コメを食べて花粉症を治す臨床研究始まる

 スギ花粉の成分を含んだ特殊なコメ(スギ花粉症緩和米)を食べて、花粉症の治療につなげる臨床研究を、大阪府立呼吸器・アレルギー医療センターなどが11月から始めます。コメを食べるだけで根治できる可能性があります。


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 花粉症の治療法として広く用いられているものには「予防的治療」と「対症療法」があります。花粉シーズンの少し前から症状を抑える薬(抗アレルギー薬)の服用を始め、そのままシーズン中も継続する方法です。シーズンに入り、花粉が飛び、症状がひどくなってからでは、薬は効きづらくなりますが、軽いうちに薬を使い始めると、花粉が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、そのシーズンの症状を軽くすることができます。一方、対症療法とはシーズンに入り、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状がでたとき、その症状そのものをやわらげる治療法です。花粉症は、毎年ほぼ同じ時期に起きるので、早目に初期療法を行えば症状を和らげることができますが、広い意味での対症療法ですから完全な予防はできません。

 現在、「治癒をめざす治療」として実用的なものは「減感作療法」といわれているものです。「減感作」とは体の中にできた花粉に対する抗体を減らし、過剰なアレルギー反応がでないようにするという意味です。具体的には、原因となっている抗原(ここでは花粉)を少しずつ増やしながら注射していく治療法で、徐々に抗原に慣れさせて、最終的にはアレルギーが起こりにくい体質に変えていこうというものです。治療自体には2~3年間が必要ですが、対症療法とは異なって、唯一、アレルギーを治すことが可能だと言われますが、治療期間が長くかかること、注射量の加減の見極めが必要なこと、注射を受けるために病院へ通わなければならないこと、そして、まれに副作用がおこることから、必ずしも普及しているわけではありません。

 そこで数年前から農業・食品産業技術総合研究機構を中心開発に取り組んでいるのが、遺伝子組換え技術を利用したスギ花粉症緩和米です。


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スギ花粉症緩和米とは?

 スギ花粉症緩和米は、毎日ご飯を食べることによって、スギ花粉に対する減感作治療法をしようというものです。ご飯として食べることは注射に比べればはるかに簡単な接種方法で、長期にわたって何回も病院に通う必要もありません。

 遺伝子組換えといっても、お米の中にスギ花粉を作り出すことはできません。そこで、花粉が持っている抗原決定基(エピトープ)の部分に注目。エピトープとは、花粉の表面にあって、抗体が花粉を異物であると認識するために必要な部分のことです。スギ花粉症緩和米では、いくつかあるエピトープの一つだけをお米の中で作らせることによって、体の中の抗体に花粉が入ってきたと錯覚させようとします。エピトープ一つだけでも抗体は認識することができるので、アレルギー反応を抑えることができます。また、複数のエピトープが体に入ってしまうことになる花粉全部を使う減感作治療法と比べると、一つのエピトープしか入れないスギ花粉症緩和米の方が、体に対しての負担や副作用が少なく効果の高い治療法となると期待されています。

 お米は日本人に身近な上、胃で分解されずに腸まで届くたんぱく質を含んでいます。花粉症の人が毎日食べ、抗原決定基(エピトープ)が腸で吸収されるうちに、体内の免疫機能が過剰に反応しなくなると考えられています。原因物質そのものは含まれていないため、強いアレルギー症状は出ないとされます。

 今回の研究では、花粉症の10人に約1年間、このコメを毎日5グラム、普通のコメに混ぜて食べてもらい、血液検査でスギ花粉に反応する抗体の量を調べます。このほか、3グループ各15人に約半年間、このコメと普通のコメを計50グラム、割合を変えて食べてもらい、効き目などを比べるといいます。

(朝日新聞Digital、農業・食品産業技術総合研究機構HPより)
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