「スマ診」都市部でもサービス開始

 スマートフォンなどを使って自宅や職場にいながら医師に診察してもらう遠隔診療が、都市部で広がってきています。遠隔診療はこれまで離島やへき地が主な対象とされてきましたが、一昨年の厚生労働省の通知をきっかけに様変わりし、病状が安定していれば通院の手間がはぶけるため、勤め人や子育て・介護中の人たちが利用しています。




 東京都港区にある新六本木クリニックは精神科や禁煙外来に遠隔診療を活用し、月に50人程度の患者が利用していといいます。ここでは、遠隔診療を希望する患者でも、最初の1回は医師と直接対面して診察を受けます。その後は、遠隔診療でも大丈夫と医師に判断されれば、患者はスマホに専用のアプリをダウンロードするかパソコンを使います。ネットで診察時間を予約し、その時間にパソコンやスマホの前で待機します。費用はクレジットカードで払い、薬は配達してもらうか、処方箋を送ってもらって近所の薬局で受け取ります。

 遠隔診療のシステムを提供する「メドレー」によると、事業を始めた昨年2月から昨年末までに北海道から沖縄までの約200医療機関が導入。首都圏や関西、九州、東海の都市部の診療所が目立ち、診療科は内科や小児科、精神科、皮膚科などといいます。

 代表取締役で医師の豊田剛一郎さんは「医療機関の間では遠隔診療の認知度が上がってきた。今後は患者にも広く知ってもらいたい」と語ります。


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診療効果は研究中

 都市部での遠隔診療が進む契機となった厚労省の通知が出たのは2015年8月。診療は医師が患者と直接会って行うのが基本で、遠隔診療の考え方を記した1997年の通知では、対面診療と適切に組み合わせることを前提に認められる場合として、離島やへき地を挙げていました。

 しかし、新たな通知ではこれらを「例示である」とし、医療現場では「事実上の解禁」と受け止められました。ただ厚労省によると、公的医療保険では初診での遠隔診療を認めていません。

 流れが変わった背景には、通信機器の発達とともに、超高齢社会の中で医療を効率的に提供できるようにする政府の狙いがあります。通知の約1カ月前には、「遠隔医療の推進」を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針」が閣議決定されました。

 課題もあります。遠隔診療は「再診料」はとれるが、糖尿病や高血圧といった病気に応じた管理料が原則請求できないなど、医療機関の収入が対面診療に比べて減る場合が多く、1回当たり数千円程度少なくなることもあるといいます。このため、「予約料」として数百~2千円程度の負担を患者に求める医療機関もあります。

 また、治療効果が対面診療と同等であることを裏付ける十分なデータがまだありません。現在、東京女子医科大学などが高血圧患者を対象に遠隔と対面で効果を比較する研究を進めています。


遠隔診療を受けるには

 遠隔診療を受けるには、遠隔診療をしている医療機関を探すことから始まります。ネットで「オンライン診療」などと検索します。医療機関が提供するサービスが医療相談なのか、公的医療保険による診療なのか、専門としている病気や診察時間が自分に合っているか、費用はいくらか、対面診療が必要な場合に通院できる場所にあるかを確かめます。仕事の合間に職場で受診する場合は、プライバシーが保てて静かに話せる部屋を確保します。利用しやすい病気は、検査や注射の必要がなく、状態が安定しているものに限られます。

(朝日新聞Digital、動画と図はスマホでスマート診療より
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