魚の油が健康に良い理由とは?

 最近、亜麻仁油やエゴマ油など「オメガ3脂肪酸」と呼ばれる油が健康にいいと注目されています。オメガ3とは脂肪酸の種類を示す言葉で、アミノ酸が集まってたんぱく質になるように、油は3種類の脂肪酸とグリセリンでできており、そのバランスで油の性質が決まってきます。実際はアマニ油にも様々な脂肪酸が入っていますが、特にαリノレン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸が多いのが特徴です。

 脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸にはオメガ9、オメガ6、オメガ3などの種類があり、飽和脂肪酸とは肉や乳製品に入っている脂。オメガ9はオリーブオイル、オメガ6は一般のサラダ油、そしてオメガ3は魚の油やアマニ油に多く含まれています。魚の油に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、アマニ油に含まれるαリノレン酸、これらはすべてオメガ3脂肪酸です。



オメガ3は血管をしなやかにする

 オメガ3脂肪酸が注目されているのは、多くの健康効果が確認されているためです。血管を保護する、血管壁にくっついたLDL(悪玉)コレステロールを取り去る、HDL(善玉)コレステロールを増やして中性脂肪を減らすなど、オメガ3脂肪酸には実に多くの効用があるといいます。

 しかし「魚の油をとると血液中の油が減る」のは不思議な気がします。魚の油とはいえ、油の仲間なのに、どうしてこのような働きがあるのでしょうか? 効果は確認されていますが、その仕組みはきちんと分かってはいないといいます。なぜオメガ3脂肪酸が脂質の代謝を正常化するのか。例えばオメガ3脂肪酸には血管をしなやかにして、拡張させる作用があり、血流が良くなると、血液中の中性脂肪がエネルギー源として全身にスムーズに運ばれるようになります。エネルギーとして有効に活用されるため、血中の中性脂肪の数値が下がるのではないか、と考えられています。

 脂肪酸は細胞膜の原料として使われます。血管がしなやかになるのは、血管壁を構成する細胞膜にオメガ3脂肪酸のような流動性の高い脂肪酸が入るためで、通常、血管壁の細胞膜にはコレステロールが補強材として入っていますが、オメガ3脂肪酸も代わりに入ることができます。オメガ3脂肪酸は折れ曲がった形をしているので、血管壁にすき間ができて酸素や栄養が通りやすくなります。また、外からの力にも柔軟に対応できるようになり、その結果、血管がしなやかになり、血流も改善するというわけです。


コレステロールとオメガ3脂肪酸の摂取が細胞膜に与える影響

飽和脂肪酸とトランス脂肪酸はとり過ぎに注意

 逆に中性脂肪を増やすのは肉に多い飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸はオメガ3脂肪酸と違って細胞膜の中に入ることはできず、もっぱらエネルギー源として使われます。そのため必要以上にとると、余った飽和脂肪酸が中性脂肪になって血液中に増えてきます。メカニズムは分かっていませんが、中性脂肪が増えるとHDLコレステロールが減ります。HDLコレステロールは動脈にたまったLDLコレステロールを回収する役割を担っているため、HDLコレステロールが減ると、結果としてLDLコレステロールが増えてしまい、動脈硬化をもたらすといいます。

 また、植物油を加工したときなどにできるトランス脂肪酸も動脈硬化をもたらします。もともとオメガ6脂肪酸に近い構造なので、細胞膜に入ってきます。しかしオメガ3やオメガ6の脂肪酸のような折れ曲がりがないため、酸素や栄養が通りにくくなり、細胞膜のしなやかさを失わせてしまいます。また、オメガ3やオメガ6の代わりに細胞膜に入ることで、居場所を失ったオメガ3やオメガ6が中性脂肪になって血液中に出てくる弊害もあるといいます。

 トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングに多く、加工食品にも含まれています。原材料に「ショートニング」「植物油100%」などと表示してあれば、トランス脂肪酸が多い可能性が高いので、くれぐれも取り過ぎには注意しましょう。


うつ病やアルツハイマー病を防ぐ可能性も

 オメガ3脂肪酸には、他にもいろいろな効果が期待されています。最近発表された動物実験によると、魚油には脳の視床下部に働いて食べ過ぎを抑える作用があるといいます。

 うつ病にも効果があるとする報告もあります。33人の男女がオメガ3脂肪酸のサプリメントを35日間飲み、その前後で心理テストを受けたところ、摂取後は活気が増し、怒り、不安、うつなどネガティブな感情はすべて軽くなっていました。

 さらに、アルツハイマー病を予防する可能性もあります。アルツハイマー病は脳にβアミロイドというたんぱく質がたまって発症すますが、動物実験でオメガ3脂肪酸にβアミロイドの蓄積を抑える作用が確認されました。

 しかし、現代人はオメガ3脂肪酸の摂取量が減っている。理由は魚を食べなくなったことだ。20世紀までの日本人は肉よりも魚をたくさん食べる民族でしたが、今世紀に入ってから魚と肉の摂取量が逆転し、その差は年々開いています。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、1985年には1人1日当たり90gの魚を食べていたが、2015年には69gと30年で20g以上減りました。それに対して肉は72gだったのが91gと、逆に20g近く増えています。


日本人の1日当たりの魚と肉の摂取量(g)

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リーズナブルなエゴマ油がお勧め

 オメガ3脂肪酸の欠点は、構造が不安定なため壊れやすく、酸化されやすいこと。アマニ油が小さな容器に入って売られているのも、開封後は品質の劣化が早いためです。オメガ3脂肪酸を効率よくとろうと思ったら、あまり熱を加えず、アマニ油ならサラダにかけます。魚なら焼き魚や煮魚よりも刺し身の方がいいといいます。風味の問題などもありますが、単にαリノレン酸をとりたいなら、アマニ油よりも値段が割安のエゴマ油の方がお勧めです。

 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA・αリノレン酸)の1日目安量を30~40代の男性で2.1g、同じく女性で1.6gとしています。魚やエゴマ油を積極的にとって、健康にいいオメガ3脂肪酸を補給しましょう!

(Nikkei Goodayより)
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