愛するイエス、わが願い(BWV32)

 今日は公現後第1主日で主イエス洗礼の日とも呼ばれています。西方教会にはなかった祝日で、東方教会(正教会)の影響でカトリック教会が採用したことに刺激されて聖公会でも採用することになったといいます。

 今日聞くカンタータは、ゲオルク・クリスチアン・レームスの歌詞台本によって作られ、1726.1.13ライプツィヒで初演されました。




 この曲は魂とイエスの霊的な愛の二重唱として構想され合唱は最後のコラールにおいてのみ加わります。BACHはこのような対話曲をいくつか作曲していますが、この曲はまさに円熟期の作品です。

 福音書の章句は12歳のイエスの挿話で、イエスを見失った両親がエルサレムの戻ると、神殿で学者と問答しているイエスを見出す物語です。


 ジョス・ヴァン・ヴェルトホーフェン指揮、オランダ・バッハ協会、モニカ・マウフ(S)、マールテン・エンジェルス(CT)、ジョアン・モレイラ(T)、ステファン・マクロード(B)の演奏会の録画でお聴きください。日本のバロック・ヴァイオリニスト佐藤俊介 (Vl Ⅰ) と山縣さゆり (Vl Ⅱ)が参加しています。第3曲のバスのアリアで、佐藤俊介の素晴らしい演奏が聴けます。





愛するイエス、わが願い(BWV32)

1.アリア[ソプラノ]

Liebster Jesu,mein Verlangen,

愛しまつるイエスよ、私の望みよ、

Sage mir,wo find ich dich?

教えて下さい、どこにおられるのですか。

Soll ich dich so bald verlieren

あなたを見失ってしまって、

Und nicht ferner bei mir spueren?

もうお会いできないのでしょうか。

Ach! mein Hort,erfreue mich,

ああ、私の宝よ、私を喜ばせて下さい、

Lass dich hoechst vergnuegt umfangen.

あなたをしっかりと抱きしめさせて下さい

2.レチタティヴォ[バス]

"Was ists,dass du mich gesuchet?

「どうして私をさがすのか。

Weisst du nicht,dass ich sein muss in dem,das meines Vaters ist?"

知らないのか、私は父のいる所に 必ずいることを」

3.アリア[バス]

Hier in meines Vaters Staette,

父の住むこの場所で

Findt mich ein betruebter Geist.

悲しみに嘆く魂は私を見いだす。

Da kannst du mich sicher finden

お前はたしかに私を見いだして、

Und dein Herz mit mir verbinden,

お前の心を私に結びつける、

Weil dies meine Wohnung heisst.

その心こそ私の住まいなのだから。

4.レチタティヴォ[ソプラノ、バス]

(魂)

Ach!heiliger und grosser Gott,

ああ、聖なる偉大な神よ、

So will ich mir

それなら私は

Denn hier bei dir

あなたのおそばに

Bestaendig Trost und Huelfe suchen.

変わらない慰めと助けをさがし求めます。

(イエス)

Wirst du den Erdenstand verfluchen

お前が地上の虚栄を呪って

Und nur in diese Wohnung gehn,

この住まいに入ることだけを願うなら、

So kannst du hier und dort bestehn.

お前は地上でも天国でも受け入れられる。 

(魂)

Wie lieblich ist doch deine Wohnung,

あなたの住まいは何と美しいことか、

Herr,starker Zebaoth;

主、力強い万軍の主よ、

Mein Geist verlangt

私の霊が願い求めているのは、

Nach dem,was nur in deinem Hofe praengt.  

ただ、あなたの宮に輝くものだけです。

Mein Leib und Seele freuet sich

私の身も魂も生ける神を喜びます。

In dem lebendegen Gott:

ああ、イエスよ、私の胸は

Ach! Jesu,meine Brust liebt dich nur ewiglich.

あなただけを永遠に愛します。

(イエス)

So kannst du gluecklich sein,

それならお前は幸せになれる。

Wenn Herz und Geist

心と霊が、私に対する愛で

Aus Liebe gegen mich entzuendet heisst.

燃えているというのなら。

(魂)

Ach!dieses Wort,das itzo schon

ああ、私の心を混乱の世界から引き離して下さる、

Mein Herz aus Babels Grenzen reisst,

そのみ言葉を、私は祈りをこめて

Fass ich mir andachtsvoll in meiner Seele ein.

私の魂にきざみつけます。

5.二重唱アリア[ソプラノ、バス]

(両者)

Nun verschwinden alle Plagen,

今こそ消えゆく、あらゆる苦しみは、

Nun verschwindet Ach und Schmerz.

今こそ消えゆく、ため息も痛みも。

(魂)

Nun will ich nicht von dir lassen,

もはや私はあなたを離れません。

(イエス)

Und ich dich auch stets umfassen.

私もお前をいつも抱きしめていよう。

(魂)

Nun vergnueget sich mein Herz

今こそ満ち足りています、私の心は。

(イエス)

Und kann voller Freude sagen:

そして喜びにあふれて共に言おう、

(両者)

Nun verschwinden alle Plagen,

今こそ消えゆく、あらゆる苦しみは、

Nun verschwindet Ach und Schmerz!

今こそ消えゆく、ため息も痛みも。

6.コラール

Mein Gott,oeffne mir die Pforten

私の神よ、私のために開いて下さい。

Solcher Gnad und Guetigkeit,

このような恵みと愛の門を。

Lass mich allzeit allerorten

どんな時にも、どんな所でも、

Schmecken deine Suessigkeit!

あなたのやさしさを私に味わわせて下さい。

Liebe mich und treib mich an,

私を愛して下さい、そして私を導いて下さい、

Dass ich dich,so gut ich kann,

力のおよぶ限り、くりかえしあなたを抱き締め愛し、 

Wiederum umfang und liebe

二度とあなたを

Und ja nun nicht mehr betruebe.

悲しませることのないように。

                      川端純四郎 訳詞


ルカによる福音書 2,41-52

 さて、両親は過越祭には毎年エルサレムへ旅をした。イエスが十二歳になったときも、両親は祭りの慣習に従って都に上った。祭りの期間が終わって帰路についたとき、少年イエスはエルサレムに残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。イエスが道連れの中にいるものと思い、一日分の道のりを行ってしまい、それから、親類や知人の間を捜し回ったが、見つからなかったので捜しながらエルサレムに引き返した。三日の後、イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。聞いている人は皆、イエスの賢い受け答えに驚いていた。両親はイエスを見て驚き、母が言った。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです。」すると、イエスは言われた。「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。」しかし、両親にはイエスの言葉の意味が分からなかった。それから、イエスは一緒に下って行き、ナザレに帰り、両親に仕えてお暮らしになった。母はこれらのことをすべて心に納めていた。イエスは知恵が増し、背丈も伸び、に愛された。

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