52の「知能遺伝子」が人間のIQ差に2割の影響を与えていることが徐々に明らかに

 人間は、姿形は似ていても脳の働きから生まれる「知能」には差があります。同じ場所に住む人であっても知能に違いが生まれる原因はまだよく解明されていませんが、ある研究結果によるとその違いに関連する52個の遺伝子の存在が浮き彫りになっています。

 

 

 この研究を行ったのはヨーロッパとアメリカの合同研究チームで、8万人を対象にした研究結果から、52の遺伝子が知能に関連していそうなことがわかってきたとのこと。これまで、知能を決定する背景に遺伝子が存在するのかどうかすらよくわかっていなかった中、この研究結果は「画期的である」とする科学者も存在しています。

 しかし、現時点ではこの遺伝子が知能を決定するものではないことも事実とのこと。その影響力はごくわずかで、知能はその人が暮らしている「環境」によってもっと多くの影響を受けることがわかっています。

 過去100年におよぶ科学では、知能をはかるテストでは被験者に対していくつかの質問を問う形式で行われてきました。これには非常に多くのテスト項目があり、その結果には偏差がありますが、知能が高い人はどのテストでもだいたい結果が良く、逆に低い人は総じて低い傾向にあることがわかっています。

 脳における何が知能に影響しているのかは、現在の科学ではまだ明らかにされていません。関連する項目の1つが「脳の容積」、つまり脳の大きさとも見られていますが、実際には脳の容積が小さい人でも知能の高い人は存在しているとのことです。

 

 

 研究を行った、オランダ・神経ゲノミクス認知研究センターのダニエル・ポスツマ研究員はこの分野の研究を1990年代から行っており、その違いについて「脳内の信号伝達の効率か?それとも受容体の働きが悪いことで影響が出るのか?」といった目線で調査してきたとのこと。

 遺伝子と知性の関連を調べるにあたり、最も有用な例となるのが同じ卵子から誕生した一卵性双生児による双子のケースです。年の離れた兄弟に比べ、一卵性双生児は同じような知能を示すことが過去の研究からも明らかになっていますが、それでも知能に遺伝子が影響しているとはいえません。研究チームでは関連する調査を行ってきたものの、なかなか目指していたような結果が出せない状況が続いたとのこと。

 研究チームは7万8000人におよぶ過去の研究事例13件の情報をデータベース化して調査を行いました。ポスツマ氏は「どうせ何も出ないだろう」と思っていたとのことですが、ここから52の遺伝子が知能に関連していることをしめす結果が浮き彫りになったとのこと。このうち、12の遺伝子は既知のものでしたが、残りの40個は初めて確認されたものだったそうです。

 

 

 これまで、遺伝子が知能に与える影響は未知数とされていましたが、今回の結果はそこに関連性があることを浮き彫りにしたという意味で、複数の研究者が「画期的」なものであるとの見方を示しています。しかし、この遺伝子によって説明される知能の違いは全体の20%程度と、限られたものであるということも事実です。

 今回は遺伝子と知能の関係が認められる糸口となったわけですが、研究者は「まだまだ進むべき道は長いです」と語り、さらなる研究が求められているとのこと。また、ここには自閉症との関連があることも明らかになってきており、さらなる解明が待たれるところです。

(The New York Times―Gigazineより)


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