わがため息、わが涙は(BWV13)

 公現後第2主日に聴くこのカンタータは、1726.1.20ライプツィヒで初演されましたが、1725年のクリスマスからBACHはダルムシュタットのの宮廷詩人ゲオルク・クリスマス・レームスの歌詞集「神の心に叶う教会の捧げもの」をテキストとして使っています。但し終結のコラールはBACH自身が補ったとみられます。




 この日の福音書聖句は「カナの婚礼」に奇跡で、婚礼の世話をしていたイエスの母は、ぶどう酒がなくなったのでイエスに助けを頼みます。イエスは「私の時はまだ来ていません」と言いつつ石がめの中の水を上等のぶどう酒に変えます。

 この逸話に言及されるのは第4曲のみで、レームスはむしろ「私の時はまだ来ていません」というイエスの言葉に注目し、神の助けを待ち望みつつ苦悩するキリストス者の苦悩を描いています。


 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、ジョアン・ラン(S)、リチャード・ウィン・ロバーツ(CT)、ジュリアン·ポジャー(T)、ジェラルド·フィンリー(B)の演奏でお聴きください。





わがため息、わが涙は(BWV13)

1.アリア(テノール)

Meine Seufzer, meine Tränen

わがため,息、わが涙は

Können nicht zu zählen sein.

数えるべくもない。

 Wenn sich täglich Wehmut findet

 日々 憂愁がおこり

  Und der Jammer nicht verschwindet,

  悲嘆が消えやらぬとは、

 Ach! so muss uns diese Pein

  ああ!きっとわれらにこの苦しみが

 Schon den Weg zum Tode bahnen.

 はや死への道を拓いているに違いない。

2 .レチタティーヴォ(アルト)

Mein liebster Gott lässt mich annoch

わが慕いまつる御神はいまだ

Vergebens rufen und mir in meinem Weinen

甲斐なく呼びかけさせ給い、泣き暮れるこの身に

Noch keinen Trost erscheinen.

まだ何も慰めを現わし給いません。

Die Stunde lässet sich zwar wohl von ferne sehen,

その時はたしかに遠く望めます、

Allein ich muss doch noch Vergebens flehen.

しかしそれでも今はまだ甲斐なく哀願するばかりです。

3 .コラール(アルト)

Der Gott, der mir hat versprochen

神はこの身に約束し給うた、

Seinen Beistand jederzeit,

助力をいつでも与えると。

Der lässt sich vergebens suchen

その神が、甲斐なく求めさせ給う、

Jetzt in meiner Traurigkeit.

いま、わが悲愁のただ中で。

Ach! Will er denn für und für

ああ!神はそれではいついつまでも

Grausam zürnen über mir,

酷く怒り給うのか、この身に対し。

Kann und will er sich der Armen

もはや為し給わぬのか、乏しい者らを

Itzt nicht wie vorhin erbarmen?

かつてのごとく憐れむことは?

4 .レチタティーヴォ(ソプラノ)

Mein Kummer nimmet zu

わが心痛は増し加わり

Und raubt mir alle Ruh,

奪い去ります、あらゆる安らぎを。

Mein Jammerkrug ist ganz mit Tränen angefüllet,

わが悲嘆の水がめはすっかり涙で満たされ、

Und diese Not wird nicht gestillet,

この困苦は静まりやらず、

So mich ganz unempfindlich macht.

この身を簿れ萎えさせます。

Der Sorgen Kummernacht

思い悩みの心痛の夜が

Drückt mein beklemmtes Herz darnieder,

締めつけられた心を押しひしぎます。

Drum sing ich lauter Jammerlieder.

それゆえ歌うのは悲嘆の歌ばかり。

Doch, Seele, nein,

いや、魂よ、違います、

Sei nur getrost in deiner Pein:

依り頼むのです、苦痛の中で。

Gott kann den Wermutsaft gar leicht in Freudenwein verkehren

神は苦ヨモギの汁をいともたやすく喜びの葡萄酒へと転じ給い

Und dir alsdenn viel tausend Lust gewähren.

お前にそれから何千もの愉悦を与えることがお出来になるのです。

5.アリア(バス)

Ächzen und erbärmlich Weinen

呻き、みじめに泣くことは

Hilft der Sorgen Krankheit nicht;

憂いの病の助けにならぬ。   

Aber wer gen Himmel siehet

しかし天を振り仰ぎ   

Und sich da um Trost bemühet,

そこに望みを求める者、  

Dem kann leicht ein Freudenlicht

その者にはたやすく喜びの光が

In der Trauerbrust erscheinen.

悲愁の胸に現れいでる。

6.コラール

So sei nun, Seele, deine

されば魂よ、己を取り戻し

Und traue dem alleine,

依り頼めあの方だけに、

Der dich erschaffen hat;

お前を造り給うたあの方に。

Es gehe, wie es gehe,

事がどのように運ぼうと、

Dein Vater in der Höhe,

高き所の父上は、

Der weiß zu allen Sachen Rat.

知り給う、あらゆる事に良き術を。

                     対訳:松浦 純


ヨハネによる福音書 2章 1-11

 三日目に、ガリラヤのカナで婚礼があって、イエスの母がそこにいた。イエスも、その弟子たちも婚礼に招かれた。ぶどう酒が足りなくなったので、母がイエスに、「ぶどう酒がなくなりました」と言った。イエスは母に言われた。「婦人よ、わたしとどんなかかわりがあるのです。わたしの時はまだ来ていません。」しかし、母は召し使いたちに、「この人が何か言いつけたら、そのとおりにしてください」と言った。そこには、ユダヤ人が清めに用いる石の水がめが六つ置いてあった。いずれも二ないし三メトレテス入りのものである。イエスが、「水がめに水をいっぱい入れなさい」と言われると、召し使いたちは、かめの縁まで水を満たした。イエスは、「さあ、それをくんで宴会の世話役のところへ持って行きなさい」と言われた。召し使いたちは運んで行った。世話役はぶどう酒に変わった水の味見をした。このぶどう酒がどこから来たのか、水をくんだ召し使いたちは知っていたが、世話役は知らなかったので、花婿を呼んで、言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、酔いがまわったころに劣ったものを出すものですが、あなたは良いぶどう酒を今まで取って置かれました。」イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行って、その栄光を現された。それで、弟子たちはイエスを信じた。
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