主よ、とがめたもうな(BWV105)

 三位一体節後第9日曜日のために書かれたこのカンタータは、1723年7月25日にライプツィヒで初演された、初年度のカンタータの中の名作です。

 この日の礼拝で採り上げられるルカ福音書に対応して、神の裁きを恐れる罪深き心のありさまを描き、罪の告白とイエスへの信仰に身を委ねてこそ魂の救済が得られることを訴えます。


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 BACHのカンタータのなかでも、その聖書釈義をもっとも具体的に音像化した名作ですが、BACHがこの曲で用いた「コルノ」という楽器について、当時の無弁ホルンではこの曲は殆んど演奏不可能です。今ではディスカントホルンという通常のホルンより1オクターヴ高い楽器で演奏しています。


 フリップ・ヘレヴェッヘ指揮、コレギウム・ヴォカーレ・ゲント及び合奏団、バルバラ・シュリック(S)、ジェラール・レーヌ (CT)、ハワード・クルック(T)、ペーター・コーイ(B)の演奏でお聴きください。





主よ、とがめたもうな(BWV105)

1.合唱

Herr, gehe nicht ins Gericht mit deinem Knecht.

主よ、しもべを裁きにかけないでください。

Denn vor dir wird kein Lebendiger gerecht.

生けるものは一人としてあなたの前に義とされないからです。

2.レチタティーボ(A)

Mein Gott, verwirf mich nicht,

わが神よ、わたしを拒まないでください。

indem ich mich in Demut vor dir beuge,

へりくだって御前に身をかがめるわたしを、

von deinem Angesicht.

あなたの御顔から。

Ich weis, wie gros dein Zorn und mein Verbrechen ist,

私は知っている、いかにあなたの怒りとわたしの罪が大きいか、

das du zugleich ein schneller Zeuge

またあなたがすみやかな証人であり

und ein gerechter Richter bist.

正しい裁き手でもあることを

Ich lege dir ein frei Bekenntnis dar

わたしはあなたに包み隠さず告白し

und sturze mich nicht in Gefahr,

あえて危険には身を投じない、

die Fehler meiner Seele

自らの魂の汚れを

zu leugnen, zu verhehlen!

否定し、隠そうとする危険には!

3.アリア(S)

Wie zittern und wanken

いかにおののき、よろめくことか

der Sunder Gedanken,

罪人たちの思いは、

indem sie sich untereinander verklagen

彼らは一方で互いを責め

und wiederum sich zu entschuldigen wagen.

他方では弁明し合う。

So wird ein geangstigt Gewissen

そうして怖れおののく良心は

durch eigene Folter zerrissen.

自責の念によって引き裂かれる。

4.レチタティーボ(B)

Wohl aber dem, der seinen Burgen weis,

何と幸いなことか、自らの証人を知るものは、

der alle Schuld ersetzet,

この方はすべての罪をあがない

so wird die Handschrift ausgetan,

(罪科の)証書を破棄される

wenn Jesus sie mit Blute netzet.

イエスの血で塗り消されることによって。

Er heftet sie ans Kreuze selber an,

彼はみずからそれらの証書を十字架につけてくださった

er wird von deinen Gutern, Leib und Leben,

あなたの財産、体、そして命のために、

wenn deine Sterbestunde schlagt,

死があなたを訪れるときに、

dem Vater selbst die Rechnung ubergeben.

天の父にとりなしをしてくださる。

So mag man deinen Leib, den man zum Grabe tragt,

そしてあなたの肉体は、墓へと運ばれ、

mit Sand und Staub beschutten,

砂と塵で覆われても、

dein Heiland offnet dir die ewgen Hutten.

あなたの救い主が 永遠の家を開いてくださる。

5.アリア(T)

Kann ich nur Jesum mir zum Freunde machen,

もしイエスが自分の友になってくださるなら、

so gilt der Mammon nichts bei mir.

もはや財貨は私にとって何の価値もない

Ich finde kein Vergnugen hier

私は満ち足りることができない

bei dieser eitlen Welt und irdschen Sachen.

この虚しくはかない世界には。

6.コラール

Nun, ich weis, du wirst mir stillen

今こそ私は知る、あなたが静めてくださることを

mein Gewissen, das mich plagt.

私を煩わせるこの良心を

Es wird deine Treu' erfullen,

あなたの誠が果たすでしょう

was du selber hast gesagt:

あなたが自ら語られたことを。

das auf dieser weiten Erden

すなわち 「この広い地上で

Keiner soll verloren werden,

一人も滅びずに

sondern ewig leben soll,

永遠の命を得ることを

wenn er nur ist Glaubens voll.

神の御子を信じる者が 。

               対訳:バッハクライス神戸


ルカによる福音書 第16章 1-9

イエスは、弟子たちにも次のように言われた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この男が主人の財産を無駄使いしていると、告げ口をする者があった。

そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが、どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』

管理人は考えた。『どうしようか。主人はわたしから管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし、物乞いをするのも恥ずかしい。

そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、自分を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』

そこで、管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで、まず最初の人に、『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。

『油百バトス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで、腰を掛けて、五十バトスと書き直しなさい。』

また別の人には、『あなたは、いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』

主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは、自分お仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。

そこで、わたしは言っておくが、不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる。

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