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カロリー神話の落とし穴 肥満を避ける食事

 肥満が健康に悪いとわかっていても、ついつい食べ過ぎ、運動不足もたたってメタボに──という人は多い。体重を減らすには、基本的には取り入れた分よりも多くのカロリーを消費すればよいのですが、懸命に体を動かし高カロリーの食事を控えても、期待外れに終わることが多いのはなぜでしょう?

 近年、人体の代謝を厳密に調べ、効果的な減量法を探る研究が進みました。その結果、肥満防止には運動よりも、どんな食品をどれだけ食べるかの方が重要であることがわかりました。また、計算上は同じカロリー数でも実際に吸収されるエネルギーは食品によって異なるほか、得られる満腹感も違います。こうした要因がからみ合って、体重管理を複雑にしています。


運動不足よりも食べ過ぎ?

 肥満は運動不足のせいとされることが多いが、実はそう単純ではありません。米ニューヨーク市立大学の人類学者ハーマン・ポンツァー博士らはタンザニアの狩猟採集民ハッザ族を調べ、1日に必要とするカロリーが欧米人とほぼ同じであることを見いだしました。活発に体を動かしている他の原住民を調べた研究でも同様の結果が出ています。必要としているカロリーに大差はないのに、先進国の人々は摂取カロリーが昔よりも増えているため肥満につながっているという図式です。


同じカロリー数でも食品の成分構成は異なる(左)。消化の過程で失われるカロリー(主に熱となるので「産熱効果」という)は脂肪や炭水化物よりもたんぱく質で大きい(右)


 ならば、摂取カロリーを減らせばよいのですが、食品のカロリー計算は、たんぱく質と炭水化物については1gで約4kcal、脂肪1gは約9kcalが基本になっています。しかし口に入れるカロリー数を減らせば解決かというと、そうではありません。実際の食物は純粋な炭水化物や脂肪などではなく、それらの組み合わせであり、調理の仕方によって消化・吸収も異なってくるからです。

 食品がもたらす満腹感にも違いがあります。たんぱく質や食物繊維が豊富な食事、つまり血糖値の急上昇を起こさない食事は一般に満腹感が強く、空腹を抑えやすい。血糖値を上げる度合いは「グリセミック指数(GI値)」という指標で示される。GI値の高い朝食を食べた場合は低GI値の朝食を摂ったときに比べ、満腹感が不足して、その後の数時間に摂取するカロリーが3割多くなったという報告例があります。

 さらに、米タフツ大学のスーザン・ロバーツ博士らのチームは最近、適切な食物を選ぶことで減量中の空腹感を減らせることをつかみました。133人の被験者を、たんぱく質と食物繊維が豊富でGI値の低い食事(魚、豆、リンゴ、野菜、グリルドチキンなど)を食べる実験群と、特に何もしない対照群に無作為に振り分けました。実験群の人たちは6カ月後に空腹感が以前よりも低下したと述べました。また実験群の人たちの体重は平均で8kg減ったが、対照群では0.9kg増えていました。

 こうした研究を進めることで、一律の肥満対策ではなく、個人個人に合わせた減量プログラムを作れるようになるとロバーツ博士は述べています。

(日経サイエンスより)

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