目覚めよ、祈れ、祈れ、目覚めよ(BWV70)

 教会暦では三位一体主日後第26主日は毎年廻って来ません。その前に待降節第1主日なってしまいます。第1年巻の172311.21にライプツィヒで初演されたこのカンタータは、ワイマール時代の待降節第2主日用のBWV70aのパロディです。ライプツィヒでは、待降節の期間中はカンタータの演奏が禁じられていたため、この日のために改定したわけです。


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 ワイマールで用いたザーロモ・フランクによる台本を基に作られたBWV70aをそのまま使用し、レチタティーヴォを持たなかったこの曲に、レチタティーヴォと第7曲のコラールをを加筆し、全体が2部分からなるカンタータに再編しました。

 最後の審判を告げるファンファーレで始まり、歌詞は祈るように呼びかけます。レシタティーヴォでは磔刑の場を連想させ、激しい調子で曲の内容を敷衍しています。


 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、シビラ・ルーベンス(S)、ベルンハルト・ランダウアー(CT)、クリストフ・プレガルディエン(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。








目覚めよ、祈れ、祈れ、目覚めよ(BWV70)

第1部

1.合唱

Wachet!betet!betet!wachet!

目覚めよ、祈れ、祈れ、目覚めよ。

Seid bereit

備えせよ、

Allezeit,

常に、

Bis der Herr der Herrlichkeit

栄光の主が

Dieser Welt ein Ende machet.

この世に終わりをもたらす日まで。

2.レチタティフ(バス)

Erschrecket,ihr verstockten Suender!

おののくがよい、かたくなな罪人たちよ、

Ein Tag bricht an,

その日が始まろうとしている、

Vor dem sich niemand bergen kann:

一人として逃げることのできない日が。

Er eilt mit dir zum strengen Rechte,

その日はすぐに来て、お前にきびしい

O!suendliches Geschlechte,

裁きをもたらす、おお、罪の種族よ、

Zum ewgen Herzeleide.

永遠の心の痛みに定められた者よ。

Doch euch,erwaehlte Gotteskinder,

しかし、選ばれた神の子らにとっては、

Ist er ein Anfang wahrer Freude.

その日はまことの喜びの始まりの日。

Der Heiland holet euch,

救い主の尊いみ顔の前で、

wenn alles faellt und bricht,

すべてのものが砕け散る時、

Vor sein erhoehtes Angesicht;

救い主はお前たちを受け入れて下さる。

Drum zaget nicht!

だから嘆くことはない。

3.アリア(アルト)

Wenn kommt der Tag,an dem wir ziehen

いつ、その日は来るのだろうか、

Aus dem Aegypten dieser Welt?

私たちがこの世のエジプトから逃れる日は。

Ach!lasst uns bald aus Sodom fliehen,

さあ、すみやかにソドムから逃げよう、

Eh uns das Feuer ueberfaellt!

火が私たちの上に降る前に。

Wacht,Seelen,auf von Sicherheit

魂よ、安眠から覚めよ、

Und glaubt,es ist die letzte Zeit!

信じなさい、今は終わりの時です。

4.レチタティフ(テノール)

Auch bei dem himmlischen Verlangen

天への憧れの中でも

Haelt unser Leib den Geist gefangen;

私たちの肉体は霊を捕らえてはなさない。

Es legt die Welt durch ihre Tuecke

世はその奸計によって

Den Frommen Netz und Stricke.

敬虔な者たちに網とわなをしかけている。

Der Geist ist willig,

心は願っていても、

doch das Fleisch ist schwach;

肉体が弱いのです。

Dies presst uns aus ein jammervolles Ach!

だから私たちは「ああ」と嘆くほかないのです。

5.アリア(ソプラノ)

Lasst der Spotter Zungen schmaehen,

嘲る者の舌を恥じ入らせよ、

Es wird doch und muss geschehen,

かならず事は成って、

Dass wir Jesum werden sehen

私たちは雲の上、いと高きところで

Auf den Wolken,in den Hoehen.

主イエスにお会いするのです。

Welt und Himmel mag vergehen,

天と地は過ぎ去っても、

Christi Wort muss fest bestehen.

キリストの言葉はかたくとどまります。

Lasst der Spotter Zungen schmaehen;

嘲る者の舌を恥じ入らせよ、

Es wird doch und muss geschehen!

事はかならず成るのです。

6.レチタティフ(テノール)

Jedoch bei dem unartigen Geschlechte

この不従順な者たちの中にいても、

Denkt Gott an seine Knechte,

神はそのしもべたちを心にとめて、

Dass diese boese Art

この悪の種族が

Sie ferner nicht verletzet,

私たちをこれ以上そこなうことのないように、

Indem er sie in seiner Hand bewahrt

そのみ手のうちに私たちを守り、

Und in ein himmlisch Eden setzet.

天のエデンに移して下さるのです。

7.合唱

Freu dich sehr,o meine Seele,

いざ喜べ、私の魂よ、

Und vergiss all Not und Qual,

苦しみも悩みもみな忘れよ、

Weil dich nun Christus,dein Herre,

お前の主であるキリストが、お前を

Ruft aus diesem Jammertal!

この涙の谷から呼び出して下さるのです。

Seine Freud und Herrlichkeit

主の喜びと栄光を

Sollt du sehn in Ewigkeit,

お前は永遠に見て、

Mit den Engeln jubilieren,

かならず、天使たちと共に歓呼し、

In Ewigkeit triumphieren.

永遠に勝利を歌うでしょう。

第2部

8.アリア(テノール)

Hebt euer Haupt empor

お前たちの頭を高く上げよ、

Und seid getrost,ihr Frommen,

慰めを受けよ、敬虔な者たちよ、

Zu eurer Seelen Flor

お前たちの魂が花で飾られるのだから。

Ihr sollt in Erden gruenen,

お前たちの魂はエデンの園で緑の葉を茂らせ、

Gott ewiglich zu dienen.

永遠に神にお仕えするでしょう。

9.レチタティフ(バス) 器楽のコラール

Ach,soll nicht dieser grosse Tag,

ああ、この大いなる日、

Der Welt Verfall

世界の滅び、

Und der Posaunen Schall,

ラッパの響き、

Der unerhoerte letzte Schlag,

耳にしたこともない最後の雷鳴、

Des Richters ausgesprochene Worte,  

審判者の告げる言葉、

Des Hoellenrachens oeffne Pforte

開け放された地獄の復讐の門、

In meinem Sinn

これらのものは、私の心に、

Viel Zweifel,Furcht und Schrecken,

疑いと不安と恐れを呼び起こし、

Der ich ein Kind der Suenden bin,

私が罪の子であることを

Erwecken?

思い起こさせるのです。

Jedoch,es gehet meiner Seelen  

しかし、私の魂には、ひと筋の喜びの輝き、

Ein Freudenschein,ein Licht des Trostes auf.

慰めの光が差し昇ります。

Der Heiland kann sein Herze nicht verhehlen,

救い主はその心を包み隠さず、

So vor Erbarmen bricht,

憐れみのために心が引き裂かれ、

Sein Gnadenarm verlasst mich nicht.

その恵みのみ腕は私を見捨てることはないのです。 

Wohlan,so ende ich mit Freuden meinen Lauf.  

さあ、私は喜んで私の人生を終えることにします。

10.アリア(バス)

Seligster Erquickungstag,

至福なる浄化の日よ、

Fuehre mich zu deinen Zimmern!

私を導け、あなたの部屋に。

Schalle,knalle,letzter Schlag,

鳴れ、とどろけ、終わりの雷鳴よ、

Welt und Himmel,geht zu Trummern!

地よ、天よ、砕け去れ。

Jesus fuehret mich zur Stille,

イエスは私を平安へと導き、

An den Ort,da Lust die Fuelle.

喜びの満ちる、その場所へと導いて下さる。

11.コラール

Nicht nach Welt,nach Himmel nicht

世でもなく、天でもなく、

Meine Seele wuenscht und sehnet,

私の魂の望み憧れるのは、

Jesum wuensch ich und sein Licht,

ただイエスとその光だけ、

Der mich hat mit Gott versoehnet,

主は私を神と和解させ、

Der mich freiet vom Gericht,

裁きから解放して下さる。

Meinen Jesum lass ich nicht.

私は主イエスを離れることはない。

川端純四郎 訳


マタイによる福音書 25,31-46

 人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来るとき、その栄光の座に着く。

そして、すべての国の民がその前に集められると、羊飼いが羊と山羊を分けるように、彼らをより分け、羊を右に、山羊を左に置く。そこで、王は右側にいる人たちに言う。『さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、裸の時に着せ、病気の時に見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。』すると、正しい人たちが王に答える。『主よ、いつわたしたちは、飢えておられるのを見て食べ物を差し上げ、のどが渇いておられるのを見て飲み物を差し上げたでしょうか。 いつ、旅をしておられるのを見てお宿を貸し、裸でおられるのを見てお着せしたでしょうか。いつ、病気をなさったり、牢におられたりするのを見て、お訪ねしたでしょうか。』そこで、王は答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』それから、王は左側にいる人たちにも言う。『呪われた者ども、わたしから離れ去り、悪魔とその手下のために用意してある永遠の火に入れ。お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせず、のどが渇いたときに飲ませず、旅をしていたときに宿を貸さず、裸の時に着せず、病気のとき、牢にいたときに、訪ねてくれなかったからだ。』すると、彼らも答えた。『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢えたり、渇いたり、旅をしたり、裸であったり、病気であったり、牢におられたりするのを見て、お世話をしなかったでしょうか。』そこで、王は答える。『はっきり言っておく。この最も小さい者の一人にしなかったのは、わたしにしてくれなかったことなのである。』こうして、この者どもは得家院の罰を受け、正しい人たちは永遠の命にあずかるのである。」
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