太った人の脳は10歳早く老化している!

 太っている人は、標準体重の人に比べて脳が10歳分老化していることが、英ケンブリッジ大学のLisa Ronan氏らの研究で明らかになりました。


加齢に伴う脳の委縮に注目し、MRIで比較

 肥満の人は、そうでない人に比べ、いろいろな面で老化が早いことが知られています。既に、肥満が脳の構造に影響を及ぼすことは示唆されていましたが、正常な加齢に伴って生じる脳の萎縮にも肥満が影響を与えるかどうかは明らかではありませんでした。また、肥満は、アルツハイマー型認知症のような神経変性疾患のリスクを高めるのではないかと考えられていますが、直接これを示したデータはありませんでした。

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 そこでRonan氏らは、MRI検査を使って、肥満の人の脳の構造的な老化、すなわち脳の容積の減少を、標準体重以下の人と比べてみました。

 分析対象となったのは、英国在住の20歳から87歳までの、健康で認知機能も正常な、BMIが18.5以上の473人(平均年齢54歳、BMIの平均は26)です。それらの人々を、BMIが18.5以上25未満の「やせ/標準」群246人(51%)と、BMIが25以上30未満の「過体重」群150人(31%)、BMIが30以上の「肥満」群77人(18%)に分類し、やせ/標準体重群(246人)と、過体重/肥満群(227人)の間で、脳の老化の度合いを比較しました。

 全員のMRI画像について、それぞれの白質の状態(白質の容積)と、灰白質の状態(皮質の厚み、表面積)を数値化しました。

 大脳の中では、神経細胞の細胞体は、主に脳の表面を覆う灰白質の中に存在します。一方、灰白質の内側にある白質には細胞体はなく、それらから伸びて他の神経細胞に信号を送る神経線維が存在しています。


過体重および肥満の人は、10歳分早く脳の容積が減少

 まず、年齢に伴う白質の変化を調べたところ、容積は40~50歳が最も多く、それ以降は徐々に減少していました。ただし、やせ/標準群と比較すると、過体重/肥満群の白質容積は、40歳以降一貫して少なく、50歳の時点で、やせ/標準群の60歳の容積と同様でした。それ以降も、やせ/標準群に比べ10歳分ずつ早い容積減少がみられました。

 灰白質の皮質表面積と皮質厚も、年齢上昇と共に減少していましたが、やせ/標準群と過体重/肥満群の間に明らかな差はありませんでした。

 キャッテル式知能検査を行ったところ、両群ともに認知能力は、年齢が上昇するほど低下しており、55歳以降に低下速度が速くなっていました。認知能力の低下は両群に同様に生じていました。

 健康で認知機能も正常な成人を対象とするこの研究で得られた結果は、大脳白質の容積の減少は過体重/肥満の患者で大きく、中年以降の脳の年齢は、やせ/標準群より10歳分老化が進んだ状態にありました。

 この研究では、過体重や肥満が、直接白質の萎縮を引き起こしているのかどうかはわかりません。また、過体重/肥満の人が減量した場合、白質容積にどのような影響が生じるかは不明です。ただし、白質の容積の減少は、いずれ神経変性疾患や認知機能の低下を引き起こす可能性があるため、さらなる研究が必要だと研究者たちは考えています。

(Nikkei Goodayより)
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