イエス眠りたまえば、われ何に頼るべき(BWV81)

 今日聴くカンタータは公現後第4主日の1724.1.30にライプツィヒで初演されましたが、教会暦ではこの日が現れない年もあります。

 BACHがライプツィヒで初めて迎えた新年に雄大な合唱曲を持つBWV65を初演して以来、大きな合唱曲を書いていません。これは聖トーマス教会の聖歌隊員たちが多忙だったためと思われます。




 このカンタータは当日朗読される福音書を基に、一編の絵画を見るようなイメージで作曲されています。

 マタイ福音書によれば、イエスと弟子たちが船出すると海に激しい嵐が起こりました。弟子たちが恐れおののいているのにイエスは眠ったままでいます。弟子たちが助けを求めると、イエスは「なぜ怖がるのか、信頼の薄い者たちよ」と言い、嵐と海を叱りつけると、大凪になり弟子たちはその権威に驚嘆したと書かれています。


 シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド、ガーリンデ・サマン(S)、ペトラ・ノスカイオヴァ(A)、クリストフ・ゲンツ(T)、ヤン・ファン・デル・クラッベン(B)の演奏でお聴きください。





イエス眠りたまえば、われ何に頼るべき(BWV81)


1 .アリア(アルト)

Jesus schläft, was soll ich hoffen?

イエスは寝ておられる、私は何に望みをかけたらよいのか?

Seh ich nicht

私は見ないだろうか、

Seh ich nicht Mit erblasstem Angesicht

顔も青ざめつつ、

Schon des Todes Abgrund offen?

早くも死の奈落が口を開けるのを。

2 .レチタティーヴォ(テノール)

Herr! warum trittest du so ferne?

主よ!なぜそんなに離れて行かれるのですか?

Warum verbirgst du dich zur Zeit der Not,

なぜ姿を隠しておられるのですか、この困苦のときに。

Da alles mir ein kläglich Ende droht

嘆かわしい終末がまぎれもなく、私に迫っているのです。

Ach, wird dein Auge nicht durch meine Not beweget

ああ、あなたの目は私の困苦にも動かされないのですか。

So sonsten nie zu schlummern pfleget?

平素はけっしてまどろむことのない目ですのに。

Du wiesest ja mit einem Sterne

あなたは星をもってお示しになりました、

Vordem den neubekehrten Weisen,

かつて、新たに帰依した学者たちに

Den rechten Weg zu reisen.

Ach leite mich durch deiner Augen Licht,

正しい道を旅するすべを。

Ach leite mich durch deiner Augen Licht,

ああ、あなたのまなざしの光で私を導いてください、

Weil dieser Weg nichts als Gefahr verspricht.

この道には危険ばかりが待っているのですから。

3 .アリア(テノール)

Die schäumenden Wellen von Belials Bächen

べリアルの小川の波がしぶきを上げ、

Verdoppeln die Wut.

猛威を倍加させる。

Ein Christ soll zwar wie Felsen stehn,

キリスト者は波のように翻弄されるほかはない、

Wenn Trübsalswinde um ihn gehn,

難難の嵐が周囲を吹きめぐる時には。

Doch suchet die stürmende Flut

しかし荒れ狂う怒涛は求めている、

Die Kräfte des Glaubens zu schwächen.

信仰の力を弱めることを。

4 .アリオーソ(バス)

Ihr Kleingläubigen, warum seid ihr so furchtsam?

「お前たち小信の者よ、なぜそんなにおびえるのか?」

5 .アリア(バス)

Schweig, aufgetürmtes Meer!

黙れ、逆巻く波よ!

Verstumme, Sturm und Wind!

鎮まれ、嵐ょ風よ!

Dir sei dein Ziel gesetzet,

お前には、別の目標があるはずだ。

Damit mein auserwähltes Kind

私が選んだ子を、

Kein Unfall je verletzet.

いかなる災害も損なうことがないように。

6 .レチタティーヴォ(アルト)

Wohl mir, mein Jesus spricht ein Wort,

うれしや、私のイエスが言葉を語り、

Mein Helfer ist erwacht,

助けの主が目を覚まされた。

So muss der Wellen Sturm, des Unglücks Nacht

これで、波の嵐も 不幸の夜も、

Und aller Kummer fort.

あらゆる悲しみも消え去るにちがいない。

7 .コラール

Unter deinen Schirmen

あなたの傘のもとで

Bin ich für den Stürmen

私は嵐のような

Aller Feinde frei.

敵すべてから、免れています。

Lass den Satan wittern,

サタンは荒れ狂うがいい、

Lass den Feind erbittern,

敵は猛り立っがいい。

Mir steht Jesus bei.

私にはイエスが味方してくださる。

Ob es itzt gleich kracht und blitzt,

たとえ今、雷鳴が轟き稲妻が光っても、

Ob gleich Sünd und Hölle schrecken,

たとえ罪と地獄が威嚇しても、

Jesus will mich decken.

イエスが私をかばってくださるのだ。

                    対訳:磯山 雅


マタイによる福音書 8,23-27

 イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。そのとき、湖に激しい嵐が起こり、舟は波にのまれそうになった。イエスは眠っておられた。弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。

 イエスは言われた。「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。」そして、起き上がって風と湖とをお叱りになると、すっかり凪になった。

 人々は驚いて、「いったい、この方はどういう方なのだろう。風や湖さえも従うではないか」と言った。
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