche Quelle,

あふれ出給え豊かに、御身、神の泉、

Ach, walle mit blutigen Strömen auf mich!

ああ、うねり来たれ、血潮に渦巻きこの我に!

 Es fühlet mein Herze die tröstliche Stunde,

 感じる、わが心は慰めの時を。

 Nun sinken die drückenden Lasten zu Grunde,

   今すべり落ちゆく、おしひしぐ重荷は地へと。

 Es wäschet die sündlichen Flecken von sich.

 心は罪の臓れを洗い落とすのだ。

4 .レチタティーヴォ(コラール付)(アルト)

Mein treuer Heiland tröstet mich,

わが信実なる救い主は力づけ給う、

Es sei verscharrt in seinem Grabe,

御墓に埋めてしまわれた、

Was ich gesündigt habe;

この身が犯した罪はみな、と。

Ist mein Verbrechen noch so groß,

わが滅びがどれほど大きかろうと、

Er macht mich frei und los.

あの御方がこの身を解き放ち給う。

Wenn Gläubige die Zuflucht bei ihm finden,

信ずる者らが避け所を御許に得るならば、

Muss Angst und Pein

必ず心細さも責苦も

Nicht mehr gefährlich sein

もはや命にかかわるものでなく

Und alsobald verschwinden;

ただちに消え失せてゆく。

Ihr Seelenschatz, ihr höchstes Gut

この者らの魂の宝、この上ない財、

Ist Jesu unschätzbares Blut;

それはイエスのかけがえのない御血。

Es ist ihr Schutz vor Teufel, Tod und Sünden,

それは悪魔と死と罪に対する彼らの護り、

In dem sie überwinden.

それにあって彼らは打ち克つ。

5 .アリア(バス)

Verstumme, Höllenheer,

黙すのだ、陰府の軍勢、

Du machst mich nicht verzagt!

お前はわが望みを絶てはせぬ!

 Ich darf dies Blut dir zeigen,

 この御血をお前に見せてやろう、

 So musst du plötzlich schweigen,

  するとお前はたちまち静まりかえる、

 Es ist in Gott gewagt.

 神にあって、思い切ってしたことだ。

6 .レチタティーヴォ(ソプラノ)

Ich bin ja nur das kleinste Teil der Welt,

この身は世界のほんの小さなかけら、

Und da des Blutes edler Saft

そして御血のとうとい汁液は

Unendlich große Kraft

はてしない大きな御力を

Bewährt erhält,

持ち給うと証明ずみ。

Dass jeder Tropfen, so auch noch so klein,

どのーしずくも、どれだけ小さかろうと、

Die ganze Welt kann rein

この全世界を清め

Von Sünden machen,

罪なきものとなし給い得る、と。

So lass dein Blut

さればなにとぞその御血を

Ja nicht an mir verderben,

この身にあって無駄にし給いませぬよう、

Es komme mir zugut,

この身の助けとなしませ、

Dass ich den Himmel kann ererben.

天の国を得られますように。

7 .コラール

Führ auch mein Herz und Sinn

導き給え、わが心と思いを

Durch deinen Geist dahin,

御身の霊によって、

Dass ich mög alles meiden,

ことごとく避けれらますように

Was mich und dich kann scheiden,

この身と御身を隔てようことは。

Und ich an deinem Leibe

そしてこの身が御身体の

Ein Gliedmaß ewig bleibe.

肢体で永遠にありますように。

                   対訳:松浦 純

マタイによる福音書 9章 1-8
 イエスは船に乗って湖を渡り、自分の町に帰ってこられた。すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れてきた。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。ところが、律法学者の中に、「この男は神を冒涜している」と思う者がいた。イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。人の子が地上で罪を赦す権威をもっていることを知らせよう。そして、中風の人に、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言われた。その人は起き上がり、家に帰って行った。群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。

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