喜べ、救われし群れよ(BWV30)

 今日は洗礼者ヨハネの祝日です。ヨハネがユダヤの祭司ザカリヤと妻エリサベツの子としてイエス・キリストより6ヵ月早く生まれ,長じて後,ヨルダン川でイエスに洗礼を施したことが聖書に記されています。正教会、カトリック、聖公会、ルーテル教会それぞれの祭日となっています。

 このカンタータは世俗カンタータ「たのしきヴィーダーアウよ」BWV30aのパロディで、1738.6.24ライプツィヒで初演されました。

 

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「洗礼者ヨハネと聖母子」ジョヴァンニ・ベッリーニ

 

 作詞はビカンダー自身による改詞と言われ、原曲の詩形を生かしつつ巧みに行われています。その結果原曲の冒頭、終結の合唱曲と4つのアリアがそのまま転用され、レチタティーヴォとコラールが新たに作られました。躍動感がみなぎった祝典的な作品です。

 

 トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック・オーケストラ、サンドリーヌ・ピオー(S)、ナタリー・シュトゥッツマン(A)、ジェームズ・ギルクリスト(T)、クラウス・メルテンス(B)の演奏でお聴きください。

 




喜べ、救われし群れよ(BWV30)

第 1 部

1. 合唱

Freue dich, erlöste Schar,

喜べ、あがなわれた群れよ、

Freue dich in Sions Hütten.

喜べ、シオンの小屋で。

Dein Gedeihen hat itzund

お前の繁栄は今や

Einen rechten festen Grund,

まことの堅い土台をもたらし、

Dich mit Wohl zu überschütten.

お前のために幸を降り注ぐのだ。

2.レチタティーヴォ(バス)

Wir haben Rast,

われらは憩いを得、

Und des Gesetzes Last ist abgetan,

律法の重荷は取り去られた、

Nichts soll uns diese Ruhe stören,

何ものにも、われらのこの安らぎを邪魔されはしない、

Die unsre liebe Väter oft

これこそわれらの愛する祖先たちがしばしば

Gewünscht, verlanget und gehofft.

願い、求め、望んできていたもの。

Wohlan, es freue sich, wer immerkann,

そうだ、喜べ、喜び合えるもの全て,

Und stimme seinem Gott zu Ehren

そして歌いだせ、神の栄光を讃える

Ein Loblied an,

讃美の歌を、

Und das im höhern Chor,

そしてその歌をより高い合唱へと高めるのだ 

Ja singt einander vor!

そうだ、互いに心と声合わせて歌うのだ!

3. アリア (バス)

Gelobet sei Gott, gelobt sein Name,

神に讃美あれ、その御名に讃美あれ、

Der treulich gehalten Versprechen und Eid!

約束と誓いを誠実に守れ! 

Sein treuer Diener ist geboren,

神の真の僕が生まれた。

Der längstens darzu auserkoren,

その僕は、はるか以前から選び出された、

Daß er den Weg dem Herrn bereit’.

主に道を備えるために。

4. レチタティーヴォ(アルト)

Der Herold kömmt und meldt den

伝令官が来て、王の来臨を先触れる、

König an,Er ruft; drum säumet nicht

彼は呼ばわる。だからこの機会を逃すな、

Und macht euch auf

足どり速く、

Mit einem schnellen Lauf,

立ち上がり、

Eilt dieser Stimme nach!

急いでこの声について行け!

Sie zeigt den Weg, sie zeigt das Licht,

この声が道を示し、光を指し示す、

Wodurch wir jene selge Auen

それによってわれらはあの至福の水辺を

Dereinst gewißlich können schauen.

いつの日か確かに見ることが出来るのだ。

5. アリア (アルト)

Kommt, ihr angefochtnen Sünder,

来なさい、悩む罪人たち、

Eilt und lauft, ihr Adamskinder,

急ぎ走りなさい、アダムの子たち

Euer Heiland ruft und schreit!

われらの救い主が呼ばわり叫んでいます!

Kommet, ihr verirrten Schafe,

来なさい、迷える羊たち

Stehet auf vom Sündenschlafe,

罪の眠りから、起き上がりなさい、

Denn itzt ist die Gnadenzeit!

いまや恵みの時なのだから!

6. コラール

Eine Stimme läßt sich hören

声が聞こえる、

In der Wüste weit In der Wüste,

荒野の、いたるところで、

Alle Menschen zu bekehren:

あらゆる人を悔い改めさせるため。

Macht dem Herrn den Weg bereit,

主のための道を用意せよ、

Machet Gott ein ebne Bahn,

神のために平たな道を、

Alle Welt soll heben an,

すべての世の人は始めなさい、

Alle Täler zu erhöhen,

すべての谷を持ち上げ、

Daß die Berge niedrig stehen.

山を低くすることを。

 

第2部

7. レチタティーヴォ(バス)

So bist du denn, mein Heil, bedacht,

そうなれば、わが救い主は考えてくださいます、

Den Bund, den du gemacht

あなたが以前、私たちの祖先と結んだ盟約を

Mit unsern Vätern, treu zu halten

真摯に守り、

Und in Gnaden über uns zu walten;

私たちに恵みをくださることを。

Drum will ich mich mit allem Fleiß汝、

信実なる神よ、それだから私は

Dahin bestreben,

誠意をつくして励み、

Dir, treuer Gott, auf dein Geheiß

神聖なる神への畏れをもって、その御命に添い従って、

In Heiligkeit und Gottesfurcht zu leben.

生きることを望むのです。

8. アリア (バス)

Ich will nun hassen

いま私は憎み、

Und alles lassen,

全てを捨て去りたいのです、

Was dir, mein Gott, zuwider ist.

私の神よ、あなたに逆らうもの全てを。

Ich will dich nicht betrüben,

私ははあなたを悲しませることなどしたくない、

Hingegen herzlich lieben,

その反対に心こめえて、お慕いしたいのです、

Weil du mir so gnädig bist.

あなたが私をそんなにも慈しんでくださるのですから。

9.レチタティーヴォ(ソプラノ)

Und ob wohl sonst der Unbestand

日頃あなたのことを忘れ、

Den schwachen Menschen ist verwandt,

心惑いやすい人間である私が

So sei hiermit doch zugesagt:

ここに約束します。

Sooft die Morgenröte tagt,

輝く朝焼けを見るたび、

Solang ein Tag den andern folgen läßt,

あなたに一日一日を、

So lange will ich steif und fest,

与えられていることを覚えます、

Mein Gott, durch deinen Geist

神よ、私はいつもしっかりとあなたの霊に導かれて

dir ganz und gar zu Ehren leben.

全てをその栄光のために捧げます。

Dich soll sowohl mein Herz als Mund

私の心と口とを同じにして

Nach dem mit dir gemachten Bund

あなたと交わした約束が

Mit wohlverdientem Lob erheben.

ふさわしい賛美へと高めるのです。

10. アリア (ソプラノ)

Eilt, ihr Stunden, kommt herbei,

時よ急げ、こちらへ来なさい、

Bringt mich bald in jene Auen!

すぐに私をあの水辺へ運んでくれ!

Ich will mit der heiligen Schar

私は聖なる群れと共に

Meinem Gott ein’ Dankaltar

わが神を奉る感謝の祭壇を

In den Hütten Kedar bauen,

ケダルの小屋に築きます、

Bis ich ewig dankbar sei.

私はその傍らで永遠の感謝を献げるのです。

11.レチタティーヴォ(テノール)

Geduld, der angenehme Tag

我慢だ!復興の時は

Kann nicht mehr weit und lange sein,

もうそんなに遠くないのだから

Da du von aller Plag

わが心よ、お前は、お前を悩ませている、

Der Unvollkommenheit der Erden,

この世の不完全さによってもたらされた

Die dich, mein Herz, gefangen hält,

全ての苦しみから

Vollkommen wirst befreiet werden.

完璧に解き放たれるのだ。

Der Wunsch trifft endlich ein,

その願いはついにかなうのだ、

Da du mit den erlösten Seelen

そしてお前は救われた魂たちとともに

In der Vollkommenheit

完全に

Von diesem Tod des Leibes bist befreit

肉体の死から解放され、

Da wird dich keine Not mehr quälen.

もはや苦しみに悩まされることもなくなるのだ。

12.合唱

Freue dich, geheilgte Schar,

喜べ、聖められた群れよ、

Freue dich in Sions Auen!

喜べ、シオンの水辺で!

Deiner Freude Herrlichkeit,

お前の喜びに満ちた栄光の時、

Deiner Selbstzufriedenheit

お前自身の満ち足りた幸福の時、

Wird die Zeit kein Ende schauen.

その時は終わりを見ることはない。

      ターフェルムジーク鎌倉訳 

 

ルカによる福音書 第1章 57-80

 さて、月が満ちて、エリサベトは男の子を産んだ。近所の人々や親類は、主がエリサベトを大いに慈しまれたと聴いて喜び合った。八日目に、その子に割礼を施すために来た人々は、父の名を取ってザカリアと名付けようとした。ところが、母は、「いいえ、名はヨハネとしなければなりません」と言った。しかし人々は、「あなたの親類には、そういう名の付いた人はだれもいない」と言い、父親に、「この子に何と名を付けたいか」と手振りで尋ねた。父親は字を書く板を出させて、「この子の名はヨハネ」と書いたので、人々は皆驚いた。すると、たちまちザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた。近所の人々は皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダヤの山里中で話題になった。聴いた人々は皆これを心に留め、「いったい、この子はどんな人になるのだろうか」と言った。この子には主の力が及んでいたのである。父ザカリアは聖霊に満たされ、こう預言した。

「ほめたたえよ、イスラエルの神である主を。主はその民を訪れて解放し、われらのために救いの角を、僕ダビデの家から起こされた。昔から聖なる預言者たちの口を通して 語られたとおりに。それは、我らの敵、全て我らを憎む者の手からの救い。主は我らの先祖を憐れみ、その聖なる契約を覚えていてくださる。これは我らの父アブラハムに立てられた誓い。こうして我らは、

敵の手から救われ、恐れなく主に仕える、生涯、主の御前に清く正しく。幼子よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先だって行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを 知らせるからである。これは我らの神の憐れみの心による。この憐れみによって、高いところからあけぼのの光が我らを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く。」

 幼子は身も心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた。

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