歯周病がアルツハイマー病の原因に!

通常の10~20倍もの排出される「酪酸」がアルツハイマー病の真犯人

 日本大学歯学部の落合邦康特任教授(口腔細菌学)らの研究チームは、歯周病とアルツハイマー病の関連性をラットによる実験によって確認し、5月12日に福岡市で開かれた日本歯周病学会で発表しました。歯周病とアルツハイマー病の関連性を調べた研究は少なくありませんが、動物の体中で検証した研究は国内初です。アルツハイマー病の発症機序は完全には未解明ですが、体内の酸化反応が組織や細胞に危害を与える「酸化ストレス仮説」が有力です。

 

 

 研究チームは歯周病の原因菌(レッドコンプレックス)となるP.g.菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)、T.f.菌(タネレラ・フォーサイセンシス)、T.d.菌(トレポネーマ・デンティコラ)などが生成する「酪酸」が歯周細胞内に取り込まれると、鉄分子(ヘム)、過酸化水素、遊離脂肪酸が過剰に産出されるため、酸化ストレスによって歯周細胞が破壊されることに注目しました。

 さらに研究チームは、「酪酸」が動物の脳にどのような影響を与えるのかを調べるために、健康なラット3匹の歯肉に酪酸を注射。6時間後に、記憶を司る「海馬」、ホルモンの分泌に関わる「松果体」と「下垂体」、さまざまな高度な活動を司る「大脳」、運動機能を調整する「小脳」が受けた酸化ストレスを分析しました。その結果、「酪酸」を注射したラットは通常のラットに比べ、鉄分子(ヘム)、過酸化水素、遊離脂肪酸の濃度が全ての部位で平均35~83%も上昇していました。

 特に「海馬」での上昇率が最も高く、ヘムは平均79%、過酸化水素は平均83%、遊離脂肪酸は平均81%、アポトーシス(細胞死)を誘導するタンパク質分解酵素のカスパーゼは平均87%も濃度が上昇。さらに、アルツハイマー病の患者の脳神経細胞内で物質輸送に関わるタンパク質の「タウ」の量が平均42%も増加していました。

 落合特任教授によれば、歯周病患者の歯周ポケットからは健常人の10~20倍もの酪酸が検出されることから、歯周病巣の酪酸が長期間にわたって脳内に取り込まれると、アルツハイマー病を引き起こす一因になるので、早めに治療をすべきだと指摘しています。

 

認知症患者は2025年におよそ700万人を超え、65歳以上の5人に1人

 アルツハイマー病は、記憶や学習に関わる海馬の神経細胞が徐々に壊死するために、脳の機能が失われる認知症(アルツハイマー型認知症)です。認知症患者は2025年におよそ700万人を超え、65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されています。現在、約500万人とされる認知症患者のおよそ70%(約350万人)はアルツハイマー型認知症と推定されています。

 アルツハイマー病を発症すると、直前の記憶がなくなったり時間や場所が分からなくなる見当識障害や言語障害が起きます。さらには、仕事や家事などができなくなる、人の顔や物の判別がつかなくなる、食事・入浴・着替えなどのADL(日常生活動作)が覚束なくなり、QOL(生活の質)著しく低下するなどの兆候を示します。やがて寝たきりになれば、発症後およそ10年余りで急死するまさに死に至る病です。

(毎日新聞、Health Pressより)

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