やせたい人は知っておきたい「血糖値」7つの真実

 血糖値を測定したことがありますか? 「ある」と答えたほとんどの人は、会社などで行う健康診断のはずです。通常の健康診断では、前の日の夕飯を食べたあと10時間ほど食事を摂らない状態で「空腹時血糖値」を測定します。そしてこの測定結果の血糖値が基準値よりも高いと、糖尿病予備軍(境界型)や糖尿病と診断されます。

 糖尿病患者は年々増加傾向にあり社会問題にもなっています。日本では2000万人以上、40歳以上に限定すると3人に1人は血糖異常=糖尿病予備軍というデータも存在します。この数字の増加を食い止めるための血糖値検査のはずなのですが、実は健康診断での測定では十分ではないといいます。



(1)健康診断の血糖値測定は不十分

 もちろん健康診断で血糖値を測ることは重要ですが、それだけでは十分でないのも事実です。というのも、健康診断で測定するのが「空腹時血糖値」だからです。

 空腹時血糖の正常値は110mg/dl未満。これが110~125mg/dlだと糖尿病予備軍、126mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。そして、この数値が異常値(=110mg/dl以上)になるのは、実は糖尿病発症の1~2年ぐらい前です。

 血糖値の測定はもう一種類あります。食事を摂ったあとに測る「食後血糖値」です。これの正常値は140mg/dl未満で、140~199mg/dlだと糖尿病予備軍、200mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。この数値が異常値(=140mg/dl以上)になるのは、糖尿病発症の6~10年前ぐらいとされています。

 つまり、空腹時血糖に異常が出現してから糖尿病の発症まではさほど時間がかからないのに対し、食後血糖値の異常から発症まではかなりの猶予があります。進行状況によっても異なりますが、この期間に生活習慣を改めるなどの対処をすれば、糖尿病の発症を食い止めることが十分に可能です。

 ならばなぜ健康診断で食後血糖値を測定しないのか。それは、健康診断では例えば胃の検査など、血糖値だけでなく様々な検査を総合的に行います。そのためには、空腹時(前日に最後に食事をしてから10時間あけた状態)で受診する必要があります。結果的に健康診断では空腹時血糖値を診るということにならざるを得ません。


(2)近い将来、血糖値は自宅で測定できる

 血糖値は薬局の店頭で測定することができます。実施している所の数が多いと言えませんが、インターネットで測定可能な所を調べることもできます。

 食後血糖値については数値の上がり方に多少の個人差はありますが、食事の1時間後を目安に測定します。測定可能な薬局が会社の近くにあれば便利です。例えばランチのあと薬局に寄って血糖値を測定して会社へ戻る、ということができればビジネスパーソンの健康管理として最適です。

 測定できる薬局が近くになければ、血糖値測定器を購入するという方法もあります。高度医療機器を取り扱う薬局でのみ販売されていて、これについてもあまり数が多いとは言えませんが、インターネットで販売店を調べることができます。



 また、指先から血液を穿刺せずに血糖値を測定できる「FreeStyleリブレ」が9月1日から保険適用となりました。保険適応はあくまでも限られた糖尿病患者向けのものですが、血糖値測定器が広く多くの人に普及していく大きなきっかけとなるでしょう。 血糖値測定器が一家に一台あって、体温や体重を計るように血糖値を測定する時代はすぐそこまできています。


(3)血糖値が安定すればやせられる

 血糖値は、数値が高いこと(=高血糖)自体がよくないことで、また、食後に血糖値がぐんと上昇して時間が経つとまた元の数値に戻るという、上下動も体に様々な悪影響を及ぼします。血糖値の上下動が大きくなることを最近では血糖値スパイクと呼びます。たとえ食前の血糖値が正常であっても、食後の血糖値がぐんと上がると、これを処理するためにインスリンというホルモンが沢山必要になります。

 インスリンは脂肪細胞のエネルギー取り込み口を思い切り開かせる作用を持っているので、インスリンが出る=太りやすくなる、ということになります。

 血糖値とは血液中の糖の値のことで、糖質を摂取することが血糖値上昇につながります。つまり、糖質を過剰に摂取しなければインスリンが必要以上に分泌されることもなく、中性脂肪が増えることもありません。

 糖質を控える食事法=糖質制限は現在のダイエットの潮流になっていますが、ひと口に糖質制限と言っても、現在では「夕食だけ糖質を抜く」とか「糖質をまったく摂らない」など様々な概念があります。

 おすすめは緩やかな糖質制限「ロカボ」です。ロカボでは糖質量を、朝食20~40g、昼食20~40g、夕食20~40g、間食10gまでとして、1日の合計糖質量を70~130gに設定しています。

 糖質は大まかにいうと、「甘いもの」と「でんぷん」に分けられます。甘いものは分かりやすいですが、でんぷんが多い主な食品は、穀類(米、小麦、とうもろこし、そばなど)、いも類(じゃがいも、さつまいもなど)、豆類(あずき、そらまめなど)です。

 ロカボを始めるにあたっては、まずは主食を半分~3分の1に減らします。白米ではお茶碗に3分の1~半膳(50~70g)、食パンでは8枚切~6枚切が1枚で糖質約20~25gです。

 主食の糖質を20gぐらいに抑え、残りの20gをおかずに充ててお腹いっぱいになるまで食べます。おかずに関しては、いも類と豆類に気を付ければ肉も魚も野菜も、ほとんどのものはたっぷり食べても糖質20gには届きません。

 お酒は食事の糖質量+お酒の糖質量の合計を40gまでに抑えれば、醸造酒(ビール、ワインなど)であろうと、蒸留酒(ウィスキー、焼酎など)であろうと飲んで構いません。むしろお酒には、食後血糖値の上昇を緩やかにする効果があることが近年の研究で分かっています。

 1日の合計糖質量を70~130gに設定した理由は、これを守っていればほとんどの人は食後血糖が正常値に保たれます。血糖値スパイクと呼ばれる激しい上下動も起こりません。太っている人は脂肪が減って体重が落ちていきます。


(4)油は肥満の原因ではなく、むしろ血糖値を下げる

 やせるために揚げ物など油を控えている、という人は現在でも多くいると思いますが、実は最新の研究により、それはまったく意味がないと証明されています。例えばアメリカでは「脂質を食べないようにしても肥満の予防にはならない」と政府機関が明確に表明しています。

 中性脂肪が増える原因は血糖値が異常に高くなること=糖質を過剰に摂取することにあります。から揚げを茹でたささみに替えても、脂身たっぷりのサーロインステーキを赤身肉に替えても本質的な意味でやせることはありません。

 体の中に「脂」を溜めている原因は、食事の中の「油」ではなく「糖質」にあります。むしろ脂質とたんぱく質は食べれば食べるほど血糖値が下がるという、最新の研究結果も報告されています。


(5)血糖値を上げてしまう“ヘルシー”の落とし穴

 朝食にフルーツたっぷりのスムージーを作って飲むという人も多いと思います。しかし、果物=ヘルシーと決めつけている人は要注意です。だいたいの果物は高糖度です。フルーツたっぷりのスムージーはコップ1杯で30~40gぐらいの糖質量です。

 果物はGI値が低いからダイエット中でも安心、というのも誤解です。果物の甘さの主体はブドウ糖ではなく果糖なのでGI値が低いわけですが、果糖は体内で中性脂肪に変化します。GI値が低い=血糖値が上がらないからといって摂り過ぎると肥満の原因になります。

(*GI値とはグリセミック・インデックスの略で食品ごとの血糖値の上昇度合いを数値化したもの)

 また、果糖は依存性が強いことでも知られています。子供ににフルーツジュースなら体にいい、と思ってたくさん与えていると、それが肥満の原因にもなりかねないので注意しましょう。


(6)血糖値が安定すれば多くの病気や老化の予防になる

 血糖値が安定すれば太ることもありませんし、多くの病気を防ぐこともできます。生活習慣病と呼ばれる糖尿病、高血圧、脂質異常、さらにガンや認知症などの予防・改善にも繋がります。

 さらに血糖値が高いほどAGEが産出され、シワやたるみなどの原因にもなります。特に女性にとっては美しい肌を保つためにも血糖値の安定が必要です。

(*AGEとは終末糖化産物のことで、これが蓄積すると糖尿病の合併症を引き起こす原因の一つとされる)


(7)運動をすれば血糖値が下がる

 近年の研究では、運動をすることで血糖値が下がることも分かっています。短期的にみると有酸素運動だけでも血糖値を下げる効果があり、長期的にみると有酸素運動と筋トレの両方を行ったほうがより高い効果を得ることができる、という研究結果があります。

 血糖値が上がるのは食後なので、そのタイミングに合わせて運動するのが最も効果的です。とはいえ、食後に有酸素運動を、というのも難しいので、例えばビジネスパーソンなら、会社から少し遠めの場所でランチを摂って、長めに歩いてオフィスへ戻る、というようなことから始めてみましょう。

(文春オンラインより)

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