その人は幸いなり(BWV57)

 降誕祭第2日は、当時のライプツィヒに習慣では殉教者聖ステファノの祝日として、キリスト降誕に結びつけて祝われました。BACHはこの日のために3曲のカンタータを書きましたが、今日聴く曲は1725.12.26に初演されました。


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 この曲は「魂とイエスの対話曲」で、苦しみに耐えてこの世の生を終え。喜びのうちに天国に入ることが歌われ、ステファノの章句が言及されます。歌詞はワイマール時代のゲオルク・クリスティアン・レームスの歌詞集から取られたものです。


 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮、コレギウム・ヴォカーレ・ゲント&オーケストラ、ヴァシリカ・イェゾフセク(S)、ペーター・コーイ(B)の演奏でお聴きください。





その人は幸いなり(BWV57)

1.アリア(バス)

Selig ist der Mann,der die Anfechtung

「その人は幸いだ、試練を耐え忍ぶ人は。

erduldet;denn,nachdem er bewaehret ist ,

耐え抜いた時には、命の冠を

wird er die Krone des Lebens empfahen.

受けるからだ」

2.レチタティフ(ソプラノ)

Ach! diese suesse Trost

ああ、この甘い慰めは

Erquickt auch mir mein Herz,

私の心をも力づけてくれます。

Das sonst in Ach und Schmerz

さもなければ私の心は悲嘆と苦痛の中で

Sein ewigs Leiden findet

永遠の苦難に沈み

Und sich als wie ein Wurm in seinem Blute windet.

うじ虫のように血の中を、はいまわるだけなのです。

Ich muss als wie ein Schaf

私は無数の恐ろしい狼にかこまれた

Bei tausend rauhen Woelfen leben;

羊のように生きるほかありません。

Ich bin ein recht verlassnes Lamm,

まさに見捨てられた子羊のように

Und muss mich ihrer Wut

狼たちの憤怒と

Und Grausamkeit ergeben.

無惨さに取り囲まれているほかないのです。

Was Abeln dort betraf,

昔アベルの身にふりかかった苦難が

Erpresset mir auch diese Traenenflut.

私にも襲いかかって涙の河をあふれさせます。

Ach! Jesu,wuesst ich hier

ああ、イエスよ、もし私が

Nicht Trost von dir,

あなたの慰めを、今、知らなかったなら、

So muesste Mut und Herze brechen,

勇気も心も砕けてしまって、

Und voller Trauren sprechen:

悲しみのあまり次のように歌うことでしょう。

3.アリア(ソプラノ)

Ich wuenschte mir den Tod,den Tod,

私は死を、死を望みます、もしあなたが、

Wenn du,mein Jesu,mich nicht liebtest,

私のイエスよ、私を愛して下さるのでなければ。

Ja wenn du mich annoch betruebtest,

そうです、もしあなたが私をさらに悲しませる

So haett ich mehr als Hoellennot.

のなら、それは地獄にまさる苦しみです。

4.レチタティフ(バス、ソプラノ二重唱)

(バス=イエス)

Ich reiche dir die Hand Und auch damit das Herze.

私はあなたに手をさしのべさらに心も与えよう。

(ソプラノ=魂)

Ach! suesses Liebespfand,

ああ、甘美な愛の保証よ、

Du kannst die Feinde stuerzen

あなたは敵を倒し

Und ihren Grimm verkuerzen.

敵の怒りを取り除いて下さいます。

5.アリア(バス)

Ja,ja,ich kann die Feinde schlagen,

そうだ、私は敵をうち破り、

Die dich nur stets bei mir verklagen,

いつもお前を私に告発する敵をうち破る。

 Drum fasse dich,bedraengter Geist.

だからしっかりせよ、打ちひしがれた魂よ。

 Bedraengter Geist,hoer auf zu weinen,

打ちひしがれた魂よ、泣くのをやめよ、

 Die Sonne wird noch helle scheinen,

太陽はやがて明るく輝く、

 Die dir itzt Kummerwolken weist.

今はお前には悲しみの雲に隠されているが。

6.レチタティフ(バス、ソプラノ二重唱)

(バス=イエス)

In meiner Schoss liegt Ruh und Leben,

私のふところには安息と命がある、

Dies will ich dir einst ewig geben.

やがてこれは永遠にお前のものだ。

(ソプラノ=魂)

Ach! Jesu,waer ich schon bei dir,

ああ、イエスよ、今すぐにでもおそばに

Ach striche mir

いられたら!ああ、天の風が

Der Wind schon ueber Gruft und Grab,

墓穴と墓石の上を、今、吹き渡るなら、

So koennt ich alle Not besiegen.

どんな苦難にも私は打ち勝つでしょうに。

Wohl denen,die im Sarge liegen

幸いな人です、棺の中で

Und auf den Schall der Engel hoffen!

天使の軍勢を待ち望む人たちは。

Ach! Jesu,mache mir doch nur,

ああ、イエスよ、どうか私にも

Wie Stephano,den Himmel offen!

ステファノのように天を開いて下さい。

 Mein Herz ist schon bereit,

私の心は、すでに、あなたのもとに昇りゆく

Zu dir hinaufzusteigen.

準備ができています。

Komm,komm,vergnuegte Zeit!

来たれ、来たれ、満ち足りた時よ、

Du magst mir Gruft und Grab

お前は私に墓穴と墓石を示し、

Und meinen Jesum zeigen.

そこで私のイエスと会わせてくれるでしょう。

7.アリア(ソプラノ)

Ich ende behende mein irdisches Leben

この世の命をすみやかに終わって、喜びのうちに

Mit Freuden zu scheiden verlang ich itzt eben.

去ることを私は願っています。

Mein Heiland,ich sterbe mit hoechster Begier,

私の救い主よ、熱い憧れと共に

Hier hast du die Seele,

私は死にます。私の魂をお受け取り下さい。

was schenkest du mir?

あなたは何を下さいますか?

8.合唱

Richte dich,Liebste,nach meinem Gefallen

私の愛する者よ、お前の顔を、私の喜ぶ方に向けなさい、

und glaeube,

そして信じなさい、

Dass ich dein Seelenfreund immer und ewig

私が常に変わることなく

verbleibe,

お前の魂の友であり、

Der dich ergoetzt 

お前を喜ばせ

Und in den Himmel versetzt

苦難に責めさいなまれる肉体から

Aus dem gemarterten Leibe.

お前を天に救い出すことを。

                    対訳:川端純四郎


ルカによる福音書 2,15-20

 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。しかし、マリアはこれらの出来事を全て心に納めて、思い巡らしていた。羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰っていった。

マタイによる福音書 23,34-39

 だから、わたしは預言者、知者、学者をあなたたちに遣わすが、あなたたちはその中のある者を殺し、十字架につけ、ある者を会堂で鞭打ち、町から町へと追い回して迫害する。こうして、正しい人アベルの血から、あなたたちが聖所と祭壇の間で殺したバラキアの子ゼカルヤの血に至るまで地上に流された正しい人の血はすべて、あなたたちにふりかかってくる。はっきり言っておく。これらのことの結果はすべて、今の時代の者たちにふりかかってくる。「エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者よ、めん鳥が雛を羽の下に集めるように、わたしはお前の子らを何度集めようとしたことか。だが、お前たちは応じようとしなかった。見よ、お前たちの家は見捨てられて荒れ果てる。言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言うときまで、今から後、決してわたしを見ることがない。」

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