受動喫煙による肺がんリスク約1.3倍

肺がんリスク評価「ほぼ確実」から「確実」へ

 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターは、日本人の非喫煙者を対象とした受動喫煙と肺がんとの関連について、複数の論文を統合し、受動喫煙のある人は、ない人に比べて肺がんになるリスクが約1.3倍で、受動喫煙による日本人の肺がんのリスク評価を、これまでの「ほぼ確実」から「確実」に引き上げ、国際的なメタアナリシスの結果と同様であると公表しました。


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「日本人のためのがん予防法」で受動喫煙防止を明確な目標として提示

 日本人の実情に合わせ喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形、感染の6項目でがん予防法を提示しているガイドライン「日本人のためのがん予防法」においても、他人のたばこの煙を「できるだけ避ける」から“できるだけ”を削除し「避ける」へ文言の修正を行い、受動喫煙の防止を努力目標から明確な目標として提示しました。

 日本人における受動喫煙の肺がんリスクは、これまでの個々の研究では統計学的に有意な関連が示されていませんでしたが、複数の結果を統合したことで、リスクを上げることが「確実」であることが科学的根拠を持って示されました。

 日本人のがん予防策を考える上で、受動喫煙防止も禁煙同様に個人および公衆衛生上の目標として取り組むべきであると言えます。さらに、受動喫煙は肺がんだけでなく循環器疾患、呼吸器疾患、乳幼児突然死症候群などにも影響することが科学的に確立しています。受動喫煙による健康被害を公平かつ効果的に防ぐために、世界49カ国(2014年現在)で実施されている公共の場での屋内全面禁煙の法制化など、たばこ規制枠組条約で推奨されている受動喫煙防止策を、わが国においても実施することが必要だとしています。


遅れ気味の日本、今後の対策に期待

 日本では、公共の場や職場で、受動喫煙を防止するために必要な対策を講じるよう法律で定められています。しかし、諸外国のような罰則付きのものではなく、努力義務にとどまっています。

 そうした背景からか、受動喫煙を受けている人の割合は依然として高く、厚生労働省の「平成25年国民健康・栄養調査」によると、飲食店で受動喫煙が月1回以上ある人は46.8%に上ります。職場では33.1%、家庭の中では16.4%でした。

 世界保健機関(WHO)の報告でも、日本の受動喫煙防止策は、国際的に最低レベルと評価されているといいます。

 同センターがん対策情報センター登録統計室長の片野田耕太さんは「受動喫煙の健康被害を防ぐためには、屋内の喫煙を禁止するための法制の整備が必要だ」と強調しています。

 過去のオリンピック開催国では、受動喫煙に対して罰則付きの対策がとられています。受動喫煙の防止を法制化することで、急性心筋梗塞を含む心臓病、脳卒中や喘息などが減少するという海外の報告もあります。

 2020年の東京オリンピック開催に向けて、日本での対策が世界レベルにまで進むことが期待されます。

(国立研究開発法人国立がん研究センター、他より)
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