ミサ曲 ロ短調 (BWV232)

 レオナルド・ダ・ヴィンチの壁画に描かれている、キリストが12人の弟子たちと過ごした「最後の晩餐」がミサの起源で、カトリック教会で最も重要な典礼儀式です。BACHの時代、ルター派の教会でもカトリックの典礼が取り入られ、ラテン語の歌詞でミサ曲が歌われていました。

 ミサ曲 ロ短調はBACH最後の大規模な声楽作品で、最終的に完成したのは、死の前年1749年といわれます。マタイ受難曲、ヨハネ受難曲と並び、BACHの作品の中でも最高峰に位置するとされていますが、演奏時間は2時間近くかかる長大さから、実際の典礼において全曲が演奏されたことはありませんでした。


レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」原画


 BACHはこの作品に題名を与えておらず、全体が4部に分かれ、それぞれにラテン語ミサの各部分のタイトル「ミサ」、「ニケア信条」、「サンクトゥス」、「オサナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイ、ドナ・ノビス・パーチェム」が記されています。しかしすべてが全くの新作ではなく、多くはカンタータからの転用で構成されています。


 多くの演奏家がこの名曲を手がけていますが、合唱が主体の作品のため、合唱団を抱えている指揮者の演奏が優れていると思います。長大なので演奏会の動画の方が飽きずに聴けるので、今回はジョン・エリオット・ガーディナーの演奏会録画を選びました。

 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ&モンテヴェルディ合唱団、ハンナ・モリソン、エスター・ブラジル(S)、ケイティ・ブレイ、ケイト・シモンズ・ジョイ(MS)、ピーター・ダヴォレン、ニコラス・プリチャード(T)、アレキサンダー・アシュワース(Br)、デイビッド・シプレー(B)の演奏です。 






ミサ曲ロ 短調 (BWV232)

Ⅰミサ

キリエ

第 1 曲 (合唱)

Kyrie eleison.

主よ、あわれみたまえ。

第 2 曲 (二重唱)S、MS

Christe eleison.

キリストよ、あわれみたまえ。

第 3 曲 (合唱)

Kyrie eleison.

主よ、あわれみたまえ。

グローリア

第 4 曲 (合唱) (after Cantata BWV 191/1)

Gloria in excelsis Deo.

いと高きところには栄光、神にあれ。

第 5 曲 (合唱)

Et in terra

地には

pax hominibus bonae voluntatis.

み心にかなう人々に平和。

第 6 曲 (アリア)S、T

Laudamus te,

われら主をほめ、

benedicimus te,

主をたたえ、

adoramus te,

主を拝み、

glorificamus te.

主の栄光をあがむ。

第 7 曲 (合唱)    (after Cantata BWV 29/2)

Gratias agimus tibi

主の大いなる栄光のゆえに、

propter magnam gloriam tuam.

感謝したてまつる。

第 8 曲 (二重唱)S、T   (after Cantata BWV 193a/5)

Domine Deus, Rex coelestis,

神なる主、天の王、

Deus Pater omnipotens.

全能の父なる神よ。

Domine Fili unigenite

主なる御ひとり子

Jesu Christe altissime.

いと高きイエスキリストよ。

Domine Deus, Agnus Dei,

神なる主、神の子羊、

Filius Patris.

父の御子よ。

第 9 曲 (合唱)    (after Cantata BWV 191/2)

Qui tollis peccata mundi,

世の罪を除きたもう主よ

Miserere nobis.

我らをあわれみたまえ

Qui tollis peccata mundi,

世の罪を除きたもう主よ

suscipe deprecationem nostram.

我らの歎願を受け入れたまえ。

第 10 曲(アリア)A     (after Cantata BWV 46/1)

Qui sedes ad dextram Patris,

父の右に座したもう主よ、

Miserere nobis.

我らをあわれみたまえ

第 11 曲(アリア)B

Quoniam tu solus sanctus,

主のみ聖なり、

tu solus Dominus,

主のみ王なり、

tu solus altissimus,Jesu Christe.

主のみいと高し、イエスキリストよ。

第 12 曲(合唱)

Cum Sancto Spiritu

聖霊とともに、

in gloria Dei Patris

父なる神の栄光のうちに、

amen.

アーメン


Ⅱニケア信経

第 13 曲(合唱)

Credo in unum Deum.

我は信ず、唯一の神を。

第 14 曲(合唱)   (after Cantata BWV 171/1)

Patrem omnipotentem,

全能の父、

factorem coeli et terrae,

天と地と、見ゆるもの、

visibilium omninum, et invisibilium.

見えざるもの、すべての造り主を。

第 15 曲(二重唱)S、A

Et in unum Dominum Jesum Christum,

我は信ず、唯一の主イエスキリストを。

Filium Dei unigentitum

主はよろずの世のさきに、

et ex Patre natum ante omnia secula.

父より生まれたる神の御ひとり子、

Deum de Deo,

神より神、

lumen de lumine,

光より光、

Deum verum de Deo vero,

まことの神よりのまことの神、

genitum, non factum

造られずして生まれ、

consubstantialem Patri,

父と同じ本質の方、

per quem omnia facta sunt.

すべては主により造られたり。

Qui propter nos homines

主は我ら人類のため、

et propter nostram salutem

また我らの救いのために

descendit de coelis.

天よりくだり。

第 16 曲(合唱)

Et incarnatus est de Spiritu Sancto

聖霊によりて

ex Maria virgine

おとめマリアより御からだを受け、

et homo factus est.

人となりたまえり。

第 17 曲(合唱)    (after Cantata BWV 12/2)

Crucifixus etiam pro nobis

われらのため十字架につけられ、

sub Pontio Pilato,

ポンシオ・ピラトのもとにて

passus et sepultus est.

苦しみを受け、葬られたまえり。

第 18 曲(合唱)

Et resurrexit tertia die

聖書にありしごとく

secundum scripturas,

三日目に復活し、

et ascendit in coelum,

天に昇りて、

sedet ad dexteram Dei Patris.

父の右に座したもう。

et iterum venturus est cum gloria

主は栄光のうちに再び来たり、

judicare vivos et mortuos,

生ける人と死せる人を裁きたまい、

cujus regni non erit finis.

主の国は終わることなし。

第 19 曲(アリア)B

Et in Spiritum sanctum Dominum

我は信ず、主なる聖霊、

et vivificantem,

生命の与え主を

qui ex Patre Filioque procedit;

聖霊は父と子よりいで、

qui cum Patre et Filio

父とともに

simul adoratur etconglorificatur;

拝みあがめられ、

qui locutus est per Prophetas.

預言者によりて語りたまえり。

Et unam, sanctam, catholicam,

唯一の、聖なる、普遍の、

et apostolicam ecclesiam.

使徒継承の教会を信ず。

第 20 曲(合唱)

Confiteor unum baptisma

われは罪の赦しのため

in remissionem peccatorum

唯一の洗礼を認め

第 21 曲(合唱) (after Cantata BWV 120/2)

et exepecto resurrectionem mortuorum,

死者の復活と、

et vitam venturi seculi, amen.

来るべき世での命を待ち望む。アーメン。


Ⅲサンクトゥス

第 22 曲(合唱)

Sanctus, sanctus, sanctus,

聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、

Dominus Deus Sabaoh.

万軍の神なる主。

Pleni sunt coeli et terra gloria ejus.

主の栄光は天地に満てり。


Ⅳオサナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイ、ドナ・ノビス・パーチェム

第 23 曲(合唱)   (after Cantata BWV 215/1)

Osanna in excelsis.Ⅰ

いと高きところにホサンナⅠ

第 24 曲(アリア)T

Benedictus qui venit in nomine Domini.

ほむべきかな、主の名によりて来る者。

第 25 曲(合唱)

Osanna in excelsis. Ⅱ

いと高きところにホサンナ Ⅱ

第 26 曲 (アリア)A    (after Cantata BWV11/4)

Agnus Dei,qui tollis pecata mundi,

世の罪を除きたもう神の子羊よ

miserere nobis.

我らをあわれみたまえ

Agnus Dei,qui tollis pecata mundi,

世の罪を除きたもう神の子羊よ

miserere nobis.

我らをあわれみたまえ

Agnus Dei,qui tollis pecata mundi,

世の罪を除きたもう神の子羊よ

第 27 曲(合唱)    (after Cantata BWV29/2)

Dona nobis pacem.

我らに平安を与えたまえ。

                          対訳:音楽の森より
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