平均律クラヴィーア曲集 第1巻(6)

 クリストフ・ルセの演奏で聴いてきた平均律クラヴィーア曲集第1巻最終回は第21曲から第24曲です。


第21曲  前奏曲ーフーガ 変ロ長調(BWV 866)






 前奏曲はトッカータによる即興的な様式で書かれ、走句の切れ目にいくつかの和音の柱が挿入されます。フーガは2歩前進しては1歩後退する形の発展形主題に基づいています。 


第22曲  前奏曲ーフーガ 変ロ短調(BWV 867)






 祈りの雰囲気を感じさせる異色の作品です。前奏曲は進むにつれてテクスチャーの厚みが増し。クライマックスでは9声部に達します。5声のフーガは古風な荘重さが際立っています。


第23曲  前奏曲ーフーガ ロ長調(BWV 868)






 3声のインヴェンション様式による前奏曲は「2つの深淵の間に咲いた一輪の花のよう」と言われます。その冒頭のモチーフが、続く4声のフーガの主題になっています。


第24曲  前奏曲ーフーガ ロ短調(BWV 869)






 前奏曲はコレッリ風のトリオソナタ様式で書かれた美しい曲です。末尾の半音階的な動きが、続くフーガを予示しています。ラルゴの4声フーガの主題には、12音階がすべて含まれています。この主題がキリストの受難を思わせる壮大なポリフォニーを築き上げて、平均律クラヴィーア曲集第1巻を締めくくります。


 終曲のフーガは、アーノルド・シェーンベルクが提唱した12技法の原点を、ここに見出すことができます。私感ですがシェーンベルクの作品より圧倒的に優れた作品で、BACHは20世紀の現代音楽を含めた音楽の可能性を、すでに未透視していたとしか思えません。少し難解な作品ですが、終曲のフーガの楽譜を添付しますので、楽譜を見ながらじっくり聴いてみてください。

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