胃薬で脳卒中リスクが上昇?

 日本人に多い病気のひとつ「胃潰瘍」。ストレスが原因で起こることはよく知られていますが、これは胃が自律神経の影響を大きく受ける器官だからです。ストレスとともに、酒席が増えて暴飲暴食に陥りがちなこのシーズン、胃潰瘍を引き起こすまで至らなくとも、胃の機能が低下して胃酸が増えるなど胃に不調を感じる人は少なくありません。そこでお世話になる機会の増える胃薬ですが、先日、気になる研究結果が報告されました。



 胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療薬「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」の服用で、脳卒中のリスクが高まる可能性があるといいます。今年11月に米ニューオーリンズで開催された「米国心臓協会(AHA)」の学術集会で、デンマーク心臓財団(コペンハーゲン)のトマス・スィーイステズ氏らが発表したものです。ただし、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは、予備的なものとみなされます。


逆流性食道炎の治療では一般的な薬

 PPIは胃酸の過剰な分泌を抑制し、逆流性食道炎の治療では一般的に選択される薬です。スィーイステズ氏らは、デンマーク人患者約24万5000人(平均年齢57歳)の記録を分析。全ての対象者が、胃痛と消化不良の原因を特定するための内視鏡検査を受けていました。

 約6年間の追跡期間中、約9500人に初回の脳梗塞が発生しました。PPIであるオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾールのいずれかの服用時に、脳卒中が起こるかどうかを調べました。また、PPIと違うしくみで胃酸の分泌を抑える「H2拮抗薬(H2ブロッカー)」の服用についても確認しました。

 その結果、PPIによって全体的な脳卒中リスクが21%アップ。また、低用量のPPIを服用では脳卒中リスクは高くなく、最大用量の場合はリスクが最大でした。

 リスクの上昇度はPPIの種類にも左右され、最大用量での脳卒中リスクはランプラゾールの30%からパントプラゾールの94%まで幅がありました。

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漫然とした使用には注意を!

 一方で、PPIではリスクが上昇したが、H2ブロッカーでは上昇せず、他のリスク因子で調整後も変わりませんでした。ただし、今回の研究では、これらの薬剤と脳卒中リスク上昇との直接的な因果関係は確立できず、関連性を示したに過ぎません。

 これの結果についてスィーイステズ氏は、「PPIは血管維持に重要な生化学物質の濃度を低減する可能性がある」とコメントしています。

 実はPPI、近年に新たな副作用の可能性が次々と指摘されています。今年、米医学誌「JAMA Neurology」では<認知症になる危険性が高まる>と報告されました。

 ドイツ神経変性疾患センターのブリッタ・ヘーニシュ氏らは、認知症のない75歳以上の高齢者約7万人を対象に調査を実施。その結果、<PPIの服用者は、服用していない人と比べ、認知症になる危険性が1.4倍高かった>といいます。

 他にも、「慢性腎臓病」にかかる危険が高まることを、米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のベンジャミン・ラザルス氏らが米医学誌「JAMA Internal Medicine」で報告しています。

 PPIの一般的な商品には、オメプラール、オメプラゾン、タケプロン、パリエット、ネキシウム、タケキャブなどがあり、いずれもポピュラーな薬で、服用している人も多くいます。

 前述のスィーイステズ氏は、「PPI使用者は多いため、たとえわずかなリスクの上昇であっても、考慮すべき問題といえる」とした上で、その漫然とした使用が広がっている現状に「PPIの処方には、その必要性や使用期間を十分考慮すべき」との見解を示しています。

 服用のリスクを避けるには、食生活やライフスタイルを改善する努力も求められそうです。

(HealthPressより)
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