認知症は遺伝する?

親が80歳前に認知症発症の場合、子の発症リスクは2.6倍!

 厚生労働省の2015年1月の発表によると、日本の認知症患者数は12年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。

今後高齢化が進むにつれ、認知症の患者数がさらに増えることは確実。厚労省の推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる25年には認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。

 認知症患者の介護を担うのは、最も多いのが「配偶者」、次いで「子」です。血のつながった親を介護する子は「自分も将来、同じようになったらどうすればいいのか」という不安を抱くことも少なくないでしょう。将来、認知症になるかどうかは誰にもわかりません。しかし、それについて非常に気になるデータが、オランダの科学者から発表されています。

 

 

親が若くして認知症になっていたら要注意?

 『Neurology』に掲載された研究論文をまとめたのは、オランダ・エラスムス医療センターのFrank J. Wolters氏と米・ハーバード大学のグループです。

Wolters氏らは、長年にわたる高齢者を対象としたコホート研究「ロッテルダム研究」のデータを分析し、2000~02年の時点で認知症と診断されていない男女2087人(平均年齢64歳・女性55%)を対象に15年まで追跡しました。

 調べたのは、「その間に被験者が認知症を発症したかどうか」と「両親の認知症歴との関連性」。さらに被験者のMRIでの神経変性、血管疾患のマーカー、そして親の病歴との関係も評価しました。

その結果、調査開始時点で2087人のうちの407人(19.6%)が、両親のいずれかに認知症病歴がありました(診断時の平均年齢79歳)。そして15年までの平均約12年間の追跡期間中に142人(6.8%)が認知症を発症。認知症になった被験者と親の病歴との関連を調べると、次のようなことがわかりました。

 

<不可解な遺伝>はここに起因している?

●親が認知症になると子どもが認知症になるリスクが、そうではない人に比べて1.67倍に高くなった。

●特に「親が80歳未満」で認知症と診断されていた場合、子どもの発症リスクは2.58倍に上がった。

●しかし「親が80歳以上」で認知症と診断された場合は1.01倍と、有意な差はなかった。

●親が「80歳未満」で認知症と診断されていた場合、被験者の診断年齢と親の診断年齢との間に強い相関が示されたが、「80歳以上」の場合は有意な関係性はなかった。

●脳MRIで認知症が認められなかった1161人の被験者の親の認知症歴は、「脳灌流の低下」「白質病変」「微小出血」と関連していた。

●発症したのが「父親か母親かによる認知症リスク」に差はなかった。

 

 つまり「親が80歳未満」の若いうちに認知症になった場合は、子どもが認知症になるリスクが有意に高くなります。また、親が認知症を発症した被験者には脳灌流の低下や小さな血管病の傾向が見られ、もしかすると不可解な遺伝はここに起因しているのかもしれないといいます。

 現在、認知症で遺伝が疑われているものに「家族性アルツハイマー型認知症」があります。ただし64歳よりも前に発症する「若年性アルツハイマー型認知症」の1割にすぎず、実際に遺伝子異変が明らかになったケースは、さらに半分程度といわれています。これはレアケースでしかなく、今のところはほとんどの認知症にはっきりとした遺伝性は認められていません。

 既存の研究から認知症のリスク因子として挙げられているのは、「年齢」「頭部外傷」「生活習慣病」「喫煙」「社会的・経済的要因」「遺伝的要因」「うつ病」「難聴」「視力低下」など、多岐にわたります。なかでも強いリスクでありながら、改善も可能なのが「生活習慣病」。つまり、中年以降の「高血圧」「糖尿病」「肥満」などです。それに対して「野菜や果物、魚をたくさん食べる食習慣」「週3日以上の有酸素運動」「社会的なつながりを持ち続けること」など、認知症を予防できるライフスタイルについても明らかになってきました。

 今や80歳以上の4分の1が認知症になるといわれ、身内に誰も認知症患者がいないほうが珍しい時代です。遺伝的要因についてはさらなる究明が必要ですが、まずは認知症になりにくい生活習慣を守ることが前向きな姿勢ではないでしょうか。

(Business Journalより)

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