人生を楽しむ人ほど長生き! 幸せの総量が健康に関係する

 「幸福を感じている人は長生きをする」「不幸だと感じている人ほど寿命が短い」。昔からよく言われることです。理由として、<人生で楽しいことが多い=悲しみや怒りが少なくストレスも少ない>と考えられることから、健康と長生きの秘訣になるとしばしばいわれます。もしかすると、楽しみが少なく不幸な人生は長くなくていいという人々の願望も、少しは関係しているかもしれません。


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 実際、幸福感と長寿の関係については今まで多くの研究がなされてきました。その結果「主観的な幸福感が高い人の寿命は長めである」と結論づけたものもある一方で、まったく違う結論が導き出されたものもあります。

 たとえば、英国の女性72万人を調査したオーストラリアの大学の調査によれば、「幸福か不幸かは死亡リスクにほとんど関係がなかった」と報告されています。


2年ごとに3回「幸せ度」を調査してみると

 しかし今までの調査研究では、「幸せかどうか」という問いは最初に一度行われるだけで、何年にもわたって持続的に幸福であることの重要性については調べられることがありませんでした。

 そこで注目されているのが、『英国医学雑誌(BMJ)』の2016年クリスマス特集号に掲載された、英ロンドン大学による研究結果です。それによると、50代以降に楽しく幸せな期間が長く続くことが、その後の死亡リスクの低下に関連しているといいいます。

 今回、研究チームは、幸福感の調査を2年ごとに3回行い、その後6年間の死亡リスクとの関係を調べました。対象となったのは、英国加齢縦断研究(ELISA)に参加した人たちのうち、50歳以上の9365名(平均年齢63歳)です。

 2002年、2004年、2006年の2年ごと3回にわたり、その時の人生を楽しんでいるかどうかを聞き取り調査し、その後2013年まで追跡。それまでに死亡した人の数を参照することで、回答が死亡率と関係しているかどうかを調べました。

 参加者は「自分がしていることを楽しんでいる」「ほかの人と一緒にいて楽しい」「どちらかといえば幸せな気持ちで人生を振り返ることができる」「最近はエネルギーが満ちていると感じる」という質問項目に回答。

 その総得点から高スコア群「人生が楽しい」と低スコア群「人生が楽しくない」に分けました。3回の調査で全体の20%の人が1回、22%が2回、34%が3回とも高スコア群の「人生が楽しい」に分類されました。そして24%の人が、調査中1度も高スコアになりませんでした。

 ちなみに「人生が楽しい」と報告した回数は男性より女性の方が多く、そのほかの高スコア群の特徴としては、既婚であること、高学歴なこと、富裕なこと、若いこと、現在も働いていることなどでした。


「人生が楽しい」と死亡率は24%も下がる

 2006年から6年間の追跡期間中に1310名が死亡。解析を行った結果、人生が楽しいと報告した回数が多いほど死亡率が低下していました。

 たとえば「人生を楽しんでいる」と報告したことが0回だったグループと比べると、2回あったグループでは17%、3回あったグループでは24%、死亡率が低かったといいます。

 研究チームは、この関係性は逆転の因果関係によってバイアスがかかっている可能性を考えました。つまり重い病気にかかっていれば人生は楽しくなく、死亡率も高まるだろうということです。そこで最後の調査から2年以内の死亡を除外しましたが、それでも結果は変わらなかったといいます。この幸福感が持続すると死亡率が低くなるメカニズムについて、論文では免疫反応と関係で推論しています。


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 ストレス反応で分泌が増加するホルモン「コルチゾール」は、免疫反応の初期に必要な物質の合成や分泌を抑えてしまい、正常な免疫反応を妨げることが知られています。つまりストレスになる要因がない、またはあってもストレスと感じない人は免疫反応が強く、病気になりにくいといいます。

 また「幸せ気分」が早寝早起きや運動、バランスの良い食事、さらには積極的に健診や治療を行うなど、生活習慣において正しい選択をする「心の余裕」を生み出すからではないかとも付け加えています。


<幸せ>の総量が肉体的健康に関係する?

 ただし、今回の結果は「観察研究」によるものであり、人生の喜びの数と死亡率に相関関係があったことを示しているだけで、「因果関係」までを明らかにしたものではありません。さらには「人生を楽しんでいる」の定義が聞き取り調査によるものであり、本当に実感している「楽しさ」と一致するかは疑問の余地があります。そのため「長生きするには日々の生活を楽しくするべき」と言い切る根拠にはなりません。

 それでも研究チームは「幸福感が続くことと死亡リスクの低下との用量的な関連を明らかにすることで、人々の主観的な幸福感が、身体的な健康に与える意義の理解に新たな次元をもたらすものだ」と主張しています。

 幸福感とは結局、主観的なものでしかありません。社会的地位や置かれた境遇に関わりなく「自分自身の」幸せや楽しさを感じられる人が、人生の勝ち組ということなのでしょう。しかし中年になって急に人生が楽しくなる人はなかなかいません。今回の研究が示唆するポイントは「持続」です。若いうちから自分の好きなことを楽しむポジティブな生き方が、老後の人生の楽しさを決めるのではないでしょうか。

(Health Pressより)
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