汝のものをとりて去りゆけ(BWV144)

 今日聴くカンタータは、復活節前第9主日(七旬節の主日)のために、1724.2.6にライプツィヒで初演されています。1724年の作品としては質素であり、偽作説もありますが、自筆スコアも残されおり、真作であることを示しています。


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ゴッホ 赤い葡萄畑


 演奏当日の礼拝で朗読されたマタイ福音書は「ぶどう園の労働者のたとえ」から得られる教訓、すなわち神によって与えられたものに満足するべきであるという教えについて述べたものです。


 シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド、ガーリンデ・サマン(S)、ペトラ・ノスカイオヴァ(A)、クリストフ・ゲンツ(T)、ヤン・ファン・デル・クラッベン(B)の演奏でお聴きください。





汝のものをとりて去りゆけ(BWV144)

1.合唱

Nimm, was dein ist, und gehe hin.

「自分の分を受け取って帰りなさい。」

2 .アリア(アルト)

Murre nicht,

不平を言ってはならない、

Lieber Christ,

キリストのともがらよ、

Wenn was nicht nach Wunsch geschicht;

たとえ望んだようにならなくとも。

   Sondern sei mit dem zufrieden,

 満足していなさい、

 Was dir dein Gott hat beschieden,

 神があなたに定められたもので、

 Er weiß, was dir nützlich ist.

 神は、何があなたに有用であるかを知っておられる。

3 .合唱

Was Gott tut, das ist wohlgetan,

神がなさる御業こそ、良いことなのだ、

Es bleibt gerecht sein Wille;

神が望まれることは常に正しい。

Wie er fängt meine Sachen an,

神がわたしのことを始められたままに、

Will ich ihm halten stille.

わたしは静かに神に従う。

Er ist mein Gott,

その方はわたしの神だから、

Der in der Not

苦境にあっても

Mich wohl weiß zu erhalten:

わたしをみごとに支えてくださる。

Drum lass ich ihn nur walten.

だからわたしはただひたすら神の統治に従うのだ。

4 .レチタティーヴォ(テノール)

Wo die Genügsamkeit regiert

節度が支配し

Und überall das Ruder führt,

いたるところで舵を取るところでは

Da ist der Mensch vergnügt、

人はまさに

Mit dem, wie es Gott fügt.

神が定められたことで満ち足りている。

Dagegen, wo die Ungenügsamkeit das Urteil spricht,

他方、責欲が判決を’下すところでは、

Da stellt sich Gram und Kummer ein,

心痛と苦悩が生じ、

Das Herz will nicht

心は

Zufrieden sein,

満足することはなく、

Und man gedenket nicht daran:

こう思うこともない。

Was Gott tut, das ist wohlgetan.

神がなさる御業こそ、良いことなのだと。

5 .アリア(ソプラノ)

Genügsamkeit

節度こそ

Ist ein Schatz in diesem Leben,

この人生の宝、

Welcher kann Vergnügung geben

それは満足を与えるもの

In der größten Traurigkeit,

大いなる悲しみの時にも、

Genügsamkeit.

節度こそ。

Denn es lässet sich in Allem

なぜなら、あらゆるときに

Gottes Fügung wohl gefallen

神の定められたことをよしとするのは

Genügsamkeit.

節度だから。

6 .コラール

Was mein Gott will, das gscheh allzeit,

神が望まれることが、いつでも現れますように、

Sein Will, der ist der beste.

御心こそが最善のこと。

Zu helfen den'n er ist bereit,

神は助けることにやぶさかではない、

Die an ihn glauben feste.

神を堅く信じる者たちを。

Er hilft aus Not, der fromme Gott,

正しき神は苦境から助けられ、

Und züchtiget mit Maßen.

ほどよく養われる。

Wer Gott vertraut, fest auf ihn baut,

神を信じ、しっかりと神に基づいて築く者を、

Den will er nicht verlassen.

神は決して見捨てられない。

                      対訳:磯山 雅


マタイによる福音書 20章 1-16

 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。主人は、一日につき1デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出ていき、同じようにした。

 五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。

 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、1デナリオンずつ受け取った。最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも1デナリオンずつであった。

 それで、受け取ると、主人に不平を言った。『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』

 主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと1デナリオンの約束をしたではないか。自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前の良さをねたむのか。』このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」


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