平均律クラヴィーア曲集 第1巻(1)

 平均律クラヴィーア曲集として知られる作品の原題はDas Wohltemperirte Clavierで、鍵盤楽器があらゆる調で演奏可能となるよう「良く調整された(well-tempered)」という意味で、必ずしも平均律を意味するわけではありませんが、和訳では「平均律」が広く用いられています。

 第1巻と第2巻があり、それぞれ24の全ての調による前奏曲とフーガで構成されています。第1巻 (BWV846〜869) は1722年、第2巻 (BWV870〜893) は1742年に完成しました。

 第1巻の自筆譜表紙に次のように記されています。


B.jpg


 上手に調律されたクラヴィーア、あるいは、長3度つまりドレミ、短3度つまりレミファもかかわるすべての全音と半音を用いた前奏曲とフーガ。音楽を学ぶ意欲のある若者たちの役に立つように、また、この勉強にすでに熟達した人たちには、特別な娯楽として役立つために。現アンハルト ケーテン宮廷楽長兼室内楽団監督、ヨハン・セバスチャン・バッハが起草し、完成。1722年。


 これらの作品を全曲聴くと、それぞれ2時間ほどかかるので、つい聞き流してしまいます。そこで第1巻を4曲づつ、6回に分けて聴いていきたいと思います。この動画では同一曲を繰り返し聴くこともできます。

 名手クリストフ・ルセの演奏でお聴きください。


第1曲 前奏曲-4声のフーガ ハ長調(BWV 846)






 前奏曲は晴朗な美しさの分散和音のみで作られ、後にシャルル・グノーがこれに声楽を付して「アヴェ・マリア」を作曲しています。

 フーガはヘクサコード(6音音階)による歌唱風の4声フーガで、主題に含まれる付点リズムは、改定段階で加えられたものです。


第2曲 前奏曲-3声のフーガ ハ短調(BWV 847)






 純器楽的な書法で作られた前奏曲は、後半でテンポがプレスト、ダージョ、アレグロと変化します。

 フーガはスケルツォ風の躍動的な曲で、第1曲のフーガより自由な構成で作られています。


第3曲 前奏曲-3声のフーガ 嬰ハ長調(BWV 848)






 躍動体な輝きに満ちた、軽快な動きの前奏曲の後に続く3声のフーガは、自由な間奏を挟みつつ進められます。


第4曲 前奏曲-5声のフーガ 嬰ハ短調(BWV 849)






 前奏曲は高貴な悲しみをたたえ、クラヴィーアを豊かに歌わせています。これに続く十字架を形どったとされる音型のフーガは、第2、第3の主題が加わり5声で荘重に発展します。

スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する