喫煙で急性骨髄性白血病(AML)の発症リスクは2.2倍!

 4月26日、日本たばこ協会、飲食店の業界団体などが厚生労働省を訪れ、受動喫煙の対策として飲食店の屋内を原則禁煙にする規制案に対して反対の署名を提出しました。その後に、今度は規制に賛成する日本肺がん患者連絡会などが厚労省を訪問。やはり集めた署名を提出しています。その数が驚きです。反対派116万人VS賛成派3万8千人。圧倒的に反対派が多いのです。


タバコを1日30本以上吸えば、急性骨髄性白血病の発症リスクは2.2倍!

 国立がん研究センターは、タバコを1日30本以上吸う人は、タバコを吸わない人よりも、急性骨髄性白血病(AML)の発症リスクが2.2倍になる事実を、日本人に対する多目的コホート研究(JPHC研究)によって初めて確認したと発表しました。

 発表によれば、国立がん研究センターは、1990(平成2)年から2012(平成24)年にわたり、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所管内に居住する40~69歳の男女およそ10万人を対象に、喫煙とAMLとの関連性を追跡調査しました。

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 調査では、タバコを「吸わない」グループ、「やめた」グループ、「吸っている」グループの3グループに分け、さらに、タバコを「吸っている」グループを喫煙指数(パックイヤー:タバコ1箱20本として1日当たりの喫煙箱数と喫煙年数を掛けた値)によって2グループに分け、「吸わない」グループ、「やめた」グループと合わせて、全体として4グループに分けました。

 その結果、AML90人、急性リンパ性白血病(ALL)19人、慢性骨髄性白血病(CML)28人を確認。年齢、居住地域、性別、職業と肥満指数の偏りを生じないように配慮し、喫煙との関連性を検討しました。

 男性では、喫煙指数が30以上のタバコを「吸っている」グループは、AMLのリスクがタバコを「吸わない」グループより2.2倍も高く、統計学的に有意にAMLの発症リスクが上昇していました。喫煙指数が30未満のタバコを「吸っている」グループと、タバコを「吸わない」グループとのAMLの発症リスクに大差はありませんでした。

 一方、女性は、喫煙者や罹患者が少なかっため、喫煙とAML、ALL、CMLとの関連性は明確になりませんでした。

 国際がん研究機関(IARC)は、喫煙はAMLの確実な発症リスクであると警告していますが、日本人を対象にした喫煙とAMLの発症リスクとの関連性を検証した大規模な多目的コホート研究(JPHC研究)は日本初の試みです。


幼児のAMLの発症率は、父親が喫煙すれば4.6倍、母親が喫煙すれば8.8倍

 AMLは、血液をつくる骨髄、脾臓などの器官で白血球系細胞が無制限に増殖する造血器官のがん。年間の発症者はおよそ4000人、死亡者はおよそ1000人です。

 喫煙とAMLの発症リスクとの関連性を検証した海外の多くの研究によると、AMLの発症リスクは非喫煙者よりおよそ1.5倍も高く、特に深刻なのは幼児への影響です。幼児のAMLの発症率は、父親が喫煙すれば4.6倍、母親が喫煙すれば8.8倍にも及びます。

 さらに、恐ろしいのは、副流煙(タバコの先から出る煙)による受動喫煙とAMLの発症リスクとの関連性です。喫煙者が吸い込む煙を主流煙、喫煙者が吐き出す煙を呼出煙といいますが、副流煙に含まれるタール、ニコチン、一酸化炭素などの有害物質の濃度は、主流煙より約2~3倍も高いといいます。

 厚労省「最新タバコ情報」によると、主流煙よりニコチンは約2.8倍、タールは約3.4倍、アンモニアは約46倍のほか、シアン化水素、ダイオキシン、ベンゾピレン、ニトロソアミンなど、約70種類以上ある発がん性物質の量も副流煙のほうが高い。

 特に、タバコの副流煙に含まれる発がん物質のベンゼンの量は、1本当たり300μg。この数値は主流煙に含まれるベンゼンの量の約9~40倍にも達します。8時間にわたって受動喫煙すると、副流煙に含まれる発がん物質のニトロサミンの量は、能動喫煙約10本分にも相当します。

 ちなみに、受動喫煙によって、すべてのがんの発症率は1.6倍に増えますが、そのリスクは原子爆弾に2.5kmの至近距離で被爆するリスクに匹敵するとする研究もあります。

 また、17年間にわたり、日本人およそ26万人を対象に実施した大規模追跡調査によると、夫が20本以上を喫煙すれば、非喫煙の妻が白血病を発症するリスクは、非喫煙の夫の妻よりも2.04倍も高いといいます。


2015年の喫煙率は、男性30.1%、女性7.9%〜受動喫煙対策に政府の腰は重い

 このような数々の研究データを確認するまでもなく、喫煙は重篤な全身疾患を誘発する致死的なリスクファクターです。

 肺がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肺がん、膵臓がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、腎盂尿管がん、膀胱がんなどはもちろん、心筋梗塞、脳卒中、突然死、末梢血管障害などの心血管疾患、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、膵炎、肝炎、歯周病などの消化器疾患につながります。

 2015(平成27)年の喫煙率(習慣的に喫煙している人の割合)は18.2%。男性が30.1%、女性が7.9%です。しかし、30代男性は41.9%、40代女性は11.7%と、依然として高止まりしています。しかも、喫煙による死亡者は年間およそ13万人、受動喫煙による死亡者はおよそ7000人。がんによる死亡者は年間約7万7400人、受動喫煙による死亡者は約2120人と推計されています。

 4月7日に来日したWHO(世界保健機関)のアサモア・バー事務局次長は、受動喫煙防止やタバコのない五輪対策の徹底を強く求めました。『受動喫煙の対策は後進国? 「日本は時代遅れ……」WHO幹部が見かねて苦言』

 しかし、政府の腰は重く、さらに、厚労省は、受動喫煙対策を強化するために健康増進法の改正をめざしているものの、居酒屋や焼き鳥店などを除くアルコールを提供する一部小規模店を例外化し、「飲食店をすべて原則禁煙」に及び腰になっています。

(国立がん研究センターがん登録、Health Pressより)
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