ものみな汝を待てり(BWV187)

 三位一体主日後第7主日に聴く日曜カンタータは、ライプツィヒ3年目の1726.8.4に初演された力作のカンタータです。

 「ルードルシュタット詩華選」のテキストに基づく7つのカンタータの1曲で、特色は全体が2つに区分され、第1部と第2部の冒頭で、旧約・新約の聖句がそれぞれ引用されていることです。


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 当日用の福音書聖句は、群衆が空腹であることを憐れんだイエスが、7個のパンを裂き、4000人を満腹にさせたという奇跡について語っています。

 創造性に富む個性的な作品で、冒頭の合唱が後にミサ曲ト短調(BWV235)の第6曲に転用され、他にも第3曲から第5曲が同じミサ曲に転用されていることからも、BACHにとって自信作の一つであったものと思われます。


 シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド、鈴木美登里(S)、マグダレーナ・コジェナー(MS)、クヌート・ショッホ(T)、ヤン・ファン・デル・クラッベン(B)の演奏でお聴きください。





ものみな汝を待てり(BWV187)

第 1 部

1. 合唱

„Es wartet alles auf dich, daß du ihnen

「人は皆、あなたがその時に、食事を与えて

Speise gebest zu seiner Zeit.

くださるものと期待して待っています。

Wenn du ihnen gibest, so sammlen sie;

あなたがお与えてくださるので、彼らは集まり、

wenn du deine Hand auftust,

あなたが御手を開かれるので、

so werden sie mit Güte gesättiget.“

彼らはそのご好意に満足するのです。」

2. レチタティーヴォ (バス)

Was Kreaturen hält

神は、この全世界でどれほど多くの創造物を

das große Rund der Welt!

お養いくださるのだろうか!

Schau doch die Berge an, sie bei tausend gehen;

見るがいい、幾千と連なりゆく山々を。

was zeuget nicht die Flut?

満ちる水は何を示しているのか、

Es wimmelnStröm und Seen.

その水は流れとなり、湖に満ち溢れる。

Der Vögel großer Heer

鳥の大群は

zieht durch die Luft zu Feld.

天空をよぎって野へと進むのだ。

Wer nähret solche Zahl,

誰がこれほどの数を養いうるというのか

und wer

また誰が

vermag ihr wohl die Notdurft abzugeben?

彼らに必需品(食べ物など)を与えうるのか?

Kann irgendein Monarch nach solcher Ehre

どのような君主が、このような栄誉のための

streben?

努力をなしえるのか。(誰もなしえない)

Zahlt aller Erden Gold

全ての地上の黄金をもってしても

ihr wohl ein einig Mahl?

彼らの一食さえも支払いうるのだろうか。

3. アリア (アルト)

Du Herr, du krönst allein das Jahr mit deinem Gut.

主よ、あなただけが豊作の年の恵を授けてくださいます。

あなたのたどられた道筋には

Es träufet Fett und Segen

Auf deines Fußes/allen deinen Wegen,

油と祝福がしたたり、

Und deine Gnade ists, die allen Gutes tut.

そこであなたの恵、すべての良きことが行われるのです。

第 2 部

4.アリア (バス)

„Darum sollt ihr nicht sorgen noch sagen:

「だから決して思い悩むな、言うな。

Was werden wir essen,

何を食べようか、

was werden wir trinken,

何を飲もうか、

womit werden wir uns kleiden?

何で着飾ろうか、と

Nach solchem allen trachten die Heiden.

それらのことはみな、異邦人が求めていることなのだから。

Denn euer himmelischer Vater weiß,

でも、天の父は知っておられる、

daß ihr dies alles bedürfet.“

お前たちがこれらのものをみな必要としていることを。」

5.アリア (ソプラノ)

Gott versorget alles Leben,

神はこの地上に息づくすべての命を

Was hienieden Odem hegt,

養ってくださいます、

Sollt er mir allein nicht geben,

神は私だけに与えてくださったりはしません、

Was er allen zugesagt?

神は人皆に何を約束してくださったのでしょうか。

Weicht ihr Sorgen, seine Treue

悩みよ、消え失せよ、誠の神は

Ist auch meiner eingedenk

私のことをも覚えていてくださる。

Und wird ob mir täglich neue

だから沢山の父の愛をこめた賜物によって、

Durch manch Vaterliebs-Geschenk.

そのことは、日々新たになるのです。

6. レチタティーヴォ (ソプラノ)

Halt ich nur fest an ihm mit kindlichemVertrauen

わたしは、子供のような信頼感をもって神にのみ堅く頼ります。

und nehm mit Dankbarkeit, was er mirzugedacht

感謝の気持ちをもって神がわたしに与えてくださるものを受けとります、

so werd ich mich nie ohne Hülfe schauen,

そうすれば、私はけっして助けの得られない身になることはないのです、

und wie er auch vor mich die Rechnung hab’ gemacht.

神はこのように私にも気をつかってくださいます。

Das Grämen nützet nicht, die Mühe ist verloren,

悲嘆は役に立たず、労苦は損失です、

die das verzagte Herz um seine Notdurft nimmt:

必需品(食料など)を得るために弱気になることはありません。

der ewig reiche Gott hat sich die Sorgeauserkoren,

永遠に豊かな神は、自ら配慮してくださるのですから。

so weiß ich, daß er mir auch meinen Teilbestimmt

私は、知っています、神が私の取り分を決めてくださることを。

7.コラール

Gott hat die Erde zugericht’,

神は大地を整えられた、

Läßt’s an Nahrung mangeln nicht;

食物が足りなくなることがないように。

Berg und Tal, die macht er naß,

山や谷を潤わされた、

Daß dem Vieh auch wächst sein Gras;

その草が家畜たちを大きく育てられるように。

Aus der Erden Wein und Brot

神は大地からぶどう酒とパンを作り出され、

Schaffet Gott und gibt’s uns satt,

私たちに十分に与えてくださった、

Daß der Mensch sein Leben hat.

人々がその命を保てるように。

Wir danken sehr und bitten ihn,

私たちは深く感謝し、また、請い願います、

Daß er uns geb des Geistes Sinn,

聖霊の意味を教えてくださるように、

Daß wir solches recht verstehn,

それらを正しく理解できますように、

Stets in sein’ Geboten gehn,

あなたの戒律によって正しく歩めますように、

Seinen Namen machen groß

そして、あなたの御名がキリストによって

In Christo ohn Unterlaß:

絶えず大いなるものになりますように。

So sing’n wir recht das Gratias.

それ故に、私たちは感謝の祈りを心から歌うのです。

                     対訳:ターフェルムジーク鎌倉

マルコによる福音書 8章 1-9

 そのころ、また群衆が大勢いて、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「群衆がかわいそうだ。もう三日も私と一緒にいるのに、食べ物がない。

空腹のまま家に帰らせると、途中で疲れ切ってしまうだろう。中には遠くから来ているものもいる。」弟子たちは答えた。「こんな人里離れた所で、いったいどこからパンを手に入れて、これだけの人に十分食べさせることができるでしょうか。」イエスが、「パンは幾つあるか」とお尋ねになると、弟子たちは、「七つあります」と言った。そこで、イエスは地面に座るように群衆に命じ、七つのパンを取り、感謝の祈りを唱えてこれを裂き、人々に配るようにと弟子たちにお渡しになった。弟子たちは群衆に配った。また、小さい魚が少しあったので、賛美の祈りを唱えて、それも配るようにと言われた。人々は食べて満腹したが、残ったパンの屑を集めると、七籠になった。およそ四千人の人がいた。イエスは彼らを解散させられた。

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