ノーベル受賞業績の「オートファジー」とは

 今年のノーベル医学生理学賞を、東京工業大の大隅良典栄誉教授(71)が受賞しました。業績はオートファジー(自食作用)の仕組みの発見です。

 オートファジーとは、細胞内の一部を分解してリサイクルする仕組みで、主に外部から十分な栄養をとれないときに起こります。細胞内をきれいにする浄化作用や、病原菌を分解する免疫などの役割も担っていることが分かってきました。酵母のような単細胞生物から哺乳類まですべての真核生物がオートファジーの機能を持っています。

 オートファジーはまず細胞内に膜が現れることで始まり、その膜がたんぱく質やミトコンドリアなどの小器官を取り囲み、分解酵素を含んでいる別の小器官「リソソーム」と融合します。すると、取り囲まれたたんぱく質は分解されてアミノ酸となり、栄養素として再利用されるといいます。


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オートファジー(自食作用)の仕組み

 細胞が、自分自身のたんぱく質を分解し、新しいたんぱく質の材料として再利用する仕組みです。たんぱく質は、呼吸や栄養の消化、生殖など生命のあらゆる営みに欠かせません。食事で補給できますが、それでは足りず、不要になったり壊れたりしたたんぱく質をリサイクルしています。

 細胞内で成分の一部が分解されているらしいとは1950年代から考えられ、60年代初めにギリシャ語の「オート(自分)」と「ファジー(食べる)」という言葉から命名されました。しかし多くの研究者は無関心で、長い間、詳細はわかりませんでした。それを解明したのが大隅良典栄誉教授です。

 細胞内にまず膜が現れて、分解するたんぱく質などを包み込みます。それが、分解酵素がある液胞と呼ばれる器官に運ばれて分解されます。哺乳類など液胞がない動物は、たんぱく質を包んだ膜と、分解酵素の入ったリソソームという器官が融合し、分解されたものはたんぱく質のリサイクル器官に運ばれます。

 今では、人やマウスなどの哺乳類、昆虫、植物などあらゆる生物に共通の生命現象とわかりました。有害なたんぱく質を除去し細胞内をきれいに掃除したり、病原体を分解する免疫の役割も担っています。

 例えば、パーキンソン病やアルツハイマー病などは神経細胞に異常なたんぱく質がたまるのが一因ですが、オートファジーが関係しているという報告があります。研究がさらに進み、様々な病気の仕組みの解明や治療法の開発に貢献すると期待されています。

(AsahiDigitalより要約)
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