DNA検査は「健康な人」を「病人」に変えるかもしれない!

 唾液を採取して送付するだけでがん・脳梗塞・糖尿病など150の病気の発生リスクを調査することが可能になる遺伝子検査キットが登場するなど、自分の遺伝子情報を知るということが身近になっています。しかし、The MedSeqというプロジェクトで100人のゲノム解析を行ったところ、5人に1人は「遺伝性疾患を引き起こす原因となる遺伝子変異を持ちながら、病気の自覚症状が全くない」ということがわかりました。ゲノム解析をすることで、「健康」だと思っていた人が「病人」になってしまうという可能性が浮上しています。

 

 

 The MedSeqプロジェクトではプライマリ・ケアを受けに来た、一見すると健康そうに見える患者100人を被験者として調査を実施。うち50人のゲノム解析を行ったところ、5人に1人が珍しい遺伝性疾患の原因になると考えられている遺伝子変異を有していたことが判明しました。このとき、ゲノム解析を行ったうちの11人、つまり22%は珍しい遺伝性疾患に関係する約5000の遺伝子のうち1つに変異が見られたものの、まったく病気の自覚がありませんでした。

 例えば60歳になるPeter Tingさんは、糖尿病と甲状腺にトラブルが起こる可能性がないかを調べるために調査に参加。この2つは身内に症例を持つ人がいたためです。しかし、ゲノム解析の結果わかったのは、Tingさんの遺伝子には珍しい目の遺伝性疾患を引き起こす変異が存在するということ。もともとTingさんは暗闇に目を慣らすことが苦手だったのですが、それが遺伝性の疾患だとは考えたことがなかったそうです。また、ゲノム解析を行った被験者50人のうち、遺伝子変異を原因とする症状を自覚していたのはTingさんを含めて2人だけで、あとの48人は症状を実感していなかったとのこと。

 ゲノム解析を行うIlluminaのカウンセラーであり、National Society of Genetic Counselorsの次期代表であるErica Ramos氏は今回の調査結果を受けて、病気には遺伝子以外の年齢・性別・ライフスタイル・環境といった要素が関わっていることを強調。「遺伝子変異が病気の原因になるとしても、特定の遺伝子変異が必ず病気として現れるわけではありません」と語っています。これは不完全浸透度と呼ばれ、例え5分の1の確率で私たちの遺伝子が変異していたとしても、緊急のゲノム解析を必要とするような事態ではないとのこと。ゲノム解析は家族の病歴を知らない人には有益ですが、必ずしも全員が受けるべきものではないとRamos氏は語っています。

 また、今回の調査でゲノム解析の検査結果を受け取った人々は、コントロールグループの人々に比べて調査の6カ月後のヘルスケアに関する出費が350ドル(約3万9000円)高かったとのこと。この出費がゲノム解析に直接関係していることかどうかはわかっていませんが、ハーバード・メディカル・スクールの助教授であるJason Vassy氏は「ゲノムに関する科学は健康の意味を再定義します」と語っており、病気の可能性を知らされた人々がさらなる検査をするために医療施設に行ったのではないかと考えられています。

(Gigazineより)

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