「富の格差」があるように「運動格差」が存在し格差が大きいほど肥満率に影響する

 世界各国の70万人、約6800万日分のアクティビティの分単位のデータをスタンフォード大学の研究チームが解析し、「世界で最も運動量の多い国」「世界で最も運動量が少ない国」がNatureで発表されました。これは過去最大規模で行われた調査で、世界中の人々の1日の平均歩数が4961歩で、平均歩数が最も多いのは中国・香港、少ないのはインドネシアと判明。また、国の中で「富の格差」ならぬ「運動の格差」があるほど、その国の肥満率が高くなることが判明しています。



 研究チームの一員でありバイオエンジニアリングを研究するScott Delp教授によると、今回の研究は、人間の動きについて調査した過去の類似研究の約1000倍の規模とのこと。調査のデータは「ARGUS」から集められ、最も平均歩数が多い国は中国・香港で6880歩、最も少ないのはインドネシアで3513歩であるとわかりました。

 以下の世界地図が各国におけるアプリユーザーの平均歩数を示すもの。灰色で塗られている部分がデータのない国で、平均歩数の多さ・少なさが暖色・寒色のカラースケールで示されています。中国や日本は平均歩数が多いことを示す寒色で、インドネシアの島々は平均歩数が少ないことを示す暖色で塗られています。



 アプリのユーザーの1日あたりの平均歩数について、各国の差をグラフ化すると以下のような感じ。日本は中国に続いて平均歩数が多く、1日あたり約6000歩となっています。日本の後にはスペイン・イギリス・アメリカ・アラブ首長国連邦・ブラジルが続きます。

 今回の研究で明らかになったのは、貧しい人々と裕福な人々の間に「富の格差」があるのと同じように、活動量が多い人々と少ない人々の間に「運動の格差」が存在するということ。そして、このような運動の格差が大きくなると、肥満になる確率も高くなるそうです。「例えば、スウェーデンは運動量が多い人と少ない人の間のギャップが最も小さい国の1つです。また肥満率の少ない国の1つでもあります」と研究チームの一員であるTim Althoff氏は語りました。

 一方で、各国ごとの平均歩数の違いは、そこまで肥満率に影響を与えませんでした。アメリカとメキシコの平均歩数は似たような数ですが、アメリカは運動の格差が大きく、肥満率も高い傾向にありました。

 また、研究者らは、男女の間でも運動の格差があることを発見。運動の格差が小さく、肥満率も低い日本では、運動の男女格差が小さかったとのこと。しかし、アメリカやサウジアラビアのような運動の格差がある国では、女性がアクティビティを行う時間が短かい傾向にありました。運動の格差が大きい国では女性の運動量が劇的に少なく、ゆえに女性が肥満になりやすい傾向があったわけです。

 研究チームは、今回の研究は、世界規模で見た時の肥満パターンの原因を説明するものであり、今後、肥満防止に取り組むための大きな助けになるものと考えています。さらに、各国の違いだけでなく、都市ごとの差異もデータ解析によって明らかになりました。アメリカの中でもニューヨークやサンフランシスコは歩行者に優しい道になっている一方で、ヒューストンやメンフィスは周囲を回るのに車を必要とする土地柄になっています。このような都市を比較した結果、当然ですがニューヨークやサンフランシスコの方が人々はより歩く傾向にあったとのこと。

 以下の青いグラフが歩きにくい都市での1日の平均歩数の変化、緑のグラフが歩きやすい都市での1日の平均歩数の変化を示しています。

 このようなデータを使えば、人々が運動に取り組みやすいよう都市をデザインしていくことも可能だと研究者らは記しています。

(BBC News―Gigazineより)

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