ああいかにはかなく、いかに空しき (BWV26)

 今日聴く日曜カンタータは、1724.11.19、三位一体主日後第24主日にライプツィヒで初演されたミヒャエル・フランクの同名のコラールによるコラール・カンタータです。

 コラールは、この世の虚しさを13節ににわたって列挙したもので、歌詞作者はこのコラールの最初と最後の節を冒頭合唱と終結コラールに使い、2~12節の内容をアリアとレシタティーヴォに編集しました。




 BACHの数あるカンタータのなかでも比類なき傑作といわれる作品で、「儚さ」と「虚しさ」の意味が増幅されて行きます。30年戦争のもたらした荒廃と悲惨、人の魂を襲った厭世思想が全編を覆っています。しかしBACHはその物哀しいコラールを両端に配し美しい作品に仕上げています。

 なお内容は当日の福音書章句と直接の関係はありません。


 ジョン・エリオット・ガーディナー 指揮、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団、ジョアン・ラン(S)、ウィリアム・タワーズ(CT)、ポール・アグニュー(T)、ピーター・ハーヴェイ(B)の演奏でお聴きください。





ああいかにはかなく、いかに空しき (BWV26)

1.合唱

Ach wie flüchtig, ach wie nichtig

はかなく むなしき

Ist der Menschen Leben!

地なる いのち

Wie ein Nebel bald entstehet

靄(もや)と 立ちのぼり

Und auch wieder bald vergehet,

また 消え去りゆく

So ist unser Leben, sehet!

そを とくと 悟れ

2.アリア (テノール)

So schnell ein rauschend Wasser schießt,

流れ 走る 水の ごと

So eilen unser Lebenstage.

われらが 日々も とく 過ぎゆく

Die Zeit vergeht, die Stunden eilen,

時は 去り 駆け抜けゆき

Wie sich die Tropfen plötzlich teilen,

ゆくてには 奈落の 淵(ふち)

Wenn alles in den Abgrund schießt.

すべてを 呑みつくす

3.レチタティーヴォ (アルト)

Die Freude wird zur Traurigkeit,

喜びは 悲しみに

Die Schönheit fällt als eine Blume,

花は うつろいゆく

Die größte Stärke wird geschwächt,

勢いは しぼみ

Es ändert sich das Glücke mit der Zeit,

時と ともに 変わり果つ

Bald ist es aus mit Ehr und Ruhme,

栄えも ただ つかのま

Die Wissenschaft und was ein Mensche dichtet,

人の わざも 墓に 入りて

Wird endlich durch das Grab vernichtet.

ついには 滅び去らん

4.アリア (バス)

An irdische Schätze das Herze zu hängen,

はかなき 宝に 心 寄せよと

Ist eine Verführung der törichten Welt.

世は 誘(いざの)う

Wie leichtlich entstehen verzehrende Gluten,

肉の 思いは 燃えあがり

Wie rauschen und reißen die wallenden Fluten,

けがれの 洪水は さか巻きて

Bis alles zerschmettert in Trümmern zerfällt.

すべてを 襲い 荒らしつくす

5.レチタティーヴォ (ソプラノ)

Die höchste Herrlichkeit und Pracht

栄えの きわみも

Umhüllt zuletzt des Todes Nacht.

果ては 死の 闇に

Wer gleichsam als ein Gott gesessen,

安き 座に ある 人も

Entgeht dem Staub und Asche nicht,

ちり 泥(ひじ)と ならん

Und wenn die letzte Stunde schläget,

終りの 鐘 鳴りて

Daß man ihn zu der Erde träget,

土に もどる さだめ

Und seiner Hoheit Grund zerbricht,

とうとき 人も また

Wird seiner ganz vergessen.

忘れ去らるべし

l6.コラール

Ach wie flüchtig, ach wie nichtig

はかなく むなしき

Sind der Menschen Sachen!

人の 世 すべて

Alles, alles, was wir sehen,

見る もの 過ぎ去る

Das muß fallen und vergehen.

主を 畏(おそ)るる 者

Wer Gott fürcht', bleibt ewig stehen.

とどまらん とわに

                    対訳:大村恵美子


マタイによる福音書 9,18-26

 イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたった今死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」そこで、イエスは立ち上がり、彼について行かれた。弟子たちも一緒だった。すると、そこへ十二年間も患って出血が続いている女が近寄ってきて、後ろからイエスの服の房に触れた。「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。イエスは指導者の家に行き、笛を吹く者たちや騒いでいる群衆を御覧になって、言われた。「あちらへ行きなさい。少女は死んだのではない。眠っているのだ。」人々はイエスをあざ笑った。群衆を外に出すと、イエスは家の中に入り、少女の手をお取りになった。すると、少女は起き上がった。このうわさはその地方一帯に広まった。

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