平和汝とともにあれ(BWV158)

 復活祭第3日目に聴くこの曲は、1735年以前に「マリアの浄めの祝日」のために書かれた第2曲と第3曲に、冒頭のレチタティーヴォと終曲のコラールが付け加えられて、復活祭第3日に上演されたのではないかと言われています。正確なことはわかっていませんが、演奏時間も短く、不完全な形で伝承されていると思われる作品です。


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 冒頭のバスによるレチタティーヴォは、当日の福音書聖句にある、復活したイエスが弟子に告げた言葉「平和汝にあれ」を中心に展開し、最後はアリオーソとなり、癒やすような旋律に乗せて、同じ言葉が繰り返し呼びかけられます。続くアリアではソプラノのコラールが加わり、さらにヴァイオリンのオブリガートが絡むという珍しい構成で作られています。


 ハンス・クリストフ・ラデマン指揮、オランダ・バッハ協会、Zsuzsi Tóth(S)、マシュー・ブルック(B)他の演奏会の録画でお聴きください。山縣さゆりのヴァイオリンのオブリガートが聴けます。





平和汝とともにあれ(BWV158)

1 .レチ夕ティーヴォ(バス)

Der Friede sei mit dir,

平安があなたとともにあるように、

Du ängstliches Gewissen!

不安に満ちた良心よ。

Dein Mittler stehet hier,

あなたの仲介者がここにおられる、

Der hat dein Schuldenbuch

この方はあなたの罪状書と

Und des Gesetzes Fluch

律法の呪いとを

Verglichen und zerrissen.

照合し、破り捨てられた。

Der Friede sei mit dir,

平安があなたとともにあるように、

Der Fürste dieser Welt,

この世の君主は、

Der deiner Seele nachgestellt,

あなたの魂につきまとったが、

Ist durch des Lammes Blut bezwungen und gefällt.

子羊の血によって打ち負かされ、倒された。

Mein Herz, was bist du so betrübt,

わが心よ、なぜあなたはそれほど悲しんでいるのか、

Da dich doch Gott durch Christum liebt!

神はキリストを通じてあなたを愛されているではないか。

Er selber spricht zu mir:キリスト自らがわたしに言われる。

Der Friede sei mit dir!平安があなたとともにあるように。

2 .アリア(バス)とコラール(ソプラノ)

Welt, ade, ich bin dein müde,

この世よ、さらば、おまえに疲れた、

Salems Hütten stehn mir an,

サレムの幕屋がわたしにはふさわしい、

Welt, ade, ich bin dein müde,

この世よ、さらば、おまえに疲れた、

Ich will nach dem Himmel zu,

わたしは天に昇りたい、

Wo ich Gott in Ruh und Friede

そこでわたしは安らぎと平和の中で

Ewig selig schauen kann.

永久に幸せに神を見ることができる。

Da wird sein der rechte Friede

そこには真の平和と

Und die ewig stolze Ruh.

永遠に誇るべき安,息とがあるだろう。

Da bleib ich, da hab ich Vergnügen zu wohnen,

そこにわたしは留まり、そこに住む喜びを得る、

Welt, bei dir ist Krieg und Streit,

この世よ、おまえのところには戦争と争いごと、

Nichts denn lauter Eitelkeit;

ひたすら虚しいことばかり。

Da prang ich gezieret mit himmlischen Kronen.

そこでわたしは天の栄冠に飾られて光輝く

In dem Himmel allezeit

天国にはいつでも

Friede, Freud und Seligkeit.

平和と喜びと至福がある。

3 .レチタティーヴォとアリオーソ(バス)

Nun, Herr, regiere meinen Sinn,

今こそ主よ、わたしの気持ちを統御され、

Damit ich auf der Welt,

わたしがこの世にあっても、

So lang es dir, mich hier zu lassen, noch gefällt,

あなたの御心に叶って、わたしがこの世に

Ein Kind des Friedens bin,

いられるかぎり、平和の子であり、

Und lass mich zu dir aus meinen Leiden

この苦しみから解き放たれ、あなたのもとへ

Wie Simeon in Frieden scheiden!

シメオンのように平和のうちに逝けるようにしてください。

Da bleib ich, da hab ich Vergnügen zu wohnen,

そこにわたしは留まり、そこに住む喜びを得る、

Da prang ich gezieret mit himmlischen Kronen.

そこでわたしは天の栄冠に飾られて光輝く。

4.コラール

Hier ist das rechte Osterlamm,

ここに真の過ぎ越しの子羊がいる、

Davon Gott hat geboten;

神が定められた子羊が。

Das ist hoch an des Kreuzes Stamm

十字架の幹高く

In heißer Lieb gebraten.

熱い愛で焼かれた子羊だ。

Des Blut zeichnet unsre Tür,

その血はわれらの戸に塗られ、

Das hält der Glaub dem Tode für;

その血を信仰が死に向かってかざすと、

Der Würger kann uns nicht rühren.

死をもたらす者もわれらに手を触れることができない。

Alleluja!

アレルヤ。

                    対訳:磯山 雅


ルカによる福音書 24章 36-47

 こういうことを話していると、イエスご自身が彼らの真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。

彼らは恐れおののき、亡霊を見ているのだと思った。

そこで、イエスは言われた。「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしだ。

触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある。」こう言って、イエスは手と足をお見せになった。

彼らが喜びのあまりまだ信じられず、不思議がっているので、イエスは、「ここに何か食べ物があるか」と言われた。

そこで、焼いた魚を一切れ差し出すと、イエスはそれを取って、彼らの前で食べられた。

イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」

そしてイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心の目を開いて、言われた。「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、(あなたがたはこれらのことの証人となる。)
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