人間の脳はマルチタスクに向いていない

 複数のタスクを並行的に行う「マルチタスク」は効率的なタスク処理方法に見えるかもしれませんが、複数の研究結果が「人間の脳はマルチタスクを行うようにはできていない」ということを示しており、マギル大学の心理学教授がその説明と、解決策について話しています。

 


 

 マギル大学心理学部のダニエル・レビチン教授が「私たちは全ての物事を一度に処理できると思いがちですが、そのようなマルチタスクが神話であることを説明します」と話しています。レビチン教授によると、マサチューセッツ工科大学のMiller Labなどの多くの研究機関が「人間の脳はマルチタスクができるようになっていない」ということを示しているとのこと。

 マルチタスクを行うことは「1つの物事に少しの間集中する」ということを繰り返しているだけで、全てのタスクがそれぞれ脳のリソースを使っているそうです。「100%」の集中力を小分けに使っている状態になるため効率性は下がってしまい、また、タスクを切り替える際には気付かないうちに神経生物学的なコストを支払わされています。小一時間もマルチタスクを実践すると疲れて集中力を維持するのが難しくなりますが、これは集中するために必要な脳内の神経化学物質を使い切ってしまったためだそうです。

 

 

 一方で、「マルチタスクが必要とされる職業が存在するのも確かです」と話すレビチン教授。レビチン教授は心理学教授以外にも航空交通管制官、国連の同時通訳者、ジャーナリストなどの肩書きを持っており、これらの職業はいずれも異なるタスクを一度に処理することが求められるそうです。しかし、航空交通管制官は勤務中、1時間半~2時間ごとに15分~30分間の休憩をとることが定められているとのこと。小休憩の間に散歩に出かけたり音楽を聴いたりすることで、勤務中に消耗した神経化学物質を回復することが促され、「人間の脳はマルチタスクに向いていない」という問題をクリアしているようです。

 なお、「人間の脳がマルチタスクに適応するよう進化することはないのか?」という質問があったそうですが、進化は訓練によって得られるものではないため、これまでの人類の進化の速度から考えると、マルチタスクに適応した人類になる可能性があるとして2万年後だとレビチン教授は回答しています。

 レビチン教授の話をまとめると、複数の仕事を効率的にこなすためのコツは、タスクを1つずつ集中してこなしていき、こまめに短い休憩をとること。これで、脳のリソースを無駄遣いすることはなくなり、集中を維持できるようになるといいます。

(Gigazineより)

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